ヒーリングっど♥プリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
花寺のどかはウキウキであった…なにしろ今日は、楽しい課外授業!
しかし世界を蝕む敵は、戦士に休息を与えない。
三幹部同時侵攻の危機を前に、グレースは強くためらう。
隔たり無く救われるべきものに、優先順位を付ける矛盾。
英雄の宿命が、少女を試す。
そんな感じの、第1クールの山場になりそうな前後編である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
ほんわかローカルな雰囲気に、悲壮感と切実さを混ぜ合わせたヒープリ。その容赦の無さが、ハードコアな試練として襲いかかってくる回となった。
迫りくる危機は、少女の身の丈にはあまりに大きい。救済のリソースは限られている。
その上で、守るために何を選ぶのか。何もかも救いたいと願う心は、現実を見ない高望みなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
なかなかに重たいテーマで、のどかのキャラクターをあぶり出しにしてくるエピソードだ。
彼女の過大な救済願望を、支え守るものがある。ちゆの知性、ひなたの感性、そして相棒の言葉。
友情と連帯こそが最強の武器と、果たして示すことが出来るか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
普遍的なヒロイズムの物語であるし、であるからこそ、現在進行系の危機に強く呼応した、時代性のある物語にもなっていると思う。
地球の病と戦うプリキュアが、このタイミングで描かれた。
そういうモチーフの重なりと同時に、有限のリソースをどう活用し、矢継ぎ早に超難問を押し付けてくる問題集…”現実”に理想がどう向き合うべきか、根っこの部分がシンクロしているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
今回、のどかが向き合う問は今(そしてあらゆる過去と未来)、医療と生存の現場に向き合うヒーローの問題だ
冒頭、初めての電車でお出かけにまんまるほっぺなのどかが、とても可愛い。そして話を見終わった今では痛ましい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
恐らく急な体調不良に対応するために、自家用車の移動しか体験したことのない少女。彼女にとって、当たり前の日常こそがワンダーランドだ。
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そんな日常に直結した、ごくごくありふれた危機と解決。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
小銭をバラまいてしまったお婆さんを助ける時、のどかは周囲の危機確認が出来ないし、直感でお守りを見つけることも出来ない。
優れた人格と、人の長所を見落とさない視力があっても、完全無欠とは成りえない。
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むしろ『誰かを助けたい』という強い思いが、危機を呼び込むこともある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
後に超常的な闘いのなかで描かれる危うさ(と、連帯と多様性による解決)は、この段階で既に示されている。
己に足らないものがあるのならば、誰かを頼ればいい。異質なものをつなぎ合わせて、不足を補えばいい。
ちゆのクレバーな助力と、ひなたの鋭い直感は、日常でも非日常でも友達を助けてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
彼女たちの資質もまた万能の解決策たり得ないことは、ここまでのエピソードで既に示されたことである。
我々はそれぞれ、異なった人格と死角を持つ。だからこそ、多様性を組み合わせて補うことで、より善くなれる
少女たちの日常はそういう、連帯の強さを描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
一方三幹部はそれぞれ手前勝手に、反目の火花を散らしつつも、強力な”個”として同じ空間を共有している。
生に満ちた世界を、己の在り方に相応しい色に染める。
生物種としての共通事例が、ノリちぐはぐなエゴイストたちを、同じ行動に向かわせる。
それもまた、連帯の形であろう。序盤は敵味方、それぞれの繋がり方を対比させ、また共通点を照らしつつ進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
やっぱビョーゲンズ、完全異質なエイリアンではなく、何らか共通項がある…けど、現状融和不能な侵略者として描かれてるよなぁ。
この筆を、今後どう活かすのか。楽しみだ。
『楽しい課外授業、お前らだけで独占させねぇぜ!』ってんで、アニマルズも合流。綺麗な川にお目々キラキラなのどかちゃん、可愛いねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
そらアニマルズだって意志持った命なんだから、置いてけぼりは寂しいよな…。バトルを加速させる都合もあるんだろうけど。
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ヒープリはリアリティレベルが結構高い話なので、アニマルズは社会に堂々自分を叫べない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
『私はここにいる』という、最も基本的な自己主張を封じられた、ある意味日陰の存在である。
