BNA ビー・エヌ・エー を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
獣達の街、アニマシティ。そこではスポーツすらも殺し合い…。
憂さを晴らすためバスケコートを求めたみちるは、何故か白球を握りダメダメ球団ベアーズのエースになっていく。
どん底から必死に、白球一つに己を賭けるチーム。
その汗と涙は、世界を変えうるのか?
というわけで、やきう回だよ全員集合ッ! なBNA第5話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
作監すしお、コンテ今石、演出宗廣智行、脚本うえのきみこというゴールデンメンバーでお送りする、どこに出しても恥ずかしくない”がんばれベアーズ!”パロディ回である。
いやまぁ…獣だけどさ…。
勿論ただ表面をなぞるだけのサンプリングではなく、アニマシティの世知辛い現実、スポーツすらも金と暴力にまみれていく現状を、コミカルかつエモーショナルに描くエピソードであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
ただただ純粋に、一瞬の喜びと永遠の勝利のために全力を費やすスポーツの理想。
そういう”人間らしさ”が許されない街に、元人間のみちるは理想を持ち込み、仲間を変え監督を変え世界を変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
第2話で子供に読み書きを教えていたり、みちるは文化英雄としての側面が結構あるのだな。獣が投げ捨ててるアイデンティティを、外から持ち込み変革させる仕事。
それは獣人最強のインサイダーたる大神の生き方も、少しずつ変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
邪悪なる野球賭博として、市長が監理したがる文化が秘めている可能性。身を持ち崩した監督が、再び夢に進める未来。
そういうものへ、柔らかな期待を抱くようになってきている。
ハイテンション&コミカルに、血管キレそうな大暴投で笑わせているように見えて、”変化”を首軸に据えた作品のテーマと、エピソードなりかなり真剣に向き合っていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
キメる所キメつつ、ぶっ飛ぶところは徹底的に飛ばすメリハリが気持ちよかった。こんくらいのバランスが好き。
物語冒頭、みちるにとって野球も賭博もドードー獣人の全滅も他人事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
人間だった時代の名残…”バスケットをする自分”を求めて、1人でシュートを繰り返している。
でも、この街ではバスケは流行らない。スポーツにも興味がない。
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大神とみちるが、リラックスしてナチュラルな姿をお互いに晒しあえる関係になっていることが、二人が好きな僕には嬉しいけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
みちるは庇護者の元を離れ、気晴らしを…時分が好きだったものを求めて球場に行く。そこにあるのは、探していたものではない。少なくとも、今は。
『TRIGGER、ホントガンバ好きだな…』などと思いつつ、みちるは偶然飛び込んできたボールを、魔球に変えて投げ返す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
”変わる”という彼女の適性は、アニマシティの激しい暴力に揉まれて、第二の天性として制御されつつある。
そしてそれは、暴力には繋がらない。
ボールを受けて、投げ返す。敵を傷つけるには役に立たない、腹も膨れないし金も稼げない行動にこそ、みちるの異能は発揮される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
彼女の力は、獣のように誰かを傷つけるためにではなく、人間が本来あるべき倫理や文化の発露として、常に描写されている。そのしとやかさが、掴めないものも沢山あるが
非常に”人間的”なみちるが掴めないものは、過剰に”動物的”な大神(が代表する、今までの獣人)が補えばいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
逆に獣たちに足りないものをみちるは差し出し、変化を与えていく。
”化ける”能力はみちる個人で留まらず、伝播していく。
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そのためにはまず、未知の現実に思い切って飛び込まなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
先週ニナと流れ着き、帰ってきた青春の岸辺がみちるに教えたように、何かを変えるためには変わらない今を、他人事ではなく引受けなければいけない。
そこには痛みや厄介事や世知辛さが、たっぷり詰まっている。それでも、だ。
アニマ野球の現実は、金と暴力と酒に満ちている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
流れでピッチャー引き受けることになったみちるは、生まれ持った美醜を擦り付けるフラミンゴの言葉に燃え上がり、後先考えない本気のプレーを引っ張り出す。
『生まれついて動かし得ないもので、他人を傷つけるな!』
イヤみちる、ほんとそれよ。
みちるは年相応に浅薄ながら、かなり倫理的な少女だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
それが恵まれた人間の街で育った特権であり、世界のアウトサイドに強制的に配置された獣人には贅沢品であったとしても、彼女のナチュラルな倫理観は作品の大事な背骨だ。
人が為すべきこと、世界のあるべき形。
”普通”という言葉の、最も理想的な形態をみちるは捨てられないし、諦められない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
