22/7を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
遂に声を得て、動き出した”壁”。デスゲームめいた冷たいフラスコの中で、踊り続けたアイドルたち。
その反逆が、新たな扉を開いていく。
”やらされる”んじゃない。心の底から”やりたい”と思える熱さで、もう一度!
そうして、ナナニジは続いていく。壁の向こう、永遠の先へ…
っていう綺麗な大団円とは、多分全く違った感慨が沸き起こる。天下の怪作、堂々の最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
壁ちゃんに声が付き、不在なる中心が妙なヒューマニティ持っちゃった所ではかなりのゲンナリ顔だったが、枠の外に飛び出したようで全然システムの掌中なキモチワルーい(褒め言葉)終わりでホクホク顔。
絶望を突破していく切っ掛けになる第二の主役…ファンの描写なんて全然積んでないから、クライマックスの展開は形だけの熱さだし、その冷たい上滑り感が(僕がアニメから受け取った)ナナニジっぽくもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
何もかも歯車が噛み合わない表層で、しかし妙に中心に届いてしまってもいる。
何かに到達したようで、心底納得できるポイントがズレて刺さっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
良くも悪くも、このアニメらしい最終回であった。
二次元とリンクした三次元アイドルを売り出す起爆剤として、このアニメは機能したのか? するのか?
外野でしかない僕が心配するところじゃないが、まぁ心配になる。
イヤだってさぁ…デスゲームの重たい雰囲気と、視聴者に明かされる過去が全ッ然現在に直結しない捻じれた構造と、偶像の仮面とキャラの内実がすれ違う嘘つきな表現と、何が本当なのか視聴者に一切実感させない難しい構成で、パッと見大事な初見さん引っ張れるわけ無いじゃんッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
しかし僕みたいな、クソヒネたダメダメオタクには非常によく刺さる、面白いアニメだった。世間がどうほざこうとも、良いアニメだったよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
…こう書いた後即座に『…いいアニメだったかぁ?』と自問したくなるところ含めて。
このトンチキな味わいが、アニメ独特のものか、プロジェクト全体に敷衍するか
そこも引っ括めて、『今後の22/7に幸あれ』とは言いたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
基盤でありブースターになるはずの全国放送アニメで、こんな魔球を投げ込まれたアイドルちゃん達、今後どう闘うのか…。
みうの中の人は、ステージに立つごとにメガバイオレンスを要求されないだろうか…。
無駄な心配がモリモリ湧くな!
さておきお話は、デスゲーム最終盤めいた壁との対峙でスタートである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
画面の作り方、ラスボスの行動理念、モルモット達の反抗。全てがデスゲーム風味に塗りつぶされて、たまらない味わいである。
見てくださいよこの8分割…アイドルアニメの最終回ですよ!
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都はファンの顔を思い出し、壁の理不尽に震えるけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
そこで足場を任せられるほど、このアニメはステージの向こう側にいる存在を描写してない。
時間的にも、物語内部での仕事的にも、彼らは書き割りである。都の視線からファンがどう見えて、どれだけ支えてくれたかというのは、ここで急に顔を出す
話を丁度いい所に収めるためには、ファンという財布であり信仰基盤であり、自動的なアイドル活動に体温を与えてくれる存在を引っ張り出すしか無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
しかしナナニジアニメの運びは、メンバー個人の(公開されない)過去と現在にクローズアップしつづけ、壁の用意したオートマティックに乗って進む。
だから”ファン”を足場に反抗を生み出す展開は、嘘っぱちでしか無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
壁を突破したように見えて、全てが壁の脚本でしか無い復活劇。それに、”アイドル”が気づいていない多層性。
これを”アツい”自己実現ドラマの裏に、冷たくしっかり配置しておくことで、このアニメは嘘を付くのを避ける。
正直この段階では『お、デウス・エクス・マキナとして”ファン”出してきたな。それ出せば、”俺たち”がなんか出来たって勘違いして熱量生まれるからな。最悪だな』と思ってました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
壁ちゃん急に喋るしね…顔が付いて人称化さえしてしまえば、自動的なシステムとも戦える! 勝てる!!
