Dr.STONEを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
着実に歩みを進める科学帝国は、遂に雷霆をその手に掴んだ。喜びもつかの間、何者かに襲撃されるゲン。
利得に流され、軽薄に踊る。日和見を任じる男と人類の未来を繋ぐのは、薄っぺらな同盟。
あぁ…コーラ飲みてぇなぁ…。
そんな感じの、ゲンちゃん&金狼銀狼正式加入回ッ! であり、ジャンプ名物トーナメントへ話が導入されていく回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
いやーやっぱ”少年ジャンプ”なら、転生科学無双だろうとヤグラは組んでおきたいじゃん?(偏見)
マグマの超暴力への危機感が、トーナメントへの参加意欲に繋がってるのは上手いよね。
さてお話は、クールで現実主義の科学少年が一年強、裸一貫から汗水たらして電気作った顔から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
こういう泥臭い表情の強さが、この漫画の根っこだと思う。会心の笑顔、というやつだ。Boichi先生はやっぱ凄いな…。
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しかし千空は、こういう表情は他人には極力見せない。プライドのあるツンデレである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
矜持というのはこの作品ではとても大事にされていて、譲れない意地とか、自分の根っこを簡単には預けない強がりが、かなり大事にされている。
その外殻の硬さが、クールな科学無双という”ガワ”を成立させている。
中身を見ると超熱血の友情・努力・勝利、オールドスクールジャンプイズムなんだが、それを素直に出すのは大樹やクロムに任せ、メインは強がりボーイ大集合で涼しげにやり切る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
ちゃんとサブに真っ直ぐなキャラ置いてあること含め、時代と作品に合わせた配置になっとると思う。
同時に作品もキャラも冷たさの中に熱量がしっかりあって、よく見ると相当に尊敬できる気持ちのいい連中が揃っていることが、お話に体重を預ける足場にもなってくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
今回はそんな一人として、ゲンちゃんもちゃんと気持ちのいいツンデレだよ! と教える回である。
マグマにベコボコにされたゲンちゃんは、マジシャンらしい手段で危機を切り抜ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
千空なら科学、大樹なら肉体、司なら暴力を使っていただろう局面で、彼は地道に仕込んだ記述を使う。なぜなら、マジシャンだから。
行動にキャラ性がしっかり宿っているのは、やっぱ大事だなー。
やっぱり千空の科学は『誰かを救う力』であり、今回も医療業務が描かれる。ホントこの子ら、他人の傷を直したり、ピンチを乗り越えたりばっかしとるね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
クロムのバカが速攻身内認定して、『犯人マジ許さねぇ!』ってなってるのが可愛い。
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自分をはみ出しものと卑下するスイカの活躍で、犯人は素早く分かる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
原始時代の勇者、危険な暴君候補・マグマ。彼が上に立つヤバさが、主役をトーナメントに向かわせる原動力になる。
VS司帝国っていう大目標と、マグマ攻略っていう中目標、鍛錬っていう小目標が同時並走する形やね。
ゲンちゃんは暴力に対抗する手段がないので、ベッコベコにはされる。マグマが体現する暴力と、それを支えにする権力志向は強い。それをこの作品は否定しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
しかしパワーを志向しない弱者に、武器がないわけではない。ボッコにされたゲンちゃんのリベンジは爽快なので、アニメで見るのが楽しみだ。
その前に、『ゲンちゃんは取り込めたのか、取り込めなかったのか』というサスペンスがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
感情を素直に出さず、軽薄な偽悪で覆うのが彼のプライドなので、なかなか形にはならずヤキモキはされる。しかし描写の中で、彼の心が既に動いていることはよく判る。
それを追いかける感じで、ゲンちゃんは司帝国に舞い戻り、偽情報で千空の生存を隠す。反撃に必要な時間を、離れていても稼いでくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
そういう結果になるだろう、ということを、千空は確信している。やっぱり千空は、”信じる”主人公なのだなぁ…チート知能は、信頼の材料でもあるわけだ。
コハクが良いワトスン役をやって、『千空だけに見える状況』を上手く可視化してた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
直情径行では読みきれない情報を目ざとく拾って、離れた仲間を信じる特権。それに説得力を与えるために、卓越した知性を使うってのは、やっぱ良い。
原始人をバカにする、暗い気持ちよさだけで終わってない感じ。
千空がゲンちゃんを信じきれるのは、彼の目と頭がいいからだけではなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
治療の床で交わした、コーラ同盟。薄っぺらで何の価値もない約束が間にあるから、あいつは絶対に仲間だと確信できている。
ここで”コーラ”なのはスゲーな、と思う。マジ天才。
ストーンワールドが身体的にキツい環境だってのは、度重なる労働描写からも見て取れる。汗まみれ泥まみれ、誰もが甘くてシュワシュワのコーラをゴクリとやりたくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
この皮膚…というか”喉感覚”に強く共鳴させて、『コーラが飲めるから』で天秤を千空側に傾けさせる。
それは形は軽薄で、中身は熱い
ゲンちゃんが言葉通りの男なら、コーラ一杯なんぞどうでもいい話だ。科学帝国は超人権倫理国家なので、富の独占や性的放埒は許されない。ペラペラの利益重視には、美味しくない居場所だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
だけどゲンちゃんは、コーラ一本を最後の決め手に、科学帝国に付く。
お前の努力と魂に惚れたッ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
そういう汗臭い真っ直ぐさは、自分のキャラじゃないから。キレイなものに人生を賭ける時、ゲンちゃんは何らか言い訳が必要になる。
でも、それは本音でもある。
イヤ、飲みたいでしょコーラマジで。この環境だったら。
そういうゲンちゃんの面倒くさい色々を全部『コーラ』に集約して、新しい仲間と離れて通じ合う状況を飲ませるのは、やっぱ凄いなぁ、と思うわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
答えは最初から決まっている。でも最後まで、それは明確には言葉にしない。
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地べたに転がる薄汚い栄光ではなく、遠い夢を追う。彼方の仲間を思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
そういう目線が、エピソードの始まりと終わりでしっかり呼応しているのは、とても良い。
あくまでペラッペラに、弁舌さわやかに司をだまくらかす奇術師顔が間二挟まるのも、”ゲンちゃん”って感じ。
ボコボコにされようが、全力ダッシュでハーハーしようが、騙しを忘れない。そして科学の光、千空の人柄に心動いた自分は、けして騙さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
ゲンちゃんのちっぽけなプライドが、とても大事にされたお話でした。やっぱ可愛いよなぁゲンちゃん…こっから更に可愛く、かっこよくなっていくからなぁ…。
既に実質ズブズブだった金狼・銀狼も、今回で正式加入。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
金狼もなかなかのツンデレで、”ルール”っていう形がないと自分を動かせないのよね…あくまでプライドを守って、自分が見たものに素直に生きるために、形式ってテコを使う。
め、面倒くさいボーイ…そこが良いんだけども。
マグマがゲンちゃんをボッコにするヤベー奴だと判って、トーナメントという山が顕在化した。お話はそこでの勝利に向かって転がりつつ、サルファ剤製造、司王国攻略も目指す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
複数目標が同時進行している立体感は、作品がダレずテンポよく転がる、大事な足場なんだろうなぁ…。
まぁその前に、俺がこのお話で一番好きなシーンが来るわけですが!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月7日
科学が”強い”だけでなく、”優しい”力でもあるのだと教える上で、次回描かれるだろうシーン以上に太い場面、なかなか無いよマジで。
それを描くと、科学使いである千空の優しさも静かに見える。アニメがどう魅せるか、とても楽しみ。