アニマシティの現実を肌で感じて、実際にプレーしてなお、己の能力をフルに発揮し、差別や偏見を跳ね除けるスポーツの”普通”を貫こうとする。
そこには、バスケが”普通”にできた過去への郷愁が、当然あるだろう。
でもそれだけではなく、ある種の自分らしさとしてナチュラルに、”普通の人間”であることが、みちるの特質なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
それを許してくれる特別な能力は、危険な興味を引きつける。楽しい野球回の裏で、陰謀は確かにみちるに忍び寄ってきている。
何もかもが裏腹で、リスクと可能性は同じものだ。
そういう”現実”も、みちるはだんだん学んできている。そしてリスクに膝を曲げるのではなく、背中合わせの可能性に常に賭ける青さを、自分に課している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
みちるが非常に”普通の主人公、普通の少女”であることが、作品の太い背骨になっている感じが、僕には好ましい。俺この主人公好きだな…。
ハイテンションな暴力野球と主役の出会いが終わり、大神が静かに、街の夕暮れを歩いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
血圧高い子供の時間が嘘のように、静まり返った執務室。絶滅したドードー獣人は、ネタで消費していい問題じゃない。
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今回も大神は、みちるを取り巻くジュブナイルを見守り隣接しつつ、そこには立ち入らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
シビアでリアルな”大人の現実”を背負いつつ、子供たちの夢、最新の可能性が生み出しうるものを、しっかり見据えている。自分なりにその変化をどう受けとめるか、ニヒルな態度の奥でしっかり考えている。
たとえコミカルな笑撃、あるいは甘やかな青春がメインステージで踊っていても、大神はシリアスな影を消さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
その陰影が、作品全体をピシっと締めて、笑いのかけがえなさも強めてくれている感じはある。
ブレないカッコ良さってのも、”変化”するみちるとの対比で良い感じだしね。
街を蝕む病巣として、高い所からガラス越し見下される殺人野球。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
そこにはベアーズのシビアなリアルがあり、貧困と夢がある。みちるはバスケに立てた操を抱いて背中を向けかけるが、この女が”弱者”見捨てられるわけねぇんだよなぁ…。
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貧者が差し出した公園の水は、彼らなり精一杯の真心。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
外から見りゃどれだけみすぼらしかろうとも、そこに人がいるなら体温が宿り、痛みと喜びがある。
バラックの現実を、みちるはもう他人事と切り離せない。それは”ここ”にある。獣人としての自分の、今目の前にあるのだ。
振り返ってチームに向き合いつつ、みちるは諦めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
バラックの現実、負け続ける生活、暴力に飲まれたスポーツを、お外の理想でぶん殴って、思い切り変化させようと決意する。
そしてそれを、仲間たちと共有しようと手を伸ばす。
暴力も貧困も、動かせない”普通”。それが当然、当たり前。
そういう認識を火の玉ストレートでぶっ壊して、ベアーズは”クリーン”なチームへと変化していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
カトゥーン調の熊たちは、獣性と暴力を繋げることが出来ない。獣としての優越性は、彼らにはないのだ。
だからこそ。
アニマシティを支配するルールとは、別のやり方で勝たなければいけない。
ゲームのルールを、プレーから変えていく。と言うかむしろ、”野球”の正道を豪腕で引っ張り込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
偏見と暴力に塗られた”普通”を、別の色に染めていく。
それがスタジアムで留まらないことを、この話はコミカルな運びの末にちゃんと掴む。やっぱ根本的に生真面目だよな、吉成作品…。
ぼんくら選手たちは、勝利を求めて純朴に、みちるが背負う光に進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
一方監督は擦り切れた野球への夢と、洒落にならない悪徳、喉を焼く諦観の間で、結構シリアスに惑い続ける。
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みちるのプレイはアルコール(”大人”だけに許された悪徳、良心を酩酊させ口をふさぐもの)を手放させ、監督の目を開かせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
そうして”野球”への思いを蘇らせても、現実は変わらない。マフィアは八百長を求め、若い可能性は薄汚れた思惑を蹴り飛ばし、ベアーズは勝つ。
”負け”を共用してくる世界の理不尽、毀損のシステムからはみ出す危うさを、監督は一身に背負ってボコられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
当人にそんなつもりは一切ないんだけど、監督が野球の生具せぇ部分を全部背負いボコボコにされることで、ベアーズとみちるは野球に完全燃焼できてる構図、ちょっと泣けるんだよな……。
知らず”大人”の責務を、体を張って果たしている監督。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
