A3! SEASON SPRING & SUMMERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
”家”との対峙を終え、無事劇場に帰還した天馬。
しかし真実戦うべきは、己の中の傷にあった。幼年期のトラウマがエースを縛り、カンパニーの動きは鈍くなる。
身を焦がす恐れを、震えながら飲み込む時。
砂漠の一滴のように、勇気と団結が喉を潤していく。
というわけで、一難去ってまた一難、エースのトラウマと揺れる劇団である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
天馬のトラウマが開示され、それに乾く辛そうな表情が描かれる今回。
なぜ”Water me!”なのか、自分の中である種の答えを見つけた感じもある。
人は皆、潤いを求めて彷徨う旅人。水は己の中から湧き出、誰かから与えられる物
先週開示された三好の傷も引っくるめて、集まるべくして集まったカンパニー全員で、勇気を繋げ、砂漠のように厳しい世界を前に進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
やってることはコメディなんだが、寧ろだからこそ、シリアスな人生を笑い飛ばせる強さが、演者には必要とされる。強張ったクソ真面目じゃ、笑うものも笑えない
笑劇が笑劇たりうるには、分厚い余裕で震えを隠し、観客を安心させる必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
そのためにはヘヴィな難問から目をそらすでもなく、恐怖に喰われるのでもなく、自分の中から…そして隣合う仲間から”潤いを、立ち上がる力をつける必要がある。
そんなリレーションが、良く見える回だった。
俺たちのリーダーが”家”に引っ張られたところで引いたわけだが、こっちは天馬の侠気論劇バトルで、結構あっさり片がつく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
ここで”家”をラスボスにしないのは、困難のバラエティが多彩でいいことだ。それは難題だが、常に最後に立ちふさがる壁というわけでもない。
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夏組の真実を、ホームページに掲載できない。調子がいいはずの三好の顔を覆う曇りが、彼の中のシリアスを教えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
ツンツンしてた幸も、頬腫らして帰ってきた天馬を見たらこの表情である。理解っちまうんだよなぁ…”仲間”だって。
関係構築と変化が随所に滲む描写は、このアニメの強みだね。
最悪にギクシャクした状態から始まったからこそ、カンパニーとして過ごす日々が生み出したもの、相互に繋がる感情の変化が良く見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
春組もそうだったけど、個性豊かで問題山積の連中が肩寄せ合い、お互いを思い合うようになっていくドラマはやっぱり面白い。アンサンブルが良いんだな。
今回は”水”と”足”が演出上、重要なフェティシュであると思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
天馬は親父にぶっ飛ばされた傷を氷(相転移した水)で癒やしつつ、自分を苛む傷について語る。
初めて上がった舞台で、自分を包囲する”目”に飲まれ、動けなかった過去。
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それを克服するべく、MANKAIカンパニーの扉を叩いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
春組千秋楽には、『ここなら…』と思わせてくれるだけのポテンシャルがあったわけだ。
そうして飛び込んだステージで、彼はリーダーとしてエースとして仲間に交じり、自分を変えてきた。
こうして傷を見せるとは、最初の”俺様”じゃ想像も出来ない
弱さを認める強さ。弱さの中の強さを認める賢さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
そういうものがMANKAIカンパニーには沢山あって、だからこそ多彩なメンバーが時にぶつかり合いながらも、お互いを支え合っていける。
あなたの緊張は、完璧を求める役者根性ゆえ。
そう、いずみちゃんは”皇天馬”を肯定する。
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様々にある人の特性のうち、良いところを見て悪いところを気にかけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
いずみちゃんの広くて深い視野は、カンパニーに寄り集まった問題児たちを、かなり強く巣食っていると思う。
長所と短所は裏腹で、片方を切り離してしまうともう一方が死んだりもする。なら、傷の裏にある強さを見たほうが良い。
それは自分自身、下手くそな役者として失敗しまくった過去をどうにか肯定するべく、身につけた処世術なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
しかしその視座が、強さも弱さも兼ね備えた当たり前の人間たちに前を向かせ、集団を成功に導いたのは間違いない。思い返すと春組、ホントヒドかったな…。
天馬の傷を、彼の強さである役者としてのプライド、観客へのサーヴィス意識と結びつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
この視点は例えば、かなり特殊な人格をしている三角が『アクションに強い役者』という自己実現を果たしうる未来と、強く繋がっていると思う。
三角に異常なこだわりを見せる、ちょっと困った男の子。
そういう世間一般の目線を、いづみちゃんは出会った瞬間から持っていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
コイツは動ける。面白い役者になる。
芝居に取り憑かれた一匹の修羅として、隠れた輝きを見据えて、自分と集団が三角を肯定できるように、積極的に動いていく。
そういう振る舞いができる人なのだ。
