A3! SEASON AUTUMN & WINTERを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
薄っぺらい嘘で、全て乗りこなせる。
そんな万里の自信が揺らぐ。
さらけ出す自分がないから、嘘で固めたポートレート。
事実を突きつけられるのが怖くて、逃げ出した居場所。
その先に待つものへ、引いてくれる手を掴んで。
醒めちまった魂に、火が入る時が来た
そんな感じのさらば摂津万里ッ! クールボーイがホットになっちまうエーアニ秋組第四話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
ようやく…ようやく根性ドブゲロ、他人をバカにしているようで自分自身の値段を取引不能レベルまで叩き落としていたクソバカリーダーの目が開く回となった。
長かった…とは、正直思わなかったりする。
万里の問題が他人を、そして自分を見れないことにあるとはずっとこのお話言ってきたので、他人と自分の真実を見たくないと逃げ出し、いづみちゃんの働きかけで向き合い、本当に欲しかったものを見つめて態度を改める流れは、非常に納得感が強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
来るべきものが来た。そういう満足がある展開だった。
万里にとって『何でも出来る自分』というのは倦怠の源泉であると同時に、プライドを支える大事なものでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
十座にケンカで負けたことで動き出した彼の運命だが、敗北している事実…『何でも出来る自分』というセルフイメージが崩壊するのは、非常に怖い。
ネジ曲がった自己像をぶっ壊した更地にしか、新しい自分は立てられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
十座は椋の輝きを受け取ることで、秋組開始前に自分をぶっ壊し、更地に演劇人を作り直すことを決意した。
変われなかった自分、変わりたいと願う自分に事前に向き合っているので、心の炎も素直に燃える。
その率直さと熱量が、人を動かす原動力になっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
しかし万里は、崩壊と再生の切っ掛けを掴みつつも、『何でも出来る自分』にしがみつき、現状を認めることが出来ない。
ポートレートを演じて、はっきりと評価されることから逃げるし、カンパニーからも出ていく。防衛行動だ。
しかしそれでは、『何でも出来る自分』に飽き果てていた世界は変わらない。それが変わる期待があったから、自分を負かした十座の後を追ったのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
欲しい物を掴むためには、かつての自分が壊れるとしても、事実に向き合う必要がある。
今回のお話は、そういう歩みを追うエピソードだ。
芝居は嘘を付く芸術だが、薄っぺらな虚構では、人は心を動かされない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
『何でも出来る』とナメてた万里が、提出した課題。形だけ取り繕った、熱のない演技に”監督”の瞳が鋭くなる。
演劇人としてのいづみちゃんが見れるの、嬉しいね。
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春組んときは鹿島さんと同じレベルに立てなかった感じもあったが、今回は完全同調、万里の芝居が抱える全人格的ヤバさに、眉間を曇らせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
芝居を、役者を見る視力が半年の間に鍛えられているのが見えて、ここはとても頼もしかった。役者だけじゃなく、いづみちゃんの成長も見れる構成がありがたい。
中間発表の結果は、万里のプライドを傷つけるものだった。自分を拳で負かしたアイツだけじゃなく、他の連中とも大差をつけられている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
そんなはずはない。世界のほうが間違ってる。
そう吐き捨てて、万里は舞台に背中を向ける。
俺は逃げてねぇ。そう言いつつも、世界は軋む。
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万里が退屈な勝利を積み重ねれたのは、事実を率直に見れないこの気質が盾となり武器となり、世界を作ってきたからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
十座に殴られている以外にも、彼も”負け”てる瞬間は随所にあった…というか”勝つ”ことは常にどこか、敗北を含むものであるけども。
彼の賢い視線は、そういう現実を見ない。
『自分は出来る』というプライドを護るために、自分の都合のいいように世界を…それを認識する自分を書き換え、理屈をつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
賢いからこその檻が、彼を包んで護ってきた…あるいは、縛ってきた。
そこから出たいはずなのに、新しい自分になるのは怖い。だから、更に檻を高くし、その中に逃げる。
同時に十座に”負けた”ことでカンパニーに入ってきた彼は、自分が変わること、その兆しをいつでも求めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
負けたいし、負けたくない。
二律背反に雁字搦めになって、痛みの少ない慣れ親しんだ自己像を切り崩せないまま、いつものように賢く立ち回る。
ヤバくなったら逃げて、自分を守る。
この後ろ向きな歩みが、彼を仲間から遠い方、闇の濃い方へと押し込んでいく。十座は舞台に、仲間の間に、壊して作り直す光の中から、その背中を見つめる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
…見つめるだけだ。
追いかけて、手を掴んだりはしない。それほど大きい存在として、この段階の摂津万里は兵頭十座に認識されていない。
しかしこの”敗北”が、全てを変える契機になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
前回は暗い闇の中で行われていた至とのゲームは、今回明るく開かれた場所で進行する。
苛立ち、焦り、怯えている。
そんな自分を、ゲームが終わった画面に反射しつつも、万里はまだ見れない。
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勝負はもうついてる。俺が本気になるまでもねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