同時に隣にいなければ、スルリと日常に滑り込んでくる侵略者に対抗できない、大事な防衛戦でもある。
今回はバトルの難易度が高いので、アニマルズを身近に置いてスムーズに戦闘に入れるようにするって意味合いもあろうが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
”人間”が当たり前に享受できている喜びを、異界の少年兵たちにも堂々分け与えて欲しいな、って気持ちはある。
いい奴らなんスよ…あとマジでタダの子供なんスよ…。
ラテ様のチアノーゼ反応と合わせて、ここら辺はどうにか解決が欲しいところであるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
小さな喜びをぶっ壊すように、ガラス美術館は暴力の巷と化し、少女たちはパステル調のドレスで武装する。
ラテの不調…三正面の厳しい状況に気づくのは、やっぱりフォンテーヌである。
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第1話アバンからして故郷皆殺しの荒野であったし、ヒープリが置かれている戦況は厳しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
戦力は分散され、守るべきものは多く、考える時間は少ない。そして決断しなければ、全てを失う羽目になる。
美しいガラスを守るなら、その身に傷を追うことにもなる。
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なかなかハードな状況に、少女たちの表情は研磨され、刃のように鋭くなっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
何もかもを救ってくれる、都合のいい魔法はない。リソースはいつでも限られていて、それでも何を救うか選ばなければいけない。
救命医療でのトリアージにも似た、苛烈な決断を英雄たちは強いられていく。
それは目に映る全てが美しく、だからこそ守りたいと願う少女には、あまりにも酷な未来だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
彼女は命に、美に、値札を付けれない。全てを守るべきものとして抱え、潰れかけてしまう。
その想いは、時に”敵”すら背負ってしまうのだ。
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それはけして間違いではなく、しかし”現実”という難問を解くには、あまりにも高望みな理想だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
ラビリンがある種の妥協と決断を強く迫るのは、彼女が一度決定的に”負け”ていることが背景にあると思う。
自分は守れなかった。故郷を滅ぼされ、最後の希望を背負って送り出されるしか無い、ただの子供だ。
ファンシーな笑顔の奥に、その苦さをいつでも噛み締めているからこそ、グレースの武器であり救済の道具であり、相棒でもある兎は、のどかの逡巡に厳しい言葉をかけるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
それは重く、気高い。
『二度、あの破滅を見るのはゴメンだ』という敗残兵の気概が、言葉に乗る。
何かを守るために、何かを切り離す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
少女を幼年期から決定的に切り離してしまうだろう重い決断は、友の助力でなんとか退けられる。(あるいは延期される)
のどかは己の決意を『過ち』と呟き、薄暗い木漏れ日の中、後悔を疾駆させていく。
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美と命に満ちた世界を、余す所無く愛し守ろうとするのは、人の身に過ぎた望みなのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
情け容赦無く迫りくる”死”を前に、冷たい方程式を解くことだけが、人に許されているのか。
答えは、未だ明暗の果てにある。
迷いと哀しさを秘めたグレースの瞳が、なんとも悲痛である。
ラビリンも仲間も、のどかの”甘さ”を責めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
その高すぎる理想が、日常でも非日常でも自分たちを助け、美しいものを守ってくれたことを知っているから。
たとえ過ちを生み出すとしても、彼女が見つけるものは間違いではないから。
でも、迷えば世界は壊れる。手の中の弱い命が消える。
敵を一人倒しても、ラテの病は消えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
苛烈な決断の果て、より確かな力の先にしか、笑顔と救済がないのだとしたら。
そして命を選別する冷たい機械になる誘惑を、跳ね除けつつ闘うことしか許されないとしたら。
のどか達の歩みは、非常に厳しい闘いである。
それでも、何も取りこぼさず、何も諦めない道が、闇の先に広がるはずだと、ラストカットは静かに主張する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
少女たちは”プリキュア”の力を翼に変えて、友情で駆動させる。学び、補い合い、より明るい場所へと羽ばたいていける可能性で、今回のエピソードは終わる。
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顔を伏せた暗がりの上でも、光は輝いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
