・初めに
クラフトエッグくんの”勝負”と聞いて、”プロジェクトセカイ カラフルステージ”を触る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
TRPGモノとしては、冒険企画局が出した”初音ミクTRPG ココロダンジョン”と重なる部分が多々あり、その文脈で読んでしまう。つーかボカロの素養がないねん…。https://t.co/y8MiD28g9h
・全体感想
システム的にはバンドリ2.0といった塩梅で、細かい所のブラッシュアップと音ゲー部分の強化が、モロにUXの向上に役立っている印象。色々触りやすい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
ストーリー解放が音ゲー頑張りと直結しているため『先を読みたいのに読めないのでゲームする』流れにモロハマりして、運営の掌の上だな、などと思う。
ストーリーの方はまだ途中(第3話~第6話くらい)なので確たる事はいえないが、非常に面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
各ユニットごとに違ったジャンル、違った向き合い方で音楽と繋がり、それぞれが認識している問題点も、人間模様も大きく異る。
しかし想いが人をつなげ歌を生み、セカイとなる構造は変わりがない。
セカイは名前のない曲を鍵に生まれる心象の具現(ミクロコスモス)であると同時に、そのセカイを生み出す心がつながる他者を内側に繰り込む外界(マクロコスモス)でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
一人間の心理と、巨大すぎる世界全体。認識の入口と出口が、初期段階から濃厚にリンクしている。
『我々は孤独な一人間であり、同時に必ず誰かと繋がってしまう群れである』というのはバンドリから続く認識だと思うが、”セカイ”という閉じていながら開いた道具立てによって、それはより鮮明になった気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
そこには個別の色彩があり、価値観があり、ユニットになる仲間と繋がれる特別な場所だ。
そしてそこからは歌が生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
”Untitled”という名前のない素材は、セカイで出逢った戦友と話し合い、ぶつかり合い、わかりあった果てに名前と個別の音調を与えられて、それぞれのユニットの声が乗る。
セカイから生まれたものが、そこの住人がセカイの外側と繋がる鍵になっていく。
ミクちゃん達バーチャル・シンガーはそれぞれのセカイに相応しい外見と性格を宿し、複数のアヴァターラを持つ最も新しい神として、悩める若人を導く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
しかし彼女たちはあくまでセカイにしか存在せず、思いが歌になった時初めて、その存在意義を果たすことができる。
超自然的な力を持ちつつ、どこか従属的な属性を持っているのは、プロダクトとして生まれ最新のポップ神話になった”初音ミク”らしい描画だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
彼女はあくまで優しく、若人のセカイを”思い出させる”。
それは心に元々あったもので、しかし忘れてしまっているものだ。みな、初期衝動を忘却している。
初音ミクという精霊(あるいはツール)はそんな、誰かと繋がりうる思いの形に光を当て、自分がどんな存在であるかを明確にして世に問う手助けを、しっかりやってくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
あまりに優しい神様で、漂う児童文学テイストにビンビンキてる。
・ユニット個別感想
5つのグループはそれぞれの在り方で青春ど真ん中という感じで、バラエティ豊かでかつ、生っぽい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
グループの背骨にバンドリで培った経験値などを感じつつも、”ガールズ”でも”バンド”でも”パーティ”でもないことで可能になった、新たな物語要素が元気だ。
Leo-needは逆位相のAfterglowといった印象で、幼少期人まとまりだった少女達がバラバラになり、また一つになっていく物語を追う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
なんか上手く行かない、どうにも上手く繋がれないもどかしさが繊細に切り取られ、非常にナイーブな肌触り。『ウジウジしてる』と切り捨てられる寸前を、上手く攻める。
”学校”という社会において、高校生は彼らなりに人間関係を構築し、必要とされるアバターをカブる。ガキじゃないんだから、素直に自分なんて出してたらハブられ殺されてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
でも、どこかで素直な子供でありたいとも感じる。そしてその思いは、なんてことない当たり前の日常に阻まれていく。
そこら辺のあやふやな動きにくさがシナリオの随所に埋まっており、生っぽい感覚が楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
ここを突破して”バンド”になった後の話が、マップ会話で山ほど積まれているわけだが、どーやったらあの四人があのキャッキャ状態にたどり着けるのか、全然想像がつかない。だから面白い。
”MORE MORE JUMP!”はアイドルの破壊と再生を追う偶像神話であり、パスパレとはまた違った角度からドルを彫り込む感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
”アイドル”に疲れ果てた女達がファン目線を持つアイドル候補生と触れ合い、再生を果たしていくまでの物語…かな?
