歌舞伎町シャーロックを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
子供に優しく女に弱い、探偵長屋一のお人好し、小林虎太郎。
ムショから這い出した過去の因縁が、スルリスルリと忍び寄る。蜘蛛の巣の如く張り巡らされた、世の理と絡む因縁。
あんちゃん探偵の優しすぎる気性は果たして、どんな未来を連れてくるか。滑稽芝居の幕が開く
そんな塩梅の、前回に引き続きの探偵掘り下げ話。六話目にしてとうとう、シャーロックが探偵落語を披露しないエピソードとなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
起こってる事件も謎解きというよりクライムアクションであるし、結構な変化球である。こういう変奏を混ぜると、マンネリが遠くなって良いね。
お話はクレーイジーガイ杉本を軸に、歌舞伎町の夢と現実を踊る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
キマった眼でぶん回される暴力は、むしろイーストの日常である。殴らず子供に優しい小林のほうが、お人好しなイレギュラーなのだ。
そんなちっぽけなヒロイズムを、犯罪少年の小さな成長と重ねて描くエピソードだ。
鮮烈な登場から、強烈な退場まで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
とにかく杉本のキャラが濃く、印象に残る。『あ、マジであかんやつだ』と肌で分からせるクレイジー加減は、今まで接近しつつ遠ざけられていた歌舞伎町の本質…弱肉強食のジャングルを浮き彫りにする。
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太陽を切り裂くという妄想を抱き、迷わず殴り暴れまくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
杉本こそがこの街に適応した人食い虎であり、バカなのに優しすぎる小林は猫のタマちゃんでしかない。
そういう世界で生きていくには、子供らは無邪気すぎる。一歩羽目板踏み外せば、街は暴力まみれの六条河原。
そういう認識がないまま、白紙の夢を置き去りに、ヤバいスリ仕事に手を染めるしかない。なかなかにシビアな現実を、静かに積み重ねるエピソードだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
よくよく考えれば、ここまで退廃している街がバカと呑気だけで出来てるわけないよねぇ…。
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それでも陽気なアホでいたいと、ヤクザ稼業に背中を向けたのが小林のオリジンである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
誰も夢を見ないどん底に、見出した一つの光明。金はなくとも矜持はある、ペン先に乗せた夢を踊らせる。
そういう男を送り出すため、破門覚悟で体を張った。バカな男の生きざま一つ、猫撫で声で笑っておくれ。
そんな感じの男の期限が、イレギュラーズの日常に重ねて描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
小林が子供に優しいのは、自分が守りたかった夢の果て、”少年エース”に乗っかるヒーローを裏切りたくないからか。
あの時体を張って守った夢は、確かに飛び立っていった。
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その報いがあればこそ、探偵長屋に流れ着いて、ハンパに生き残る末路にも胸を張れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
裏切り者の猫野郎と、無軌道な暴力をぶん回す杉本…ジャングルに適応した虎にも立ち向かえる。
街の片隅、上手く生きられないバカ野郎に残った、微かな矜持が吠えるエピソードだ。
若造(トンチキでいい名前だなぁ)が送り出された先で、夢をインクに乗せて描いたのは、侠客・虎太郎の大活躍だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
誰かから引き継いだ憧れは泥に塗れた背筋を伸ばさせ、ゴミ溜めの夢を守る。そんな人情はジャングルでも元気で…モリアーティはそこに接近しつつ、己を遠ざける。
兼古のオヤブンが、先週に引き続き筋を通して情を守った後。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
自分が身を置くジャングルのヤバさ、弱肉強食の犯罪の掟を身にしみて学んだ少年は、モリアーティーの一言で救われる。
俺も、ヒーローになれるかも知れない。
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ドブの中だからこそ綺麗に輝く涙を、確かに導きつつも、暖かなヒロイズムとは一線を画す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
玩弄する四葉、踏みつけにする四葉。モリアーティーはいったい、何を隠し何から距離を取っているのか。
ワトスンくんと小林が、迷わず身を投げられる暖かさから彼を隔てるのは
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モリアーティーとホームズの過去、語られざる期限が大事なミステリなのだと、重ねて強調するエピソードでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
温もりに背中を向けた笑顔の仮面を、本気で笑わせられるのは『落語ラクダ』だけなのだ。コレが欲しかったから、事件に首を突っ込んかい…。
『俺だけがホームズの過去を知ってる…退いとけ、監察医』とばかりに、落語と探偵が繋がる不思議をぶん回すモリアーティー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
ストリート・イレギュラーズの純朴な憧れに、笑顔の仮面で答える立ち回りの冷たさと、変人探偵への熱量が奇妙に軋む。
さて、何があったやら。
子供らの秘密基地を聞き出す知恵をひねり出した時、ホームズ自身も驚いている描写があった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
ご隠居と熊さんを憑依させること、冷静な観察力を備えたポンコツ人間を自失させることでしか、彼が探偵=落語家たり得ないのだとしたら、これはなかなかの壊れっぷりだ。
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推理を語ることでしか、人情の通った噺が出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
こういう欠陥をホームズが抱えているとすると、確かに探偵長屋、そこから伸びる犯罪現場以外に彼の高座はない。
外道から外れてなお、どん底でも情の灯火をしっかり握りしめられる”マトモ”な小林(とワトスンくん)とは、なかなかに距離がある。
むしろその壊れ方にこそ、異形の四葉に似た親愛を持っているからこそ、モリアーティーの冷たい熱量が伸びているのかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
それが語られる時は、話が大きく転がるときだろう。その間隙を埋める探偵小話がしっかりキレてるのは、非常にありがたい。オムニバスの醍醐味だなぁ…。
しかし『らくだ』か…。あれは長いし難しいし、オマケに死人が出てきて血腥い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
それが奇人探偵と犯罪王の行き着く先だとすると、終盤戦は相当にクラい話にもなりそうだなぁ、などとも思うがさてはて。
元々クラい街だってのは、杉本が暴れた今回よく見えたけどね。
例えコンクリのジャングルだとしても、人食い虎にはなりたくねぇ。弱きを助け強きを挫く、情に塗れたバカ野郎。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
タマちゃん小林のちっぽけな意地が、ドブの臭いを爽やかにかっさらうエピソードでした。
先週のルー姉さん含め、長屋の連中はジャングルで獣になりきれないからこそ、変人で探偵なのだなぁ
そんな連中が今後、どんなかんかんのうを踊っていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2019年11月17日
面白うて、やがて悲しき歌舞伎町。その冷たい質感をコメディに隠しつつ、クレバーにキッチュに物語は進んでいく。
いやー…面白いな、このアニメやっぱり。来週も楽しみ。