ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
桜坂しずく。
スクールアイドルにして女優。
演じることで、真実を隠す少女。
陽炎のように、追いかければ逃げる親友の心を追い求めて、中須かすみが走る。
明暗が入り交じる人生の舞台に、交錯する思い。
嘘も真も、全てを抱きしめられたのなら
という感じの、今回も強い! ニジガクアニメ第八話である。あの第七話の後に、この話出来るのって本当に凄いな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
話運び、テーマ性、演出、ステージ。全領域でとにかく凄いのだが、キャラクターを見せるエピソードとしての強さ、多様性がまず目立った。
率直な印象として、ここまでしずくは印象が薄かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
演劇要素も軽く撫でるくらいで、他キャラクターの復帰にも深く刺さらない。
あっさり風味の萌え記号、典型的な正ヒロイン顔。
露悪的にいえばこういう印象を、凄く上手く逆手に取ってきたと思う。ここら辺はかすみやエマちゃんとも共通。
『まぁこういうキャラっしょ?』みたいな視聴者側の余談の裏側にある、しずくだけの苦悩と強さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
それをガンガン、強い画作りと関係性描写でぶつけることで、ナメて上っ面をなぞった理解自体が僕を殴る感じに、話が転がっていった。
二足のわらじを履いていること、演劇者であること、優等生な印象。
これらの要素全てに、しずくだけの苦悩と強さがあることを、黒と白の心の中のステージ、明暗が複雑に入り交じる教室(無印八話との呼応!)を活かすことで、しっかり見せてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
ペラい書割だと思っていた子が、人間性の複雑な陰影を兼ね備えていたと判る、驚きと喜び。
そこに『一年組』にフォーカスを絞った話運びが絡まり、今まで知らなかった中須かすみ、第六話を超えた先の天王寺璃奈が、グッとこちらに迫ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
前回”みんな”の強みを描いた後に、三人だから、二人だからこそ繋がる関係を描く。
この過去話の活かし方も含め、テクニカルで熱のある話になった。
物語は黒と白の舞台から始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
黒は影、嘘と隠蔽。白は光、真実と正義。
そういう一般的なイメージを大きく越えて、今回はモノトーンで複雑な絵を書く話である。
表に立つ白くて綺麗なしずくは、その実仮面をかぶった嘘。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/jnFd84BR4d
素顔の自分を見せられない黒こそが、コンプレックスや醜さも引っくるめた、しずくの”本当”…でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
影と光が手を取り合えない、心の中の劇場。
これを切開し、演じることと曝け出すことの境界線を超えていくのが、アクトレス・桜坂しずくの課題となる。
この白と黒の複雑な関係は、最終的にはかすみと対話する教室に凝集していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
ここの明暗表現は非常に複雑かつテクニカルで、正直ここ最近見たのアニメで、一番凝った演出かもしれない。
白と黒の交錯でペルソナとエゴを描く手法は、”ツイン・ピークス”を少し思い出すかな…。
心の中の劇場を誰も覗かないまま、同好会は学内新聞の取材を受ける。既に自分のエピソードを終え、素顔の自分を堂々さらけ出せるようになった面々。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
それに比べ、しずくは当たり障りのない、表層だけの笑顔で取材を受け流していく。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/kaLljC9dOB
記者のテープレコーダーは画面の真ん中を遮るサッシに拒絶されて、しずくの内側には入っていかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
その防壁を部長も判っていて、しずくに当て振りしたはずの主役を取り下げようとする。
周囲を鏡に取り囲まれていても、しずくの内側は見えない。実像をトレースする鏡像は、独自の本音を喋りださない
この”遠さ”は、ここまでのエピソードを通じてのしずくの見えなさ、キャラ立ちの薄さとシンクロしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
視聴者(というか僕)にとって彼女がどういう人かは、さっぱり分からない。
鏡の仮面で顔を覆っているのは、これからさらけ出す、というサインでもあろう。
ここに切り込んでいくのは、同じ一年の中須かすみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
今までブリブリな根性悪アイドル、しずくとは別の角度から”演じるもの”として描かれた彼女は、今回すごく率直な『友達を案じる高校生』の顔を見せてくる。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/amZtcEujw6
それは意外な表情ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
第2話を見れば…あるいはそれ以降、彼女なりの真剣さでアイドル活動に勤しみ仲間を支える彼女を見ていれば、熱く篤い女だとはよく判る。
そんな彼女からも、しずくの影はドア越し、ガラス越しでよく見えない。しかし、かすみはそれを見ようとする。
何故か。友達だからだ。
”アイドル”の一塊から少し離れた場所から、学内新聞を持ち出す侑ちゃん。彼女のファン代表としての立ち位置が良く見えるレイアウトだが、かすみは新聞ではなく、目の前の人間を見続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/NXpvsLanTJ