ゆいかおりとAqoursとWUGがこの座組にいるの、”強”すぎて笑う。
”アイドル”の重さに一回膝を折った連中が、ゼロからリスタートする話は適度に暗くて面白い。ピカピカばっかじゃない陰影が、うまく話に立体感を与えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
暗いからこそ、主人公たるみのりの真っ直ぐな情熱、セカイを成立させる想いは強く輝くし、みんなを繋ぐのだろう。この明暗のバランスが良い。
”Vivid BAD SQUAD”は女女男男のストリート混交ユニットで、今読んでる範囲だとまだ結成されてない。つーか男男のほうが”ツブす!”って煮えだした。対立から生まれる友情……ッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
ストリートの系譜を一ジャンルとして選んだのは、今の音楽シーンに素直な良いチョイスだと思う。
引っ込み思案な少女が運命の出会いから、全く無縁のジャンルに触れて才能を開花させていく…というストーリーには、定番ゆえの安定感がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
運命の相棒になる杏changがカラッとタフないいキャラをしてて、内気なこはねといいかみ合わせ。憧れるに足りるカッコ良さがある。
男男チームは未だ顔見世程度だが、他人の前では結構紳士的な彰人クンが、相棒の前だけはメラメラ燃える”獣”をむき出しにしており、信頼と野心を感じられて素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
こんぐらい音楽に本気なキャラが居ると、テーマに必然性が出てくるから熱量大事よね。ボーイゆえのウィルダネスとかも、面白い味。
”ワンダーランズショウタイム”は寂れた遊園地に降り立ったパフォーマンスユニットで、そこはかとないハロハピ味。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
…なんだが、エンジンになる主人公・天馬司くんが天才肌ではない、タイムリープしない岡部倫太郎みたいなキャラなので、かなりテイストは異なる。
未来のスーパースターと自惚れている彼が、その実病身の妹を笑わせるためにステージを目指した…と最初に明かされてるのが妙味。良いやつじゃねーかよ!(ジジイは涙腺が脆い)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
彼自身は根源を忘れているので、仲間とセカイで触れ合ううち、自分の根っこを思い出すのだろう。この時点で”強い”
愉快な仲間たちは天然ピンク娘、ロボ表に出す不機嫌少女、謎めいた天才演出家と、まー癖の強い連中。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
彼らトンチキ人間も司くんと一座を建立する中で、”ステージ”に賭ける想いを顕にしていくのだろう。
セカイがあることで、バラバラの連中が一つに集い、お互い思いを同じくしてく未来が鮮明なのは良い
さてどんじりに控えしは、人生の舞台裏をひた走る”25時、ナイトコードで”通称ニーゴ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
音楽で親を殺してしまい呪いに囚われた主人公を核に、キョムキョムの実を食べた虚無人間優等生、承認欲求モンスター、可愛いにこだわる謎めいた動画作成担当と、アクしかない連中がアタマを寄せている。
序盤から親ぶっ潰しちゃった奏のスティグマ、人間を完全にエミュレートしているまふゆの虚無が暴れ狂い、尋常ではない”闇(ダークネス)”を誇っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
ミクという文化が若年層に接する時、そういう暗さが救いになってる部分は多々あると思うので、この攻めた姿勢は凄く良いと思う。
セカイに耽溺して現実との接点を失う危うさも描かれ、4ユニットで書ききれない薄暗い部分を担当して、作品に立体感を出す仕事を担当している印象。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
あんまベタベタしてない感じ、動画クリエーターユニットとしての実力での繋がりなど、色々独特で面白い。仲悪い所が良い。
”学校”との関わり方が通信制、定時制と様々あるのも、今っぽいし自由だし正しい描写だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
あとこれ途中まで読んだ直感…つうか妄想でしかないんだが、瑞希は身体的には男性かな、コレ。
キャラ記号として茶化す制作陣ではないので、性違和をどう扱うかは気になる。まぁ確たるモノではないんだが。
・挑戦と仕掛け
そんな感じで、音楽ジャンルとしても人間集団としても個性豊かな5ユニットで、初音ミクがいるセカイを切り取っていく構造である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
兄弟やクラスメートという接点を作って、ユニットを超えたリンクで話の横幅が広くなるよう、既に仕込みをしてるあたりも巧い。
ミクとPCがダイレクトに繋がる形式を取らず、複雑な人格を持った20人がセカイと出逢っていくお話にしたのは、届けたい層を見据えた結果だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
悩める若人のプリズムを通して、自分たちを理解し背中を押してくれるミクへの親近感、親和性を高める感じの語り口…かな?
そのためには青春の粒立て、思春期の解像度が絶対的に必要なんだが、まぁこのスタッフだとそこはアホほど上手かろう。はようストーリーを読み切りたい…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
バンドリで経験値積んで、物語消費スピードをどう調整するかの”答え”がある程度出てるから、この速度なんだろうなー、とか思ったり。
・まとめ
というわけで”プロジェクトセカイ カラフルステージ”、非常に楽しんでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年10月7日
今後も過負荷にならない程度に、クラフトエッグが仕掛けた新たな物語的挑戦に追いつき、食べていきたい気持ちだ。
キャラを一人間として立てて、ポップコンテンツで語る技量、やっぱ随一だなぁとか感じた。続きも楽しみ。