乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
来たるべき破滅を避けるべく、前世の記憶を駆使して周到に立ち回る悪役令嬢、カタリナ。
今回のターゲットは物静かな伯爵家の令息と、その真白き妹。迫害の渦中に飛び込み、獲物の心を鷲掴みだっ!
そんな計算はぜーんぜん無い、ナチュラルボーン善人なお嬢様の縦横無尽記録、はめふら幼年期編完ッ! である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
好きな声優さんの好きなタイプの芝居をたっぷり聞けるし、満たされた幼年期をみっちり摂取できて素晴らしかった序章も、今回でおしまい。
もうちょい食いたかったな正直…。
”本編”たる魔法学園編の前段階、人格と人間関係を揺藍する子供時代から物語が始まっているのは、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
ジャンルの特徴なのか、作品の特色なのかは疎いので判別しかねるが、『人生変えるほどのチートは場当たりではなく、根っこから変えていく!』という意識を感じる。
文字通り人が変わったカタリナの働きかけで、ゲームの人物もキャラクターを変え、彼らを主役とする人生は大きく変化していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
”破滅フラグ回避”という目的がありつつ、ただただ素直で実直なカタリナの生き方が、未来を切り開いていく。
そこに説得力をもたせるのに、どっしり時間を使うのはとても良い
まぁ俺が単純に、子供らが幸せに笑い合い、お互いの魂の根っこを共有していく場面がたっぷりあると嬉しい人間、つーのもあるけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
ほんっっとこういうのたくさん食べたい人なんで、三週に渡り上質なものをどっさり提供してくれたことには感謝しかねぇ。つくづくありがてぇ。
さて、体は子供頭脳は大人…なはずのカタリナは、前世の記憶を引き継ぎ、ヲタトーク出来るお友達を求めていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
もともとも人格が(その言葉の最良の意味で)子供っぽくて、人格憑依があんまチートになってない所が、いい塩梅なんだろうな。
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周囲の子供らはこの段階から大人びていて、貴族としての社交の責務もしっかり果たすし、恋の鞘当てもビシビシやる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
アドバンテージなはずの精神的成熟は、カタリナのガキっぽさと相殺…あるいは相乗されて、皆の関係はフラットである。つーか、周りの子供らのほうが大人っぽい。
今回のエピソードを終えて、カタリナは背丈だけはでかくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
しかし中身は相変わらずの鈍感率直天然娘であり、優越してたはずの攻略対象達が、どんどん大人になってしまう。
イノセントな季節をそのまま、守ってくれるカタリナの強み。それを強調する上でも、幼年期編大事なのね。
んでお嬢様はケーキをムシャコラムシャコラ、相変わらずの猛烈食い。犬に追われて木に登り、”野猿”の異名は伊達じゃない感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
知らない間に最適解を掴む能力も相変わらずで、スーパーヒーロ着地キメて、アルビノ美少女をゲットだぜ!
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色んな意味で素直なのがカタリナの良いところであり、強みでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
外面取り繕わずガツガツ食って、やりたいことはガンガンやる。綺麗なものは綺麗と、率直に言葉にして相手に伝える。
無垢と無自覚が、テンポよく運命を切り開いていく気持ちよさ。それが、作品をブーストしている。
今回の攻略対象第一号たるソフィアが、どういう状況に置かれているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
そこまで尺を使うこと無く、上手く魅せる演出も冴えていた。
娘に膝を折って視線を合わせる父。震える両手をしっかり掴む兄。家族は、彼女を強く愛している。
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しかし口さがない連中はピーチク喚き、見えない所で包囲し圧力をかけてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
こういうボヤッと舌ヤダ味を、樹上から勢いよく両断するのも、カタリナの気持ちよさだろう。
貴族社会の暗い部分に適応せず、庶民の良いところでぶった切る。構造的には”遠山の金さん”とか”水戸黄門”と同じなのね…。
カタリナはファンシーで綺麗なものなら何でもOKなので、白皙の怪物も髪を触るは両手を握るわ、ガンッガン前に出て肯定する。メアリ…固く握ったその手が怖いよ俺は…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
そこに打算はない。綺麗だと思ったから掴み、美しかったから褒めた。それだけだ。
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その率直さが、ゲーム的な(そして人間的な)”正解”を迷わず射抜けるところに、カタリナの強みがあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
触れ合った人が攻略対象であることには、ファーストコンタクトを終えてから気づく。自分がチート転生者であることを、コロっと忘れているのだ。
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やっぱ、そこが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
計算、保身、大人びた賢さ。
世間の荒波から身を守るために、人が学び取る余計ごとを、バカなカタリナ様は振り捨てて走る。
ずっと純粋で、常に正しいことを無意識に、無邪気に選び取れる、永遠の子供。
その理想形が、持ち前の正しさで勝ち続ける気持ちよさ。
純朴であろうなどと考えもしない、完全な天然。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
大賢にも似た大愚を揺るがせること無く、カタリナは破滅フラグを気づかぬまま、力強く踏み倒していく。
その全人格的なパワー、しゃらくさい成熟に圧倒的な幼さが勝利する物語は、魔法学校ではまた違った顔を見せてくれるだろう。楽しみである。
