放課後さいころ倶楽部を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
過去の記憶という洞窟から抜け出し、友情という黄金を掴む。そんな夢みたいな学園生活、私に訪れるはずないッ!
ネガティブ娘、美姫ちゃんはそう考える。しかし奇跡はもう既に掌の中にあると、テーブルゲームが教えてくれる。
さあ、臆せずインカの黄金を掴めッ!
そんな感じの、ボドゲ青春日記第3話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
三話ともなると作品のテイストというか、どのくらいの速度や密度で物語を回転させていくかってのが、肌で解ってくる頃合いである。
この物語は結構ゆったりと、時間を使って変化を刻んでいく。焦りのない感覚は原作由来か、アニメ独自の解釈か。
どちらにしても、どっしりと大きめの変化を扱う筆が、アナログゲームという題材とよく噛み合っていて、なかなか心地よいハーモニーを生んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
今回扱うのは美姫のトラウマであり、余計な攻撃性を呼び込むビビリ体質。これと”インカの黄金”のゲーム性が、しっかり噛み合っていた。
最後に美姫が非常に綺麗にまとめるけども、ゲームと現実はシンクロしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
臆せず前に進んで暗闇を黄金に変えていくのは、”インカの黄金”というゲーム内部の体験であり、その外側にある出会いと変化そのものでもある。
それはとても貴重なもので、同時にとてもありふれた、だの遊びだ。
アナログゲームそれ自体を特別化するのではなく、それが繋いでくれる関係性、出会いと笑顔が変化を思い出させてくれる、という書き方も丁度いい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
アナログゲームが、何でも叶えてくれる魔法になっちゃうと、それはそれで嘘だからなあ…。たしかに楽しい特別な体験だけども、そこまで強くもないのだ。
今回のお話はゲームで何かが変わるというより、変わっていたことに気づくお話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
美姫は忘れているけども、牧ちゃんには既に助けられていて、彼女は世界は怖い洞窟ではないことを知っている。何しろ、投げ捨てられたクマは手元に戻っているのだから。
しかしそれを忘れて、怯えてばかりいる…
ってわけでも、実はない。やっぱり綾に出会った第一話が大きな転機になっていて、彼女は見ず知らずの花を助ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
自分と同じようにビビリの猫を、暗がりから猫じゃらし(”楽しいもの”)で連れ出す。誰かのために何かをする積極性を、彼女は既に獲得しているのだ。
美姫がビビるとネコもカーテンに隠れ、トラウマを前に引き返そうとすると、膝に乗って勇気づける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
”インカの黄金”と同じくらい、ネコは美姫のシャドウとして、いい仕事をしていた。
主役の影が適切に配置されていると、物語には良い奥行きが生まれる。良い使い方だったと思う。
進むか、戻るか。デッキの残りを推察し、参加者の得点を読みながら進んでいく”インカの黄金”は、決断と偶然が見事なバランスで配置されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
楽しいゲームはだいたい、ここのバランスが良いのだと思う。考えず踏み込んでも、ビビって後ずさりばっかでも、勝つ喜びは手に入らない。
いかにもオラ付いたヤンキーな牧ちゃんは、ここら辺の押し引きが巧い。自分の押し出しの強さを生かして、対戦相手の判断を誤らせるブラフもかける。そこもひっくるめてゲームである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
ゲームだからこそ、美姫は暗闇に進む。間違えても次がある。一緒に遊ぶ仲間もいる。
抽象化されたゲーム体験を通じて、何かを学び、あるいは思い出して、ちょっとずつ進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
あくまでゲームはゲーム、楽しい共通体験であり、そこから何かを見つけるとしたら、それは資質が反応した結果なのだ。
だから最後に踏み込んだ勇気は元々美姫のものであり、ゲームが生んだものではない。
でもゲームという体験だけが、自分の中の”なにか”を見つけてくれる瞬間は、確かにある。そういう特別な体験を与えてくれる”場”としても、ゲームは大事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
そういう教導的な作用がなくても、ゲームは楽しいだけで偉いし、そういうシンプルな強さもちゃんと切り取っているのが、このお話の良いところだ
トラウマに支配されているとはいえ、美姫の先入観は結構失礼で、自分の思い出を自分で汚してもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
しかし高校一年生、人格に当然凸凹はあって、より善くなっていく余地もたくさんある。ゲームと仲間が隣りにいる日々の中で、そういう凹凸が丸くなっていく様子も、お話の味わいなのだろう。
そんな感じの、ほっこりいい話であった。作中のモチーフとテーマが各エピソード、しっかり回収され明言されているので、結構感想書きにくいなこのアニメ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月16日
とまれ、青春ゲーム散歩はまだまだ続く。
次回は翠ちゃんの夢 VS 生徒会。どういう角度からゲームを写し、何を見せるか、来週も楽しみですね。