長かった戦いよサラバー! シスプリ最終話でございます。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
というわけで、重めのトーンを早々とブッチギリ、航帰還。流れに唯々諾々と乗っかるのではなく、自分の足で道を進む。あの時は出口にしか見えなかったものが、出迎える入口になる。そんななお話。
こんだけ”シスプリ”を殴りつけておいて、G's設定の『お兄ちゃんの日』を拾いに行く屈折。やっぱ変なアニメだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
完璧に掴んだと思った航が、掌から滑り落ちる瞬間の燦緒の表情と演技が素晴らしい。世界の王様気取りでふんぞり返ったやつが足払いを喰らう瞬間ほど、良い娯楽はねーぜ!(最悪人間絶叫)
航は”シスプリ”を煮込んだ島に帰っていく=その価値観に食われるわけだが、その外部にいた燦緒はどんな価値観を具体化しているのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
オタクカルチャーを殴りつける選良…というには、彼もまた戯画化されたオタクエリートであって、完全な外部たり得ているようには思えない。
燦緒は燦緒として、一人間の確固たる考えを持っている…というのも、作風からも描写からもNOだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
物語の初めと終わりだけに存在し、航を一回島から引っ剥がして戻すための機構。記号でしかない”エリート”を求める彼は…”現世”なのかなぁ、と思ったりもする。あの島は遠いエリシオンなのだ。
ぶっちゃけ燦緒って過去の蓄積もない(ことを作中明言されてる。一ヶ月の親友だぜよ)し、作中の妹世界とも無縁なポッと出なんだが、ゼロ距離戦闘のネットリ感とおっきーの熱演でなんか”ラスボス”感が出てしまっているのが凄い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
燦緒が負けると、なんか話が盛り上がって終わった感でるもんな。
時の歩みから見捨てられたかのような、空っぽのウェルカムハウス。もしかして”妹”とは、最初から仮想の存在でしかなかったのでは…?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
第1話といい第12話といい、話の節目でよく溺死しかける男である。”海神”だけに、水のイニシエーションが彼を別天地へ連れて行く。
しかし死と喪失の悲壮なイメージは”フリ”でしかなく、足はつくし、妹とは再び出会える。ここら辺、シーズン1ラストで戯画化されていたものが再演されている感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
湖上のキリストの如く、パシャパシャっと水を切って走る可憐。絵面のクレイジーさが全盛期に戻ってきてるな…。
しかしここで航が溺れないのは、弱さを衛と共有して訓練した結果ではあって、地道な蓄積が生きてもいるわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
やっぱ可憐はシーズン1の、湿り気と重力を内側に延々向け続ける雰囲気のほうが好きだ。なので、ここで兄に体でぶつかっていく可憐は良い。タメにタメたって感じがする。
風が吹き、エスパーのように兄粒子を感知しまくる妹たち。さらば理屈、こんにちわシスプリ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
あ、鞠絵が想い出の貝殻を聴いてる描写は好き。年少組のアホ階段も。上に行ったり下に行ったり、流されるままの亞里亞のシルエット面白すぎるな…。
かくして航は己の意思で島に戻り、”シスプリ”に食われる
幸福な自閉を祝うように、ウェルカムハウスの扉が閉まる。その瞬間を内側からではなく、外側から描くところがエグいなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
永遠に続く妹との日常に帰還すると、途端にソフトフォーカスになると、幽冥境をまたいだ感じがあって良い。前回の露骨死んでるオーラも、あながち的外れでは…。
ヨモツヘグイを食った航は、もう”外部”に変えることはない。島のルールそれ自体となって、妹と永遠に幸福に暮らすのだ。わりと仙境譚の基本をきっちり踏んでいて、良い描写だな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
衝撃のマミ真実がスルッとスカされるのも、第12話に似通った構図。航は真実に、いつでも後乗りするのだ。
妹とは血縁の有無ではない。なので誰でもなれる…が、一度なったらやめることは出来ない。永遠に待ち続けられる島のルールは、”妹”の味方である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
マミだけが航を追いかけ得たのは、彼女が外部の存在であると同時に、”妹”が共有する絶対的な受け身と受容…”母”の属性から外れるからかなぁ、とも思う
待つ、許す、受け入れる。”女性的”とされる時間が長すぎて原理の領域まで行ってしまった属性を、究極のアニマたる”妹”は揺るがせない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
自分の意志を見せ、世界の限界を超えていく存在は永遠の住人にはなりえない。だがその自発性がないと、物語は転がっていかない。そんなマミも、島に食われていく。
あんだけメッソメッソメッソメッソ泣きぬれていたのに、兄の前では芯の強さを演じる咲耶がかわいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
やっぱ身の丈が少しだけ”シスプリ”の結界を越えてる(でもその限界を絶対超え得ない)感じが、咲耶の魅力だと思う。
そして強がりの鎧から溢れ出る、柔らかい悩み。情念とヒロイン力がたけぇ。
割れないシャボン玉。永遠を約束された脆さと歪み。このアニメらしいメタファーだな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
かくして、航はいかにもギャルゲ的な日常を全妹分こなしていく。そこに第1話の当惑はない。そうなるように物語を積んだし、そうなる以外に道はなかった。何しろ”シスプリ”のアニメなんだから。
迷いなく、自分の意志で(あるいは自分の意志を喪失して)”兄”になった航を、山神兄妹が見守る。外部は島に繰り込まれ、批評可能なポジションを失っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
マミも相当ブラコンなんだよなぁ…こっちの屈折も、『お兄ちゃん大好き』じゃ彫れない苦味があって好きよ。
”妹”の概念存在、帽子の少女。彼女との約束を果たすという順行のロジックと、最終話で一気に過去を塗り替える逆行の理論。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
その区別は、スピリチュアルバッチコイの不思議領域と化した島ではもはや意味をなさない。花に嵐の喩えもあるさ、”妹”だけが人生だ。
枯葉といい桜の花といい、色んなものが風に舞うアニメだな…。永遠と絶対を描いているようで、泡影の夢に過ぎないと突き放しもする。変なアニメ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
おう山田! 徹底的に物語に都合のいいコミックリリーフとして、時にアクシデントを持ち込み、時に場の空気を軽くし、獅子奮迅の空回りご苦労ッ!!
