ID:INVADEDを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
死するべきものは死に、戻るべきものは戻り、眠るべきものは眠る。
井戸の内と外に別れた奮闘の中で、何が問われたのか。
隔たれてなお、繋がるものとは何か。
殺人鬼と名探偵のダンスが終わる。死と生に意味を見出す謎は続く。
かくして、ジョン・ウォーカー事件は決着した。
そんな感じの、ID最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
ステッキクソ野郎こと早瀬浦と、名探偵二人の決着をしっかり付けつつ、その外側にある百貫さんの闘い、飛鳥井木記との対話を分厚く描くエピソードだった。
知略と奇想が暴れ倒す、名探偵 VS 名探偵の決着も良かったけども。
警察官として、”殺す”以外の結末を必死に探しつつも、飛鳥井さんを助けきれない百貫さんの決意と無念に、しっかり時間を使ったのは良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
法の軛から外れ、タイマンを射殺してしまった鳴瓢にはもう選べない、人としてあるべき決着。
人であるが故に、一足飛びの解決などない結論。
それを最後の最後に未解決事件として残すことで、このお話が何を描いていたか、おぼろげながら受け取れた気もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
最後まで血みどろで、不完全で、切実なお話だったと思う。
人間は悪意と業を乗り越えられない。それが”まだ”なのか”ずっと”なのか、答えは出切らない。
蔵は残り、名探偵の事件は続く。カエルちゃんは殺され続け、酒井戸はそれに寄り添って死者の声を聴く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
無秩序に意味を与え、謎に答えを見出す。遥か彼方の誰かに、大事な希望を預けながら。
凄まじく変化球で、力強く真っ直ぐな”探偵小説”であったと思う。
お話は悪趣味な”世界”で悦に入るステッキクソ野郎を、大声あげて奇襲するところから始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
野蛮なようで冷静、激情に踊らされつつも冷徹。鳴瓢秋人の名前を取り戻した名探偵は、歪んだ鏡を、怒りを込めて睨みつける。
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ミズハノメシステムをクラックした早瀬浦は、通常の暴力では死なない。いい感じのケレンが唸る肉体戦は、最終回の景気付けみたいなものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
あるいは、ステッキクソ野郎を最後の最後でハメるための、長い仕掛けか。初手の奇襲を叫び声で失敗させたところから、鳴瓢の術中だった感じするなぁ…。
早瀬浦が問いかける、名探偵と殺人犯の境界線。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
自分なりの正義とロジックを携え、謎に挑み秩序を回復する。事件全てが終わった後も、早瀬浦が作り上げたシステムが駆動しているように、卑劣漢の舌にも一部の理は宿る。
裏井戸と酒井戸、ジョン・ウォーカーと(元)警察官を分ける線は明示されない。
だが僕らは、それが”ある”と感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
井戸の上の高みから、痛みもなく地獄を玩弄する卑劣漢と、涙も枯れ果てた荒廃に身を委ね、それでもなお犠牲者の声を聞くモノの間に、明瞭な線が引かれていると感じる。
それが何故かは、作品を見続けた僕自身が考え、解くべきミステリなのかもしれない。
最終的にハメて落として勝つわけで、名探偵同士の掛け合いは全て、相手の心理の隙を狙う一打だと考えるべきだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
動揺も共感も、クソ犯罪者に然るべき報いを与える、警察官としての実務に繋がっている。
そのためには嘘も殺しも迷わずブチ込む冷徹は、鳴瓢にも本堂町くんにもある。
神様気取りのクソ野郎を、付け上がらせて罠にハメる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
血の池での対面からバラバラの世界への誘導、複合トリックでの井戸落とし。
ジョン・ウォーカー殺しは、名探偵らしい知略を凶器に進む。相手のコンプレックスをえぐり、罠まみれの椅子に座らせる。
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紳士気取りに神気取り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
『あくまで警官』であること、その理想が理解されることに拘る早瀬浦は、鳴瓢が死に追いやった殺人犯と同じく、人間的な急所を幾重にも抱えた”弱虫”だ。
余裕ぶった態度で相手の話を聞き、お互いの正しさを比べ合う。そういう勝負を断れない。
早瀬浦が優位を楽しむために持ち出したルールを、名探偵達は逆手に取って状況を作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
落ち着いてゆっくり話をする。相手を理解し、傷を抉る。
ジョン・ウォーカーとして、井戸の作り手として暗躍した手法に人格を委ねているからこそ、早瀬浦は罠を回避できない。
