グランベルムを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
グランベルムはアンナを飲み込み、その記憶と記録を消した。
死すら白く塗りつぶす魔術の衝撃。それが消えぬまま、楽園の蛇がほくそ笑む。甘い毒が唇をつたい、言葉となって突き刺さる。
なにもないお前は、日常に帰れ。
呪いを前に、少女は何を思う。
という感じの、袴田水晶本格起動! 毒蛇は二度噛む!! という感じのエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
アンナさんの始末で衝撃が残る中、悠木碧声の悪ーい女が、縦横無尽に切り崩す。日常に戻っても全く安心できない、グランベルムらしい気持ち悪さ(褒め言葉)が全開で、非常に良かった。
『アンナさんが壮絶な最期を遂げる裏で、九音と水晶、満月は何をしていたのか』というところから、今回のお話は始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
キャラクター性を反射して、水晶が蜘蛛の巣を弄ぶように、九音が琴を爪弾くように繰糸を使っているのが好き。迷いの残る九音が、糸に触れられてないのも。
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未だ余力を残す水晶は甘やかな毒を流し込み、主人公は相変わらずそれを傍観する。水晶の緑の瞳がぐるりと回って、安全圏にいるはずの一般人をじろり、と睨む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
それは恐怖であると同時に、承認の喜びを微かにまとう。ここにいるお前を、私は無視しない。たとえ、獲物としてでも
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かくして満月は、夢から覚める。起きた先が現実なのか、悪い夢の続きなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
マギアコナトスは、その境界線を曖昧にする。後に繰り返される、覚醒と夢のリフレイン。コミカルな素っ裸漫才を追いかけて、アンナの消滅が重く名残る
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帰る場所を思い浮かべれないものは、何も持たずに始原に戻る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
露わにされるグランベルムのルールは、アンナが存在ごと『なかったこと』にされた残酷と、奇妙に響き合う。
白紙に漂白されることへの形のない恐怖に怯え、理由もなく非日常に足を踏み入れていく主人公とも。
満月が傍観する目、遠い距離感で幾度も象徴化されるのに対し、新月は今回瞳をとにかく隠す。目が見えない状況、心がわからない表情を重ねて、嘘と罪悪感を際立たせていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
セリフの中でも、新月は『死んだ』『殺した』あるいは『勝った』とは言わない。「負けないと言ったはず」だけだ。
可能ならば受け止めたくない、悪い夢だったと覚めて欲しい。そういう思いが込められた直言からの”逃げ”は、より残酷な魔法で裏切られる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
傍観者達が門の外側から睨む、家族の真実。ロサさん、まさかの逆転ホームラン…ホームラン? である。クレアちゃんが幸せそうで…
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そら、幸福や不幸を生み出す現実自体を書き換えれば、ハッピーエンドはいくらでも捏造できる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
グランベルムはそれだけの力を持っていると、アンナの死(と、その死と生の消滅)がしっかり教えてくれた。マージでろくでもない。
グランベルムは、その根源に白い忘却を持つ。
それが寧々から母を略奪し、あるいは満月を非日常に掻き立てているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
魔力そのものであるような、マギアコナトスに愛された少女たち。片方は日常を望んで果たせず、もう一方は虚無故に非日常を望む。
傷心に飲み込まれていく友を、満月はやはりただ傍観する
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その頭上に輝く、悪夢めいて白い巨大な月。果たして主人公の根源は、そこからやってきたのか。だから”母”たる魔力に呼ばれて舞踏会に参加し、最期の勝者として帰還しようとするのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
謎は未だ深い。しかし何かが、ちらりと見えてきたような気もする。どっちにしても、まぁロクでもねぇな…。
ここで戦闘からソフトランディングした寧々ちゃんが、暇とデジタル魔術と姉妹の支援を借りて探偵役をやるのが、良い配役である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
お母さんが忘却に飲まれてるんで、存外他人事じゃないんだよなぁ…魔術師の見たものを、戯言だ悪夢だと切り捨てる側でもないし。