いつもどおりの笑顔と安心して、スッと差し出された演劇の記事。それは降板を告げられたしずくの鏡であり、フッと仮面を突き破って内心が出てくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
その表情を、かすみだけが見逃さない。ハッピーで楽しいアイドル活動…かすみんが大好きな輝きから、親友だけが遠い。
今回侑ちゃんは遠景に下がり、問題解決は主にかすみと璃奈ちゃん、そして演劇部部長に預けられるわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
これは今まで見てきた”アイドル”中須かすみの、バリバリに作った顔、負けたくないから汚い声も出る表情とは、違う側面を書くためだと思う。
侑ちゃんは”ファン”なので、同好会一アイドル意識が高いかすみの隣に彼女がいると、どうしても”かすみん”を演じてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
それはそれで彼女の真実なのだけど、今回の突破口はマブダチが大好きで力になりたい、愚直で普通の”中須かすみ”が突破口になる。なので、一年トリオの描写は多い。
一人で悩んでいても、状況は良くならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
同好会復活騒動で学んだ教訓を即座に活かし、かすみは璃奈ちゃん…とクラスメイトに、素直に相談する。
第6話冒頭を思うと、璃奈ちゃんがこの距離感で友達と話せているのが嬉しい。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/eZDmJgXf87
かすみがここで璃奈ちゃんに話を持っていくということは、『親友の課題を一緒に背負ってもらうだけの筋力が、彼女にある』と信頼してる証拠だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
普段はキャンキャン対抗意識を燃やすが、中須かすみは根本的に、アイドルを、他者を信じてしまう。ジョイポリスライブでの奮戦を至近で見、信頼がある
親友達が”桜坂しずく”攻略の足場を整える中、当人は明暗の檻の中にいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
己をさらけ出せ。
部長からのオーダーを反芻しながら、しずくは黒い自分の声を聞く。素顔を見られない、見せられない本音は、個性と孤立を恐れている。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/P5NTu1q92s
”個”は虹ヶ咲の大きなテーマだと思うが、それは断絶と常に隣り合わせだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
世界に一人しかいない私であることは、大きな価値と同時に軋轢と孤独を生み出す。
それで生まれた傷で、仮面を付けて自分を守る。それを外すには、”良い子”に慣れすぎている。
それでも誰かに届けたい。ステージの上で、虚実が入り混じった感動を呼び起こしたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
そんなジレンマに膝を折って、しずくは手のひらで顔を覆う。どんな表情を作っていいか判らない、白い彼女の仮面である。
それを自力で引っ剥がすことは、今のしずくには出来ない。誰かの助けが必要だ。
というわけで、マブダチ爆弾行きますッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
戯けてとにかく楽しい風味に、本気の笑顔を引っ張り出す。中須、そして璃奈ちゃん…君ら偉いよ…。
かすみはとにかく前に出て、しずくにむかって手を差し伸べていく。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/1xSAjd6VLw
それに礼儀正しく乗っかって、しずくは楽しい自分を作る。みんなが望む自分を感じ取るセンサーは、第二の天性として磨き上げられている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
全部が全部、嘘じゃない。でも作り上げた防壁は、簡単には崩れてくれない。踏み込んでくる相手が、親友でライバルだったとしても。
”好き”なはずの往年の名女優を前に、しずくは強く表情を曇らせる。その”個”が孤立に繋がった過去、生まれた仮面と鎖。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
その薄暗さに璃奈ちゃんは共鳴し、かすみはよく判らない。
彼女は自分大好き、いつも可愛いかすみんだからだ。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/6SfIxSJ6qb
それぞれがバラバラの”個”であるこということは、価値観のギャップ、心を奮い立たせるメソッドの違いを生む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
しずくが心に飼っているのは黒い少女であり、自己評価も世界認識もかなり暗い。
不屈でポジティブなかすみよりも、顔を上手く作れない自分に思い悩んだ璃奈ちゃんに、実は近い。
この段階のかすみはその断絶に自覚がなく、自分のスタイルを押し付けてしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
相手の影の中に踏み込み、自分もじつは持ってる薄暗さを溶け合わせる準備が、まだ出来ていない。
璃奈ちゃんが後に教えるように、それは世界でかすみにしか出来ない歩み寄りなのだが。
今回のエピソードは、ここまで称揚されてきた”個”の薄暗い側面、バラバラの認識に橋を架ける難しさを、かなり丁寧に追う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
あらゆる物事がそうであるように、長所は短所と裏腹だ。薄暗い真実をちゃんと描かなければ、テーマと選び取ったものの真価は見えてこない。
