地縛少年花子くん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
七不思議のニ”ミサキ階段”の暴走を、止めるべくその最深部に踏み込んだ花子くん一行。
重たい執着と狂気を見せる、結界の主と刃を交えながら。寧々は思い出の奥の奥、さらなる夢の底へと沈む。
怪異と人間、生と死の交わる場所に響くのは、永遠に終わらぬ思い出の歌か。
そんな感じの、ミサキ階段編後編。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
TRPGでいうとクライマックスフェイズという感じで、ビシバシバトルして、BOSSの秘密を暴いて、結界を壊してダンジョンから脱出する、一連の流れがドバッと押し寄せてきた。
寧々も体を張って頑張っていたし、花子くんのスパダリ力も限界突破。
額に『一生噛ませ犬』と刻印されてる源くんの扱いはさておき、七不思議ダンジョンを踏破していく物語のテストケースとして、よくまとまった仕上がりだったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
最後に黒い折り鶴の伏線も回収して、黒幕っぽいキャラも顔を見せたし、今後の広がりを様々期待できるエピソードであった。
さてお話は、ミサキ階段最上部から始まる。水と空が織りなす奇っ怪な空間に、そろりそろりと顔を出す”ミサキ”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
後に解る正体を、しっかり左に寄せたリボンに取り込んだ人間態デザインが非常に良い。声もゆかなだし。
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綺麗な顔して剽軽ではあるものの、根本的に人間が判っていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
人がどう生きて死ぬか、その当たり前を把握できないまま七不思議を背負い、その権能を暴走させた不気味さが、入れ替わるコメディとシリアス、明と暗でいい具合に表現される。
ヌケたノンキな笑いが、すぐ恐怖に飲まれるリズムが良い。
ミサキ階段の話は二話構成ということもあって、作品世界がじっくり見れる所が良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
学校の平和を侵食する、噂と怪異。その中心部がどういう事になっていて、どんな危険と恐怖があるか確認できる。
断ち切り鋏の山と、蠢く人形。
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それは”ミサキ”の心に刻まれた業であり、七不思議に落ちた元・こちら側の住人が何に囚われているか、そのヒントでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
謎を暴かない限り、七不思議筆頭・花子くんの権限は結界内部で通用しない。心の奥底に潜ることが、迷宮から飛び出すアリアドネの糸となる。
ここら辺は古典的なサイコダイブを、最新鋭のビジュアルで再設計した安定感がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
やっぱ濃厚な心の闇に潜ることで、ヤバい危険を乗り越え、誰かを助ける物語ってのは強い。定番だが、だからこその強さがある。
まぁ、かっこよくカバーリングした源くんは人形化するわけだが…
源くんが持つ退魔技術、花子くんの振るう暴力は決定打にならず、謎を暴かない限り犠牲者は返ってこない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
死すら死する世界において、全ては心が決める。怪異と行きあってしまった寧々は、相応しい強さを獲得し、世界を知る必要がある。
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そのための全サポートは花子くんがやってくれる。境界の向こうに無知な人間を導き、迫りくる危険と謎の対処を教え、立ち上がる勇気を手渡しする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
この女、夢の上げ膳据え膳状態がどんだけレアか、判ってない…。”秒”でごっつぁん、『ハイ、寧々花子くんのマブになります(フワ~)』って感じじゃん。
さておき、怪異である花子くんは時間稼ぎをするしかなく、怪異が生み出した歪みはあくまで、人である寧々が突破していく必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
ここら辺、古式ゆかしい英雄譚でグッド。寝っ転がってるだけなら、主役の必然性も必要性もないからなぁ…。
ミサキ階段は、寧々を話しの真ん中に引っ張る大事な話だ。
寧々が悪魔の手を取って『何でもする』と言った時、花子くんは一瞬、シリアスな表情を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
彼はミステリアスでエロティックな仮面を何重にもかぶって、自分の本心と過去を隠している気配がある。
その秘密がエロいわけだが、寧々の決断はそれを引っ剥がす”何か”があるわけだ。
それが何であるかはさておき、寧々は綱に繋がれ水に落ちて、おどろおどろしい怪異の領域から、清廉な人の領域、”ミサキ”がまだ人と交われた記憶の領域へと落下していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
そこで”秘”を知り、”ミサキ”の真の姿を暴くことが、領域を正す鍵だ。
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落下と水によるイニシエーション。花子くんという”母”と臍の緒で繋がり、羊水をくぐり抜け、神秘の奥にたどり着く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
寧々は魚の姿を取れる≒怪異性を己の属性として引き受けていることで、落ちても死なずに済む。怪物の領域で生き抜くためには、怪物に近づく必要があるのだ。
寧々は超浅はか少女なので、確固たる人格の根っこがあるわけではない。その代償として人魚に呪われ、花子くんに救われることとなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
境界線がハッキリしている世界からはみ出し、半怪異・半人間のあやふやな存在として、危うい場所に立つ。
ここをくぐり抜けることでしか、状況は解決しない。
怪異の側…七不思議の秩序をもたらす、ジャッジとしての花子くんのスタンスから見ると、寧々はかなり大事なピースだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
人と怪異の境界線が揺れた以上、花子くんだけでなく、人の側から怪異に踏み込み、人の強さで状況を解決してくれるパートナーは、絶対に必要だ。
怪異が怪異だけの領域で生きるのなら、調整など必要ない。しかし噂が形をなして生まれるバケモノは、常に人と触れ合わなければ存在できず、人が理解できないので簡単に食いつぶす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