”名探偵”とはそういう存在だということを、酒井戸と聖井戸はよく知っている。一年以上”井戸の中の井戸”に溺れ、アナアキの犠牲を乗り越えた彼らは、自分をよく知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
だから自分の鏡を井戸に落とすには、どうすれば良いかもよく判る。
相手のルールを、相手自身に返せば殺人鬼は死ぬのだ。
聖数殺人の裏にある、終局をもたらすものとしての”オイコミ”。鳴瓢=酒井戸の三つ目の名前(ここでも。アナアキが好きな”三”は顔を出す)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
それに裁かれることで、七の秩序で組み上げられた”世界”は完成する。
分かります、貴方の部下だったし、警察官でもある私なら。本堂町が差し出す共感の罠がこええ
名探偵の言葉が、紳士と神様の仮面を早瀬浦から引っ剥がすたびに、バラバラの世界を漂う破片はノイズを上げて、画面は不安定になっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
言葉の刃で切り結ぶシーンの緊張感を、抜群のヴィジュアル・センスで維持する手腕は、最終話でも元気だ。
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聖井戸は名探偵としての仕事を引き受けることで、鳴瓢を”オイコミ”にはしないし、七に彩られたジョン・ウォーカーの妄念も完成させない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
その執念と透明な殺意の背中を、アナアキとの奇妙な交流が支えているように見えるのは、少しメロウに過ぎるだろうか。
井戸は更新され続ける。認識は世界を変える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
物語が始まる前の”世界”にはなかった、コックピットという処刑台。
本堂町くんの長口上は、富久田保津が用意した決着へ、神様を縛り付けるための罠だ。同時に、殺人犯でもある自分を、目の前の卑劣漢と線引する宣言でもあろう。
かくして”Pretentious”な数字に彩られた神は、いつかの終わりを約束された世界に叩き落される。やっぱり奇襲は、叫び声など上げないほうが上手くいくのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
コンソールを踏み潰し、井戸から這い上がる釣瓶を切り落として、名探偵達は静かに待つ。
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積み重なったを掬い上げて、現実を少しでも良くしていく者たちを。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
それは自裁して永遠の夢に逃げようとした早瀬浦には、望み得ない解決だ。生体という変えるべきホームを、奴は自ら手放してしまった。
それも、名探偵と卑劣漢を分ける境界線なのかもしれない。
(しかしそうすると、ミズハノメから帰還しなかったアナアキが”あっち側”ということになってしまって、彼が好きな僕としてはあまり上手くない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
頭の中に入り込む数字の圧迫から、逃れることを望んで穴を開けた。彼の眠りは、飛鳥井の入水に近い気もする。
神ならぬ身には、死の評価は難しい)
『遠い世界の、自分の預かり知らぬ誰かに望みを託すことが、大事だったりするんだ』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
最終話の英字サブタイは、早瀬浦をハメたのとは違う、名探偵の知見を刻む。
希望と期待を込めて、待つ。この世にしがみつく最後の理由が、自分を引き上げてくれることを。
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そしてそれは、井戸の上の”現実”で起こる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
イドに飲まれた井戸端の連中も、自分なり奮戦しているが、鳴瓢のザイルを握るのはやっぱり百貫さんである。
若鹿クン君さー…東郷っぱいにドギマギしてる場合じゃないっしょ! 室長は自分のゲロで窒息かかってんのよ!
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フルアーマー百貫さんの歩みは、文字通り命がけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
意識を保つために劇薬を流し込み、心臓マッサージで肋骨は折れる。人の命と罪を背負う仕事は、それくらいしないと果たせない。
この”救命”の描写だけで、百貫さんが早瀬浦とは大違いであることが、ズバッと刺さるね…。
第4話の”死にゲー”っぷりが一番鮮明だが、このアニメはゲーム的想像力を上手く描写に取り込んできた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
進むだけでライフを削る、現実の中の井戸潜り。HUDに映されるパラメーターはゲーム的な感覚を強めるが、百貫さんはそのスイッチを切る。
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機械で強化された想像力を使わなければ、犠牲者の元へは潜れない。それは鳴瓢がコックピットに座り、百貫さんが見守り続けてきた”井戸”のルールだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