あ、帽子の少女がのさくだ。朝倉音夢役はもうちょい先。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
このラストシーンすげぇな。全てが作りものだった真実を知る権利は、じいやの独断で水底に沈んでいく。航は決断して”兄”になったように見えて、それは全て予定された結論なのかもしれない。確かめるすべはもう無い。島は永遠に続くのだ。
というわけで、シスプリ無印終了である。な、長かった…クール終わりのタイミングともろかぶりになったからな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
見返してみると1クール目と2クール目がマジで別の作品で、監督が変わるってことは凄いことだなと思い知らされた。まぁ最終盤はシーズン1のムードで終わるんだけども。
島の人造性を隠しもしない。内言は極端に削り落とし、キャラの真意は視聴者にもなかなか見えない。”シスプリ”への当惑と隔意は随所に顔を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
シーズン1は”シスプリ”アニメとしては非常にアバンギャルドで、批評的なスタンスだ。たっぷりシスプリ摂取したかった兄には、当然居心地悪かろう。
しかし異物たる”妹”はジリジリと人間の体温を見せて、航も苦笑いの中で”兄”になっていく。そんなじわじわした歩みがやっぱ好きだったな、と見返して思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
だから14話で一気に変化の勾配がぶっ飛んで、あっという間に”兄”になってしまった航はショックだった。いや、普通に作ればそうなるんだけど。
かなり記憶が薄れていたので、23話以降シーズン1の空気が戻ってきて、伏線とメタな雰囲気を回収して終わる流れは嬉しい衝撃だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
多分その始まりから、この結論は変わっていないと思う。
シスプリは存外悪くない。何を打ち捨てても、永遠に飛び込むだけの心地よさがある。”外部”を巻き込みもする。
そういうふうに、自分が描くものを斜めに見つつも肯定する視座があったから、僕はこのアニメ好きだったんだな、と思い出す視聴だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
どーもシーズン2の全肯定の空気は居心地悪くて、一旦外からシスプリをすがめで見て、奇妙な筆で描き直してくれたほうが収まりは良いのだ。18年前から捻くれ者だな
コンテンツを横に広げる作品と考えると、色々上手くない。こういう下地があって、18年で色々ノウハウが溜まって、人数を束で扱うアニメが出来るようになった、とも言えるけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
1クール終わって個別回が来てないキャラいるのは、マジでヤバい。個別回以外で人格見せれる作りでもないし。
記号と欺瞞に満ちたプロミストアイランドでは、”妹”は妹であって妹以外の何物でもない。あってはいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
そのルールは徹底されていて、シスプリ的妹仕草以外の、物語を回転させるイベントは徹底的にアニオリキャラが背負う。
この切り分けがうまくいってたかどうかは…難しいなコレ…。
コンテンツで用意された記号以上の魅力を、アニメで動かして掘り下げていく。最上級のキャラコンテンツを全力で組む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
例えば”レビュースターライト”が果たせたような挑戦(それにどんだけコストと気合が必要だったかは、古川監督のインタビューでたっぷり語られている)は、このアニメにはない。
そういう巧さをアニメに持ち込むのは、後世の発明、ということかも知れない。メタ視線と不協和を全面に押し出し、メディアミックスに批評眼を持ち込むスタイルは、悲しいかなあまり支持されなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
単に下手だったってのも、正直ある。色々キツイ戦いだったっぽいのも、作画のヘロ加減から感じる
しかしそれでも、妹というエイリアンに航が戸惑い、お互い手を伸ばして馴染んでいくお話が、僕は妙に好きだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
斜めに構えて外部から見つつも、『シスプリ、そんなに良いものか?』という問掛けに最初から『シスプリ、そんなに悪くないよ』という答えを用意して望んでいたことは、再視聴で感じれた
多分その、なかなか判りにくい愛情と体温みたいなものを感じ取っていたから、僕はこのアニメが18年前から好きで、今見返しても愉しかったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
やっぱ万人には進められない。暗号が多すぎるし、その埋め込み方も上手くはない。でも、好きだし楽しかった。大変だったけどね…。
明日からリピュアが始まるけど、キャラクターズ第12話がこのアニメがやろうとして果たせなかったことへのアンサーなので、そこまで付き合おうか悩むところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月4日
まぁストーリーズは触らないでおこう。新番組も始まるしな…。
とまれ、再び出会ったウニメは面白かった。好きだな、シスプリアニメ。