※訂正
※訂正
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
今確認したら、第8話のコンテは瀬村俊一郎さんでした。第7話と勘違いしてた…。
己の節穴っぷりを堂々宣言する形になってしまいましたが、非常に鋭い絵作りだったと思います。勘違いを訂正しつつ、鋭い仕上がりに感謝を。
※本文
地縛少年花子くん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
未来を断ち切られて、亡霊となった少年、ミツバ。光は異界の存在とも友達になれると信じ、爽やかな季節を駆け抜けていく。
その幻想を断ち切る、つかさの囁き。死者の祈りは、現世を乱す毒でしかないのか。求めた温もりは、誰かを害することでしか満たされないのか。
そんな感じの、ミツバ編完結である。安藤監督のコンテが冴え渡り、非常に深く胸に刺さるエピソードとなった。一発一発の”絵”が、キッチリキマり過ぎる…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
光とミツバの遅咲きの友情、それを砕くつかさ漆黒の意志、断ち切る花子くんの覚悟。
そしてその震えに滑り込む、対存在の甘いサディズム。
エロスとタナトス、爽やかな青春と腐り果てた果実のような誘惑が入り混じり、現世と幽世の境界を巡って争う双子の宿命、光くんの真っ直ぐな意志が視聴者のど真ん中をエグッてきました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
話が進むペース自体は早いんだが、絵と演出が的確で濃厚なので、速さを感じさせねぇな…強いぜ、安藤コンテ…。
序盤は漫才めいた、光とミツバの青春で幕を開ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
ここで非常にいい感じに、明るく楽しく甘酸っぱく”あり得たかもしれない未来”を突き刺すことで、それが手に入らない結末の残酷、切なさが沁みるんだよね…。
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ふたりとも本当に仲良しで、気を許し合ってるからこそ自分を飾らず、じゃれ合うように衝突する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
ここで顕になってる”素”のミツバが、光の記憶にすら残らなかった『いじめられないための自分』と全然違うことが、真相が顕になった時の切なさをよくぶっ刺してくる。
24分という尺で、情感を使って人を倒すためにはどうしたら良いか。よく考えられ、的確に描かれたエピソードだと言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
光くんの真っ直ぐさが、またよく刺さる。良い少年だよなぁ…。
ミツバの喪失で、その純朴を失わない強さに磨き上げられるのが厳しい試練だ…。
明るく楽しい青春コメディから、学友の証言で画面は一気にエモシオンな色彩を強める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
天使の羽のように舞い散る、半透明のミツバの背中。
亡霊は、異界と触れ合った特別な存在以外には見つけられない。誰も、”昇降口の幽霊”の声を聞かない
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普通人にはない特別な視界を、退魔師たる光くんは持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
これを亡霊を害するためではなく、その存在と向き合い声を聞くために使おうとするところに、光くんの善良さがある。
”審神者”としての人間の役割は、花子くんの神薙たる寧々と重なるところだなぁ。
光くんは記憶を掘り起こし、既に出会っていた自分を思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
ミツバは死んでいるが、友情に手遅れはない。
そう無邪気にいい切れるほど、光くんも死の重さ、現世と幽世の境界線の分厚さを知らないわけじゃない。
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それでも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
かつて掴み取れないまま、未だ憧れる美しいものが雨に濡れるのであれば、それに手を差し伸べ掴もうとするのが光くんの生き方である。ホンマええ子や…。
抜け落ちた羽根のフェティッシュが、ミツバの哀しい運命を予告するように重い。イメージカットの使い方が巧すぎる…。
ミツバと光の本音が交錯するのは、”上”と”下”を繋ぐ境界線…階段である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
学校の”中”と”外”を分割する校門が、寧々と花子くんが魂を共鳴させる場となったように、人間と怪異は”際”でお互いの思いを伝え合うことになる。
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ここら辺の境界論が絵的にもシンボリズム的にも徹底されているのは、ポップな外装に民俗の背骨をブチ込む(個人的に)大事なポイントである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
オカルトと古式の叡智が、人間と人間以外の何を見据えてきたか。最新鋭の心霊ジュブナイルは、そこをしっかり踏まえて己を語る。つえーわ。
永遠に続く階段を歩く限り、亡霊は天には登れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
光くんの純真な友情が、それを言葉にするのを照れない真っ直ぐさが、哀しい運命を動かし得ない未来を予言するように、彼はミツバを追い抜いて、天に近い場所に先に進んでしまう。
何かが上手くいきそうで、しかし決定的な破綻が静かに差し込まれる。
”絵”を活用したトーン・コントロールが完璧に近いので、とても美しいものが果たされず、非常に残酷に終わってしまう結末もよく刺さる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
