キャロル&チューズデイを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
政治の風が少し和らいで、フェスがやってくる。初恋の痛みを隠して、少女たちは己の歌を歌う。
身勝手な永遠を求める黒騎士を、無愛想な白騎士が殴り倒す。人々は暗闇の中の暴力を知らないまま、音楽を謳歌していた。
それでいいのさ。
そんな感じの火星最後の日常! 政治の季節を前にさらば黒騎士!! っていうエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
無愛想で冷たいタオを、人間性の土俵にそろそろ乗っけないと終盤置いてけぼりになるので、騎士物語の勢いを借りて列車に乗せたお話。
アーティガンやキャロチューの、音楽的到達点を見せる話でもある。
今まで伏流だったアンジーの話が表に出てきて、その勢いを学んでキャロチューがまた一つ”自分”になっていく今回のエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
主役はあくまで控え目…と言いつつ、静けさの奥に込められた意味合いは相変わらず強い。
冒頭、雪の火星を見つめながら、二人はサイドニア・リベンジについて話し合う。
それはカイルの話でもあり、雪の火星のように、初恋に破れた朝の景色は新鮮だ。それを糧にしうるタフさを、チューズデイは学びつつある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
恋の後始末は一旦保留。今はめの前のサイドニア。でも、”リベンジ”はする。
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そんな相棒のやる気に、キャロルは温かいコーヒーを差し出し隣り合う。同じ方向を見て、同じ景色を愛する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
デビューしたあと、お互い少し傷が増えた。でもそれは、二人の才能を磨き上げていく。
第13話以降、苦めの人生修業物語を歩いてきた意味が、ちょと見えるシーンだ。
一方現在進行系の初恋は、四角形の緊張状態から始まる。よき隣人たるAIペットが、知らずハックされて盗みの窓に変えられる世界。そこにタオは切り込んでいって、機械のナチュラルな身体を解体していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
椅子に身を隠すアンジーが可愛い。
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ジュリーが弄ぶAI技術と世論、”ナチュラル”な群集心理を、かつてタオも研究していた。だからこそ気付ける危うさを、タオは自分の歌姫のために使う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
解体され、精査されることでAIペットも盗人の目線を外して、本来の機能、本来の信頼を回復することが出来る。それは専門技術者だけが可能な治療だ。
ヴァレリーは政治技術の本職であるべきなのに、『票が拾えるから』だけでジュリー(と、彼が濫用するAI分析)に依存し、世論を適切に解体、修理しえていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
タオは無愛想な表情の奥に、専門家が果たすべき良き役割を背負い、あるべき秩序を回復していく。エキスパートの書き方として、面白い対比。
テクノロジーをハックし、警察の警戒網をスルリと抜けるブラックナイトに、姫を守護する騎士として、あるいはホワイトハットとしてタオが立ち上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
騎士物語において、黒騎士は得体のしれない悪役。プリンセスの名誉は白騎士が代闘する。
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まぁ白騎士って言うには、闘争を決めた時の表情が不敵であるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
ホワイトナイトには、敵対買収に対抗する友好的買収の意味合いもある。ジェリーが背負ってすり寄る、経済的政治の領域が仇をなす時、世知に長けたタオは”騎士”たりうるか。
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タオは何故、AIと心理の領域から抜け出して、音楽やろうとしたのか。ジュリーが知ってる彼の過去は、どんなドス黒さを持っているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
ロマンスが進行する裏で、ミステリは深まっていく。踊らされ加熱していく火星の政治を掘る上で、テクノロジーの始点は大事だ。タオの重要性は今後も上がりそう。
しかし今回はあくまで、音楽のエピソードである。政治と隣接しつつも密着せず、テロルによって生まれた火星の冬とも関係ない、サイドニア永遠の夏。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
それを前に、ぼんくらバンドに過剰なパフォーマンスを要求し、木を燃やす。
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クソ冴えないのに凄腕のバックバンドが僕凄く好きなので、今回再登場して良かったなぁ、と思った。まぁお前ら、ジミヘンやモトリー・クルーってツラじゃないしな!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
迷って間違えて、初めて見えるものもある。そういう当たり前を、第2クールは丁寧に追ってきた。
そして、出会いと恋の可能性も。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
キャロルはヤバなリアルラッパー、エゼキエルの領域に臆せず踏み込む。壁の奥に隠れるガスが可愛い。
過去を一切隠さない少女と、忘れたふりをする青年。二人の出会いは、どんな物語を生むのか
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それは先の話として、MB以来しばらく離れていたアンジーとキャロチューの物語が、ここサイドニアで再接触する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
かたや、大資本の波を乗りこなす新人ディーバ。
かたや、インディーからジワジワナチュラルに攻める新機軸。
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お帽子ゆる髪アンジーがマージ凄い凄いけども、サングラス越しの挑発を、キャロチューは堂々受け取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
MBの楽屋ではピンと来てなかったライバル関係も、今はど真ん中によく届く。やっぱ”まんじゅう顔”なんだよなぁ…。
視線を合わせるだけでなく、手をしっかり握り合うところがキャロチュー。
ここで『なにクソ!』となれたのは、音楽面でも私生活でも子供らに色々あって、黄金色に満ち足りてるだけじゃない、色々陰影もある存在に変わったからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
心に立ったさざなみを、無視するのではなく乗りこなす。ピンチの中に飛び込んで、薄暗いものを飲み込んで、初めて手に入るものがある。
そういう人生の陰影(アンジーが子役時代、立ち向かわざるを得なかったもの)を、キャロチューも色々学んだからこそ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
MBから少し進んだ関係を、ライバルと結ぶことも出来る。ようやく、アンジーが孤独から開放されてきたね…。
それがどう結晶するかは、”Message in the Wind”を待つことになる。
ステージの熱い戦いと、バックステージの冷たい戦い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
タオは黒騎士をテクノロジーで追い詰め、アーティガンはロッカールームで自分と向き合う。
鏡の中でしか機能しない”OHW MA I?”を脱ぎ捨てて、堂々『俺は誰だ!』と客に問う。
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ステージメサイアとして自信たっぷり、EDMの魔法でオーディエンスを爆上げする”アーティガン”の復活は、第17話へのアンサーとしてとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
スーパースターだって、生身の人間として思い悩む。どん底にも落ちる。
だけど、そこからやり直すことも出来る。より強くなることも。
ただの自信過剰ヤローじゃないアーティガンを見たあとだと、彼が胸に背負う”WHO AM I?”の重さが違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
ずっとそれを問いながら、無敵のアーティガン様を演じ、本質化し続けてきた男の晴れ舞台。
電子音と花火、”ナチュラル”ではありえない過剰さが最高のハイを連れてくる、テクノロジーの文化的精髄。
そこにアンジーは飛び出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
ブラックナイト事変は、”ママ”とアンジーの距離感をよりナチュラルにした。色々こじれつつ、それでも娘が心配な自分を、ダリアは事件で再確認できた。
そんなママの視線を受けて、アンジーは自分の戦場に進む
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きらびやかなステージを見つめるのは”ママ”だけでなく、エゴに凝り固まったストーカーも、技術の白騎士も共に見守る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
俺を誰だと思ってやがる…声が神谷浩史なんだぞ!