そんな彼女に支えられて、凸凹男子たちは絆を育み、名前呼びを許すようになった。久々の露骨なケンカップル売りキターッ!! ふたりは夏組ッ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
『名前で呼ぶイベントが大事』ってことは、実質プリキュアですからね。”一難去ってまた一難、ぶっちゃけありえない”わけですよ。
幸が名前で呼んだこともいいけど、天馬がそれに気づいてキョトンとして、その後微笑んで自分も呼ぶのが、凄く良いな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
リーダーとして、夏組の一員として、他人の顔をよく見れる青年になったんだなぁ…至もそうだけど、世界とも自分とも巧く噛み合ってなかった男が、道を見つける話が好き。
個性というのは軋轢を呼ぶもので、幸の異性装もまた、その一つである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
第8話では椋を力強く引っ張っていた”かっこいい”幸だけども、偏見やからかいが平気なわけではない。自分を貫けば生まれてしまう傷を、微笑みで隠し無敵を演じている。
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そういう震えを椋が至近距離で、天馬が遠い距離から見守っているのは、カンパニーだなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
幸は夏組に入って、シェヘラザードという”女”を演じることになった。
そのためのスキルを学び、心と体を鍛えたことが、級友の嘲りを逆手に取って、芝居で魅了する強さを生んでいる。
それはとても力強いパワーの獲得なのだが、それだけが幸の全て、”Water me!”の全てではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
悪意と自覚すらされていないだろう悪意に、晒されるのは怖い。しかしそこで引いてしまえば、自分の好きなものを後ろに隠すことになる。胸を張って、前を向いて進めなくなる。
だから、幸は”演じた”のだ。
それはとても勇気の籠もった強がりで、椋は親友の震えと決意を抱きしめる。が、画面の湿度がスンゴイ上がったぞ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
裏路地の濃い闇、だからこそ強調される光。
喉を潤し、震えを止める水。あふれる涙。
ペットボトルに乱反射する光と影。
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幸と椋の柔らかなプライベートを、鮮烈に描き出す路地裏のステージ。作画も演出もむっちゃ力が入っていて、的確なところをズバッと抜いていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
光の当たる場所では飲めない水、見せられない弱さ。
それを誰にも預けず戦えるほど強い存在は、やっぱりどこにもいないのだ。みな、震えながら闘っている。
そんな幸の強がりに勇気を貰い、自分も透明な悪意に立ち向かえた椋。彼が親友の間近に寄り添い、震えを抱いて『カッコいいよ…』と言ってあげれたのは、凄く良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
このシーン、エロいのが良いんですよね。生の躍動、青春の活写としてのErosが画面に満ちてる。少しのインモラルが、見事なスパイス
そういうクローゼットを見つめて、天馬も”皇天馬”を見つめる”眼”に向き合う覚悟を固める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
名前を出せば、嵐が起こるのは知っていた。だから背を向けていたけど、魂が発火する路地裏の抱擁を見ちまったら、黙ってはいられない。
リーダー…あんた侠だよ!!
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事ここに至って、天馬のアドバンテージだったはずの『有名な役者である』という属性は、絶大なプレッシャーを連れてくる弱点になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
ゲネプロを包囲する、百万の機械の眼。注目され結果を期待されるということは、誰にも顧みられないのと同じくらい、苦しい生き方なのだ。
これはゼロからの奮闘記だった春組と正反対の構図だし、春組が出した”結果”を裏切らない描写だとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
奴らは頑張って、何かを成し遂げた。MANKAIカンパニーは、もうゼロをイチにする物語を再演は出来ない。
なら、イチが持っている重たさ、それを万にも増やしていく辛さを、天馬に背負ってもらう。
四季を通じた連作形式を活かした、面白い画角の変化だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
演目も役者も、それを背負うカンパニーの状況も変わっていくなら、前公演を踏まえた上で大胆に変奏したほうが、そら面白いよね。
別の物語を積み上げることで、既に一つの物語を終えた連中も、別の輝きが見えてくるし。
ここら辺、第8話で咲也と話し合ったことが”リーダー”天馬の足場を作ったのと、巧く呼応してんなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
千秋楽を成功させて、咲也はもうヘボ役者じゃない。でもその柔らかな人格、豊かな視野、演劇への貪欲…”咲也らしさ”は消えない。
新しい道を走る戦友に、アドバイスだって出来るのだ。
組内部で繋がるものを大事にしつつ、そこを超えたハーモニーを丁寧に編んでいるところは、このお話のとても良いところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
夏組が次回公演を終えて、秋の物語が始まる時。天馬たちは新しい仲間に、どんな花束を手渡せしてくれるのだろうか。
そこも、僕はとても楽しみだったりする。
