かぐや様は告らせたい?〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
第67期生徒会、解散。
最後の思い出に見上げる月は、寂しさを孕んで美しい。
”いい思い出”を積み重ねて、綺麗に終わっていきましょう…なんてタマじゃあ、当然ない!
惚れた女のわがまま背負い、男白銀御幸、行くぞ再出馬!
そんな感じの大きな節目、かぐや様二期第三話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
新展開に向けて、いつもの賑やかな感じに寂しさを混ぜて、しっとり見せる運びが良かった。
かぐや視点で一本通して、会長の内面を極力描かないことで、重荷と知りつつ二期目に挑むオトコノコの意地、素直になれないプライドが上手く書けたと思う。
ずーっとバカやってるように見える作品世界も時間は過ぎ、幸せだった季節にも終りが来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
その寂しさを石上くんのカットインで少し差し込みつつも、最初のエピソードは明るくハイテンション、”いつもどおり”なスタートだ。
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大好きな天体観測にテンション上がる会長の素直さが、非常に可愛いが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
今回はやや引き気味にカメラを据えて、バチッと決まった構図で生徒会全員を見せるシーンが良く冴えていて、”みんな”でいられる時間の終わり、最後の輝きが随所に見えた。
賑やかだけど、だからこそ寂しい。
寂しいからこそ、終わりにしたくない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
そういうかぐや…と、生徒会全員の心境を通奏低音とすることで、ボンクラ共のバカ騒ぎに微かな切なさが宿っていた。
会長が果たすラストの決断が、こういうしっとり落ち着いた”絵”でピタッとハマるよう、全体をうまく調整した感じ。
アップテンポに場面の雰囲気を切り替え、それに相応しい良い絵面を用意しつつ、トータルのムードを上手く調整する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
恋愛劇であり頭脳戦でありコメディでもあるこのお話の、贅沢な特盛感が胸焼けを起こさないのは、ここら辺の調整が上手いからだと思う。
自分の得意領域にテンション上がりまくった会長は、余計な計算や虚栄を投げ捨て、徹底的に攻め攻めでかぐやの思惑を越えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
毎回”これ”が出せるなら恋愛頭脳戦も大勝利だが、こんなの計算で出してくる男、キモくてやだな…。
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僕はラブコメ見る時には、女の子だけでなく男の子もチャーミングで、人間として好きになれると嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
会長はバカで強がりで、率直で善良で可愛らしい少年として上手く描かれている。
恋する少女と天体観測、大好きなものしか乗ってねぇお子様ランチに興奮して、”勝って”ることにも気づいてない。
そんな純朴さが踊り、かぐやをドギマギさせる今回は会長(と、彼が恋し恋されるかぐや様)の良いところをたっぷり摂取できて、非常にありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
やっぱボーイが可愛いほうが、ラブコメは食いやすい。
全キャラ可愛く取り回してくれるこの作品は、胃にも舌にもありがたい限りだ。
無自覚なロマンティックをぶん回しつつ、大好きな星の話を一生し続ける会長。『ホント星好きなんだな…』という熱の入り方で、思わず頬が緩む。バカだなー(褒め言葉)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
そんな暖かな空気が、月とかぐや姫を切っ掛けに、少し冷える。
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ガリ勉庶民が必死こいて、高い月をつかもうと背伸びしている状況を思えば、”かぐや姫”を巡る二人の会話は、ただの衒学的暇つぶしとはならないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
将来彼らに待ち受ける、境遇の差、厳しい困難。
そういうものを乗り越えて、月をこの手に掴む決意が、かぐやの胸に標準を合わせているのは。
何がどうなろうと、愛する人のもとまでたどり着いてみせるという想いは、コミカルに描かれつつ、嘘でも勘違いでもないのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
”生徒会解散”という一大事は、今回ラストで再出馬することで回避されるが。
この会話が後に生きる状況が、また来るのだと思う。
なんだかんだ、シリアスで重たい領域にもしっかり目配せしている作品であるので、白銀青年の真っ直ぐな志と、かぐや様がそれにメタメタな様子がここで刻まれたのは、結構大事なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
騒々しい面白さと、しっとり落ち着いた詩情。どっちもやれるのは強い所。
天文少年の無呼吸乱打にメタメタにされたかぐや様は、逃亡することで勝利する。つーか、もう勝ち負けの基準さっぱりだよ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
正気に返って身悶えする会長も、お汁粉作ってくれる後輩陣も、みんな可愛いね…。
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そんな最後の思い出から、幕を閉じる寂しさを追い出すようなから騒ぎを、どっしり書く第2エピソードへ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
序盤の明るいテンションから、だんだん照明が落ちて静かな雰囲気、別れの寂しさが滲んでくる調性が、非常に良い。
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ブツブツ面倒くさがってた石上くんが、すっかり生徒会に馴染んでいい味出している様子が、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
笑って騒いで一緒に遊んで、恋を抜きにしても生徒会は楽しかった。良い青春だった。
そういう実感を一個ずつ、”みんな”の生徒会室から回収していく。ここの寂寥の出し方が良かった。
いつもバk…明るい藤原書記が、流したズルい涙。それに誘われ弱さを見せる、氷の女帝。作画も気合十分、テンションもムードも最高潮だ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