その陰りに踏み込むのは、みちるではなく大神だ。こういうシリアスでハードな局面は、やっぱり彼がよく噛み合う。
全く正しくない、野球をめぐるアニマシティの現状。
それを正す依頼を受けた探偵は、しかし正しさで殴りつけはしない。
一度負けて間違えた”大人”が、どんな世知辛さに飲み込まれ、何を考えているか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
重くて暗い暴力の実相に踏み込みつつ、それをじっくり見る。獣神の鼻で超越的に嗅ぐのではなく、あくまで人間サイズの視野で、監督の傷と痛みを見つめる。
これは、結構大きな変化だと思う。
あるいは、大神は元々そういう奴なのか。みちるという触媒が、本質に立ち返りもする”変化”を、大神にも与えているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
ベアーズサイドと監督サイド、コミカルとシリアス、光と影。その2つが隣接しつつ同時に走る根塊の構造は、色んなものを鮮明に見せてくれる。
ベアーズがただただひたすらに青春スポーツする中、監督はアルコールを無理くり流し込んで、理不尽な現実に敗北しようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
それはみちるの無茶苦茶でひっくり返されてしまうわけだが、ではその裏に、何があるか。
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そこに切り込む仕事も、やはり獣神探偵・大神士郎の担当だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
獣人初の野球選手として、ジャッキー/ロビンソンにもなり得た男。
しかしバットは血に塗れ、彼は偏見と差別、結局暴力に帰還してしまう”獣人性”で、愛した野球を裏切ってしまった。
それを弱さと責めるのは、あまりに酷だ。
人間社会と接合しようとして失敗した、監督の重い過去。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
それは獣人が差別を我慢しきれなかった物語であると同時に、人間が偏見を克服できなかった物語でもある。
”普通”にしがみつき、そこからはみ出すものを嘲る。罵り、踏みつける。
そんなHumanityの最悪は、この世界でも元気だ。
大神が、みちるがフォローしきれない監督を”見る”ことで、今回のエピソードは精神的、社会的な奥行きがよく出ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
全てを諦めたような”大人”にも、夢の輝きがあった。
今”子供”が夢中になっているのと同じものを、諦めて現実を酒で流し込んでいる。
みちるが率いる可能性もまた、そういう世知辛い陰りに飲み込まれかねないと、大神が見据える監督の生き様は教える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
それは、いつでもそこにある。スポーツに夢中…に見える子供たちだって、そんな現実を忘れている訳じゃない。
でも、たまには現を忘れたい。本気で野球すれば、忘れさせてくれる。
あるいは、現実を夢で塗り替え、変化させてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
躍動するみちるの危うさを、大神は不器用に忠告する。現実的でシリアスな、大人の親切だ。
それを、みちるも無碍にはしない。
判ってる。夢に遊んでばっかりいちゃ、ダメだって。
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それでも、夢を見たい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
バスケットボールを追いかけていた過去、殺しも賭け事も陰謀もなく走り回れた”普通”が遠く、形を変えたとしても。
当たり前の日常の中、沢山の喜びに知らず包まれていた時代に、もう戻れないとしても。
今、ここにいる自分なりの幸福を、追いかける権利があるのだと信じたい。
そういう”子供”の言い分を、大神も無碍にはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
序盤の冷たいディスコミュニケーションが的確に書かれた分、ここ最近の2人の相互対話は、グッと胸に迫るものがある。
大人は判ってくれない。子供は立ち止まれない。
それでも、お互い通じ合うものがある。変化の兆しが、届く瞬間がある。
断絶が完全に融和(あるいは消去)する変質ではなく、断絶を前提にした上で、いかに相互に響き合う可能性を掴み、駆動させるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
大神とみちるがそれぞれのスタイルで街を駆け抜けつつ、隣あい影響し合う話運びは、そういう話の核に体温を入れ、良い手触りで届けてくれる気がする。
みちるの生き方を認めても、大神は旧い獣人のまま、大人のままだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
大神に助けてもらい彼から学んでも、みちるはハンパなもと人間、暴力が苦手な子供のままだ。
それは、別に変わる必要がない大事なキャラクターであり、魂を支える根っこだ。
だから、変わらない。
そして、変わっていく。
そんなジュブナイルの裏で監督は、変わっていくこと、夢を見ることの危険性を、身を持って見せてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
暴力装置が望む結果を掴めなきゃあ、溺死寸前に追い込まれる。
アニマシティの当たり前を、紫煙で流し込む大人のやり方。
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それは、みちるのプレイに夢を思い出してしまった監督には、もう無理な生き方だ。口をふさぐタバコよりも熱くて体に悪いものに、ガキの必死さが火を付けちまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