心理学の教科書に乗せたいくらいの合理化で、いっそ清々しいけども。
万里は扉を開け放って広い場所に出ていくようで、その実扉を締めて狭いところに閉じこもっていく。
それは自分をさらけ出し、ポートレートを完成させた役者とは、正反対の場所だ。
自分を打ち負かす拳に何かを感じて、そこから出てきたはずなのに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
万里は再び、冷たいマックの座席に帰ってきてしまう。周囲に人はたくさんいるのに、彼は一人だ。
プライドと才能の壁が、彼を孤独に閉じ込めている。それで、自分を守っている。
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顔面100点人格0点のイケメン役者を攻略するのは、やはりここ一番…この女(ひと)である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
いづみちゃんは万里が閉ざした壁を唯一乗り越え、逃げる彼に追いすがる。光は彼女に近い場所にあり、万里が影の濃い方へと逃げようと…物語が始まる前の孤独へ戻ろうとするのを、しっかり止める。
他人を見ろ。自分を見ろ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
いづみちゃんは万里に足りないものを的確に突き刺し、その腕を掴む。
『負けていない』と理屈を積み上げ自分を守るのではなく、十座に…秋組の全員に芝居で負けている現実から、新しく自分を始めろと彼を鼓舞する。
その時、私も必ず隣りにいる。
額に汗して、逃げ出した万里を追いかける行動それ自体が、いづみちゃんが万里を孤独にしない何よりの証明になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
”何か”を感じて動き出したことは、既に万里を取り巻く世界を…そこにいる万里を変えている。
もう孤独ではないから、彼は追いかけてもらえるのだ。
万里が望んでいるはずの敗北と変化を恐れるのは、一人でそれに立ち向かえる自信がないからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
才が人を遠ざけ、それを当然と組み立てた『出来る自分』
それを壊したあと、誰が自分を作り直すのを手伝ってくれるのか。
孤独は、秋風のように心を震えさせる。
それを払う温もりを、監督が手渡す。
十座の拳と同じように、そのふれあいに”何か”を感じたから、万里は『お前は逃げてる』という挑発にも乗ったのだと、僕は思う。怒りと安心も、破壊と再生と同じく裏腹なのだなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
万里を中心に描く秋組は、相反するように見えて繋がってる人生の不思議に、面白い視線を向けてると思う。
両腕を組んで斜めに構え、ナメた態度で見つめる芝居。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
そこに焼き付く、四葉のポートレート。
賢く形だけ整えても、けして生み出されない熱量が万里の瞳に届き、姿勢を変えていく。
それはどれだけ逃げても否定できない、芝居という現実だ。
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かくして、万里は決定的な敗北と向き合うことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
孤独、諦観、後悔、切望。
十座のポートレートは、真摯な思いを一切隠さず演じられる。不格好にも思える熱が、客席に確かに伝わっていく。
暗闇の中見つめる、万里の魂にも。
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十座のポートレートは別格感を出すためか、照明による演出が非常に強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
バイオレンスな喧嘩のシーンでは赤く光り、諦めて闇に沈もうとした時はスポットライトから外れる。
演劇と向き合ったときには、天を高く見上げる視線の先に位置し、希望を掴んだ決意には三つの光が集う。
ポートレート課題は演出から主演まで一人でやるが、ここで照明を操作しているのは十座ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
一人芝居に見えるものも、誰かの支えでショーアップされ、より強く届く形になっている。
そういう縁の真ん中に踏み込むことを、十座は椋の舞台を見て決めたのだ。
それは自分を取り巻き、当たり前と諦めていた孤独をぶち壊す決意でもある。自分を破壊し、演劇人として再生させる契機でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
それこそが、万里が求め、逃げ続けてきたものだ。
自分が欲しいものは、一番キライなはずの敵の中にこそあったのだ。そして、それを万里は知っていた。
知っていて向き合えなかったものを、いづみちゃんが連れてきた舞台は突きつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
下に見ていたライバルの成長、『出来る自分』の崩壊と解放、演劇が持っている力。
ただムカつくと思っていた相手が、自分と同じ重荷を抱え、その縛りを既に解いているという事実。
そういうモノを肌で感じ、心で受け取れる特別な空間が、すなわち劇場であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
ここでようやく、万里は”演劇”と出逢ったのだ。
逃げなければ自分も立てたであろう、前座のポートレート。それを客席で見ることしか出来ないのは、自分が選んだ結果だと、ようやく素直に飲み込める。
大道具なし、役者一人。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
シンプルな道具立てだからこそ役者が自分をさらけ出す面白さ、それを際立たせる照明演出の力が伝わる、良いステージであった。
”演劇”がどう組み立てられるか、劇中の稽古や芝居で視聴者のリテラシーを上げてくるのは上手い作りやね。アニメ見てると、自然と”眼”が出来る。
観客席で受け取った、否定しようのない現実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
自分も変わることを恐れ、それでも変わりたいと願っていた事実。
それを胸に抱え、万里はもう孤独ではない。
どう、生まれ変われば良いのか。
それを教えてくれる”監督”は、いつでも隣りにいてくれる。じ、人徳~(アニメIKKO)
