星合の空を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
ダラけたコートに、投げられた一つの球。
新入部員・桂木眞己の加入により、ソフトテニス部の空気が変わっていく。
圧倒的な基礎体力と勘の良さ。それだけではない視野の広さと社会性。少年たちは、異物を相手にどんな化学反応を見せるのか。
そんな感じの、そふてに青春群像劇第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
第1話が作品全体の見取り図を描き、最後の一発で殴りつけてくる構造だったのに対し、今回は”部活”として何をやっていくか、それで何が変わっていくかを素描するような話だった。
中学時代の空気と人格を、細やかに切り取る筆の巧みさが活きる。
出だしからしていじめ描写であるが、『虐待があるなら…そらいじめもあるわな…』と、薄暗い表情で覚悟完了、ある程度飲めてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
肥大した自意識と、狭い社会性。クソ中坊のイヤーな部分を煮出したような描写が異常に上手くて、すっげーゾクゾクする。あー…こんなんだわ。
しかしこの作品で描かれる弱さズルさ脆さってのは、別に青春時代の特権ではなく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
年関係なくクズがいることは、眞己を殴りつけ金を奪っていったあの男を思えば、即座に納得できる。
そういうザラついた世界の中で、どうクズにならないか。どんなふうに、自分のクズな部分を変えていくか。
人間の薄暗い部分を見つめつつも、あくまで前向きに進んでくれると嬉しい限りだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
それはつまり、一見ポジティブな描写の中に陰りを残す、ということだ。
いじめを止める柊真の正義が、かなりガチにビビられている描写。前回母が怯えていた様子と、何かが呼応している。
今回はゴミクズソフテニ部に爽やかな風が通り、新しいスタートの気配が立ち上がってくる希望の話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
柊真が真っ直ぐな視線の奥に、何を隠しているのか。それはまだ伏せ札で残り、そのうち爆発するだろう。楽しみであるし、恐ろしくもある。
人間を描く筆致が、生っぽく容赦ないからなこのアニメ…。
学園の恥部たる男子ソフトテニス部が、どう変化していくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
家事に長け、人間関係を見据え、自分の言うべきことをはっきり言える…一言で言えば”大人”である眞己の加入で、グズグズだった更衣室はきれいに片付く。
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それは家庭内闘争を必死に堪えて、大人にならなければ生存できなかった私生活が、部活に影響を及ぼした、ということでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
眞己が卓越した成熟で、クソ中坊が気付けない部分、制御できない部分を乗り越えていく度に、喜ぶと同時に少し寂しい気分にもなる。
ランニングやラリーの描写で、身体能力の卓越がしっかり描かれる今回だけども、眞己の一番優れた能力は”人格”だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
周囲を見る。自分を抑える。
周囲に生っぽいクソ中二が溢れかえってるだけに、眞己の”大人っぽい”立ち回り、視野の広さと自己抑制は見てて気持ちがいい。
でもそれは、学友が想像もできないハードな現実を生き延びるために、どうにか掴み取った能力であり、ある種の傷…”かさぶた”みたいなものだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
彼が大人っぽく振る舞う度に、世界は良くなる。でもそれは、子供である彼には本来不必要な資質であるべきで、しかし作中の現実として、彼は”大人”だ。
彼の巻き起こす新しい風に喜びを感じつつも、彼が他のボンクラと同じように、(かつての僕がそうであったような)自堕落で身勝手な中学二年生で”ない”ことが、僕には寂しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
そういう寂しさを的確に切り取れているのは、凄く精妙なことだと思う。
ソフテニ部のクソぼんくら共は、たっぷり思春期に浸ってあるいは臆病で、あるいは粗暴だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
EDのダンスでもそうだけど、それぞれの能力と性格が身体的な振る舞いにしっかり反映されて、個性があるのはとても良い。座り方一つで、人間が見える。
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過剰に突っかかってきたり、あるいは後ろにヒキすぎたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
周囲が見えず、自分を持て余している子供たちの群像は、今回小気味よく活写される。色んな奴がいるソフテニ部は、今後の化学反応を期待させて楽しい。
それぞれの有り様でクソな子供たちが、どう変わっていくのか。
その基準点を見せるのも、今回大事なところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
挑発があれよあれよとマジレスを呼び、クソ真面目部長の一声で始まった校庭20週レース。
眞己は最後尾につけて、ジッと集団を見る。身体能力、性格、力関係。そういうモノを観察する力が高い。
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あれよあれよと追い抜いて、あっという間にツートップ。実力で反発を黙らせるご挨拶としても、新生ソフテニ部のお披露目としても、爽やかないい風だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