お話をどう魅せて、どう終わらせて、どう感じさせるか。そのイメージを高いレベルで持ってるエピソードだと思う。
薄緑の雨空は晴れて、ミツバは本当に欲しかったものをフィルムに焼き付ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
それさえ見つけられれば、もう”ここ”にいなくてもいい場所。永遠に続く階段を登りきって、自分を終わらせられる場所。
それは、キミの背中なんだ。
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あまりにも甘くて酸っぱい、”死”という冷厳な境界すら越えうる奇跡。その価値と重たさに、少年は気づいていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
亡霊も人間も、仲良く暮らしていける。この世ならざるルールなんて、真っ直ぐなヒューマニズムで乗り越えていける。
その純朴な信仰が、悲劇に試される時間まで、後少し。
夢を現像する、成仏する”明日”に向かって踏み出した歩みが、扉(境界)が閉じることで破綻していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
亡霊の王に願った望みは、対価を必要とする。寧々の浅はかな願いが、彼女を異種に変えたように。
つかさの登場で、画面は一気に冷える。
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ブチ抜かれたミツバの”穴”で、光くんの唖然とした表情を切り取ってくるセンスとか震えるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
死者の側、幽世の側、混沌の側に立つ王として、つかさは情け容赦なく魂の取り立てに来る。
それは花子くんとは正反対でありながら、同じ厳しさを宿した反・秩序だ。
ミツバの中に宿る暗い情動を、つかさは煽り、導き、強化していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
『ありのままの混沌』を愛しつつ、それが友情や祈りによって秩序にまくりこまれる結末は、暴力や甘言を駆使して止める。悪辣なガキだな…。
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血みどろになりつつ、亡霊を友達と叫ぶ光くんの魂が、あまりに眩しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
しかしそれは、つかさが背負う巨大なルールの前に無力だ。
花子くんが司る、生者の秩序。それを侵す、死者の混沌。双子は背中合わせ、死んでも来れない宿命の闘いで繋がっている。緒方恵美も大変だ!!
花子くんが七不思議を解体・再構築することで秩序を回復しようとするように、つかさは”放送部”の囁きを通じて、怪異譚を捻じ曲げ書き換えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
ゼロに戻し、正しく書き直そうとする動きと、混沌を捏造し、顔のない怪物を生もうとする力。
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今まで見てきた、花子くんと仲間たちの大冒険。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
そのネガが、パーツだけになった噂が無責任に、存在を塗り替えるつかさの暴力である。
それは『我慢するのを止めた顔が見たい』という個人的な欲望や、破綻を愛する死者の捻じれに強く塗られはいる。
しかし同時に、大きなルールの一部でもある。
花子くんが飄々とスケベな仮面の奥に、冷厳な秩序執行者の素顔を覆っているように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
つかさもまた、欲望至上主義者の身勝手の奥に、混沌の真理を背負い、活用している。
ミツバが求めた綺麗な友情の裏には、果たされなかった未練がある。他人を羨む泥まみれの感情がある。
否定し得ないエゴのうねりを、引っ張り出して方向づける。つかさが怪物を生み出す混沌は、反転した大きな秩序でもあるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
それはとても強力で、光くんが希う綺麗な夢、それを奪われる怒り程度では、抗うことが出来ない。
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オカルトの専門家として、シンプルに光くんはつかさに負けている。欲望の総量も、それを駆動させるためのルールへの習熟も、圧倒的に足りない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
指差し、軽くなぞるだけで魂の色を、願いの色を黒く染め上げられるつかさに対し、光くんは力強く、ミツバ…の残骸を抱きしめることしか出来ない。
つかさにとってミツバは愚かな犠牲者、自分が信じる世界に飲み込まれる弱者でしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
しかし光くんにとっては。(彼が真摯に言葉にしたように)唯一の友達であり、やり直せるはずの過去だ。
だから、表面をなぞるのではなく、深く手を突き入れる。それでも、無力な子供は何も掴めない。
ならば、断ち割るしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
花子くんは光くんの甘っちょろい世界認識ごと、首折り幽霊を真っ二つに切り裂く。その明瞭な断面こそが、怪異の王としての、彼の顔だ。
そしてそれは、双子の王との対面で脆く揺らぐ。
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己が侵した罪の証であり、絶対的な敵対者でもある存在。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
鏡合わせにつかさと向き合う時、普は焦りと怒りと…多分愛着も入り混じった複雑な”まるで人間みたいな”表情を見せる。
椿はボトリと、首を落とすように散る。象徴花としてこの作品で多様されるのは、普が侵した殺人の暗喩か?