かくして、大注目の中迎えたゲネプロ。”眼”に包囲された天馬の動きは固く、リーダーにしてエースの不調は演者全員に伸びる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
天馬が圧倒的な資質で仲間を引っ張ってきた夏組のスタイルは、こうなると仇になってくるわけだね。ここも、長所の裏側にある短所、と。
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天馬は砂漠に放置された旅人のように、眩しすぎる光、強すぎる熱に己を見失う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
それは天才役者としてのスポットライト、やり直しが効かない”生”の演技に突き刺さる百万の眼だ。
期待と栄光…MANKAIカンパニーにはない天馬の特権と思われたものは、彼を渇かし苛む棘になる。
この灼熱は、今生まれたものではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
自分を殴りつけ、縛り付ける”家”の重圧。
芝居に真剣で観客に真摯だからこそ手に入れた、山盛りの期待と名声。
だからこそ乗り越えたく、だからこそ乗り越えがたい過去の傷。完璧を求めすぎて、もつれる舌と乾く喉。
天馬はずっと、そういうものに悩む苦しんできた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
それを超えられる可能性を、MANKAIカンパニーというオアシスに見たからこそ、サングラスに瞳を隠し、キツい口調で自分を守りながら、ここにやってきたのだ。
そして色んな鎧の奥にある1番脆い自分を、預けられる仲間とも出会えた。
そんな小さな震えを、巨大な”眼”は見ない。(ここら辺、エロティックなほどにプライベートだった幸と椋の路地裏と好対照である)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
荒れ狂う世評に背中を向け、幸の発破にも乗らず、背中を向けて消えていくリーダー。皆、その不在を心配する。
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ミステリアスな三角が、何故”演劇”に拘るのか。鍛えずとも飛翔できる資質を、何故持っていたか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
その一端が、”じいちゃん”への語りかけで少し見えた感じもある。
”じいちゃん”は三角唯一の居場所だったが、それが”家”から消えてしまって、夏組に身を寄せた…のか?
好きな演劇、続けられると良いな…
リーダーの再起を求める、団員それぞれの熱い視線。それに背中を押されて、来たぜ…ぬるりと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
やっぱこういうタイミングでは、我らが主役が(圧倒的に)仕事をする。頼れすぎる…。
最初は薄暗く低い位置を、いづみちゃんが占位してるところから開始。
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でもその関係性はすぐに入れ替わって、光があって高い場所…表舞台はいづみちゃんのポジションになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
位置ポテンシャルとライティングが、心理的優越を示す画面構成は、夏合宿と同じである。いづみちゃんは天馬より答えに近く、力強いので高く、明るい場所にい続ける、と。https://t.co/UzEy5Cubyf
役者としての才能、掴んだ成功の差。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
ボロボロのカンパニーと、世間に知られたスター。
天馬が最初立っていたポジションは、対外的な天馬といづみの明暗を示している。
しかしゲネプロは失敗し、天馬は迷っている。今まで掴んだ光は灼熱に変わって、暗い砂漠に追いやられてしまった。
彼が”皇天馬”として立っていた自信から、自分の足で降りた時。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
いづみちゃんはそこに代理で立って、少し高い場所から自分の経験を語る。
役者としての失敗、芝居としての成功。完璧ではなくとも、最高を生み出せる”生”の不可思議。
仲間として監督として、そこに目を向けて欲しかった。
俺はいづみちゃんが、巧く行かなかった役者生活をそれでも、今舞台に立つアクターズの背中を押すために語る口調がすごく好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
悲劇でも喜劇でもなく、人生の一幕として己の過去を捉え、そこから学んだものを真摯に手渡す。中々出来ることじゃないよ…。
続けられなかった役者生活だけど、得るものは沢山あった。誰が間違いと判断しても、私にとっては輝ける思い出、人生を潤す”水”だから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
あなたもまた、低い暗がりから立ち上がって、この輝きに身を置いて欲しい。
立花いづみ主演、”人生”という芝居に、天馬は目を奪われる
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ここで人生経験の優越、精神的成熟の強みから一歩踏み込んで、天馬と同じ視線に降りてくる所に、立花いづみの”人格”があると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
負けを知っているからこそ、上から正しさを押し付けはしない。同じ立場に立って、同じ世界を見ようと歩み寄る。強くて優しい女(ひと)だ…。
『天馬くん、もういづみちゃん以外に”恋”できねーな…』って感じだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
先輩役者が己の人生から掴み取った、輝きと潤い。いづみの言葉からそれを受け取った天馬は、曲げていた膝を伸ばし、いづみと同じところまで登る。
引っ張り上げ、立ち上がる。主客の幸福な連動。