でも、一度負けた身にその夢は重い。
酩酊に諦観をくるんで、『世の中こんなもん』といつものように呟いちまえば、話は終わりだ。
光と闇の合間で、どこに己を投げ込むか悩む監督の背中がちゃんと切り取られているのは、このアニメらしいしいいシーンだなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
アッパーテンションな超野球をぶん回しつつ、その土台になっている重さは忘れない。
あるいはぶっ飛んだケレンで、世知辛い現実を超越しうる夢を魅せる。
その両輪がガッチリ地面を噛んで、いいトルクが出てるエピソードだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月6日
散々パロディとダイナシで煮込みつつ、『スポーツ』の無為ゆえの聖域性をスゲー大事に進めて、それが”遊び”だからこその真剣さと救済が話にあるのが偉い。
それを信じきれず諦めた、監督のやるせなさもね。
かくして始まった決勝戦。殺る気満々の害獣チームと、金に矜持を溶かされたベアーズは、典型的な『アニマシティの野球』を展開する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
みちるは自分が信じる『普通の野球』を貫こうとするけど、ジャッキーの涙は貧困を映して重い。
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貧乏に生まれたら、一生貧乏。獣に生まれたら、一生獣。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
そういう出口の無さに閉じ込められて、『そんなもんさ』と諦めていく。
みちるが”病気”に感染する前は、見ようともしなかった獣人貧困層の重たい事実を前に、迷わず綺麗事を呟けるほどみちるも、もう”お客さん”じゃない。
何も知らない。だからこそ、知ろうと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
先週決意した御大層な題目は、こういうどうにも出来なさと重さに、延々向き合うことでもある。
みちるが理想と現実の間に自分だけの居場所を探そうとするほどに、金と暴力に塗れた世界の陰りが、言葉を拒絶する生々しさで立ちはだかる。
それを、監督はもう一つの犯罪…盗みで突破しようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
それしか、方法を思いつかないから。獣が問題を突破するとき、それは常に倫理に背いたむき出しのHumanityに直結するから。
そんな”普通”をせき止めるのは、みちるではない。
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それは同じ薄暗さ、どうしようもなさに向き合って生き方を既に定めた、”大人”である大神の仕事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
しかし世界の光と影は常に連動していて、監督が金を盗んだことで野球場は罵声に満ち、その只中でみちるは吠える。
同じ事の繰り返し、どん詰まりの絶望。
それを突破しうる、情熱の弾丸を投げつける
だれか、この吠え声を受けとめるやつはいないのか!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
その声はジャッキーに届き、観客席に届く。アニマシティに響き、そこを超えて世界に轟くだろう。
どれだけ世界が変わらなくても。重苦しい絶望とカルマが、私達を縛り付けても。
それでも、魂の内側から湧き上がるものを投げつける。
みちるの変化はさざなみのように、広く広く影響していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
貧困に膝を曲げ、周りの大人のコピーになっていく道を、ミットを構えたジャッキーは投げ捨てる。ベアーズの仲間たちも、みちるが差し出した”スポーツ”に向き合う。
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害獣チームとの決勝は、スポーツの道具を殺しのツールに変えてしまうアニマシティの”普通”との対決だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
悪徳に塗れた欲望のゲームを、どん詰まりを突破しうる特別なものに変えていく営みだ。
みちるは一獣人として、カルマに飲まれた”私達”の1人として、己と仲間を奮い立たせ、白球の戦場に進む。
その一歩が、色んなものを変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
大神が監督の前に立ち、金を盗む以外の道へ寄り添うことで、監督は野球に出会った瞬間に立ち返る。
ただ、楽しかった。人も獣もなく、夢中で走った。
俺がやりてぇのは、やっぱ野球だ。
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監督が子供時代を思い出し、みちる的なものが全然元気に自分のなかで暴れたがっていると思い出す流れが、僕はすごく好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
そのトリガーを押したのが、獣人の薄暗がりを歩き続け、監督の生き方を見守る立場にいる”大人”の大神なのも。
大神にもまた、みちる的なものが生きている。活性化されている。
そういう変化の波及が、スタジアムへ押しかける観客にも、『お前の全部を燃やせ!』と叫ぶ監督にも、しっかり届いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
みちるが後先考えず、自分のために野球をやったことが、”みんな”に広がっていくのだ。