薄暗いバックステージの、薄暗い闘争。アンジーのチャンピオン、ここに見参である。んー、ロマンス。
ここでタオがマイクロ波を使って、非殺傷でもってブラックナイトを制圧したことと、スピーカーをハウリングさせて彼なりの”音楽”を鳴らしたことは大事だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
ジュリーがAI技術を使い、不要に燃やす移民対立。そこで流れるだろう”血”とは違う戦い方を、タオは選んだわけだ。
それはAIと世論を濫用する”ジュリー的”な過去の自分と決別し、ナチュラルな主役では拾いきれない領域を担当する決意だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
そのためのチケットとして、自分の”音楽”を鳴らすことが、ミュージシャンのアニメであるこの作品では大事で。
あのハウリングは、不器用なタオの不器用な歌だったのだろう。
突然のノイズにビックリして、アンジーは後ろを振り向く。スーパーヒーローみたいに親指を立てて、彼の歌姫を送るタオ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
その思いを背負って、堂々”LIGHTS GO OUT”を歌い切るアンジー。
第1話からずっと俺は…この景色が見たくて…。
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人工的な青い光に包まれ、ヴァーヴァーブンババブンババなEDMが鳴り響くステージは、けして”ナチュラル”ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
しかし、凄く良い。人間のもう一つの可能性、道は違えど繋がる魂が、たしかに宿っている。
アンジーが何を背負って、キャロチューに対置されてきたか。音楽的に回収するシーンと言える
面白いのはこんだけきらびやかなステージに乗っかるのが、『奇跡はライトが消えたあとに起こる』(ちょっとエッチな)曲なところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
カメラは栄光に包まれるアンジー&アーティと同じように、陰りの中の人々を写す
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舞台袖で衝撃を受けてる主役だけでなく、黙々とステージを支える裏方も切り取ってるのが、やっぱ好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
ライトに照らされる人も、照らされない人も。それぞれの詩と奇跡を持っている。
ステージから少し離れて展開した二期は、そういう陰りのを追った。色んな人の人生を食べて、少女達は大きくなった
タオが超かっこよく、アンジー姫の騎士をやってるところを”ママ”が見てるところも気になんだよなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
ダリアはアンジーを愛しすぎてて、だからこそ過保護になっちゃったんだけども、ブラックナイト事変で自分の愛と、娘を託せる”外部の男”をしっかり見たことで、関係が良くなりそうな気配なのよね…
ライトが消えて、キャロル&チューズデイの奇跡がステージに上る。地べたに座り、アコースティックで弾く
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
正反対のステージで対立するように見せて、自分へのスポットライトが終わった”後”を歌っているアンジー達の曲が、僕は優しくて好きです
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フィンガースナップと足踏み、口笛。”人体”という最もアンプラグドな楽器を使った演奏は、キャロチューの特質である”ナチュラル”を、アンジー達のステージに対置する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
それは対立するものではなく、お互い違いながら、違うからこそ素晴らしいもの。政治から切り離された、優しい理想。
それが一時の夢であり、物語はまた別の局面に進んでいくことを、ライバルと新しい可能性が強く主張している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
想い人が自分を守ってくれた直後なのに、射殺すような視線でライバルのステージを見つめてるアンジーが、マジかっこよくて好き。ただのお姫様じゃないのよ!
エゼキエルくんの転がし方も含めて、今後が楽しみになるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
ここで公民権運動のアンセムたる””People Get Readyを持ってくるところが、『いや、何も終わってないんで。これは切り離された楽園じゃなくて、現実と政治に隣接した領域のパフォーマンスなんで』と言っとるわな。
曲は歌う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
”荷物はいらない ただ乗ればいい 必要なのは信頼だけ”と。
かつて地球で、不当に差別された人たちが口ずさんだ歌が、今回の個人的な闘争、個人的な演奏の裏に流れ続けている。
そういえばエゼキエルも、バビロン虜囚時代の預言者だなぁ…。
政治の季節は加熱する。存在するはずのない火星の雪は、まだ降り続いている。サイドニアを離れれば、また寒い街へと逆戻りだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年8月29日
それは地続きの場所で、だからこそ歌も届く。
テクノロジーの濫用と可能性。ナチュラルな少女たちでは背負えないテーマを、ライバルがどう背負っていくか。次回も楽しみ。