シスプリリピュア、キャラクターズ第12話”咲耶”征くッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
コアスタッフは長濱博史。僕ら大好き”THE REFLECTION -ザ・リフレクション- ”の…というと通りが悪いか、”蟲師””悪の華”の監督である。
非常に強烈な最終回であり、これを見るためにリピュアまで実況感想引っ張った感じもある。
出だし、灰色の街と幼い咲耶の声のギャップ。ほっさんが無邪気なイノセントを好演していることが、全編においてよく効いているエピソードだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
モノトーンとカラーの対比は、ちょっと”ベルリン・天使の詩”を思い出す。限界を知ってしまった今の視線と、色づいた美しい過去。どちらが天使の視界なのか。
灰色の街でも赤と青だけは浮かび上がって見える。血の色、赤心の色。あるいは罪科の色。この灰色は咲耶の視界そのものなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
マフラー、あるいはリボン。糸状の赤。運命を結ぶ糸。咲耶はそれを身に着け続ける。”赤”にすがる、あるいは”赤”で身を守る。
何に?
カラーの過去において、世界は抽象化して描かれる。幼い咲耶は世界に興味がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
モノクロの現在に置いて、世界はかなり緻密に書かれている。世の中の道理が理解ってしまい、世界の解像度が上がることが必ずしも、幸福にはつながらない。
弾むカラーの歩みと、憂鬱に重いモノクロの歩調。少女をアニメーとするリズムにも、喪われてしまったものの重たさがしっかり宿る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
喪われた街路樹、凹んだガードレール、汚れた公衆電話。世界は”そう”なってしまったのか、元々”こう”であったことに、背の伸びた咲耶が気づいたのか。
素敵な小物、可愛いおしゃれ。チャリティバザーはおしゃまな咲耶にとって、色彩に満ちたワンダーランドだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
それも、今はない。全ては無常の中に飲み込まれ、無様に崩れていく。それでも。…それでも。
同じ曇り模様で始まった過去と現在が、晴れと雨に別れていく天候の変化も巧い対比だよなぁ…。
諦観に身を寄せて、現実に帰還しようとした咲耶を鐘が呼び寄せる。かつては幸福なカップルが、お兄様との”いつか”を夢見させてくれた音。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
当然、目の前に広がるものはもう違う。違うからこそ、連続性を持ってマフラーからリボンへ”赤”を繋げる。残像を計算に入れた、見事なタイムリープ。
この花嫁さんがビミョーに咲耶っぽいのが、性格悪くて素晴らしいと思う。どうやっても、皆に祝福されて白無垢に身を包む未来は来ないのだ。それはいつかの夢、儚い残像にすぎない。それでも。…それでも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
掴めなかったブーケトス。赤く染まる頬。”赤”は恥じらいの色でもある。
布で覆われ、封じられた教会。ここで”青”が鮮明に刺さるのは、憂鬱のブルー、花嫁のサムシングブルーということだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
幼い咲耶が夢を見たのは、あくまで他人の祝祭であって、自分にはけして訪れない夢。それを思い知って、冷たい聖堂に歩みを進める。冷たく、暗く、重い。
咲耶の過去が現在との対比だけでなく、単体として非常に生き生きと可愛らしいのが、とても良い。エグいし、それはそれとして美しい夢の時代は、確かにあったのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
薔薇の花弁、ハンカチのヴェール。あらゆる場所に”赤”が宿る。想像上の花嫁は、それを引きちぎって白く…ただ白く…。
ここでマリア像の前で、”今”の咲耶が重たく口を開くギャップが良い。ほっさん、この頃から既に巧いな流石に…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
写真に切り取られた過去。何の気負いもなく口にできた『お兄様のお嫁さんになる!』
全ては青く遠い。首を締め付け、額にのしかかる”赤”。血の縁の重さを知ってしまったからこその鎖。
幼い咲耶は神に願うが、現在マリアは布で封じられ、その祈りに答えそうな気配はない。そのことを知っているから、咲耶は哭くのである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
涙混じりの祈りに、答えるものはない。少女は神様のいない灰色の世界で、”赤”に縛り付けられながらおとなになっていく。
