GREAT PRETENDERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
”美術界の007”に吠え面かかすため、絶対必要な最高の贋作。
それを創れる唯一の男は、シンシアが凍りつかせた過去そのものだった。
冷蔵庫に入れたままの思い出は、お人好し詐欺師の熱量で溶けるのか?
止まったままの時間は、果たして動き出すのか?
そんな感じの、ロンドン人情絵巻第三回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
LA、シンガポールとビジネスをこなし、結局人様の事情に首を突っ込まざるを得ない自分の性を理解したエダマメくんが、凄い勢いで面倒くさい所を攻略しまくる回だった。
こんぐらい人情無双してくれたほうが、僕としては好みの味付け。ガンガン行け。
『なーんでアンタ詐欺師やってんの…』っていうくらいの情感一本勝負だけども、ロンドン終わった後の最終第四章、ローランがメインになる時そこら辺ツッコむのかなー、と思ったりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
前半積んでたものを後半爆発させるのは、このお話得意の筋立てだしね。さて、どーなるかな?
それは先の話として、今は倫敦贋作稼業である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
エダマメが見つけた賞味期限切れのトフィーには、女の未練が閉じ込められている。
ローランなら『個人の領域』とドライに流すところだろうけど、エダマメくんは見逃せない。
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ここでウジウジ足踏みせずに、トーマスの領域にもシンシアの領分にもガンガン土足で上がり込むようになったのは、…まぁ一話少ない尺の都合もあるんだろうけど、シンガポールでお節介して見れたアビーの笑顔が、LAで迷った挙げ句自分で決めたケジメが、エダマメの心のなかで大事だからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
詐欺師のスタンダードからすれば、ウェットすぎ体温高すぎなスタイルを、自分は捨てきれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
この事件に巻き込まれたんだって、下宿先の苦境を見過ごせず首突っ込んだ結果だしね。
そういう譲れない自分ってやつを飲み込む腹が、エダマメにも固まってきた感じはある。
スタイルを固めたプロが仕事をこなしていく様子で魅せるのと、その硬い殻の内側にあるものを暴いて、変化の様子を見せる部分が半々…後者やや多めなのが、このアニメの味付けなんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
やや甘めの配合だが、僕は嫌いじゃない。LAでエダマメくんのこと、好きになってしまったからなぁ…。
そんな彼が切り込むべき、とある男女の過去。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
贋作の才能を見定められ、すれ違っていく道の先。ガラス越しの恋は欲望に揺れ、次第に運命が狂っていく。
そんな苦しい時代を支えてくれた、甘いトフィーと女の友情。
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シンシアが親友の苦境に銭を差し出した理由が、後出しで埋まっていくのはなかなか楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
役者に夢をかけていたシンシアだって、今じゃすっかり汚れた詐欺師。堕ちたのはお互い様でも、キレイだった頃の思い出はなかなか消えてくれない。
だからこそ、今度は騙す側になって過去に勝ちたい。
現在のモチベーションがじわじわ理解ってくる過去描写は、苦味も込みでなかなか良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
すっかりいけ好かない金持ちになってしまったトーマスと、志を捨てきれないシンシア、最後の食事。
現在時間軸で、主客が逆転して再演されるのは結構好き。
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一枚きりの毛布を分け合い、豆の缶詰で腹と心を満たす。それで十分だったはずなのに、汚い金が道を歪める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
シンシアがバリバリ騙しガンガン稼いでるのは、過去への復讐でもあるのかなー、と思ったりした。ここら辺、エダマメと似てんだよなー…面白いところ。
トーマスがこの段階では、自分のやってることを絶対『贋作』と言わないのが、細やかな台詞回しだな、と思った。『模写』って言うんだよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
自分がやってるのはオリジナリティを込めた、自分にしか出来ないアート。
ずっとそう思える場所が欲しくて、絵の具で手を汚してきた男が得た、初めての承認
ジェームズはそれを逆手に取って、カモを良いように使い倒してる。シンシアはそれに気づいているけど、自己実現の魔酒に酔ってるトーマスは気づかないふりをしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
その酔いは後々醒めて、彼を借金地獄に叩き落とすことになるのだけど、この段階では譲れない。
そうして、男と女の運命は別れた。
そんな二人の心を繋ぎ、真実に気づかせるキューピッド役、サル顔男子が獅子奮迅である。エダマメは偉いねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
金の亡者と貧乏な善人、すっかり入れ替わってしまった立場。露悪的に、あの時飲めなかった『一番高いワイン』を頼む、シンシアの想い。
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立場の入れ替わったテーブルを出すことで、今のトーマスが悪魔に囁かれた当時から変わっていると分からせるのは、なかなか上手い運びだなぁ、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
時間は青年の増長を砕き、女を泥に塗れさせた。
あのときとは逆の立場で、相容れないように見える二人には、しかし消えない思いがある。
だからシンシアはビジネスの中心になる贋作者に、トーマスを指定したわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
でもそんな気持ちに素直になるには、転がり続けた時間と受けた傷が大きすぎる。
んじゃあ外野が色々やんなきゃダメじゃん! てんで、エダマメくんが走り回るのだ。偉いなぁ…。
