かくしごと を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
師走!
地獄の年末進行に差し込む一筋の光明…それはパーティーのシャンデリア。
アシスタントの嘆きと漫画産業の斜陽を背負い、漫豪・後藤可久士…他社の宴席に子供連れて、スルッと滑り込む! 全然カッコよくないッ!!
そんな感じの楽しいG-PRO、年末特大号である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
無邪気なアシスタントたち、相変わらず極悪な十丸院、マンガ業界の内情、可愛くミステリアスな姫ちゃん。
そんなみんなを背負い、パーティーに右往左往する可久士先生の面倒見と浅はかさが鮮烈なエピソードだった。
バカ騒ぎもまた、年の瀬の賑わい。
そう思える楽しさが、全てが終わった後の未来の広漠を、より際立たせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
青い鎌倉の擦り切れ方も心に来たが、アシスタントとは言え”作る”側にいた志治くんが、凍りついたような丁寧語で”売る”側の末端にひっそり座っている姿に、祭りの終わり…その先に続いてしまう生活を感じ、とびきり寂しかった。
元々そういう対比で、このアニメの現在と未来はバランスを取っておるわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
馬鹿馬鹿しくも賑やかなG-PROの”祭り”に僕も乗っかり、笑いツッコミ楽しんだ最後に、スッと冷えた本屋で売り買いされる漫画家・後藤可久士の骸…漫画ですらないゴシップを突きつけられると、たまらない気持ちになった。
ラストの、一種能的な”冷え”を強調するためにも、在りし日の狂騒は激しく、楽しく進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
代わり映えしない漫画生産者、唯一のハレの日。自分が世間に認められうる、”いい仕事”をしていると確認できる、魂の充電日。
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アシスタントがパーティーに狂うのは、可久士が苛まれ、歯を食いしばって耐えている世間の蔑視を、彼らも感じている反動だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
それが被害妄想で終わらず、実感を伴った世知辛い事実だからこそ、年末くらいはハメを外したい。ハズレ者と後ろ指さされればこそ、祝祭には魂が燃えるのだ。
しかし景気と世相という別種の風が、マンガ業界には冷たく吹き晒す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
パーティーはない。ハレの日は遠くに過ぎ去り、それでも生き延びてしまった日々を、なんとかやり過ごしていくしか生存者には手筋がない。
ここら辺の寒さは、すべてが終わってなお続く未来編に通じるものがある…と思う。
年末進行でズレた、二重生活の季節感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
クリスマスに浮かれる姫ちゃんの可愛さは相変わらず天下一であるが、可久士先生は大晦日通り越して門松までダッシュである。
タイムトラベラー。
奇妙な日常に思わず漏れた、ユーモア混じりの自称。
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現在と未来の間を書かず、結果だけを積み重ねている子の作品のミステリを思うと、結構大事な描写なのかな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
姫を幸福な家から押し流した、時間の流れ。それに取り残されて”消えた漫画家”になってしまった可久士は、今どこに、どの時間にいるのか。
謎は相変わらず、長く影を引きずる。
それは”先”を知ってしまっている僕の感慨であって、先生が疾走する様子をぽけけーっと眺め、お花咲かしている姫ちゃんには関係ないことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
今週は十歳児のミステリアスな所が随所で顔を出し、そういうの見るのがだーい好きな僕としてはホクホク顔だった。面白いなぁ十歳児…。
『先生と 言われるほどの 馬鹿じゃなし』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
そんな川柳も思い起こされる、編集と漫画家の関係性。
仕事相手に一切のリスペクトを見せない新世代モンスター、十丸院は今回も絶好調。
敬称も文脈次第で、蔑称へと顔を変える。このお話らしい、シニカルな智慧
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パーティー廃止の絶望に、サイコネタが暴走した時の”勝手に改造”みたいな絵面になるG-PRO。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
そこで封蝋付いた招待状を握りしめて、他人の栄光にスルッと滑り込み心を癒そうと提案する、墨田の腹は太い。
この図太さが、未来で成功している雰囲気に繋がってんだろうなぁ…。
いつもの如くすれ違い、ひと悶着ないと会場にすら入れない、いつもの面々。ノンアルコール飲んでるのに、酔ってる体で応対してくる十丸院のモンスターっぷり、ほんと凄いな…。巨匠呼ばわりも、可久士の被害妄想じゃないし…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