しかし酒井戸は記憶と名前を漂白されながら、あるいはだからこそ、”世界”に閉じ込められた犠牲者に自分の足で近寄り、その声を聞こうとした。
端から見ていれば、事件を解決し世界を救うゲームであっても、そのど真ん中にいる連中には否定しようのないリアルだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
同時にゲーム的な認識補助と多層構造があってこそ、ミズハノメという井戸に潜り、声を抱えて戻ってくることも出来る。
百貫さんはやっと、鳴瓢と同じ立場に身を置いたのだ。
突きつける銃口は、唯一の救いか。死以外に、無意識の悪意を吸い上げてしまう犠牲者を眠らせる手段はないのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
苦しみを上から嘲笑う、卑劣漢の娯楽。もしくは死。
そんな二択を、百貫さんは否定する。松岡さんは今回も、同僚が決断する瞬間に立ち会えない
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誰もいない世界で、破滅の可能性を誤魔化しながら、人間として生きる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
そういう結末を、飛鳥井も百貫さんも選べない。
人間の枠から外れ、あるいはあまりに人間的な異能を完全に解決する手段は、今はないのだ。
悪意は、常に人とあり、どこまでも広がっていくから。
鳴瓢がタイマンに対し選んだ、銃弾という決着。それを百貫さんは選ばないし、飛鳥井にも選ばせない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
殺意は、最初から込めていなかった。
生かそうとする残酷と、正しくあろうとする傲慢を少し恨みながら、飛鳥井は井戸の中に沈むことを選ぶ。百貫さんの表情が悲痛。
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スーツに守られつつ、命がけでしかたどり着けない二人。どうしても越えられない溝に隔たれつつ、百貫さんは死出の旅路に付き従う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
自分が望まず生み出した犠牲に、膝を曲げて手を伸ばす飛鳥井がやはり哀しくて、泣いてしまった。
望むなら、優しく生きたかった。でも、それは出来ない。
その悲愴は、飛鳥井と百貫さんを繋いでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
百貫さんは声を震わせつつ(細谷佳正、見事な名演!)、涙の雫を流さない。
どうにも出来ない無力と哀しさは、飛鳥井とともにミズハノメに落ちて、静かに波紋を描くのだ。
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井戸に沈むものを、その上から見るしか無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
手を差し伸べ引きずりあげることも、井戸の外で活かすことも出来ない。
飛鳥井の入水を前に、それでも未来への希望を絞り出す百貫さん。
犠牲になるものへ”いつか”を強制する傲慢は、彼が一番良く知っている。…それでも。
そこに滲むのは、タイマン最後の犠牲者、未解決事件を未解決のまま抱えるしか無いやるせなさと同時に、既に終わってしまった過去に押し潰されない、必死の抵抗だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
鳴瓢が人を殺し、獄に繋がれたこと。自分が警察官のままで、彼が殺人犯/名探偵になったこと。
百貫さんは、いつでも取り残される
しかし深い夢の中で、かつての盟友が死を諦めずに、犠牲者の声を聞き続けた。その幻影が、薄っぺらい希望に血を通わせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
夢の中で幾度も繰り返される、名探偵の解決。水の底に降り、死者の声を聞き届けて戻りうる、ミズハノメの可能性。
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早瀬浦が己の欲望を満たすために生み出したシステムは、そういうものを内包している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
それは殺人鬼の歪んだ無意識、事件を駆動させる欲望と祈りを追う物語の中で、既に証明されている。
酒井戸は幾度も、カエルちゃんに出会った。彼女の死の謎を解き、夢に込められた祈りを聞いた。
それは嘘じゃない
だから、飛鳥井木記は微笑みながら、井戸に落ちていく。深い水の中の眠りは、やはり否定し得ず入水である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
その重たさを奥歯で噛み締めつつ、百貫さんはあくまで、無責任に投げかけた”いつか”を背負って岸に残る。
そして、アナアキも返ってはこない。
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暴走した井戸の中での死は、幾人かを飲み込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
一つだけの花を守って死んだアナアキは、もう数に悩まされることはないのだろうか? 涙一つきりの決別は、餞として十分なのだろうか?