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今回大神は、ギャングの角を折らない。人間のスタイルを模した、銃という暴力装置を解体するだけで終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
それはみちるが巻き起こした変化の兆しを、甘っちょろく信じたくなる自分に、ちょっとずつ変わっているからだろう。
そしてその変化は、みちるもまた変わっていればこそ生まれる。
街に馴染もうとせず、獣人の自分を認めないまま、お客さんの立場でプレーしてたら、みちるの変化は”みんな”には届かなかったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
自分も差別と暴力の只中にいて、何も分からないまま、必死にもがいている。
それを経験から学び認めたからこそ、みちるの思いは獣に届くのだと思う。
そのような変化を生み出したのは、ぶっきらぼうで分からず屋ながら、幼く弱いみちるを見守り、手を差し伸べた”大人”…大神がいればこそなのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
古き男から生まれた変化が、新しい女にたどり着き、生まれた風がまた、獣神の生き方を変えていく。
そこには、真心のコール&レスポンスがある。
それが”野球”という形で、アニマシティに返歌の兆しを生み、広く波及していくのが僕は好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
昔やってた、バスケじゃない所が良い。
過去をそのまま取り戻すのではなく、どこか似ていて違ってもいる”今”へ、みちるは自分から歩みを進めた。アニマシティのスタイルへ、腕を伸ばしたのだ。
その譲歩がベアーズの熱意と困窮に届き、殺しも賭けもぶっちぎった”スポーツ”へと、『アニマシティの野球』を変えていく。”普通”を変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
この変化が、街に根付くかは判らない。当たり前の暴力と貧困が、微かな夢を塗りつぶすかも知れない。
それでも、変化は生まれた。叫びは届いた。
大神が微笑みながら見据える希望を、シルヴァスタはオペラグラス越し、冷たく見やる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
だんだん近づいてきている、冷酷な経済の原理。強者のロジック。
大神が危惧したとおり、自分を隠さず発露するみちるの生き方は、危機を連れくる
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それでも、みちるは自在に”化ける”天性を隠すことが出来ないし、それは何かを動かしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
観客は敗者にも称賛を寄せ、監督は銭に背中を向け”野球”に向き合った。
それはホームランボールに目を輝かせた、自分の中の子供に立ち返り、大事にする道を選ぶ、ということだ。
それを選択できた監督も立派だし、そこへ進めるよう寄り添った大神、知らず情熱の大波で影響を与えたみちるも偉い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
トンチキな野球コメディを、無理くり感動で包むのではなく。
世知辛いアニマシティのリアルを見据えて、コメディにシリアスの刃、変化の熱量を差し込む。
そういう事がちゃんと出来ているから、ぼくは今回のエピソードも、このアニメも好きなのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
んで、笑いやパロディやダイナシ感やクレイジーにも全力投球で、本気でバカやってくれてるのも良い。
ベアーズの野球動作、非常にカッチリコストかけて”野球”してるもんなぁ…それをぶっ壊す超暴力野球…。
大神は市長の依頼を、完遂できなかったことにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
ギャンブルでしか無い『アニマシティの野球』が、また別の形に変わりうる可能性。
みちるから生まれる変化の風を、窓を開けて感じる。静かに微笑む。その表情が、とても良い。
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つーわけで、クレイジーなパロディ回と思わせておいてぶっとい芯のある、BNAらしいエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
みちるが拾いきれない現実の重たさを、監督と大神にしっかり背負わせて陰影をつける構成。
その反対側、子供らしい情熱で思いっきり突っ走るみちるとベアーズの、躍動する可能性。
この両輪がしっかり噛み合って、大笑いしつつも感動し、作品世界がどんな空気で満ちているか、また一つ理解が深まる物語を躍動させていました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
自分たちが作った嘘っぱちが、どういう状況でどんな矛盾に苦しんでいるか。色んな雰囲気と角度から、バラエティ豊かに届けてくれるのは有り難いし、楽しい
弱肉強食の犯罪もあれば、少女の可憐な祈りと挫折もあり、殺人野球も熱血スポ根もやれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
アニマシティの多彩さを、変化のただ中にいるみちると一緒に感じられるのは、やっぱ凄く良いと思います。
作り込まれた仕上がりが、スーッと作品に誘い込んでくれる感じが気持ちいいね。
ほいでもって、次回はクールの折返し。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月7日
そろそろ街探索青春散歩が一休みして、メインのお話が駆動しそうな感じもあります。
未熟ながら、可能性に満ちたみちるの魅力。彼女に直接関わる物語が動くと、それをもっと感じれそうで、期待が高まります。次回も楽しみ。