GREAT PRETENDERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
シンガポールの青い空が見下ろす、因縁と欲望。
アビーの胸の奥で焼け付く記憶と、ルイスが噛み砕く自暴自棄。その横でサムの強欲にすすり付く、血吸蛭めいた詐欺師達の罠。
内破寸前の思いがついに焦げ付く瞬間に、お人好しの差し伸べる手は間に合うのか!?
そんな感じの、シンガポール編クライマックス直前。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
とは言っても割と今までと同じ調子で、アビーはむっつりと暴力的にふさぎ込み、思いでとフラストレーションがシンガポールに踊る。
第1章はエダマメを狂言回しに、ダメな奴のダメっぷりと努力がテンポよく踊っていたけども。
2章はアビーがとにかく溜め込むので、状況がドロリと凝って動きが少なく感じてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
エダマメはかなり積極的にアプローチをかけてるんだけど、とにかくアビーが跳ね除けるからな…。
その冷淡さが”プロ”…って話にするには、アビーは詐欺師の仕事をやりきれておらず、あんま職人っぽくもない。
この中途半端さを最終話で炸裂させ、カタルシスを生む構造だと思うのだけど…個人的にはもう一手早く着火を始めてくれたほうが好み、かなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
主役であるアビーの心境が停滞するので、それに引っ張られてドラマ自体も停滞してるように見えてきちゃうのよね。さて、最後でどうなるかな。
そんな感じで、ダーティーマネーが蠢くシンガポール。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
せっかく大空が舞台なのに、相変わらずのスッキリしない茶番劇。
まぁエダマメが空に再起をかけた物語が、クソ仕掛けで爆発させられる世界だからな…基本、世の中腐ってる。詐欺師はその腐汁をすすりつつ、欠片ほどの矜持と痛みを輝かせていく。
そこに焼け焦げた思いでを抱え込むものと、擦り切れつつも空疎な夢を握りしめるもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
復讐者とその標的は、実はお互い同じものを抱え込んで、しかしぶつかり合わない。
第1章のサラザールみたいな可愛げが、ルイスにも欲しかったかな…。
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ルイスが擦り切れた灰として止まっているように感じるのも、彼にアプローチするべきアビーが傷を抱え込みすぎ、動きが少ないからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
愛され正義を信じた記憶を裏切られつつも、それを捨てきれず大事に守ってるエダマメが主役のときと、キャラが違えばドラマの進展も違う、ってことか。
共に戦火で焼け焦げて、大事なものが燃えたアビーとルイス。その衝突をクライマックスの種火にするなら、もうちょい二人の接触があって欲しかった感じはある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
これでアビーが空に浪漫を抱いてるなら、そこ接点に話も転がるんだが…彼女にとって空は憎悪の対象だからな…。
それでも、偽りの空を飛ぶのが詐欺師の仕事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
吐き気をこらえつつ、約束された勝利のためにアビーは飛び、それをネタに悪党はあぶく銭を掴む。
金庫の中身をカッパがれても、それは必要経費と一笑い。詐欺師の明るい食卓に、元悪役は背中を向け続ける。
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サムは詐欺師の飯を食わない。それが彼なりのプライドなのか、本当にやりたいことが別にあるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
第1章でも、第1話の東京ビズ(で、エダマメをハメる構造)が全体の暗喩になっていたように、第6話の地下闘技場がおそらく、シンガポールの物語を圧縮してあると僕は思う。
となると、闘鶏のように暴れ来るって計画を狂わせかけ、ギリギリで持ち直したアビーの”仕事”も、また再現されるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
結末が用意された闘いを、演じきることで悪党から金を奪う。
そんな前奏にはいなかった、本当は空で踊りたい落伍者。彼に向けられる、アビーの重い視線。
そこら辺が、序章と本編の結末を変え、自分も世界もつまらないと睨みつけていた女が少し、楽しいことを見つける足場になる…のか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
アビーの視線は少し潤みつつ、ルイスの過去を覗き見る。
元多国籍軍、バグダード爆撃。
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そこで焼き尽くされたものの残滓が、ずっとアビーを縛っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
エダマメは色んな回想の中で、正義と家族を信じた過去を思い出し、道化芝居を本気で演じきった後、ケジメを付けて自分を掴んだ。
胸に固まってた悲しみが動き出して、現実と自分を変えるダイナミズムがあった。
しかしアビーには、そういう流動性がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
プロとしてスタイルを固め、希死念慮も復讐の炎も冷たく受け流すのが、一匹狼の”普通”なのかもしれない。
そうだとしても、空でゲロゲロ弱ってるアビーはそんな”普通”を飲み込みきれていない。強く見えて、エダマメと同じく半煮えなのだ。
そんな彼女が踊る空の下、悪党をハメる計画は微妙に揺れつつ、佳境に入っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
絶対に勝てるギャンブルと思い込み、ヌルい身元隠蔽を見破られて出禁をもらう。
火の付いた欲望は苛立ちを加速させ、カモの目線は狭まっていく。
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サムを一回現場から離して、手近な接触点であるエダマメへの依存度を高め、本命の罠に誘い込むローランの手管が、なかなか恐ろしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