大人になったら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
幼い咲耶が無邪気に、残酷に投げかける祈りを引き受けて、背丈の伸びた咲耶が見つけたもの。
大人になったからこそ、見つけてしまった不可能。それを諦めきることも出来ないまま、赤と灰色の世界、幼さの擦り切れた残滓を咲耶は歩いていく。
そこで終わりである。
『ホーリーウェディング』でこれをやるのが、長濱監督の才気だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
兄と妹の幸福な世界は、永遠には続かない。少女は大人になり、願いを叶えてくれない灰色の世界に気づいてしまう。
その残酷さすら甘く、詩情豊かに描ききる。”シスプリ”殺しのお手本である。
無印もこのくらい真っ直ぐ、正面から”シスプリ”を否定(することで全肯定)出来ればよかったのだが、キャラクターズのラストナンバーだからこそ、この”赤”の物語は許されている感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
実際ここまで辿り着いてしまえば、”シスプリ”は終わりである。残酷で誠実で、美しい終わりだ。
あ、原画に坂井久太がいる。絶対ロリ咲耶担当だろ…超うまかったし(偏見)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
甘い夢の終着点に辿り着いて”シスプリ”を終わらせるのが、最も成熟して最も脆い咲耶なのは必然だなぁ、と思う。
桃色脳髄に思えて、存外世界をよく見てる”長女”だからこそ、この終わりが成立するのだ。
止まってくれない時間をメインで切り取って、そのメインテーマが『♪明日などいらない 今時を止めて』と歌うのはエグすぎる…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
それが叶うなら、咲耶も泣いてはいないのだ。でもだからこそ、切に祈ることしか出来ない。
果たして、世界は灰色のまま終わるか。枝は芽吹き、風は青空に吹き抜けていく
最後の最後で過ぎゆく時に絶望ではなく、希望の色彩を与えて終わるところが優しいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
いつか咲耶にも、幼い日の切実な祈りを、若き日に流した涙を、『若かったなぁ…』などと述懐する日がやってくるのだろうか。それとも、永遠に幼い妹のまま、成熟を封じられた夢に活き続けるのか。
どの物語も、ありうる物語だ。シスプリは終わらない…終わることが出来ない構造だから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
僕個人としては、永遠に囚われた約束の島ではなく、枝が芽吹き散っていく時間の中にいてくれたほうが、妹が息苦しくなくていいかな、と思う。
だが永遠の島でしか、兄妹の夢は叶わないのならそこにいるのも良い。
どちらにしても、リピュアキャラクターズは永遠の外側に踏み出すことで終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
今見返すと、かなり巧妙に編纂順が考えられていて、段々と幼さから成熟へ、静止した永遠から残酷な現在へと時間が進んでいく。世界は広がっていって、その離断が愛着を強調していく。
その決着として、この咲耶のエピソードはいっとう鋭い。映像表現、単品としての仕上がりに並ぶものはあるが、オフィシャルからの”シスプリ”批評としてこれ以上の仕上がりは存在し得ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
深く突き刺さりつつ、咲耶の話、”シスプリ”以外の何物でもない所が、非常に強い短編だと言える。
リピュアは見返すと才能たちが『よっっしゃあ! ”シスプリ”やるぞ!!』と気合を入れて、かなり妹LOVEで仕上げてくれてた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
色んな切り口、いろんな表現で妹たちが描かれたけども、どれも皆可愛らしく、生き生きとして、それぞれの魅力をしっかり引き出す語り口だった。面白かったなー。
無印シーズンワンのザラついた批評意識を、『もうちょい上手くやんなよ』とまとめるつもりで咲耶回まで見たけども、見終わってみると八分の映像詩だからこその批評であり美麗であったな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
ドラマの起伏を追わず、モチーフの鮮烈、情感の潤みだけを追いかけれる形式。
その全てを支え、まとめ上げる岡崎律子の楽曲力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
色々条件が整ってこそ、この”シスプリ”最終話だとも思う。
というわけでドバーッと見てきたアニメシスプリも、これでお仕舞い。
見返すと、懐かしくも面白かった。皆可愛かった。
相当シスプリ好きな自分と出会え直せて、楽しい視聴でした。ありがとう