一人では答えが出ない迷いも、仲間が駆けつけてくれる。
甘っちょろい綺麗事、ヌルいおとぎ話だ。
でもそれを手放してなお、人は人であり続けられるほど強い動物でもなかろうな、と思う。
死と理不尽を内包した、”現実”という問題集は分厚く、重い。
解法は様々にあって、どれも過ちで、それでも選ぶしか無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
そういう重たいやるせなさを、ヒープリはここまでずっと睨んできたし、今後も向き合っていくのだろう。
何しろ、扱うテーマは”命”だ。
それは平等であるべき大きな価値で、同時に平等ではありえない。
山程の夢と呪い、祈りと理不尽が絡み合う、非常に難しい問題だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
それが非常にシビアでシリアスで、目の前三センチに突きつけられた待ったなしの問題であることを、僕らは今現在進行系で突きつけられている。(あるいは、半ば強制的に思い出させられている)
画面の向こう側で、プリキュアは闇と光の淡いを駆けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
そこには都合のいい物語があり、綺麗事を諦めない意志があり、シビアな重たさを見落とさない厳しさがある。
それらの入り混じったものとして、物語をどのように描き、届けてくるか。
1クール目がまとまりそうなタイミングで、作品の核を問いそうなエピソードとなった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
そしてその折返しが、永い迷いの翳りと、その先へ飛び出していける少女の背中で終わったのは、僕はとても良いことだと思った。
絵空事だからこそ、在るべき理想を見せる。
明日はきっと晴れると、青い空を描く。
僕はそれは、本当に大事なことだと思うのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
そこに説得力を持たせるためにも、選べない選択をそれでも選ばなければいけない重たさも、それでもなお選べないのどかの在り方も、ちゃんと書いたのは偉い。
その大きすぎる理想が、より善い結末に繋がると僕は祈っている。勝って欲しいし、救って欲しい
のどかが病魔との闘いの末、ようやくたどり着けた当たり前の日常。それを心から楽しむ姿が輝いていたことが、とても良かったし、また切なかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
そういう当たり前の喜びと、命を選別する重たさは真逆のようで、何処かで繋がっている。
それを一少女が背負う苛烈さと、なお前を向く強さ。
今回の迷いと、恐らく描かれるだろう次回の勝利は、そういう難しいものをこそこのお話が書いていくと、示す話になるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
テーマとして、モチーフとして選び取ったものに、どういう姿勢で向き合うのか。それを真正面から見れる話となろう。
どう描くか。次回も楽しみである。
追記 この時代の荒波を、追い風とするか、おとぎ話が扱うには重すぎる荷物に投げ捨ててしまうか。過酷な世相だからこそ、なかなか難しい試験を背負うことになったけども、『このアニメ、上手く踊れるんじゃないか?』という予測と期待は、確かにある。
ヒープリ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
ほとんどの人が鈍麻させ、残酷な選別の痛みを麻痺させている、世界への感受性。
のどかはこれが非常に強いし、ただ見るだけではなく言葉にして伝え、体を張って守る生き様を続けている。
世界は美しい。何一つ、無価値なものなど無い。
その認識は他者の在り方を見据え、善い部分を探し出し、当人すら気づいていない輝きを届ける美質に繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
同時にそれは、時間制限付きの人生において非常に大事な”決断”を果たしにくいという、なかなか難しい資質にも繋がっている。
それでも、のどかは世界を見、聞、対話することをやめない
多様性と他者性に満ち溢れた世界を、美しいと思える開けた感性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
そこから沸き上がるものを、行動とメッセージに込めて動き続ける積極性。
そういうもの(だけ)が、より善い在り方を掴むチケットであり…同時にそれは拡大しうる。
そういう事を、こ之話書きたいんじゃないかなと思う。
それは今後、グローバルに広がりつつ様々な角度からその反動を受けるであろう世界と、そこに住まう子供たち(と、かつて子供であった全ての人間)にとって、結構高値が付く資質だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
目を塞ぎ、耳を閉ざし、口を封じて”私達”と”敵”に世界を切り分けてしまったほうが、多分生きやすい。
それでも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月9日
色んな出会いに触れ合って、色んなものを見つめて、色んな言葉をかわしたほうが、素敵なものが掴めるのだと。
強く時代性に(恐らく狙わずに、しかし必然的に)コミットした主人公として、花寺のどかは在る。
奇貨とするか重荷とするかは、今後の語り口次第だ。
さて、どう描くか。楽しみだ