アルゴナビス from BanG Dream! を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
GYROAXIAの前座とはいえ、手応えのある演奏をやりきったアルゴナビス。
新たな船出に向けて意気上がるクルーの中で、結人の表情は曇る。
消えない劣等感と、裏切りの傷。
リーダーを縛る過去の鎖に、運命の船(アルゴー)に乗り込んだ仲間は、何を思うのか?
そんな感じの、結人個別回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
第一話で凄まじい熱量とポエム力で主人公を引っ張り上げ、話のスタートを切った男が隠していた、劣等感と痛み。
それをすくい上げて、アルゴナビスが真実"バンド"になるまでの物語でした。
どれだけ己を鼓舞しても拭えない、過去の残響。
今思えば、第1話であれだけ前のめりに"バンド"を求めていたのも、捨てられた痛みをどうにか忘れようとする必死のあがきだったのかなと、後書きで印象も変わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
バンドが船出して、無敵に見えたリーダーの影が見える展開は、僕にとっては公平でいい。傷を背負わないやつなんて、どこにもいないのだ。
結人の晴れない心を映すような、灰色の空から物語は始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
空を舞う"四羽"のカモメは、那由多の才能について行けなかった…ついて行きたかった過去の象徴だろうか。
群れからはぐれ、一人漕ぎ出した曇天で、ようやく作り出した自分の居場所。
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足はいつでも、後悔に引きずられて止まる。それでも音楽が、"バンド"がしたいと、胸の奥で鳴り響くものがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
曇り空を超えて、新しい空へ。
結人自身が始め、結んだバンドの縁が彼を取り戻すまでの物語が、ここから始まることになる。
毎回のことながら、天気と光が劇的な使われ方してるのが好き。
結人にそうしたように、那由多は路傍の石には一切の興味も容赦もない。切り捨て、蹴り飛ばし、それでもメンバーが付いてくる才。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
蓮の唄は、そこに切り込む力があった。暴君が唯一気にかけるのは、同じ"才"を持つ存在だけ。
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万浬じゃなくても『何なのアイツ!』ってなる俺様っぷりだが、蓮もまた、特別な"何か"を那由多の唄に感じ取る。描写が完全に"小宇宙(コスモ)"なんだよなぁ…聖闘士かよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
蓮は相変わらず、音楽絡むとブレーキの壊れた機関車みたいな速度で突っ走るので、見てて楽しい。可愛い顔して無茶苦茶。
那由多の唄は蓮の心に火を付け、その熱量は仲間を鼓舞する。今度は対等の立場で、堂々と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
そんな輪から、結人だけが距離を取っている。
前に進む仲間に、置き去りにされる足踏みの理由を、まだ言葉には出来ない。
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第1話であれだけグイグイ来ていた結人が、なかなか自分の痛みと惨めさをさらけ出せない所に、傷の深さを感じて哀しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
明るく振る舞っていても、当然彼にもプライドがあって。
それをズタズタにされたからこそ、過去にもこだわるし、忘れられない。それは色んな人に共通の心理だ。
思えば第一話、蓮も過去の痛みに囚われ、新しい予感に飛び出せなかった。そこに踏み込んで、音楽とバンドの楽しさを伝えてくれたのは結人だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
6話の時間を挟んで、誘うものと誘われるもの、主客は逆転する。皆同じ弱さと強さを抱えて、運命に導かれていくのだ。
結人以外のメンバーにとって、GYROAXIAの前座は明るい未来が広がる扉だ。観客一人のデビューライブから始まって、確かな手ごたえで押し寄せる"波"。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
シリウスからのオファーも届き、新曲も形になりつつある。しかし結人は、そこから距離を取ってしまう。
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今回は結人の心に分け入る話であると同時に、バンドの関係性、個別の認識の変化を細かく切り取る回でもあると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
ワリと最悪の出会いから始まった、航海と凛生の関係。
作曲と作詞、バンドに欠かせないバイタルパートを分け合う中で、とても大事なものを分け合う距離感が生まれつつある。
細やかな表情を切り取る、サンジゲンのセルルック3D。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
その表現力が、バンドとして音楽を奏でる中変化していく人格を見逃さないのは、群像劇として良いところだと思う。
それは、唐突に叩きつけられた別れの知らせに、狼狽える青年たちにも生きてくる。オメー急に何言ってんだ結人…。
結人は可能性に満ちた海に背を向け、暗くて狭い場所へと踏み出す。アルゴナビスが"船"をモチーフにしている以上、その歩みにポジティブな意味合いはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
そんな重たい決別を、メールで伝える不義理に怒る。ドライな銭ゲバのはずなのに、体温隠せてね-!