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可久士がアシを寒空に置き去りに、姫のために突っ走るのもいつものことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
ガハハと楽しく笑えば良いのだろうけど、未来の寂寥を思うと、その猪突猛進が悪い方向に行って、”何か”が起こったのかなぁ…などとも考えてしまう。
失敗ばかりの穴だらけ、ダメダメな男がそれでも、唯一掴み取りたかったもの
それはよく分かんない独自の世界に生きてる、独特の生き物だ。その分からなさも引っくるめて、可久士は姫をとびきり愛している。なんでそんなに”シンデレラ”に拘るの…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
大事な姫を的にかけたら、いつもは戯れですんでる掛け合いも、マジギレの色を帯びる
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まぁ十丸院は常に『怒られろ!』と思われてるキャラなので、こういう所でピシャっとやられるのは大事だと思うけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
かなり本気で泣いてるのに、アシ連中が距離を置いているのが世知辛いというか、自業自得というか…なかなか独特なポジションである。おもしれー編集…。
可愛い姫を狙う有象無象に神経尖らす暇もなく、中学館の十丸院狩りが始まる。我欲で庇い立てしたら、もみくちゃにひん剥かれ、一部の視聴者へサービスタイム!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
インチキしたらそれなりに報いがあるバランスは、この話をコメディたらしめる大事なセンスね。
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ピンクですげーときめいた雰囲気なのに、お互いエゴ剥き出しで自分のことしか考えてない我利我利亡者っぷりが、この話らしくていい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
『姫のため、姫だけに』っていう可久士の献身もまたエゴで、だから明後日の方向にズレまくる。でもそういう不格好な愛しか、可久士も僕らも持ち得ない。
そんな有り様に共鳴しているから、僕らはこのアニメを楽しく見れているのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
だからヒドいまんまで終わるのは、あまりしっくりこない。だっせぇヲタセーターでも着せてあげて欲しいし、編集部の対立も収まって欲しい。
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そういう祈りを拾い上げて、色々あったが姫は笑顔、お父さんも一緒に美しいイルミネーションを見上げて、クリスマスは終わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
ああ、良かった良かった。めでたしめでたし。
そういう感慨で終わらせてくれないことを、9話付き合った僕らはよく知っている。
今回のサブタイは『師走は君の嘘』だ。
明るく楽しい日々が、永遠に続くという嘘。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
可久士が消えたという、志治くんがつぶやく嘘。
未来のクールなリアリティが、暖かな思い出をスッと冷やす。”マッチ売りの少女”にも似た、温もりの中一瞬だけ浮かぶ、夢のような時代。
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G-PRO時代の朗らかさが消えた、人形のような商売顔が告げているのは、一体どんな変化なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
彼が虚空に呟いた『それ、嘘ですよ』は、何に対する抗議なのか。
謎は深まり、そして納得もある。
死かスランプかはたまた他の理由か、可久士は画業から離れている。
そういう世間の認識が”嘘”なのか、はたまたかつて志治くんが身を置いていた漫画家業自体が”嘘”といいたいのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
それとも”消えた”と揶揄される前の、ハチャメチャだけど楽しかった時代そのものを”嘘”と言いたいのか。
結果だけが示される、この作品らしい言い回しは、疑問には答えてくれない。
だから辛いな、と思う部分もあるし、その冷たい拒絶が怜悧な面白さに繋がっている部分もあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
ミラーボール、シャンデリア、イルミネーション。
明るい未来を幻視する光は、しかし画定した未来には届かない。姫は孤独で、可久士は”消え”、夢のような曖昧さは冷たいリアリズムで塗りつぶされている。
現在と未来のギャップ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年5月29日
そこが埋まらないミステリアスな冷たさを差し込んでくる、計画的な犯行でした。感情を的確に揺さぶる構成、やっぱ上手いなぁ…。
話のゴールも見えてくる話数ですが、まだまだ秘めた謎と描かれざる愛おしさは多い。
さて、次回何が明かされ、何が隠されるか。楽しみですね