スター☆トゥインクルプリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
言葉も通じず、抱き合うことも出来ない異星の客。
当たり前の日常が傷となり、判りあえず離れていく。それが当たり前と、諦めたくはないから。
天宮えれなは思い悩む。その煩悶こそが、花を咲かせる慈雨となることを、未だ知らないままに…。
そんな感じのえれな回。SF児童文学であることを最大限活かし、異文化コミュニケーションのど真ん中を力強く叩くエピソードであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
正直想定外に話は飛び出していかないが、どっしり足場を固め、伝えるべきを奇をてらわず描ききる腰の強さがあった。非常にスタプリらしいエピソード。
色々良いところのあるエピソードだが、まずエピソードゲストたるサボローの造形がいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
異質ながらコミカルで可愛げのある造形、植物知性体であることを活かした立ち回り。
『切り花を売る』という人間にとっての当たり前の行為は、立場を変えればおぞましい蛮行とも取れるわけだ。
僕も生花を扱うことがあるので、命をスパッと切り落とす”ざんない”感じは身に染みる。同時に、それを裁ち落としているからこそ、ちゃんと活かしてあげないといけないとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
しかし言葉が使えない相手に、その複雑な胸中をどう分かってもらえば良いのだろうか?
人格の完成度が高く、瑕疵が少ないえれなが思い悩むのは、なかなか難しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
しかし人間出来ているからといって、困難に出会わないわけではない。ハイレベルな人には、ハイレベルな悩みがやってくるものなのだ。
すぐさまある程度まで、異邦人の胸元に迫れる人間のデカさ…さすが天宮えれなである。
今回は彼女のルーツに迫った話であり、同時に国籍ではなく職業の角度から掘り込む話でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
花屋の父からは、植物への愛情を。通訳の母からは、コミュニケーションの難しさと尊さを。身近に知っているからこそ、えれなはどうにか地球の文化、自分の思いをを伝えようともがく。
そういうもがきがあればこそ、えれなはいま十分に完成している(ように見える)自分を超えて、より善くなっていくことが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
なかなか悩みや障害に出会えないお姉さんポジションを、思う存分煩悶させてくれる今回は、えれなに焦点を絞った良いエピソードだと思った。
スタプリはSFテイスト、放課後の冒険感、変身ヒロインの非日常を扱いつつも、児童を取り巻く現在と未来にしっかり目配せしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
今回異星人の形で描かれた異邦の客は、つまり彼ら彼女らがいつか出会うだろう、異文化からの来訪者でもある。そこには、必ず困難がある。
”棘”という形で提示された身体の差異もあるし、切り花を巡る文化認識の違い、発話言語を使えないコミュニケーション・メディアのギャップもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
軋轢も誤解も生まれるもので、そこから逃げることは出来ない。その上で、怯える必要も、絶望する必要もないんだよ、と物語は語りかけてくる。
えれなはうまく行かない現実に悩みつつも、それでも繋がりたい思いを前に出して、繋がれた思い出を抱えて、サボローに真摯に向き合っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
それは怪物に落とされた彼の足を止め、不当な暴力行使を止めてくれる。
思いは、届くのだ。シンプルながら、とても大事なメッセージだと思う。
今回は焦点のはっきりした話で、えれな以外はそこまで目立たない。しかしその分、妙にノンビリした風情で一緒にいる五人が、とても可愛く描けていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
ボケーッと口を開けて、星奈とシンクロした動きをし続けるララの頑是ない感じとか、いつの間にか五人にまとまってるユニとか、とても良かった。
今回は”おもてなし”の話であるんだけど、過剰に構えたホスピタリティに舵を切ったり、日本文化を全面に出しすぎた味付けにせず、えれなのキャラクター性を活かした通訳話にしたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
オリンピック招致以来、妙にバイアスのかかった言葉になってしまったけど、その根源はコミュニケーションだ
音声言語を使わず、種族特性も文化背景も違う相手に、どう意思を通わせていくか。プリキュアの”おもてなし”はそこに始まって、そこに終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
そのシンプルさが、逆にしっかりコアを掴まえてブレない仕上がりを生んで、凄く良かったと思う。SFでもあるしね。
最初は査察で良い点取るための”おもてなし”だったものが、そういうモノをぶっ飛ばし、ただただサボローに喜んでもらおうともてなす流れになるのも、上手くヤダ味を取っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
利害がなければ、人を適切に遇することが出来ないプリキュアは、ちょっと寂しすぎるしね…。
かくして、えれなが思い悩んだ”おもてなし”はサボローに通じ、彼も花を咲かせる”おもてなし”で答える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
言葉が介在できなくても、お互いの星が別々でも、姿や能力が異なっていても、我々は通じあえる。
こういう真ん中勝負の倫理でちゃんとぶん殴る回は、やっぱり好きである。
相変わらず戦闘ノルマをしっかり果たすテンジョウさんが、ディスコミュニケーションを前提に煽ってくるのが少し哀しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
そう思うしかない過去が、多分ノットレイダーにはあるのだろう。孤独な絶望が流れ着く、星の墓場の妖怪軍団。やっぱ掘り下げ欲しいなぁ…。最終盤にあるだろうけど。
という感じの、えれなのルーツと人格をよく見たエピソードでした。いつも優秀、チームの”母”をやってる彼女が、ちゃんと悩み進む話がいい仕上がりで来てくれたのは、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年9月30日
次回は星奈、”立場”を目指す。あの子の資質を考えると、”上”に座るのはいい経験だと思います。来週も楽しみ。