残酷に振るわれる力。その残響を弄ぶもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
様々な糸が絡み合い、少女たちは揺らぐ。
九音は口づけの残響を撫でさすり、己の中に刻まれた水晶の音を聞く。本当は姉の匂い、姉の残響しか聞きたくないのに、甘やかなノイズが胸に迫る。
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グランベルムの淫奔番長、袴田水晶大先生がトリックスターとして、非常にいい仕事をなさっておる回だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
アンナさんという巨大エンジンが退場して、推進力が下がると思ったらむしろそれを利して、グイと前に出る。まだまだ秘密は多く、その見せつ隠しつがエロティックでもある。良いキャラだ。
自分の中に染み込むノイズを、九音は刃で否定しようとする。見つめた瞳に映る自分、翻弄する囁き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
危うい所で足を止めて本来の望みに帰還しても、姉はフラフラと水晶を追い、悪夢の中で何かを囁く。
無敵のシスコンバトルマシーン、すっかりグラグラである
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ここで抜き身のヤッパ出てくるの、マジ”グランベルム”だなって感じで最高だけども、水晶は四翠から何を奪ったのか。懐かしい香りの元は、略奪だけなのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
まだ謎が残るが、これを露わにしていくことが二人の物語を加速させていくのだろう。マジヒドイことになりそうで、今から楽しみである。
平和な学園生活に背中を向けた、柱の陰り。そこから形だけのエールを投げても、新月の瞳は見えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
己の運命を狂わせる魔石に、反射する自分の目。己の手で殺し、消え果てた家族の思い出。
そんなねじれをあざ笑うように、蛇が滑り寄る。
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満月が健気に隠れ潜む、校則違反の非日常。それを上からするりと蹂躙する、水晶さんの人間質量。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
異常に輝く白い光が全てを塗りつぶして、結界のように二人の会話を遮断する。
お前には、なにもない。なにもないお前は、魔法の国から出ていけ。
魔女の呪いは、的確に刺さる。
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白に塗りつぶされた世界の衝撃は、あまりに満月の本質を的確に占っていて、だからこそ隠す。時分がなにもないと、言い当てられて苦しいと、親友に見せるのが怖い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
可愛いデザインにエゴイズムの泥をたっぷり詰め込んでいるのは、グランベルムのいいところだ。満月、マジ人間臭い主人公。
隠す。秘す。寧々ちゃんはマギアコナトスからはじき出されてなお、薄暗い世界の真実に踏み込もうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
自分を思いやる妹の言葉を、ヘッドフォンで拒絶し…かけて、そこから真実へ思い至る。
ノイズキャンセリング。世界が魔術を放逐したのではなく、魔術が世界を覆い隠してる逆転
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九音はフードで耳を隠すことで、水晶の呪いにとらわれていく。寧々ちゃんはヘッドフォンを外すことで、妹と一緒に世界の真実を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
隠蔽と解放。嘘と本当。様々なものが様々な立場から観測され、複雑な色合いを為す。
魔術的な世界が、真っ白な日常を上塗りしている可能性が見えてくる。
そんな実相を知ることなく、満月は夢の檻に囚われる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
新月のそれとは違い、魔術の干渉も殺戮の悲劇も反射せず、想い出のままのアルバム。しかし幼い日記帳の思い出は、白紙に塗りつぶされ消えていく。
お前にはなにもない。だから、ここから消えていけ。
呪いが残響する。
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いつか、新月とアンナのように、アルバムの中の幸福が書き換えられ、消え果てていく時が来るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
それは日常の埋葬だが、その瞬間を待っているはずの満月はおそらく、それを喜べない。そこにとても大事なものがあることを知っているから。
だがそれすらも巨大な秘奥に隠蔽された、魔法の副産物なら?
虚実はぐるぐると渦を巻き、少女たちは夜に向き合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
お互いの嘘、お互いの本当を複雑に絡み合わせて、美しい青春の色彩を織っていく。
その編み物が欺瞞と保身で編まれているとしても、誰かを思う優しさは綺麗だ。
本当に?