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第1話で結人の情熱を上手く方向づけ、支えていた航海の当惑と哀しさが、よく滲む表情も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
やっぱお話が始まるスターターってのは特別な存在で、彼らの決意で動き出した物語が好きになった側からすると、そんな大事な"自分"や生まれた縁を蔑ろにされると、悲しい気分になる。
そういう視聴者の気持ちを、航海の表情は上手くすくい上げているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
未来へ続く上げ潮は、結人が船を漕ぎ出したからこそ生まれたものだ。でも、そこから彼は降りるという。
意味がわからないし、納得も出来ない。そういう新入りの反発とは、ちょっと違う航海の曇り顔。
それは結人の側に長くいて、彼の弱さや苦しみも共有していればこそ…なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
バンドになっても、付き合いの長さが生み出す感情のグラデーションはある。そして現在進行系で転がっていく縁は、それを埋めるような発見と衝突を生み出しもする。
今回そういう、集団のダイナミズムが元気である。
航海が伝えてきた現状を、賢汰は美園くんにも伝える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
誰かを選ぶということは、誰かを選ばないということ。
その決断を果たし、結人を惨めさの只中に置き去りにした彼らに、結人の"今"に寄り添う資格はない。
『あいつ…』じゃあねぇんだよなぁマジ…。
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後に吐露される結人の傷は、重くて深い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
『お前はいらない』と突きつけることは、それだけ強く他人を傷つける。
那由多の才に魅入られ、彼を選んでしまった二人の後悔も、簡単に拭われるものではないのだろう。
ここら辺のシビアな重さは、独特の苦味で好きである。感情、こんがらがってるネェ!
では結人の"今"に踏み込む資格が誰にあるかというと、彼の"バンド"であり主人公でもある蓮にこそある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
この子はほんま、音楽が絡むと殺し屋みたいな眼しよるな…好きだぜ。
階段の傾斜、高低差を活かした演出が、心の通い合いを上手く切り取るシーンだ。
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蓮はガラス戸を踏み越え、他でもない結人と話をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
かつて置き去りにされた場所に縛り付けられた彼と、同じ目線に腰を下ろし、彼を強く求める心を叩きつける。
その熱量にこそ、未来を切り開く鍵がある。
だから、冒頭の孤独、メールで別れを告げた時の闇とは違い、このシーンには光がある。
のだが、それはまだ結人の心を完全には動かせない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
傷つけられたプライド、大切な存在だからこそ失敗を恐れる心。
そういうものを振りちぎって、新しい航路へ踏み出すのに必要なものが、未だ足りないのだ。
そうして頑なに自分を守る結人の弱さが、僕は悲しく愛おしい。
一人では動かし得なかった結人の心を、"バンド"みんなでどう扱うか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
話し合うシーンは短いが、『コイツはこういうやつだったたのか…』という驚きに満ちていて、とても好きなシーンだ。
凛生が口にする、バンドの救い。航海が強く求める、不屈の意志。
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今まで表面しか知り得なかった新たな友が、心の底に秘めている熱い感情。それを突きつけられた時の驚きと喜びが、"バンド"をより強く結びつけていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
こういう"発見"の描写が細かいと、キャラ同士がお互いを認め、関係性が変化していく流れを飲み込みやすくなる。ありがたい演出だ。
音楽スイッチ入りっぱなしで、普段のぽわんとした雰囲気が消えちまってる、蓮の鋭い瞳も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
メンバーで唯一"コーヒー"を飲まな万浬も、簡単にはなびかない硬骨の曲者として、存在感がある。
リーダーとしてスターターとして、話を牽引してきた結人が大きく凹むことで、バンドの個性がギラツキだす。
ここでの会話で凛生と航海の間に生まれた『コイツはこういうやつだったのか…』という、発見の喜び。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
こういうものを、第1話以前に積み重ねていたからこそ、結人と航海はお互いを信頼し、音楽の海に漕ぎ出す仲間になったのだろう。
そして今、アルゴナビスの中にそういう発見が生まれている。
それは結人を…彼がリーダーとして求めた、平等に意見を言い合える"バンド"を絶対に諦めない、航海の強い思いへと繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
今後新しい波風が襲ってきた時も、こうして積み上げた発見と信頼が、アルゴナビスを繋げていく。そう思える描写で、非常に良い。
今回のエピソードは、第1話を逆さまにしたような構造だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
あの時蓮が縛り付けられていたベッドに、結人も寝転がる。過去への航海、踏み出せない痛み。
そこに閉じこもった心に、投げつけられる石と微笑み。航海…お前も大概重いな…。