ニコルが攻略対象だと気づいても、カタリナの行動は特に変わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
共通の趣味で盛り上がれる友達と、楽しい時間を過ごす。好きなものを好きと言い、綺麗なものを綺麗と囁く。ピアノが作るちょっとした壁は、”秒”で突破である。
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その率直さ、妹に生まれた心からの笑顔を、物静かな少年はしっかり見ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
大事な大事な妹に、本気で向き合って笑顔作ってくれる女、好感芽生えないわけがないんだよなぁ…。
ダイレクトな働きかけではなく、屈折かけたこの攻略は、ニコルのミステリアスなキャラにあってると思う。
ずっと求めていた、妹を判ってくれる存在。そんな人は、秘めていた己の思いを判ってくれる存在でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
父母を敬愛し、妹を慈しむ。人として当たり前の、しかし嫉心渦巻く貴族社会ではなかなか理解されない、率直な感情。
それが少年の心に、橋を架ける。
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無自覚イケメン攻略と同時に、ゼロサムの宣伝と前世絡みの伏線もちらっと混ぜて、なかなか面白いシーンだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
死んじゃってなお、前世に未練は残さず、楽しかった思い出だけを抱えて転生している辺り、カタリナってカルマ高いよね、サンサーラ的な意味で…。
リスタートに本気で挑めてるの、強いわな
でもまぁバカはバカなので、弟の熱視線をBL気配と勘違いしたり、弟から伸びるヤバな空気には気づかなかったりする。お前の隣りにいるの、かなりの”捕食獣(プレデター)”だよ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
やっぱ周りの子らが大人びてることで、年齢チートがチートにならないの上手いわな。
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そして時は過ぎ、少女は女に…なったのかな?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
まぁ背丈は伸びたし、周囲はギラついた独占欲を秘めた”大人”になりかけた。カタリナ様は相変わらず純粋無垢で、バカで元気である。
…恋愛関係のフラグのほうが、破滅に近い気もするモテっぷりだな…。
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つーか首筋に聖痕刻む王子のヤバっぷりと、それを”蟲”と言い切る弟のヤババがヤベーよマジ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
そういう成熟と無縁なまま、カタリナ様はずっと幼く、美しく強い。
自分たちがいつの間にか置き去りにした出会いの記憶、飾らない麗しさを保ったまま、変わらずにいてくれる。
基本カタリナの一人称で進む物語なんだけども、フッと周囲の人々に視線を写して、彼らにとってカタリナがどんな存在で、どれだけ救いかを考えたくなるのは、なかなか豊かだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
身の丈伸びるうちに、色々小狡いことも学んだろう元・子供たち。それでも、カタリナは永遠で、正しくい続けてくれる。
その絶対性、唯一性が刷り込まれた瞬間を活写することで、攻略対象へのカタリナの影響力をしっかり理解させる幼年期編、非常に良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
まー、そら好きになるし人生のど真ん中にも置くわ。
最高のタイミングで、最高の出会いを、一切打算無く叩き込む。カタリナ一番のチートは”そこ”!
でもそれは、全然ずるって感じがしない。だって人間としてあるべき行いを、率直に行ってるだけなんだもん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
感じたことを素直に届け、裏表なく人と接する。
未来が歪むようならば、自分の中の優しさをまず差し出し、世界と相手を変えていく。
誰もが持っているはずで、しかしなかなか扱えないチート。
優しさと正しさを力強くぶん回す、カタリナの魅力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
”主人公”という作品の背骨がどんだけ太いか、よく理解らせてくれる序章でした。いやー…普通に無茶苦茶つええわこの転生モノ…。
カタリナの周りにいる人が、どんどん笑顔になるのが本当に良いよね。無自覚で善良な影響力が、説得力込めて書けてる。
無自覚故に人を変え、生まれる独占欲には気づかない。無垢だからね!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
そんなカタリナが、恋と魔法に満ちた学園に足を踏み入れる。破滅フラグは山盛り! …と、バカは思ってるんだろうがもー”勝って”るからアンタ!
今後もモテまくり勝ちまくりだろう、悪役令嬢の無自覚無双。学園編も非常に楽しみです
しっかしまぁ、『良いことをし続けると、どんどん世の中良くなっていく』という作品内ルールはやっぱ、世界名作劇場的だよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月18日
『転生無双』っていう流行りジャンルかと思ってたら、供給途絶えて久しいオールドスクールを最良の形で摂取出来て、嬉しいサプライズである。
追記 ボイスドラマを用いた世界観の補足。無垢な主人公が無垢であり続けるために、気づけない陰影の追補。立体感が出て、上手い補強だと思う。
はめふらがサブ主観で作品をどう見てるか、ボイスドラマで補足してる。
バカなカタリナが気づけない、世界のドス黒さ。それに飲み込まれそうになってる人たちを、底抜けの善良さで引っ張り上げて、自分の領域に染め上げる話なんだな。
愚者の救済譚でもある。
どす黒いものがない”優しい世界”では、実は全然ない。
んだが、そんなモノより綺麗なもの、素敵なものに目を向けて、どんどん人を繋げ善くしていくカタリナのパワーに、作品世界が引っ張られて善良に染まっていくという構造。
主人公の影響力・特別性を全面肯定しつつ、ヤダ味がないのは流石。
子供らはみんな、心無い否定に傷つけられ歪む運命を、カタリナに肯定されることで突破していく。
貴方は無用の存在ではなく、それぞれ個別の輝きを持った、素晴らしい存在。
そう言ってもらえるありがたさが、人生を、世界を塗り替えていける。
そういうお伽噺でもあろう。やっぱベーシックが強い。