神田川JETGIRLSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
激戦の末、強敵・雲海SURFERSを打ち倒した二人。
勝利に後押しされて、コンビの関係性もギュッと縮まる…と思いきや!
内気なクール少女と太陽小町、二人の想いはどうにも噛み合わない。
一歩進んで二歩下がる。
複雑怪奇な乙女心が、神田川を疾走するッ!!
そんな感じの、真夏の積乱雲、ニ週間ぶりの神田川ジェットである。マジで面白いので、なんとか製作泳ぎきって欲しいところだ…四話で総集編はマジ不安…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
さておき、今回はジェットレース成分薄め、女女の微細な距離感多めのエピソード。
脂っこい肌色に隠れているが、やはり金子ひらく”詩”が巧い。
神田周辺の景色に花を添え、風を動かして情緒を作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
明暗のはっきりした風景の中に、それぞれの戸惑いと情熱を焼き付ける。
手足のクローズアップ、細やかな表情な変化に心情を語らせる。
こういうクッションをかけた表現が、非常に巧みである。
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コントラストの強い夏の光は、距離を冷たいのに上手くいかないもどかしさ、焼け付くような情念を上手く象徴する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
『暑そ~』と素直に思える”夏”感が、ジェットレースで弾け飛ぶ水の涼しさを強調し、息苦しいアイドル仕事からの開放を求めるヘルズ・キッチンへの共鳴も強くする。
肌色ノルマを軽々と、情熱とアイデアを込めてしっかりこなしつつも、そこにすら複雑な感情表現を入れ込んでしまう映像詩の巧さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
それが、男性への性的サービスを主眼とするジャンルの”是”を軽やかに超えて、ピンナップ・ガール達の人間性、血潮燃える青春をグッと匂い立たせてくる。
そういう静かな強さを、存分に振り回すエピソードとなった。このアニメのこういう所が、俺はとても好き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
冒頭、前回の勝利を戯けつつ堪能する凛。完全にファックの空気じゃん…。
しかしそれはガワだけで、ミサはなかなか自分の頑なさを乗り越えられない。凛の明るさと噛み合わない。
見よ、この薄暗い分断。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
自分以外の女に熱を上げている相棒を見ると、キッチンはここまで暗くなるのだ。ホントミサちゃん面倒くせぇなぁ…。
踏み込みたいけど踏み込めない。ナイーブな少女と向き合うには、凛の天然陽キャっぷりはちと過剰か。
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『巧いなぁ…』としみじみ思うのは、凛の天然をブンブンぶん回しつつ、それが万能の処方箋になっていないところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
凛は元気で明るいけども、ガサツで配慮が足らない部分が結構強くあって。それがミサちゃんのナイーブさと衝突して、傷と火花を生む。
でも、生来の明るさはなかなか変えられない。
ミサちゃんが自分の薄暗さ、頑なさ、臆病さを乗り越えなければイケないのと同じく、世間一般ではポジティブな属性とされる凛の明るさ、強さはしっかり制御され、適切に方向づけされなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
陰陽双方にしっかり目を向けて、少女たちの歩み寄りを追うスタンスは平等だ。そこが良い。
とにかく足と指先がよく喋る回で、明暗のコントラストと合わせて京アニ(つうか山田尚子)っぽくもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
夏の日差しが、二人きりの世界の薄暗さ、ぎこちなさを際だたせる練習場。踏み出そうと決めて、でもなかなか踏み込めない距離。
ジリジリともどかしく、足先は行ったり来たり
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情熱溢れる凛が基本スタート役を担当するんだけども、どうも微妙にズレている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
ミサが気にしているのはラブラブトレードマークではなく、自分を唯一絶対の特別として扱ってくれない、自覚のない多情なのだ。
それはミサの問題ではなく、元気が良すぎる凛の問題である。が、凛の視線は自分に向かない。
内省、自省ってのが根本的に苦手な子と、自分の内面ばかり見ている子。完全に正反対の二人が、本物のコンビになるまでの道程は遠い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
見よ、このふくれっ面。身内のメカニックと相方が仲良くしているだけで、この表情である。ミサちゃん面倒くせぇ…(好き)。
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凛は比較的足指寄りの描写をされているのに対し、ミサは手指で髪や携帯電話、二人の運命を込めた黄色いドルフィンを触る仕草が強調される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
クールな外見に似合わぬ、幼い愛着が滲んで、いいキャラ造形だと思う。
甘えたいけど、甘え方がわからない。なんて不器用な女だ…(好き)。
秋葉原デートは、あの世界でジェットレースがどう扱われているか、世界観の横幅を広げる描写でもあってなかなか良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
アイドルとジェットパーツの街、秋葉原。三人で歩くほどに、自分だけを見てくれない孤独が募る。
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悪気なく移り気な女の子を前に、自分が唯一絶対の特別なんだと言い聞かせるように黄色いドルフィンをイジるミサちゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
しかしその思いは、あくまで自分で抱え込むだけで表にはでない。そういう隠微な思いに気づくほど、凛も視力が良いわけではない。なかなかに微細なすれ違いである。
しかし前回の浅草決戦から学習して、お上りさんな凛のためアキバ観光に連れ出す(ついでに、二人きりの時間を堪能しようとする)ミサちゃんには成長が見られた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
まぁアメリカンな二人組と邂逅して、特別な時間は”秒”で破綻だがな!!