己が未だ人間であった時の、脆く暗い欲望。そこに踏み込んでくる闇の兄弟を、花子くんは必死で振り払う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
その時、学帽を王冠にする秩序の審判者の凄みは、そこにない。危ういエロティックが画面に満ちて、腐りかけの花のように甘い。
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死者の宿命を、生者の温もりが彼らを救わない”事実”を語る口調は、確実に光だけではなく、己にも言い聞かしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
全ては終わり、取り返しはつかない。
そのルールを飲み込んだからこそ、怪異の領域が現世にはみ出し、その秩序を乱す悪を断ち切る立場に立ったのだ。
それでも光くんを見逃し、ミツバの側にいさせたのは、もしかしたら厳しい境界のルールを乗り越え、奇跡を引き寄せる未来を、甘っちょろく祈ったからだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
そしてその祈りは、寧々を側に置き続ける花子くんにも反射しているように思う。
救いを冷徹に拒みつつ、誰よりも救済を祈るのだ。エロい。
光くんの熱い涙は、二度死んだ亡霊を蘇らせない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
悪霊としてさらなる混沌を生む前に、己の職能に従って刑を執行する。
その視線に込められた複雑な…複雑過ぎる感情を隠すのも、学帽の仕事なのだろう。
さようなら、悪い夢。美しい儚。
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多分花子くんは七不思議筆頭として、こういう処断を幾度も繰り返してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
よくあることさ。世の中、こんなもんさ。
そんな”大人”な諦観を噛み締めながら、ずっと繰り返し飲み込んできた理不尽。
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それを光くんは光と闇の狭間、断固として拒絶する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
何か、出来ることがあった。こんなのが”世の中”なら、俺は認めねぇ。
大人と子供の間に立ち、荒れ狂うアドレサンスの渦中にいるものだけが許される、真っ直ぐで熱い視線。
それに射抜かれた花子くんは、衝撃に目を見開く。
光くんがミツバの”死”を止め得ず、その残酷に飲まれない所が、非常に巧く、強いな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
今回の事件で、光くんの世界認識は大きく変わり、また何も変わらない。
自分の無力は、邪悪なルールを覆せなかった。望んだ甘っちょろい未来を、怪異と人の友情を掴めなかった。
その敗北は、あまりにも苦く苦しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
だが光くんは、圧倒的に重たい現実を背負ってなお、来るはずだった”明日”を、ミツバの記憶の中に焼き付いた友情を諦めない。忘れない。
その不屈が、運命を変えうるか。
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それは、未来の物語である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
怪異を狩り、現し世との境界を定める源家が”坂”という境界の上に立っているところとか、写真の中の光と思い出の中のミツバが同じポーズ取ってるところとか、いちいち差し出される絵が”正解”過ぎてビビる。
光くんの泣き顔を、直接は映さない詩情も。
答えのでない境界線の上に、光くんも立っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
人と怪異、秩序と混沌は如何なる関係、如何なる欲望の果に立つべきか。
それぞれが、答えと迷いを抱えたまま緑色の夜は耽る。
その最中に流れた涙を、散っていった魂を、少年以外誰も知らない。だが、それこそが…。
そんな感じの、源光、青春の幻燈絵巻でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
非常に切ない終わり方になりましたが、光くんの真っ直ぐな意志、それを試すつかさの悪辣が鮮明で、とても良い仕上がりでした。
光くんのことがもっと好きになれる、非常に良いキャラエピだったじゃないかなぁ。
まーとにかく”絵”が上手くて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
静止画としての切れ味もそうなんだけども、物語のなかで何を見せるか、伝えるかがぎゅっと圧縮され、絵物語の補助線として最適に機能するカットがずっと続いてんだよね。
情報量が多く、それをしっかり消化・把握できるよう演出されてる。
よく仕上がった物語が、人と怪異、過去と現在の領域を超えた友情の美しさ、それを踏みにじる悪意の厳しさをしっかり伝え、それでもなお前を向く光の不屈と純真を際立たせていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
この生者の強さが、死者であり生者でもある亡霊の揺らぎを写す鏡になってるのが巧い。ウマすぎる。
死者は死者の国に、生者は生者の国に。花子くんの刃が厳しく定めた秩序は、彼自身を縛る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年2月29日
そのルールに負けねぇと、俺だけの未来を掴むと思い出の名残に涙一つ、誓った少年はどんな顔で、明日を進んでいくか。次回も楽しみです。
いやー…ほんと面白いなこのアニメ…。