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という底意地の悪い問いかけが、この夜の会話には満ちている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
水晶が流し込んだ白い毒が、思いの外応えている満月。
資格がないと己を罰しつつも、姉を思って涙を流す新月。
お互いの嘘を指摘する指は、奇妙にグロテスクな色差を持つ。
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何がどうあっても、私はあなたの味方だから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
絵面を追えば、とてもキレイな青春の言葉。しかしそれはお互いの表情を隠した、奇妙に白けたカメラで切り取られる。
残酷な魔術劇の中で、それだけは真実だと思いたくなるような友情が、根本的なすれ違いと醜さを抱え込んでいる。
そしてそれでも、脈動する醜さを含んで人間は美しいと、このアニメは静かに突きつけてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
虚実と同じように、美醜もまた背中合わせにくるくる回る。
”きれいは汚い、汚いはきれい。
さあ、飛んで行こう、霧のなか、汚れた空をかいくぐり。”(ウィリアム・シェイクスピア、『マクベス』)
殺傷に震える後悔と、虚無を恐れる根源。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
お互いの弱さを曝け出し、涙の足跡を指でなぞる夜を抜けて、新月と満月は闇に踏み込み、
そして出ていく。嘘まみれの卑怯にこそ、私達は立つ。胸を張って言い切るふたりの旅路は、未だ続いていく。
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この『アタシら、”マブダチ”なもんで!』と言わんばかりの表情の後に、『控え目に言って親友』な希望と寧々ちゃんを邂逅させるところが、まーグランベルムの性格悪いところである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
斜めに軋む、日常に隠蔽された巨大な力。全てを白く塗りつぶす、魔力の爆心地
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魔石を砕かれ、戦いから降りてなお、日常と非日常を巡る歩みは止まらない。それは真っ直ぐな繋がりを歪め、当たり前の幸福を斜に捻れさせていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
水晶ならば、『それこそが面白い』と言っただろう、坂の上のバロック。忘却を暴かれた真実は、新たなる残酷を呼ぶのか。
という感じの、アンナさん散ってもグランベルムは終わらないエピソードであった。いやー、いい具合に水晶エンジンに引き継いだなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
『Dolceに帰れ!』と言いたくなる極悪意味深鬼百合女、袴田水晶。
なもりはなもりでも、百合姫表紙書いてる時のなもり。そんな感じだ。姓も”袴田”だし。
水晶が性悪でグラグラ女の子を揺らすと、波紋が大きく広がって、日常が白く隠蔽していたどす黒い嘘が暴かれていく。その暴露が、より強く少女を繋ぐけども、必ずしも絶対の繋がりではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
揺さぶり、暴き、まだまだ謎は続く。九音は姉の白昼夢に、一体何を聞いたのか。まーロクでもねぇな間違いなく
サブエンジンとして寧々ちゃん名探偵紀行を回して、ナイスキャラをフェイドアウトさせず活用、戦闘と青春に忙しい主役が探れないところを掘り下げていくのも、非常に良い運び。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
逆位相の白々しさが打ち消す、世界の真実。
その中心にいればこそ主役なのか、偶然に見えていたものは運命、あるいは謀略か
後半を突っ走るのに必要な謎と感情を、たっぷり詰め込む良い新章開幕でした。表面だけなぞると既製品の青春魔術バトロワなんだが、踏み込んだところの”コク”と”アク”がスゲーよなグランベルム。間違いなく怪作で快作。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
再び月は満ちて、儀式が始まる。水晶の蛇は一体何を飲んだのか。来週も楽しみ。
追記 物語が積み上がり、キャラに愛着が湧いたタイミングでこういうデカイ仕掛けを回すと、世界の巨大な謎が空転せず、食らいつきたい魅力に変わる。話運びと伏せ札の開け方が絶妙。
グランベルム追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
アンナの消失、満月が繰り返す覚醒と悪夢。四翠の夢遊と九音に残響する毒。
夢と現の間を彷徨う少女たちの”今”が、魔術が世界を書き換え、現実が夢でしかない世界レベルの謎究明とシンクロしてんのは巧いなぁ、と思う。
ミクロコスモスとマクロコスモスの、理想的合一。魔術だね。
これを追う探偵役の寧々ちゃんも、嘘でしかなかった中学校生活で掴んだ日常が、実は魔力の中枢に素知らぬ顔で鎮座していると突きつけられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
どちらが夢で、どちらが現実なのか。虚実の不確かなダンスの中で、残酷と青春が踊る。
良いぞ…最高の地獄だ…(うっとり)
追記 こんだけ人数いて、天使も悪魔も作ってないのは偉い。姓のなさを『ロサ・フーゴ』として活用されたロサ含めて、みな善悪の彼岸に立つ”人間”である。
グランベルム追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
家族を失い、帰る場所がないと泣いていた新月が、欲得込でも手に入れたフーゴ家の安住。
そんな愛おしいものが望まぬ術才と不器用な対人能力でズッタズタになり、自分の腕で処刑して、姉の喪失を一緒に悲しむはずの家族も白く上書きされる。
おそらく魔力から生まれた満月が、グランベルムの非日常に呼ばれて魔力に接近していくように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月24日
孤独に生まれた新月は、思い出をも共有できない別次元の孤独へと踏み込んでいく。
それを共有している唯一の友と、決定的な魂のあり方がズレている。見落としているのか、見ないふりか。
地獄はこれからだ