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『出来る自分』に縛られていた時、万里は誰にも尋ねず、教えを請わなかった。だって一人で出来るんだもん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
そのことがプライドを支え、同時に孤独を囲い込んでいたわけだが、『出来てない』という事実が胸に落ちた今、彼は防壁を解いて他人を視界に、心の中に入れることが出来るようになる。
負けを知るということは、支えられなきゃ立てない、情けない自分を受け入れる、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
それは誰かが支えてくれる、向き合ってくれるという安心と裏腹である。
その確信がなかったから、万里は自分を投げ出すことが出来なかった。…これ、家庭環境に相当問題あるな。
しかし既に”演劇”という己の道を見つけ、真摯に向き合う仲間の熱量を感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
逃げ出した自分を追いかけ、再生の炎の中に投げ出してくれたいづみちゃんと向き合った万里は、もう孤独を恐れない。
自分と同じ気持ちの奴らも、自分を導き支えてくれる人も、そこにいる。
だから、帰りたい。本気で芝居をやりたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
『その思いを伝えれば、おとーさんも許してくれるから…』と言わんばかりのいづみちゃんの表情、マジMANKAIの母。ママー!(発作)
上下関係がハッキリしてるヤンキー秋組は、疑似家族色、特に濃いなぁ…。
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跳ねっ返り共の首根っこを押さえ、共同体の秩序を司る”父”を左京さんがやってくれるから、秋組まとまってる部分もあるしな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
というか、好き勝手な個性がぶつかる人間共同体をまとめるときに、家族に割り当てられた役割を演じることが、安定の近道、って話か。
犯罪集団が”ファミリー”になるのと同じ。
万里がポートレートから熱を受け取ったように、本気で『出来る自分』を壊し、新たに生まれ変わろうとする万里の思いも、カンパニーに届いたのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
感動を受け取って、出来なかったこと、憧れていたことが出来るようになる。
こういうリレーが細かく躍動してて、ここのやり取り凄く良いと思った。
『ハイ、ストレスかかる展開お疲れさまでした! これ、詫びの裸体です!』とばかりに、展開される視聴者サービス。さーお風呂だよ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
ようやく一座に混じった万里だけでなく、左京さんもメガネを外して少し”素”を見せるわけね。
何かがたしかに変わった、と。
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”親父”を上座に上げた構図で、これからに思いを馳せる一座。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
『絶対負けねぇ…』
万里が呟いた言葉は、かつて十座の口からも漏れていた。
ようやく、二人は対等のライバルとして向き合える所まで来たのだ。
長かったなぁ…でも長く重いから、この感慨もあるわけね。
そんな二人の新しい距離感に、オヤジもニヤつく口元を思わず隠す。ツンデレも大変だねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
演技のニュアンス、全体の構成を考えて、自分の芝居を器用に調整できる。
一回自分を壊し真摯に向き合ったことで、万里を縛っていた”才”がいい方向に転がってるのも、非常に良い。
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それで終わんねぇのがA3! でございまして、今まで秋組の潤滑油やっててくれた太一の爆弾が、チクタク音を立てるのだ。相変わらず、臣は周辺視野が広いなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
チケット完売で順風満帆…と思いきや、飛び込んできた一大事。ズタズタの衣装に、曇るいづみちゃんの表情。
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一体どうなってしまうのか! っつーところで、次回に続く、である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
まぁ太一がやらかしたんだとは思うが、彼の”後悔”たるユキちゃんと、衣装係の幸を重ねてるのが、組を超えた関係性のタネで上手いわな。
つーか同じ人でしょ、十中八九。
道を見つけ、才の活かし方を学んで進んでいく万里の歩みを、自分だけ取り残されると焦る太一の危うさに繋げてるのは、上手い運びだと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
残り二話、秋組が超えるべき壁はまだあるけども、再生なったリーダーが、今度は誰かを支える側に回ってくれるでしょう。
というわけで、万里の演じられなかったポートレートでした。これで、秋組第一話冒頭の『マイポートレート、摂津万里』に繋がるのね。面白い構成だな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
万里に感じていた”はよ死ね”感が、余すところなくカタルシスへと反転し、再生の決意が心を動かす、とても良いエピソードでした。
彼の心に炎を灯す”演劇”の力を描くことで、作品がテーマと選んだものがどれだけ力強いか、それを演じる役者や、見守り導くいづみちゃんがどれだけ凄いか、実感を持って受け止められるエピソードだったのも、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
個人のドラマを超える、長い射程距離で話回すのは偉い。
新たな飛躍がカンパニーに力を与え、思いを揺らす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月2日
ズタズタにされた衣装は、太一の迷いの表れなのか。思いの外蛮族な幸が、黙っちゃいないぞ!
まだまだ秋の嵐は続き、それを超えてこそ舞台は輝く。
A3秋組、非常に力強く物語を積み上げてくれています。
マージ面白い。次回も楽しみ。