そこを追求しすぎるのは、すっかりタフで図太くなった本堂町くんに失礼な気もする。
井戸に沈み返らないものを、井戸端で見送りながら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
涙一つを死者に送れるものと、枯れ果てた涙すら喜びだと嘯くもの。
名探偵二名が帰還して、ジョン・ウォーカー事件は終わる。
ここでは死なない。いつか安らぎの国に赴くとしても、今じゃない。
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鳴瓢がそう思えるようになったのは、やっぱり酒井戸として”世界”を巡り、雷鳴と砂漠に囲まれた己の井戸で、己を見つけ直したからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
井戸の中の井戸で美しい夢を見て、己の決断でそれを振り千切ったからだと思う。
境界線はいつも曖昧で、しかし意志と決意と祈りで、確かに引くことが出来る。
事件は蔵に沈み、『あくまで警察官』な早瀬浦の願いを引き継ぐ形で日常は続く。本堂町くん、そのあざといポーズはどういうつもりだ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
井戸の内側と外側、適材適所の棲み分けを続けながら、名探偵は混沌とした世界、カエルちゃんを殺す事件に潜り、意味を探っていく。
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死に直すような輝きの中で、白紙の自己証明を幾度も繰り返しながら、”いつか”を祈り人生は続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
死ぬものも、殺されるものもある残酷な世界。幾層にも重なった境界線を越えて、また戻りながら。
かくして、井戸の中の冒険、夢の中の事件はひとまずの幕である。
とても面白かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
奇っ怪で意味不明、しかし問答無用のパワーのある世界と描写で引きずり込み、次第にキャラクターと背景が見えてくる。
後退のネジを外した血糊の奥に、焼け付くような衝動と、譲るわけにはいかない信念と、醜悪で複雑な悪意が見えてくる。
不気味でありながら美しい、”世界”に潜るゲーム的な楽しさ。遠い異物だったはずの事件が、気づけば共鳴と興味を背負って身近にある意外性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
魅力的なキャラクター、出し惜しみなしのドラマ、ビジュアルの強さ。
様々な魅力をフル稼働させた、見事な物語でした。
目を向けつつ、指の隙間から窃視してしまう露骨な暴力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
それをフックに使いつつも、『お前らが見たいものは”こう”だ! 臓物のクセェ匂いがするんだ!!』と叩きつけたのは、誠実だったと思います。
タイマンに殴り殺された、椋ちゃんの遺骸。あの無惨を真っ直ぐ描くことでしか、届かないものはある。
殺人というタブーを犯しつつも、キャラクター的な、そして人間的な魅力を強く持った名探偵と殺人犯達を、好きに慣れたのも良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
乾ききった復讐者に思える鳴瓢が、その荒廃の奥にどれだけの激情と過去を隠しているか、だんだん判ってくる構成に惹きつけられました。
僕は初登場から本堂町くんがオキニだったので(いらない古参アピール)、彼女が鮮烈な通過儀礼を経て”名探偵”となり、穴の空いた自分を力強く、図太くぶん回す姿も良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
終わりきった鳴瓢の歴編と、新人名探偵/殺人鬼・本堂町小春の軌跡を重ねて描く構成、グッドねhttps://t.co/Oh8VwZ2tCr
いい感じのお歌をベストなタイミングで使う音響の演出とか、声優さん達の名演の数々とか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
良いところ沢山あるアニメでした。
バロックな奇想で殴りつけつつも、サスペンスに必要なヒキの強さ、矢継ぎ早の面白さで骨格を整え、ただトンチキなだけで終わらなかったのは、やっぱ強い。
非常に癖の強い作家である舞城王太郎と、ヴィジュアル構築能力に関してはアニメ回随一のあおきえい監督が”The Detectives United”になることで、お互いの弱点を補い、長所を伸ばす良いアンサンブルが生まれたと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
この原作者名、酒井戸・聖井戸・穴井戸トリオで解決した物語と響いて、凄く好き
人が沢山死ぬ、露悪的なメディアであること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
自我に思い悩み、世界との繋がり方を考え続ける物語であ
ること。
混沌とした世界の謎を解き、秩序を回復する探偵が出てくること。
作品が選び取った要素に、一個一個ちゃんと向き合い、テーマと表現を噛み合せたアニメでした。
やっぱ僕は舞城王太郎のファンなので、彼の諸作品の末尾にこのアニメを置いてしまうのですが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
感傷的で、乾いていて、過剰で美しくて血みどろで。
凄く”舞城王太郎”な話だなぁ、と思いました。
過剰なセルフリファレンスを勝手に読み取ってはしゃぐのも、楽しかったな。
飛鳥井の悪夢が現実を侵し、現実が悪夢によって変化する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
そういう構造を持ったこの話は、フィクションと現実を隔てる境界線について語った物語でもあると思います。
この作品で描かれ、最終的に帰還し得た”現実”の上にある井戸は、つまり僕らが足を置く”ここ”なんだと、僕は考えます。
名探偵たちが潜り、迷い、とても大事なものを掴み取って井戸から這い上がってきたように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
もし可能なら、僕もまたこのお話に潜った三ヶ月から少しでも、何かを掴み取って視聴を終えたいと思う。
そういう余韻が残るアニメって、やっぱとても強いし、良いものだと思うわけです。
仮想と現実の間にある、確かな境界を血のインクで刻みつつ、その際を越えて触れ合うモノを否定しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
むしろ真摯に、作品の真ん中に据えて描きぬく。
最後まで作品のテンションとクオリティが落ちず、高く飛び続けた持続力引っ括めて、非常に良いアニメでした。
フィクションは何もかも描けるからこそ、僕は選び取ったテーマや語り口、モチーフや画角にはプライドと真摯さを持ってて欲しいと思っています。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月23日
この作品には、そういう腰の強い姿勢と、軽薄でグロテスクな魅力を両立させるバランスが、しっかり有りました。
とても面白かったです。ありがとう。