『そういう”形”を整えて、あり物の熱量で突破を演出して終わんだなぁ、つまんねぇなぁ』と正直思ってた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
僕はこのアニメの、壁の重たさ、そこから生みだされる自動的な冷たさが好きだったので、いい感じのオリジナリティを、自分で蹴っ飛ばすように思えたんですよね…ここで顔出すフツーの”アツさ”。
そういう構造上の問題と、キャラ個別の体温はまた別なのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
”アイドル”を諦めきれず頭を下げるニコルも、生粋のパンクスとして怒りを暴力に託すみうも、非常に良かったです。
滝川さんは”やる”。
俺とニコルの信頼に、応えてくれたよ。
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あの学芸会のように、暴れ狂うヒロイズムを拳に乗せて叩きつける突破力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
それを目の当たりにしたニコルの瞳に、宿る輝き。
屈折した赤黒い百合に俺は大歓喜だが、彼女らに素朴な夢を乗っけ支えてきたファンは、一体これをどう受け取るのだろうか。何も理解らない…。
『判るのは反逆の意志だけだ!』と、我らがセンターの吠え声が響く。東京でアイドルやるより、ロストグラウンドでトリーズナーやってるのが似合う女だな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
みうが明けた突破口から、溢れる赤。
顔のない謀略、約束された運命。その先に開く夢。アイドルアニメ最終回の絵面じゃない!
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フリーザ声で騙られる真相も、その奥にある真実も、物語のための演出でしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
”壁”は破壊されてなお、顔のない指令を出し続け、アイドルという装置を(再)起動させる。
自分たちが用意されたレールから飛び出し、自発的にアイドルをやる、という幻想。
それを掴ませ、人工的な脱皮を果たさせるために、唐突な解散劇と約束された反逆はある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
そこら辺の仕掛けに、一切気づかないまま”アイドル”が誘導されている姿が、非常にナナニジっぽい。
壁はいつでも、そこにある。顔もなく自動的で、圧倒的にして不可解。そこから出ることは出来ないのだ。
みうの壁破壊は半自動的にサクセスし続けてきた物語を、主役の意志が逆転させるドラマに見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
アイドルの主観ではそのとおりだが、俯瞰で見れば何も変わってはいない。そういう俯瞰の視線を、踊り続ける主体は獲得できない。
そういうアニメが、そう終わるのは非常に気持ちいい。自作に嘘を付くな!
携帯電話を導きにした、新たな領域への突破。ファンが用意してくれる、再生のステージ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
それが取ってつけたクライマックスであり、その裏で動いている顔のない機械を見せてしまう所に、このアニメの誠実と愚直を感じる。
素直にアガる最終決戦では、絶対ないよなぁコレ…。
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このラストステージで、ファンは顔と体温のある個人としても、顔のないモブとしても描かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
携帯電話でステージを支える自発性は、壁と事務所が巧妙に導いた演出であり、偶然と意思が生み出した奇跡などではない。
何もかも自動的で、人工的な偶像劇場。おお、冷たい冷たい…。
しかしその渦中にあるアイドルが、確かに脱皮し得たのは事実で。それを狙って、壁は自身を実体化させ、殺させたわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
12話一年の歩みに付き合ってきたわけで、彼女らの決意と飛翔は嬉しい。だが常に、『作りもんだからコレ』と作品自体が水を差してくる。
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その冷たいリアリズムが好きで、このアニメ最後まで見た感じもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
壁は死なない。反逆と再生は合田ちゃんが必死に走り回り、なんとか作り上げた奇跡の模造品だ。
その嘘の上に、本物と思いたくなるような熱量が乗っかっている。虚実はいつでも曖昧で、それでも…。
『三宅健太の声優力に、最後の勝負を乗っけるんじゃないよ!』とも思ったが、12話積み上げたものは合田ちゃんが上手く言語化してくれたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
”やらされてる”構造自体は、永遠に続く。
壁は何処にでもあって、明かされない人生の秘話をドラマとして消費し続ける。