勝負事の鉄則は、相手の判断力を奪うこと。
うまい汁を吸わせたことが呼び水になって、サムは自分をハメる罠が見えなくなっていく。
まぁそんな罠の要にいるエダマメも、自分をハメたカプセルの正体には気づけないんだけどね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
すっとぼけてるローラン、ホント邪悪だな…。誤魔化し方もド下ネタだし。
自分を包む悪意には気づかないが、他人の迷いには敏感。エダマメ、才能はあっても魂が詐欺師に不向き
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エダマメだけがアビーの魂に瞳を向けて、銭金だけを見据えないと描かれているのは、彼の特異性を強調する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
他の連中は気づかないか、気づいてても切り捨ててる部分に、彼だけがこだわってしまう。
それは裏社会には馴染まない”普通さ”で、彼を主役にするこの話も、一片の隙もないプロの仕事ではない。
詐欺仕事のメカニックを題材にしつつも、そこに収まりきらない心の震え、変化のドラマを取り込んでいる所が、このお話一つの特徴なのかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
アビーの背中を見過ごせないエダマメの目線が、硬そうに見えて中身は脆い詐欺師たちに、どう切り込んで変化を生むか。
エダマメを触媒にした個人と集団、変化のお話なのかな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
アビーは相変わらず何も言わないまま、血に染まった思い出を弄ぶ。全てを奪われ、奪い返すように銃をとっても、勝つことも死ぬことも出来なかった過去。
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幸福だった時代を忘れることも、そこに戻ることも出来ないバレリーナと、未だ空を睨み続けているルイスが同じ存在だと、二人の虚しさを彩る舞踊曲は語ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
ここは”踊る”というファクターを共通点に、仇と復讐者が同じ焦げ付きを背負っていると上手く見せて、いいシーンだった。
エダマメがそういう”余計ごと”を気にかける中、ビジネスはゴロゴロと進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
サムには通じなかったシンシア必殺の色仕掛けも、ベビーフェイスには綺麗に刺さり、悪魔の薬がズブリとINN。
予定調和が崩されて、クソ悪党も怒り心頭である。
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銃付きつけられても、カモを引っ張る餌役をしっかり果たすあたり、エダマメの腹が座ったなぁ、と感心する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
サムがここまでキレるのも、今まで八百長で勝ち続けた(けど、観客は脚本に飽きてきて資金繰りは苦しい)経験が壊されて、混乱してるからだろうなぁ…キレるよう誘導もしてるしね。
不測の事態は当然山盛り、ピンチも涼しい顔で乗り越えてビジネスをやりきる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
詐欺師一行が(一応)固めてる腹を、同じ悪党ヅラでもサムは持ってないわけだ。
スリルを追い求めるフリで、その実確実な勝ちだけを拾いたい…ギャンブルに向いてないんだな。
…カモじゃん!(今更の気づき)
さて、そんな相手を釣り上げ料理するまではあと一歩だが、身内に飲み込んだ爆弾はチクタク音を立てている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
輝かしい栄光、自在に空を飛んだ思い出を捨てきれないルイスを、闇から闇に引きずり回すアビーの執念。
それに気づくのは、やっぱりエダマメだ。
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LAでエダマメは、道行く子供に自分を重ね、共感していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
プロとして心を固め、誰にも過去を預けないアビーは、同じような残影を見かけても足を止めることはない。
誰かの事情を聞いて、手を差し伸べるような善良さは、あの日爆弾で燃えた。
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だから殺す。だから死にたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
エダマメの心のなかでは生きていた家族の肖像が、アビーにとっては焼け焦げた呪いになっていて、絶望としてしか発露しない。
このどん詰まりも、”プロ”の生き方の一つ…てのと、それを変えうるエダマメの特質を見せるエピソードなのかもな、シンガポール夜話。
唯一アビーの危うさに気づいてるエダマメが介入しなければ、アビーは殺人者に、ルイスは空を夢見る骸に変わる。ツメに入ってる詐欺仕事も、見事に頓挫するだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
エダマメがお人好しの半人前だからこそ、成功するビジネス、救われる人もいる…かもしれない。
そこら辺をまとめれるかは、最終話次第だ
残り一話で一気に話が転がりそうだが 『そうなるための整地を、もうちょい積んでほしかったなー』という思いと、『このどん詰まりに心を抱えてる感じを、アビー主役で書きたかったのかな』という納得が、不思議に同居している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
LAで展開した、エダマメの旅路と成長が気に入ったからこそ。
思わずアビー主役のシンガポール物語にも、似た感じの活力と風通しを求めてしまうのだけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年9月6日
アビーとエダマメ、同じように過去に傷を持つ存在を同じようには描かななかったことが、クライマックスでどう生きるのか。
そこら辺に注目して、最終話を待ちたい。次回も楽しみですね。