”なんか”とスネていても、学校社会は結構ソフテニ部を見ている。新しい変化を見逃さず、存外期待もしている。
そういう小さな社会性が、そこにはある
御杖さんもマネジくんも、”なにか”を期待してランニングを見ている。その視線をしっかり感じ取り、無視もしない眞己の成熟は後に描かれるけども、今はまるで子供のように、柊真と競り合って真っ直ぐ走る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
そんなふうに、ただただ走れる瞬間が眩しい。これだけが、世界の真実だったら良いのにね…。
ジジイの感傷はさておき、全力を絞り出したランニングで二人はぶっ倒れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
健闘を称えるように伸ばされた手が、眞己からなのは注目しておきたい。やはり彼は、誰かに働きかけることにセンシティブで、なおかつアクティブだ。
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部の調和を保とうとする布津くん(名字、神社由来かなぁ…)に導かれて、凸凹な部員たちも一応、手を重ねる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
うっとりするほど爽やかだ…御杖さんが拒絶反応出すのも納得してしまう。
走りの中で、部員の資質や性格もよく見えて、とても良いシーンだったと思う。身体性があるアニメは好きだなやっぱ。
青春群像劇を遠巻きに見ていた御杖さんは、ネット越しの承認と、狭苦しい現実の間で窒息しかけている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
そんな現状からの突破口に、転校生がなるかもしれない。そういう期待感あればこそ、悪態つきつつ眞己から目が離せないのだろう。
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承認欲求を満たしてくれる聴衆すらバカにして、しかし影から出ればマトモには向き合えず、壁にかかった”いじめ、バツ”がなんとも虚しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
他人にキモいだのブタだの、言ってのけて後ろめたさがない時代。優しくない私達の、優しくない青春。ああ、生臭く懐かしく、現在進行系のやるせなさ。
眞己はそういう、肥大した自意識のヒリヒリとはちょっと遠い場所にいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
自分…のそばにいる柊真をじっと見つめる視線を、サラリと受け止めて肯定する。マネージャーという立場を与えて、前向きに状況を進めていく。
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冒頭『オネエが伝染る!』と、生っぽい最悪を垂れ流していたガキとは明らかに違う、成熟した『良いと思うよ』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
眞己の人格は痛ましい自己防衛のために成長しているのだけど、その卓越が他人を救うことが、たくさんある。
それが、彼の置かれた状況の救いには、当然ならないのだけれども。
ホント眞己が、級友のセクシュアリティをサラッと当然視して、好きな人のそばに居場所を作ってあげる立ち回りが強くて優しくて、彼のことをドンドン好きになってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
そんな男の子を殴る野郎…マジでぜってぇ許せねぇよ…。
という気持ちが、眞己周囲の大人に共有されているのは救いだ。
明るい軽口を叩いていた大人が、眞己を優しく追い出して、シリアスな人生の話をする時の暗さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
貧乏すらタフに、笑いのネタにしていく眼鏡の青年が、眞己とどういう関係なのか。
それはまだ解らないけど、味方は居てくれているようで良かった…。
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身体的にも人格的にも卓越した眞己は、学校では”大人”だ。正しく、傷つかず、立ち止まらない。そういう彼をエンジンにして、部活再生物語はグイグイ進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
でも同時に彼はタダの中学二年生で、そんな彼を”子供”として守り、一緒に生き延びようと、冗談で鎧を作って戦おうとしてくれる人がいる。
そういう描写をスッと挟むことで、眞己の卓越(の裏にある孤独)だけで話をすすめるのではなく、人間が当然持つ弱さ、どうにもならない理不尽と取っ組み合いをしていく気概というものが、強く感じられた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
部活再生物語一本で進めても良いところを、ここで寄り道するのは、マジでクレバーで誠実だ。
ランニングでフィジカルの強さを見せつけた眞己は、ラケットを持っても巧緻性、学習能力の高さを見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
眞己のプレイ(以前の、基礎のトレース)がぼんくらの視線を奪い、”なにか”が始動していく実感が非常に良い。
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ストロークの練習は視聴者に、ソフトテニスの基本を分からせる説明…であると同時に、眞己を鏡に初心を思い出していくボンクラの変化、そういう変化を生み出す眞己の影響力を、細やかに活写していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
眞己がいると、なにかが変わる。そういう話なのだと、第二話でしっかり分からせてくるのは良い.