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僕今回、ここが特にすげーな、と思うんですけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
あんだけ監督が”正解”言っておきながら、ステージから手を伸ばして光の中に天馬を戻すのは、あくまで”役者”なんですよね。
そこに居続けられなかったいづみちゃんは、最後の決定的な働きかけを、行うことが許されないわけです。
それはあくまで、今舞台に立ち続けるアクターズの特権なわけです。それを確保するために、いづみちゃんはあくまで影の中から声を伸ばし、手を差し出し、潤いを与えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
その誇り高い支えに乗っかる形で、役者たちは輝ける。でも、いづみちゃんはそこには立てない。負けてしまったから。
んじゃあ表舞台に立てない/立たないいづみちゃんが負け犬なのかって言えば、そんなことは絶対ないわけですよ。そういう事言うやつは、全員俺が殴りますよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
影に落ちた後も、光を生み出すことは出来る。失敗の只中から得たもので、今高く飛翔しようとする才能を支えることも出来る。
ステージに立ち、観客の前で夢を演じるための決定的な峻別はありつつも、そこからはじき出されたものの力を肯定する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
誰もが主人公として、それぞれの舞台を持つ。
それは孤独な砂漠ではなく、重いと潤いを差し出し、支えられながら進む長い旅路なのだ。
何も、終わっちゃいない。
むしろ始めるためにこそ、天馬と夏組は堂々輝きの中に立ち、足を進めなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
取り返しがつかないからこそ面白い”生”に飛び込み、己を包囲する”眼”に自分を見せつけなければいけない。
こけら落とし直前。
そのための準備は、十分間に合った。
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春組もそうだったんだが、実際の芝居の前に荒波をビュービュー吹かせて、それを乗り越えていく勇姿を魅せることで『イケる…勝てるッ!!』という気持ちで最終話迎えるの、非常に良いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
確信を持って勝負を見守れるのは、やっぱ安心するし期待も高まるからね。夏組しか勝たんッ!!!
やっぱねぇ…”立花いづみ”って主人公がとにかく太いわけですこのアニメ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
表舞台には上がらない彼女が、どれだけの強さと優しさを持って生きてるか判ることが、作品の背骨を伝えているし、キャラクターが奮起するドラマに説得力を与えてもいる。やっぱ、主役が太い話が好きだなぁ俺は…。
毒舌俺様に見えた天馬が抱えていた、心の傷。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
顕にしても簡単には乗り越えられない重荷と、乾く喉。
それを潤してくれる勇気を、路地裏の抱擁から貰い、いづみちゃんの言葉から受け取り、夏組公演の幕が上がります。
人生という砂漠に、一滴の潤いを。
このコメディを通じて、あなたに元気を。
そういう想いを客に伝えるためには、まず役者が存分に渇き、潤う必要があった。だから、今回のエピソードなんだと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
僕は『笑いがどこから産まれるのか』ってことに結構興味があるので、トラウマに震えて笑うどころじゃない天馬の振る舞い、そこを超える今回の描写は、良く刺さりました。
役者が舞台で演じるのは嘘っぱちだが、それを本気で駆動させる燃料は、役者の魂から絞り、人生というフィルターを通じた”本物”しかありえない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
それを気軽に消費させるために、造り手は決死の努力を重ね、嘘を成立させている。
演劇論、フィクション論としても面白いところにたどり着いたと思います。
五話に渡り積み上げられた、夏組の奮闘。洒落にならない重たさや、それぞれの痛みや傷をしぼって生まれた”潤い”が、どんな笑いと感動を見せてくれるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
次回最終回、”Water me!”公演。
僕は非常に楽しみです。必ず、いい舞台になることでしょう。ヤクザも見とけよッ!!
追記 他人が見たいと思えるような嘘を、本気で付く仕事。そのためなら、シリアスなプライベートをすら飲み込まなければいけない仕事。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
”Water me!”と滑稽に叫んでいるシンドバッドと、スポットライトと巨大な”眼”に追い詰められ潤いを求めている天馬は、重なり合いつつ別物だ。
天馬が今回取っ組み合いした辛さは、おそらく本番では顔を見せない。それが覗けば、コメディはコメディとして成立しない。
だから役者はプライベートを腹の底に飲み込んで、決死で軽やかに嘘を演じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
そうやって成立している”Water me!”に、『水をくれ!』と叫んでいる一青年、一人間の叫び…それに応えたカンパニーの尊さがあることを、あなたは忘れないでください。
だから、夏組公演はコメディ『Water me!』なんだと思う
更にいうと、色んな荒波でスケジュールや制作体制が乱れたこのアニメの裏側…フィクションが乗っかるリアルにも、今回天馬が見せた苦労や苦しさと同質な渇きと潤いがあって、そこに想像力を伸ばせたらとても良いね、とも思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年6月16日
顔の良いフィクションだけが、傷と優しさに満ちてるわけではないのだ。