それは前提なのだ。
重力のように背中を掴む、不可視の構造。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
そこに囚われてなお、如何に己らしく踊るか。
これは作品の基本構造だった、共有されない過去にも通じると思う。
様々なトラウマが”アイドル”を作っているが、それは共有されず、公表もされない。東名で無力な神様たる、我々物語受容者以外には。
それでも、過去が生み出したものは確かに少女を加速させ、自分だけの輝きへと繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
どれだけ嘘っぱちの、自動的な檻の中だとしても、”アイドル”やってる彼女らは綺麗に見えた。
それぞれ譲れない理由があって、キャラを作り秘密を隠しつつ、人間としての柔らかい触れ合いに微笑んでいた。
それは嘘であって、嘘ではない。そういう形でしか、多分人間は”本当”を掴めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
”アイドル”という職業に乗っけて、真実なるものの複雑な屈折を重ね続けるこのアニメの思弁性は、やっぱり好きだった。一般ウケ? するわけねぇだろ。
みうの暴力的突破に、”壁”の継続で蓋する所がこのアニメだよねぇ…
何かを成し遂げた。何者かに成り得た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
計算され演出され用意された達成感の只中で、偶像は微笑む。その喜びが、新しい場所へと道を開くだろう。
そこもまた、誰かが用意した壁の内側だとしても。
繋いだ手と、重ねた視線は嘘じゃない。ニコみう大勝利ッッ!!
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22/7は勝ったのか、負けたのか。そもそも勝敗とはどのように定義されるべきなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
展開のアツさと、それを上から見下ろす視線の冷たさが混じり合わないまま、壁は続きナナニジも続く。
すりガラスの向こうから顔を出す、新たな三人。鳴り響くリスタートのチャイム。
©ANIME 22/7 pic.twitter.com/PZxTHhFu40
継続の予感を残して、しかし物語は一旦の幕である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
いやー…凄いアニメだったな…。
第1話の冷たいレイアウトで蹴りをブッ込んだ『普通のアイドルアニメ』に、戻ると思いきや壁は不滅、突破と自己実現は演出。
全くスッキリしないオチ含めて、非常に良かったです。俺には。
ファンとアイドルが作り出す熱量と奇跡も、誰かが用意した半自動の上。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
そういう視線を徹底し、画面に焼き付け続ける妄執に惹きつけられた三ヶ月でした。
『デスゲームの文法で、アイドルをやる』という発想が、どっから湧いてきたかは聞きたくなる。狂ってるでしょ(褒め言葉)
凄い斜めから”アイドル”見てるんだけども、ちゃんと敬意と愛情はあって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
しかしそれでも突破しきれない透明な壁の存在感を、ずーっと重たく睨み続ける物語。
過去は共有されず、秘密は暴かれず、しかしアイドルは転がって続く。少女たちは仲良くなり、アイドルとしての自意識に目覚めていく。
人間の”本当”とされているものが、芸能産業の巨大なシステムの中でどれだけ無力で、とるに足らなくて、何かを動かすためには不可欠なエンジンであるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
八人のアイドルをダシに、不条理なる現世の有り様を透かし彫りにする、変なアニメでした。
面白かったけど、多分求められてたのコレじゃない…
だが俺はこれを強く求めた!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
見終えた今は、そう言えます。
いやまぁ、推しカプが期待通りの所にズバーンと収まってくれた気持ちよさが、この評価の半分以上だけどさ…。
ニコルがみうを見つめる強い視線を執拗に埋め込み、最終話直前で爆破する。その突破力で、最後まで飛ぶ。
キャラのナイーブな内面を描く筆致が、よく冴えていたことも含めて、独特で面白い運びだったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
『アイドルをバカにしてやろう。自分だけが正しいとなすりつけてやろう』ってエゴは薄くて、客観的な視線と微かで確かな愛情がちゃんとあったのは、良いことでした。やっぱリスペクトが大事よね
『リスペクトしてコレかーい!』と、思わなくもないが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年3月28日
兎にも角にも、ヘンテコな怪作でした。その捻れ方含めて、面白い三ヶ月だったなぁ…首は捻ったが、嫌な気分にはあんまならんかったね。
アニメが終わっても、ナナニジは続く。その歩みが、幸福であることを祈ってます。ありがとう、面白かった。