そこに説得力を持たせるためには、凡俗に埋もれない才覚を描かなきゃいけないわけで、細やかな描画力が活きる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
バックハンド一回目は下がっていたヘッドが、一回指摘されるだけでしっかり上がる。学習能力、それを実際の動きに反映させる能力が極端に高い
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そんな眞己の才能を見せられて、ツンツンしてた部員もラケットを握り、”テニス”に向き合っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
主役の卓越が単体で機能するのではなく、”部”という小さな社会を変化させ、それが”学校”という少し大きな社会での評価を変えていく、さざなみの連鎖として連動しているのは、とても気持ちがいい。
このシーンはソフトテニスの競技性、部内の関係性、主人公の卓越性と影響力など、色んなものが描かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
しかしそれは言葉で説明されるのではなく、仕草一つ、目線一つに込められた意味合いを感じ取ることで、視聴者に染み込む描写だ。
そういう静かな情報量が、なんとも豊かで心地良い。
前のめりに読めば読むほどリターンがあって、なんとも楽しい、自分向きのアニメだなぁ、と思う。何しろ赤根和樹の作品なわけでね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
新入りの才気に我慢できず、ラケットを握っちまう青春の滾りがなんとも頼もしく、微笑ましい。やる気ねぇ顔して”熱血”じゃん…。
あっという間に、”部”にある程度の立ち位置を確保した眞己は、それで満足せずに変化を加速させていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
腰抜けを煽り、負けん気に火を付けて、”部”を前に進めていく。それは人間関係の視力、人格を見抜く力が高いからこそ、可能な踏み込みだ。
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テニスの道具で、人を殴る。そういう最低に落ちる代わりに、怒りを込めて素振りに打ち込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
ボンクラ共にもプライドがあって、それをいい方向に活かす挑発を主役がやってのけるのは、やはり頼もしい。その成熟に、柊真が気づいているのも。
そして同時に、やっぱり寂しい。
ずんずん迫ってくる威圧にビビらないのも、暴力に引かないのも、もっと怖いものを知っている、現在進行系で闘っているからかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
部活のマウント合戦程度、屁でもねぇ。
そう思わないと生き延びれない場所で、眞己はずっと闘っている。自然、視力も鋭くなる。
なんで眞己が凄いのか。その理由を中坊達は知らないし、想像もしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
そういう人間だからこそ、『恵んでやるからテニスやれ』と言えてしまうのだ。一万円の裏にあるものを、想像できないのだ。
眞己は大人として、寂しく孤立している。その寂しさを、学友は知り得ない。
そこにいつか、馬鹿なボンクラ共が追いついて、人生の重荷の一欠片でも背負ってやるような友情が今後生まれると、眞己にとって良いなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
そこにたどり着くまでの距離は、まだまだ遠そうだけども。でも、少しずつでも変われる可能性を、今回ちゃんと見せてくれた。
眞己が引き起こした部の変化は、色んな人に見られる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
柊真が、強豪たる女子部のエースたちが、ひねくれた態度で希望を隠す御杖さんが、確かに変化を見てくれている。
すべてを見通すなんて出来やしないけど、完全に見落とすほどバカでもない。 pic.twitter.com/2BixkW9d6K
社会とその成因に、程よい期待と冷静な観察眼を向けてるアニメなのだな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
虐待もある。いじめもある。でも、その薄暗さばっかりが世界の全てじゃない。
そんな視線で切り取られた青春が、どんな変化をもたらしていくのか。それを見守る世界が、どう変わっていくのか。
そういう作品の基本スタンスを、非常に丁寧に見せる部活紹介でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
こんだけ細やかに人格を掘り込んで、ソフトテニスという競技の特徴、部活としての特色がスマートに説明されているのが、凄く巧い。
お話の式次第を手際よく回しつつ、キャラと作品にクローズアップした描写を、随所に織り込んでる。
眞己がマネジを雑用係にしないよう、釘を刺す描写とかもその一環で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
眞己はクソみたいな経験をしているからこそ、誰かが不当に虐げられたり、都合よく利用されるのが我慢ならないんだと思う。
そしてその想いを言葉にして、他人に伝えることを厭わないし、躊躇わない。
やはり人格の成熟度が他の中坊とは段違いで、そのギャップが世界を変えていく作品のエンジンなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
それをただ無条件の『善いもの』とせず、苦闘の結果得られた能力として見せているのは、キャラの人生に誠実な書き方だ。
向き合ってるものの重さ、少年の無力も含めて、逃げずに描く努力がある
眞己を中心に、男子ソフトテニス部は変わっていくだろう。眞己もまた、ただ”子供”でいられる新しい聖域の中で、何かが変わっていくかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
彼の人格を細やかに描いた今回、良い変化を強く望みたくなる。与えるばっかの青春なんか、どうにも不公平じゃんね?
そして見ただけで判る! 江畑諒真渾身のED!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
重心の取り方、関節の使い方…ダンスの全てが”江畑諒真”してたが、各キャラの人格と資質がよく見えて、群像を細やかに描こうという意思が感じられた。素晴らしい。
これで毎週、絹代ちゃん分補充可能だな…
©赤根和樹・エイトビット/星合の空製作委員会 pic.twitter.com/SNoffqITku
アニメ全体に言えるけど、巧さと質が単品で空回りするのではなく、キャラやドラマ、作品全体としっかり噛み合って、強いトルクを生み出してる所がとてもいいと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
質のぶん回し方に、明瞭な意図とメッセージがあるんですよね。読んでて気持ちがいい作品。ありがたい。
スルスルと”部”に立場を作り、変化の第一歩を生み出した眞己。彼を取り巻く世界がどう広がっていくか、非常に楽しみです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年10月18日
ソフテニ描写はヒューマンドラマの添え物かと思ってたが、相当キッチリやってくれるようでスポーツモノとしても期待大。来週が楽しみですね。