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仲間たちの波状攻撃を受けてなお、結人は道路に降りて航海と対等な立ち位置、真っ直ぐな距離感で向き合おうとはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
それはまだ先のことで、航海の微笑みから結人は目線を反らし、頑なな決断に、過去の痛みに逃げようとする。
この逡巡も、過去のバンドメンバーと似通った足踏みだ。
何かが始まる予感に胸を高鳴らせつつも、自分を信じきれない。そんな停滞をぶち破る縁を結んできた男が、ここまで拘束される過去。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
アルゴナビスがリーダー脱退を思いとどまらせる戦いは、結人自身が作り出した船の価値、"今"隣りにいる仲間を認めさせる闘いでもある。
"コーヒー"を差し出し、静かに望まれぬ頑張りを諭すマスターの柔らかさでワンクッション入れて、あとは殺し屋の目をしたボーカルの独壇場である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
スイッチ入ると周りは見えねぇ、迷いも弱さも関係ねぇロック野郎が"降りる"蓮、良い主役だよねホント。
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『結人が勝手にやったから、こっちも勝手にやる』というのも、自分の行いが帰ってくる今回の話運びに乗っ取ったものかなぁ、と思ったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
結人が熱く求めた、アルゴナビスのスタイル。
傷ついても、音楽を手放せなかった心の叫び。
そういうものが、仲間を変え、同じ船に乗せた。
最後のひと押しを担当する万浬のツンデレがマジ完璧で、なかなか見事な"芸"であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
基本クリーンな王道を進むアルゴナビスに、銭ゲバでひねくれな万浬がいることで、凄く良い変拍子が入ってる感じがある。
キャラが全員、同じ方向を向ききらない気持ちよさ、というか。
その癖根っこは音楽と仲間大好きな熱血野郎だから、ちょっとツンツンしても本流を邪魔しない…どころか、いい角度から後押ししてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
"五人目"として見事なキャラ立てで、万浬は良いなぁ、とつくづく思う。まぁみんな好きなんだけどさ、このアニメのキャラ。
かくして心に届いた曲を、それを弾きたいと願う自分の心を、真っ直ぐに受け止めた結人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
今まで散々、立ち止まり停滞する足元を切り取ってきたカメラが、今は生まれるリズムとユニゾンを伝える。
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噛み合わない視線を描いてきたからこそ、向き合って歌う喜びもよく伝わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
演奏に込められたコール&レスポンス、湧き上がる青春の血潮を感じた聴衆も、『ええもん見たわぁ…エモの満漢全席やぁ…』って感じなのだろうか?
実際この"流星雨"、ただの音以上の物語性が滲んで、良いステージである。
こうしてアルゴナビスのギター、全てを始め結びつけたリーダーを取り戻して、バンドは新たな海へと漕ぎ出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
胸の奥にわだかまる想いが、全て消えたわけではないだろう。
でもそれは、新たな出会いと仲間の助けで、乗り越えていける波だ。
そういう未来へ漕ぎ出す材料は、やはり結人自身が集め、用意し、仲間へと分け与えたもので。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
彼の情熱と善良さが、彼自身の過去と現在を救う話になっていたのは、僕はとても良かったと思う。
やっぱ良いやつには傷ついたプライドと記憶を乗り越え、"今"に堂々漕ぎ出して欲しいのだ。
そしてその先に待ち受ける、音楽サイボーグの冷たい視線!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
来たぜぇ…摩周おじさんの札幌ライブ計画がよぉ…。
ここにアルゴナビスをどう巻き込んでいくかが、おじさんが音楽を、GYROAXIAに何を見てるか、判断する材料にもなろう。
©ARGONAVIS project.©BanG Dream! Project pic.twitter.com/wZi6HjEJcV
俺ァ摩周おじさんに過剰に肩入れしちまってるので、彼も子の作品の良さである音楽への"熱"を持つ、同志であって欲しいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
銭だの栄光だの、面白くもねぇものが欲しくて場を引っ掻き回すのではなく、冷たい視線に凶暴な純情を込めて計画を練ってくれてると、非常に俺に良いのだが…さて、どうなる
そんな感じの、ホットなリーダーの陰りと再出発でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
物語を牽引する熱血漢が、ただのバカではなく深い傷を抱えていた。
そういう平等な陰影を刻みつつ、重い鎖を振り千切り未来へ漕ぎ出していく熱量、結人の行いが自分に帰ってくる公平さが、なかなかに気持ちよかったです。
那由多くんの歌を効いてから、スイッチ入りっぱなしの七星"キラー"蓮がたくさん見れたのも良かった。俺は殺し屋の目をした音楽家が大好きでね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月18日
北国に渦を巻く、赤と青、2つの"バンド"。衝突した運命がどのように展開するか、後半戦に胸高鳴るエピソードでした。
次回も楽しみッ!