雲海組が気持ちのいい奴らなので、おじゃま虫って感じもしないが
凛がテンション爆超になるアイドルにも、ミサは向き合えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
明るい場所は生来苦手、ストイックに生真面目にジェットレースをしたい。そんな自分が、一番苦手なはずの太陽少女に惚れ込んじゃったことが、ミサちゃんの不幸であり幸福でもある。
陽気属性に導かれて、”外”に出ていく相棒に向き合おう、踏み込もうと迷う足先。それは結局後退りして、ミサちゃんは陰りの中取り残される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
そのクラさに、そっと寄り添うひなちゃんがありがたい。電話番号の交換するだけで、この沈み込み。ミサちゃんマージ…。
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ホント、携帯電話先に聞かれただけで『抱かれたのか…私以外の女に!!』みたいなオーラ出してくるミサちゃんの重力、最高に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
『オメー、独占できるほど的確なコミュニケーションしとらんやろがい!』と言いたくもなるが、すぐさま”正解”出来ないからこそ、恋路は面白いのである。
鏡の前の独り相撲。”本番”じゃなければ言葉は素直に、足先も素足をさらけ出せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
でも、あの明るい笑顔を見ると言葉が引っ込む。足がすくむ。言い出せないのは、胸につかえる思いが余りに本気だから。
湊…お前そこにいたのか…(名誉童貞少女に、フレンズの幻影を見る亡者)
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ミサの空回りをメインで写しつつ、凛の当惑と決意もちゃんと切り取っているのが、やっぱり今回良いところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
白黒のドルフィンくんと、カラーのドルフィンちゃん。色は違えど、悩みを相談する相手は同じである。
イルカの色彩で、キャラの違いを象徴してる表現ホント好き。
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胸に挟まるイルカをエロアイテムに使いつつ、凛の小さな決意を無言で描く演出とかも、キレにキレてた。Twitter上ではセンシティブ過ぎて、画像引用出来ないのが残念だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
エロいシーン本気でやりつつ、そこにドラマとか情感とか込めれちゃうのは本当に凄いと思う。欲張り二重取りが上手く行ってる。
この後の着替えシーンのなんとなく重苦しくて、突破できそうな気配もありつつ、焦点がどこにあるか判然としない空気も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
正反対だからこそ惹かれ合い、だからこそ繋がれない微細な距離感。パンツいっちょで描く湿り気ではないが、このアニメは”やる”
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ここは前景として、完全に通じ合ってる双子の関係性を置いてあるのが上手かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
仕事もプライベートもずっと一緒。アイドルの大変さも、ジェットレースの爽快感も共有できる融通無碍が描かれるからこそ、そこに到達できない二人のもどかしさ、不器用と純情が際立つ。
神田川JET GIRLSが泳ぐ、平凡で薄暗い青春の歩み。そこにアイドルとして接近しつつ、別種の関係性を見せるヘルズ・キッチン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
テンポを作る意味合いでも、後に戦うライバルとのコントラストを強調する意味でも、姉妹の挟み込み方は上手かった。
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ミサちゃん達が見るアイドルは、常に顔を作って完璧。でもその仮面は、二人きりのプライベートだと崩れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
二人きりだからこそ、アイドルの仮面を壊すことが出来る、とも言える。凛ミサとはまた別の形で、この二人もお互いが特別なのだ。
ドル仕事のキツさと合わせて、うまい書き方だったと思う。
待ちに待った息抜きは、誰かが待望する練習の邪魔。お互いの思いが衝突したら、ジェットレースで決着付けましょう!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
というわけで、抑え気味に展開した物語は終盤、グッとアクティブに動き出す。こういうメリハリが効いているのも、このアニメのいいところだね。
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自分たちの勝利と絆、相棒の腕前をDisって来るアイドルに、方言むき出しで熱く反論する凛。その情熱を受け止めて、感じ入るミサ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
なかなか上手く繋がれない二人だけど、ジェットレースを通じて生まれる情熱は本物で、嘘がない。
でもその本気が、ツッコみ過ぎなスタートを生みもする。
『レースも青春もなかなか難しい!』となったところで、今回は終了である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
情景、明暗、指先の微細な表情。詩的な表現力が、少しずつ生まれている変化、なかなか形にならない熱情を上手く焼き付けて、爽やかで熱い夏のフィルムとなった。
作品世界に独特の”風”があるのが、僕はすごい好き。
陰気なミサちゃんが変わるだけでなく、陽気過ぎる凛が自省し、お互い不器用に歩み寄っていく姿が公平だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
同時に情熱を爆裂させる凛こそが、作品最大のエンジンであるとも見せれていて、主役の主役たる理由がよく見えた。
時折正面衝突もするけど、やっぱり凛ちゃんの情熱パワーは得難い資質だ。
しかしそこには、クールなハンドリングが必要になる。義憤に燃えるジェッターを、黒髪のシューターはしっかり御せるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月12日
アイドルジェッターとの闘いは、二人の関係に何をもたらすのか。
レースとしての見どころをどう作るかも含めて、来週も楽しみですね。