さてもう一方の肝心要、ジェームズ方面はアビーとローランがコンビ打ちで切り崩しにかかってた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
マフィアにアートの精髄を売り飛ばす、薄汚い成り上がりもの。ジェームズはローランを憎むが、それは鏡に写った自分にツバを吹きかけるのと、だいたい同じだ。
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同族嫌悪だからこそ歯止めが効かず、冷静な判断力を失うくらいにカッカするんだろうけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
ここら辺のスノッブっぷりをよく見抜き、ゲスを手玉に取るローラン自身は、まだ鏡に本心が映らない。同じ穴のムジナか、憎悪すればこそ敵をよく知ってるのか。四章楽しみだなぁ……。
本来ならシンシアがやりそうなハニートラップを、アビーが完璧にこなしてるのは、シンガポールの”後”の話だなぁ、という感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
まぁ過去に接触があるので、身元バレる可能性もあるしね。適材適所で割り振られた仕事を、クールにこなすアビーちゃんが頼もしい。
順調に獲物を岸に引き寄せてる仲間に対し、酒飲み女はむっちゃ面倒くさい事になってた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
手を付けないローストビーフ、注いだままのワイン。レストランのシーンはシンシアの髪と同じ、”赤”で統一されたカラーリングが印象的だ。
それは心の傷の色、取り返せない過去の色
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男は罪を知って悪事に背を向け、女はその渦中にあえて飛び込んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
清廉な役者志願のままだったら、もう一度やり直せたのだろうか? でも悪党じゃなきゃ、この事件に踏み込んでもいない。
時は人を置き去りに流れ、断絶はなかなか埋まらない。ああ、面倒くさい…。
放っておいては冷めるばかりの過去を、ほじくり返して繋げて暴く。エダマメのお節介がドアを叩き、トーマスは彼を部屋の中に入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
自分が汚してしまったアートの魂を、身銭を切って買い戻す。自分なりのケジメを、自分でつける。
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トーマスの行動は第1章ラストで、汚い金を抱えて自首したエダマメとどこか重なる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
贋作を買い戻すべく作った借金を、贋作作って返す。そんなスジの通らない事をしたくないと告げる気持ちも、エダマメにはよく判るのだろう。
…ホント、可能なら堅気の仕事したほうが良いよなぁ…。
しかし運命と詐欺師の悪魔は、エダマメを詐術の業からなかなか放してくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
それでも手渡せるものはあるってんで、タフな女の芽を盗み、取ってきました非常食。賞味期限切れとうそぶいても、大事に守ってきたのは、偽物のダイヤモンド。
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タフィーに隠された純情と、男が悔やむ贋作仕事がキレイに絡み合って昇華される、人情勝負所だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
紙に描いたエンゲージリングは、ジャズ・スタンダードの”It's Only a Paper Moon”っぽさもあって、素直にきれいなモチーフだよね。
それで良かった時代が、二人には確かにあった。
どんだけあばずれトランスフォームしても、シンシアは約束を閉じ込めたトフィーを捨てれなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
詐欺師やる上ではアキレスの踵にもなるだろう人情を、どうも俺達捨てきれないみたいだ。なら、真正面からぶつかったほうが良い。
エダマメはそう考え、そう動く。
他人がどんなに傷ついていようが、むしろそれを食い物に傷を広げて甘い汁を吸うのが稼業なのに、どうにも退けない見過ごせない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
エダマメはバカだが、バカだからこそ通じるものがある。男はもう一度カンバスに向き合い、手を絵の具で汚す。
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一度小綺麗に手を整えた姿を見てるからこそ、トーマスがもう一度手を絵の具に汚して、がむしゃらに”絵”に向き合う姿は良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
今度は甘い囁きと薄汚い自尊心に騙されるのではなく、決意を持って騙し通してやる。そういうどす汚れた意地が、ギラリと光って好きな運びだ。
『そういう男の…人間の本気を、ちゃんと受け止めて報いてやれよ!』と、サル顔の詐欺師は女に告げる。マジ詐欺師向いてねー!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
豆の缶詰、空の酒瓶。外面なんか気にしない必死さと、何かを掴み取れそうな予感。寒い部屋を暖める、確かな温もり。
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シンシアが用意した部屋は、トーマスの再起で燃え上がり、二人が置き去りにした過去を蘇らせた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
そんな人情漂う場所に、二人をちゃんと連れてきて、捨ててきた思いに目を向けさせたのは、やっぱエダマメである。今回は停滞することなくビシバシ、最善手打ったなぁ…。
こうして生まれた贋作を、どう使って相手をハメるか。その破滅が、誰の幸福に繋がるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
次回ロンドン完結編、ファラちゃんの始末ひっくるめてなかなか楽しみである。
あの子ホント騙されてるだけで、いわば過去のシンシア&トーマスと同じ立場だからね…。フツーに詐欺やっても収まらん感じ。
まぁ悪を以て善を為す転倒した快楽は、結構大事に進めてるお話なんで上手く収めるとは思うけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月2日
シンシアとトーマスに関しては、今回エダマメが完璧に地固めしたので問題ないでしょう。
最後にピリッと、詐術の辛いスパイスが効くと気持ちいいかな、という感じ。次回も楽しみだ。