・ガルパ履修記録:凛と薫る風の調べ
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
氷川紗夜に降って湧いた、ギター指導の依頼。モニカの新人類ギタリストを相手に、マジレス人間と楽しい仲間たちは何を伝えうるのかッ!
…という感じの、紗夜先生奮戦記。自分たちの物語をある程度落ち着かせた”先輩”たちの顔が、良く見えるお話となった。
中学生にマジギレし、バンド仲間に牙を突き立てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
絞れば青汁が取れるほどに青かった氷川紗夜も、妹との因縁を整理し、新たな刺激に学び、日々を生きる中で己の在り方を掴んできた。
他のキャラクターと同じように、物語の蓄積を通じて”成長”したわけだ。
それは未熟な状態からより完成に近づいていくという、物語の基本的な構造をクリアしていく歩みでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
弦巻こころという意図された爆弾を残しているハロハピ以外は、結構初期状態からの問題に目鼻を付けて、乗り越え…ないながらも、答えの欠片は掴み取っている現状。
その先にどういう物語を続けていくかというのは、今後のガルパで大事な話だと思う。今回メインを貼った透子やモニカが追加されたのも、物語燃料の補充という意味合いは、大きくあるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
そしてガルパは、乗り越えるべき課題に答えが見えた所で、人生という物語を終えない話でもある。
答えを掴んだのならば、それをどう実践していくのか。自分の中にあるものを、どう形にして他人に伝えていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
そのような伝達が、発信源である”私”とその中にある答えを、どう変化させていくか。
そういうところに、じっくり物語を寄り添わせていくお話だと思う。
その体現者が、比較的早い段階で”妹”という問題に向き合い、ぶつかったり解り合ったりしながら、答えを見つけたその先を描いてきた紗夜であると、僕は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
『私らしさ』がより良くなったとしても、道は無限に続いていく。日々の生活の中で、あるいは別の人の悩みに向き合う中で。
捕まえた答えは問われ、共有され、他人の中で別の答えになっていく。そんな有機的な連続体にこそ、別々の個性を持った個人が触れ合う人間集団の面白さがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
そういうガルパの世界認識を、紗夜は一番色濃く体現しているキャラだと思う。あのマジレス人間が、よくぞここまで…。
自分たちの道に悩んでいた歩みも、ある程度以上の落ち着きを手に入れた所で、新たに発生する物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
今回のそれは、『教える』という行為の難しさであった。
紗夜は真摯で誠実な人なので、『教える』という行為はおそらく向いている。しかし、その生真面目さを器用には扱いきれない人でもある。
感性優先主義の透子を弟子に取る今回、紗夜はよく悩み、よく教える。同じフィーリング主義のおたえが、マジレスをゴツゴツぶつけすぎる紗夜の緩衝材として、いい仕事をしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
紗夜が内面化している規範に照らすと、弱音を隠さない透子は評価が高くならない。少なくとも、出会ったばかりの頃は。
その難しい時期を、ギターを引く仲間がいるだけで楽しいおたえの朗らかさ、『楽しい!』とドンドン表に出す性根が上手く支えていたのは、なんだか凄く眩しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
不思議ちゃんに見えて人寂しい子なので、共通言語が見つかるとかなりグイグイ来るからなぁ、おたえ。ギター一緒に弾けてよかったね…。
紗夜の『正しい』指導では克服できないポイントは、パフォーマンスと感性でドライブする薫と出会うことで突破口を見つけていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
ここで、自分と正反対の薫に学ぼうと、貪欲に噛み付いていく紗夜も良い。
第1章冒頭だったら理解もせず否定していただろう相手に、自分にない強みを見つける。
氷川紗夜の世界はRoseliaのギターとして、一少女として泣いたり笑ったりしている内に、すっかり広がったのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
ギタリストとしての薫の凄み、強みが描かれたのも、また良かった。ハロハピは完成度よりも幸福度重視のバンドだし、薫は”役者”であることを24時間己に任じているので、ああいう演奏になるね
透子もモニカ一章で見せた甘ったれた部分、肥大した自己評価を残しつつも、出来ない自分を客観的に見据え、練習で変えていくストイックさが光っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
『人が変わったように』正しい選択肢に飛びつくのではなくて、ダメな部分含めて自分のまま、ちょっとずつ変われる手段を探していく。
紗夜が長い物語の中で変わっていった歩みと、同じで違う道を透子も歩いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
今回汗をかいて努力しまくり、先達に助けられて課題を超えた経験は、彼女の中に大きな”何か”を残すだろう。そこから生まれる変化は、ホームたるモニカの新しい物語で、触媒となって別のキャラを変えていく。
バンドを越境するイベストで面白いのは、そういう”おみやげ”が手渡される瞬間だったりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
ルイがルイがと、一回も立ち絵登場しないのにマジうるせぇ透子が今回の成長を、どういう顔でマジレスヴァイオリニストに手渡すのか。
想像すると、結構楽しい。アイツマジお互い好きすぎだな…。
薫と透子、薫と紗夜。繋がりにくい二人の間を取り持ち、アダプターとしての才能を発揮した奥沢くんも、とてもいい仕事をしたと言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
苦笑しつつもトンチキ人間の呼び出しには応じ、後輩の特訓に付き合ってスケジュール調整するあたり、奥沢美咲もすっかり”ハロハピ”であるね…(知ってた)
紗夜は妹へのコンプレックスを、とにかくストイックに”正しく”努力することで乗り越えられると信じ、自分を作ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
その頑なさはまだ消えきらなくて、透子のチャラけた態度の奥にある真摯さを、すぐさま直感は出来ない。
でも、目の前の人間がどういう気持でピックを握るのか、見落とす人でもない
自分の中にある『正しさ』に合致しないとしても、相手の顔をじっと見て、その中にあるものを探ってみる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
そういう強さを獲得できたから、今回紗夜は”教える”という難しい行為から、自分の可能性を広げる発見を掴めたんじゃないかな、と思った。
”教える”という行為は自動的に立場を作ってしまうので、そこにはいつでも相手を上からぶん殴る快楽の罠が待っているのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
『妹と比べてできない』と、常に自己評価低く厳しく行きていたことで、紗夜はそういうところには落ちない。自分も学ぶ立場だと、謙虚に計測を続ける。
それが、善い教師である秘訣なのかな、とも思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
あくまで対等に、自分のセンスを手渡していく薫も、楽しさで繋がっていくおたえも、先輩ギタリストにはそれぞれの”教え方”がある。そのどれもが、多分正しい。
透子もいつか、誰かに教えられるような自分のスタイルを掴むのだろう。
その時、色んな先輩にビシバシ鍛えられて、自分の汗が形になった今回の経験が、光り輝く宝石になってくれてると良いな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年8月11日
学ぶ者にとっても、教える者にとっても、良い物語であった。初期5バンドのメンバーは、みんな”先輩”になったんだなぁ…と、モニカと絡むとつくづく思う。