勝負するべきポイントで、的確な絵と演出を差し込めるのはやっぱ強いわな。選球眼が良い。
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これが最終回なら『全活動終了』がラストシーンなのだろうが、二期はまだ三話、まだまだ続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
この寂しさを引き受けて、再出馬へと繋ぐ物語が第三エピソードでは語られる。
ここの上がったり下がったりも、非常に良い。”会長”を脱ぎ捨てた白銀くんの、構えない姿が良いよね…。
この第3エピソードも、”いつもどおり”なハイテンションからだんだんと湿度が上がって、しっとりとした寂寥と、諦めきれない未練が話を駆動させていく作りだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
もう”会長”ではない白銀御幸を、一体どういったものか。かぐや様は思い悩む。
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”会長”という肩書のない、生身の白銀御幸と上手く向き合えない弱さと脆さが、年相応で可愛らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
氷の女帝と己を定めていても、どうにも揺れる柔らかさが四宮かぐやにはあって、それを受け止めてくれるから白銀御幸が好きなのだろう。
しかしそんな純情を、そのまま出す強さはまだない。
だから、まだ”会長”であって欲しい。この楽しい”みんな”の時間も、これで終わりにはしたくない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
キレの悪い藤原書記の未練を、ドリンクバーのディスペンサーで見せた後”氷”で一旦封じて、しかし熱いコーヒーに想いを反射もする。
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ここ異様に静物の使い方がキレてて、巧い見せ方だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
道理でいえば、ここで引退するのが正しい。栄光へのプラチナチケットは入手してるし、会長職は激務だ。
そんな理屈で凍らせようとしても、熱い思いは止まらない。
黒い水面に反射するのは、揺れる乙女心とわがまま…見事なロマンティックだ。
宴は終わり、最後の日常が終わる。当たり前だった日々が去っていく寂しさを、ゆっくり丁寧に追いかけつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
ここもバッキンバッキンにキメたライティングが生きて、非常に良かった。”東京ラブストーリー”もどきなBGMの、差し込み方も良い。
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スカシた策士ズラが小市民な思い込みにぶつかって、コミカルな面白さを生む頭脳戦。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
そんな普段の構図が逆転し、騒々しさの奥の寂しさを強調する今回。
的確に差し込まれる見事な表情の作画が、子供たちの譲れぬ本気を強調し、よく刺さる。勝負回だなぁ…。
全国2千万のきぶりジジイが『行け! やれ!!』と吠えただろう、最後のわがまま。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
計算もなにもない純情を、体当たりでぶつけた思い人に、白銀ボーイがクレバーな仮面をかぶって、精一杯”頭脳戦”するところが凄く良い。
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再出馬願いを提出するかは、会長にとっても悩むところだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
”理”だけを考えれば、出る理由はない。
しかし同じ思いでしがみついてきた女の願いを思えば、冷たさは何処かへ行く。
熱く動き出した想いを隠して、少年は策士の仮面をかぶる。
ここで”恋愛頭脳戦”が普段のコメディから、嘘だからこそ己の真実を照らす強がりに変奏されてるのは、凄く巧いテーマの使い方だな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
迷ってた。足踏みをしてた。でも、それを悟られたくないから、平静を装って強がった。
だって、好きだから。
そういう純情が根っこにあって、二人はめんどくせー恋愛頭脳戦をやっとったわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
生徒会解散という一大事を前に、そこら辺の虚飾がハゲて…でも二人は”勝負”をする。
ノセられ、ハメられ、相手を出し抜く。
自分たちが本当に欲しい物を掴むために、嘘を付く。
それは凄く優しくて強い嘘で、綺麗だなぁ、と思う。こういう詩情を良いタイミングで差し込んでくるから、この話好きなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
かぐやには見せなかった心情を吐露し、向かう選挙戦。
立ちふさがる影は、一体誰か。
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というところで、次回に続く、である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
話の盛り上がりは次回以降の”勝負”ににあるんだろうけど、そこに踏み込むまでの”いつものみんな”の賑やかさ、それが消えていく寂しさに、グッと力の入った演出を入れる。
少女のワガママと少年の強がりが、混じり合う一瞬を鮮烈に描きぬく。
ある意味”準備”でしかないこのエピソードを、非常に丁寧かつハイクオリティに描いたのは、凄く良いな、と思いました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
こういう日々の積み重ねがあるから、かぐや様は白銀くんが好きだし、生徒会が大事なのだ。
その説得力を、優れた絵と演出と芝居…”アニメ”で魅せるのは誠実だし的確だ。
大仰でコミカルな得意球をあえて封じ、サラッと描いた”頭脳戦”も、上品で良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
こういう上質なエピソードで、キャラクターが選び取る物語の足場を整えてくれると、展開への納得力が違うからね。
自分たちが何を作って届けているか、”確信”があるエピソードだった。強いわ。
足場をしっかり固めることで、跳躍は高く、感動は強くなる。あといい話ムードをダイナシにする、笑いも力強くブン回る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年4月27日
今回の仕上がりを背中に受けて、どういう選挙戦を展開するか。期待が俄然盛り上がる、良いエピソードでした。
次回も楽しみですね。