そこを暴き、止揚する回でもあろう。
笑顔を作って背中を向けた先は、薄暗い心の谷間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
光に入りかけた瞬間、画面を覆う心理の緞帳。共に光を浴びていたはずの白と黒は役割を転じ、スポットライトは影であるはずの黒に降り注いでいる。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/UyLAr5Hw4k
ジレンマを突破するための正解は、思い悩んで動けない表のしずくではなく、心の奥底で顔を隠している黒のしずくが持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
勇気を出して、自分をさらけ出す。
それが答えなのは、しずくにも理解っている。しかし、踏み込めない。友達も信じきれないし、自分も好きになれない。
黒が光の中から差し出した手を、影の中の白は(まだ)取れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
友達の前では見せないズタボロな自分を、奮い立たせる力がしずく個人からは生まれてこないのだ。
このどん詰まりの状況を一回描いたことで、お話の難しさ、乗り越える手応えはグッと強くなっていく。
(黒と白に塗り分けられた心理≒真理、それが混ざり合う灰色の蠱惑は、”白鳥の湖”のオディットとオディール、あるいはそれをモチーフにした”ブラック・スワン””プリンセスチュチュ”あたりと、並べるべきネタなのかもしれない。舞台の話だし。)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
かくしてかすみは、上手く踏み込めなかった試みを反芻する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
自分が大好きなので、自分が好きになれないしずくを”頑固”と受け取るかすみに、”陰”の気を持つ璃奈ちゃんが助け舟を出していく。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/REsnglCAud
しずくとの向き合い方が自分では解らないかすみを、璃奈ちゃんがヒントを出して動かし、それがしずくの自縄自縛を解いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
真心のドミノが非常に気持ちいいが、それは支えてくれた”みんな”の一人である、かすみへの恩返しでもあろう。
瞳に宿った強い光、それを隠してつぶやく”ファイト!”
璃奈ちゃんがあの六話を経て、どういう人間になったのかが鮮烈に見えて、凄く力強い描写だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
彼女は内向的で頭が良いので、自分が何を考え、何に苦しんだかを鮮明に言語化できている。
自分の影と向き合った…向き合わせてもらえたからこそ、掴んだものを手渡せる。
そうさせてくれたのは、愛さんが…特別な誰かがいたから。まさかの本人不在から、超強火のあいりな爆弾投下とは…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
『貴方こそが、しずくちゃんの”特別”なんじゃないの?』
そう、璃奈ちゃんは問わない。弱さを飲み込む変化は、誰かの助けを借り、自分の足で進むことから生まれることをよく知っている
ここで璃奈ちゃんがかすみの決意、やってくるだろう喜ばしい変化を”みんな”に伝えて、勇気を寿ぐ首飾りを作る描写があるのが、マジ凄いと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
ここがあるだけで、三人だけの問題解決になんないんだもん。”みんな”に意味が出てくる
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/VIL3jnYVVH
というわけで、運命の教室に舞台が移る。あまりに劇的な天然照明の白黒は、複雑な乱反射の中にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
表に出るもの、裏に隠れるもの。
見えるもの、見えないもの。
影と光は入り混じり、シンプルな答えはここにはない。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/7cKU6wALFU
窓際の薄暗さは、お台場デートでは見えきらなかったしずくの陰りであり、かすみは闇を超えて光に入り、また影の中に入っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
自分がそれを感じなくとも、あるいは耐える強さを持っていても。親友の瞳の奥にある、陰りを見ようと歩み寄る。
ある意味、”桜坂しずく的存在”になろうとしている。
同時に影の中の中須かすみは、どうやっても”中須かすみ的存在”でしかなくて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
笑顔の仮面で自分を守ろうと、影の中に引っ込もうとするしずくの手を強く掴んで、光の中に曝け出す。
暴かれる瞬間を待つなら、その暴力性が今は正しい。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/hbnS2osxHK
中須かすみに明暗の複雑さはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
正確には、自分にも伸びてくる陰りを必死に振り払って、可愛い自分、夢をつかめる自分を演じ、信じようとしている。
自分が好きなかすみんで居続けれるように、必死にあがいている。それは、第1話からずっと続いている。
スクールアイドルが、”みんな”が集まる同好会という場所が心から好きだから、無様にあがいても守りたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
だから、看板だけでも守りきろうとしたのだ。
そういうひたむきな強さを、やっぱりこの少女は持ち続けている。
自分が好き。アイドルが好き。それを譲らない”陽”が、ひどく眩しい。
