BEMを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
陰謀の尖兵と化した報道と司法が、ベムとソニアを追い詰める。逃亡の果て、遂に顔を見せる”見えざる議会”の中枢。
遥かなる過去より人類を見つめ、その反射としてリブラシティを作り上げた存在。
四人目の妖怪人間、ベガ。
五百年の退廃を疎む瞳が、BEMを求める。
そんな感じの妖怪人間 VS 街! というエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
やっぱ悪役は主役の鑑となるべきで、ベガのオリジンは非常に納得。
『人間になること』を諦めてしまった妖怪人間が、人間の悪徳を反射して作り上げた街。それが『早く人間になりたい』存在”達”を追い詰めていく。
今回は要所要所でキレた構図が多くて、話運びに独特の詩情があった。真ん中に意識を割いた、壮大だけど不安定でもある構図はクライマックス感も出て、良いケレンだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
妖怪人間を前に、子供が立ちすくむ。怪物は何を与え、何を奪うか。
©ADK EM/BEM製作委員会 pic.twitter.com/bv9NbtdQ8d
ベガは己の起源を、素直に語る。500年前の妖怪人間、インゴルシュタットから来た女。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
ここで”フランケンシュタイン”の舞台になった街、あるいは光明結社縁の地が出てくるのはオタクだなぁ、と思う。
人造の怪物と陰謀論。今、急に出てきた話ではなく、それは人類史の中でずっと続いてきたのだ。
唐突にボルジア家との繋がりとかパなしてきてワクワクしたが、ベガは一足先に人間を学び、結論を出した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
その本質は”悪”であり、為りたいと憧れる必要一切なし。
人の根源に見限りを付け、生み出した天秤の街。それが歪んでいるように見えるのは、ベガという鏡に反射した結果だった。
差別と搾取、嘘と裏切りこそが人の本質とリブラシティを積み上げたベガ。彼女の認識が歪んでいるのか、むしろ被造物の無垢で人の穢れを素直に見たのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
そのジャッジはとても難しい。見えざる秘密結社があろうがなかろうが、実際世界は悪徳に満ちているわけで。
『お前らがハラワタに隠しているものを、私が引きずり出してやろう。』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
妖怪人間は嘘をつけない。人に憧れ、それ故その本質を問い、顕にし続ける。
ベムの無条件の信頼と犠牲が、くるりと反転した相手がこの話のラスボスである。ふーむ、なかなか面白くなってきたぞ。
ベガが歪んだ天秤を用意したから、人間の悪徳は加速したのか。それとも、それはあくまで装置に過ぎないのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
権威にかしずき、白色テロをぶん回すフェルトを見ていると、ベガのニヒルな態度にも共感できてしまう。モーテルの攻防は人間性を照らす、歪んだ鏡だ。
突きつけた銃を隠蔽のためにぶっ放し、家族連れを殺しにかかる”人間”。蟷螂の斧を捻り潰すために、ソニアの家族を的にかける”人間”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
巻き込まれた家族を守るために、銃弾に身を晒す怪物。裏切られてなお、人を信じる怪物。
早く人間になりたい。
でも、為るべき人間ってどんな存在だ?
物語の最初から問われていた疑問が、主役を直接ターゲットにして唸る話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
TVモニタに捉えられた、白々しいアストライアの天秤。正義を標榜するものが、保身のため怪物の権威にすがる。法を捻じ曲げ、真実を歪めていく。
©ADK EM/BEM製作委員会 pic.twitter.com/lfvv6wQN4f
そんな虚飾を侮蔑しきってなお、ベガもベムと同じように、どこかで”人間”を信じているのだろう。意思を持って悪に迫ったダリルへの応対、あくまで幼いハラジーへの視線…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
自分を殺しうる”アルファ”を求めるのと同じく、悪徳を加速させる街もまた、”人間”に壊してほしいのかも知れない。
何回天秤に乗せても、善悪は片側に傾く。その結果にうんざりしていても、”人間”を試すことをやめられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
ベガが”四人目”だと判ったことで、リブラシティの人造性が腑に落ちた。悪徳を抽出して、その奥にある善性を煮出すような構造は、多分ベガが意図して作っている。この人も”悪魔”なのだろう。
ベガが悪徳を学んだのがボルジア家…つまりルネサンス期の教皇庁だってのもまた、皮肉である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
至高の善を歌う場所で、人は裏切りと謀略を積み重ねる。その事実が妖怪人間に、カンタレラの毒のように染み込んでいった。
結果、悪を集めて善を試す天秤の街と、彼女は一体化したのだ。
家族。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
ソニアは身内を人質に取られて悪に屈し、ベムはそれに理解を示す。死なず、育たない妖怪人間には、手に入れられないもの…本当に?
寡黙な”父”は捉えられてしまった。諦めればいい。そううそぶいていた子供らが、そう振る舞えるなら苦労はない。
今代の妖怪人間が一人ではないことが、どんな意味を持ってくるか。それは分断されたからこそ、今後見えてくるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
弱者最後の武器をへし折られたソニアが、どう立ち上がるかも大事だ。せっかくメカ本部長を倒したのに…。ホントネタ入れないと死んじゃうアニメだな…。
というわけで、ラスボスの顔が見えて、主役がピンチに陥る回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
宿敵が”四人目”なのはベタな構図ながら、テーマをどっしり掘り込めるいい足場だ。
敵も味方も”人間”を探す。一足先に怪物が見つけた答えを、主役は否定しなければいけない。それを、何処かで怪物も望んでいる。
それを突破するには天秤の街の虚飾はあまりに大きく、敵の暴力は強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月1日
それでも、と掴み取れるほどのなにかが、まだ残っているのか。BEMも終盤である。ここまで描いたものをどう生かすか。来週も楽しみです。
…放送形態どうなるんだろうなぁ…。