ただの犠牲としてヒトを消費していけば、待っているのは双方の絶滅だ。人間と怪物は、適正距離を保つ必要がある。
そこで、ヒトと魚の混じり物であり、幽体である自分を認知し触れられ、大人と子供の境界線上に立つ浅はかな寧々が大事になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
依代発見、過去見聞…”知る”ことが決定的な力になる、実は人間有利のルール。そこに寧々を引きずり込むことで、花子くんはバランスを保つ。
ここら辺、古式をしっかり踏まえたルール設定、キャラクターの配置で、非常に安心した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
人の力は心の力。巨大な断ち切りバサミや、不気味な人形が襲い来る世界に呑み込まれた上で、その上を行き脱出する特権は寧々にしかないのだ。
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寧々は最深部にたどり着いてすぐ”秘”を見つける。大概の異界行だとここが一番大変なんだが、まぁ一回目だからね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
怪物の秘められた過去、自分との共通点を見つけ、愛の形をしたエゴイズムを喝破する。
そこに囚われていた自分を、”ミサキ”と向き合うことで対峙し、飛び越えて成長していくのだ。
このジャンプで、寧々が恋に恋する浅はかな少女として物語を始めた理由が、うっすら判った気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
花子くんをスピリチュアル・ガイドにして、危機に飛び込む。
その旅は世界のバランスを正す”公”の旅路であり、寧々自身が己を育てる”私”の旅路でもあるのだ。
ジュブナイルとしても、結構正統派ね。
かくして”ミサキ≠岬”であり、そこには稲荷狐の儚い恋があったことが暴かれて、約束の断ち切りバサミは砕かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
世界のルールを人が超越したことで、審判者としての花子くんの権能は回復され、『貸し与えられた石版』は正統に回収される。
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『マント花子くんカッコいいタル~』とか、『ロリ狐可愛い祭り開催!』とか、自分の脳髄の動物的な部分がワキワキ蠢く展開であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
七不思議を七不思議足らしめる”石版”を、花子くんが管理運営していることが、決めシーンから判る。
…”石版”ってなに? 花子くんはなんで管理者なの?
”ミサキ=ヤコ”という真実を知り、ミサキ階段の歪みをあるべき形に正したのに、謎はどんどん増えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
寧々は何も知らないまま、今後も噂を巡る超常の只中に飛び込み、ちょっとずつ何かを知って、何も知らないままでもあるのだろう。
無知であることは、無力な人間にしか不可能な特権だからだ。
花子くんは結構温情派のジャッジで、ヤコも”ミサキ”としての権能を奪うだけで、命そのものは取らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
あるべきものとあらぬべきものの境界線を定め、それを解決しうる巫女を守り、導く。岐神の仕事を、卒なくこなしてる印象。
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寧々は正体を暴かれた小狐の、失われた恋に憐れみを抱く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
人ならざる存在は、人の倫理も死も分からぬ。ただ愛だけが通じたから、彼女は人の形を取り、愛しい人が戻ることを願い続けた。
そんな一方通行の理解は、簡単に歪む。それを正していくことで、寧々も己の心を知っていく。
まぁ情出して手伸ばしたら、ガブーもされるわけだけどね…それも人生の勉強、寧々ちゃん良かったね!(良くない)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
ヤコが自分の領域に帰る時、階段は伸びた影で3つに割れる。花子くんと寧々の間にも、確かに境界線はある。
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この三叉の描写は、凄く鋭いと感じた。どんだけ親しみやすく魅力的に見えても、亡霊は亡霊、怪物は怪物なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
花子くんが人であった時代に、何があったのか。その”秘”を知ることで、この境界線は開くのか、はたまた狭まるのか。
今後に謎と期待を残す、良いファーストダンジョンだったと思う。
そしてあのガキャ…花子くんにチューされおった!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
声が鬼頭明里で花の女子高生なら、こういうラッキーが空から降ってくんのか!
はー…甘酸っぱいラブコメしおってからに…。ズルいなぁ、ほんとズルいよ寧々くん…。
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そんな嬉し恥ずかしの青春旅程を、覗き見する黒い折り鶴。七不思議の秩序を保つ異界行を、傍から見やる少女の正体とは!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
…白杖代と黒杖代、男と女。陰陽に分かたれた対立存在だとすると、噂を使って境界を乱す側、か。妹で恋人…かなぁ?
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月下のロマンティックなチューをキメた花子くんと、必死に体張ったからこそ人形になったのに雑に扱われる源くんの、決定的な”差”に涙しつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
今回のお話はこれまで、である。
想定よりもキッチリ怪異譚の基本、境界の扱いを踏まえていて、色々安心した。正調オカルトじゃん。
圧倒的にパワフルで魅力的な花子くんに対し、寧々がどう存在感を出すか気にかかっていたわけだが、浅はかで未熟であることを活かし、成長型の主役として頑張る感じと判った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
ジュブナイルホラーの主役として、正しいスタンスだと思う。キャーキャー言うだけのヒロインいらんしな!!!!
無知だからこそ踏み込め、無垢だからこそ掴める。タロットで言えば”愚者”の強みは、同時に何も知らない不安を煽る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年1月31日
花子くんが隠すミステリアスな過去に、ラスト顔を見せた対立者と向き合う中、どう踏み込むか。
シリーズ全体の背骨も見えて、ますます期待大。次回も楽しみです。