かすみの踏み込みを受けて、しずくは笑顔の仮面をようやく外し、臆病で嘘つきで弱い自分…黒い影をさらけ出し始める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
個性故に、孤独を感じた過去(これをあくまで間接描写で終わらせてるのも、当世の巧みなストレスコントロールか)
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/OgYYyPWJVa
嫌われるのが怖い、そのためなら夢に背中を向けても良い弱さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
仮面を付けている自分を吐露する時、しずくは光の側に向きつつ、その表情は影に入る。かすみは逃げ出した親友の顔を、見れない場所にいる。
その弱さは、かすみには解らないのだ。それが”個”である事の、もう一つの顔だ。
その上で、中須かすみは光の中で拳を作り、思い切り突き出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
分からず屋の甘えん坊に自分を力強く突きつけ、無理解ゆえの共感と理解を、デコピンに乗せて届ける。
あくまで真っ直ぐ、寄り添うなんて器用さはない。とても”らしい”。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/NY7fjB780j
かすみが突きつけた想いにしずくが向き合うこの姿勢は、しずくの暗さが分からないかすみが、それでも共通の痛みをなんとか届けようと、影の中に踏み込む間合いでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
自分が影から遠い存在であっても。他人の『嫌い』で足を止めない心の持ち主でも。
親友が足を止める場所は、自分にもある。
ここで『嫌われてる』ではなく『好きになってくれない』という言葉を使う所が、自分大好きなかすみんらしい世界観だな、と思うけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
そういう相手を振り向かせるためにも、”好き”になれる自分を演じる。どんどん近づく。
かすみの演技は、守るための仮面ではなく、攻めるための武器なのだ。
『可愛い!? 可愛くない!?』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
かすみんにとってはレゾンデートルに関わる大問題を、ぐいっと突きつけられてしずくはたじたじとなる。膝が崩れ、姿勢が低くなり、窓から入る光を遮るものがなくなる。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/qt3yYXtPA8
ここの細やかな明暗操作が、しずくの心の中で演じられていた白と黒の対立に、変化が起こったことを鮮明に、繊細に表現している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
黒は白に変わり、『いや…あんま…』という本音は表に出かかる。そういう変化を引き出したのは、かすみの無遠慮な踏み込みなのだ。
『かすみん可愛いよッ!』と、僕の頭の中の狂人が大声で吠えてるが、それは無視をして。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
判らない、判ってくれないと内なる暗闇に閉じこもる相手には、時に強すぎる光を突きつけてでも、想いを引き出すことが大事になる。
そういう仕事を、中須かすみはしっかり果たせる。
それは瞳の奥の暗さも含めて、しずくの全部を見よう、引き出して受け止めようとする強さと優しさが、中須かすみにあるからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
その光がしずくに入り混じって、彼女もまた強くなれる。でもそれは、自分の中にあったものを、仮面を付けていた自分を表舞台にさらけ出した結果でもある。
陰と陽、正反対のはずなのに、縁で繋がってお互い大好き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
そんな二人の不思議な関係が、求めていた答えにしずくを引っ張っていく。
ダイスキだったらダイジョウブ。
昔の人は、良いことを唄ったもんだ。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/n3lQHsDWvr
激情に突き動かされ、ど真ん中LOVEを突きつけるだけ突きつけて逃げていってしまう、中須の強さと弱さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
自分がどんな存在だろうと、愛し受け止めてくれる存在への信頼を叩きつけられ、しずくの瞳に光が宿る。
それは影と光が入り交じる、決定的な化学変化。
貴方が大好きな私を、私も好きになれた瞬間
こういう、ライ麦畑で落ちかかった子供を危うく拾うような力強い肯定こそが、人間の魂を支える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
中須かすみ…道化師の振る舞いに、強い信念と熱い魂…燃える”好き”を持った女(ひと)。
キミを見ていると、やっぱり宇宙No1アイドルを思い出してしまう。好きだなぁ…。
しずくは作中最高の笑顔でようやく笑って、光に向かって窓を開ける。風が未来に向かって吹き、髪が自由にたなびく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
ここで、光と影はようやく一つにまとまり、しずくは仮面を外す。あるいは、本当に付ける。
真実”演じる”ようになる
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/rc0sLbBBBz
しずくの明暗を突破する”特別なあなた”がかすみなのは、同い年の気安さ、”アイドル”しない少女の本音…だけが理由ではなかろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
かすみんもまた、キャラを作って演じている。だがそれは、答えを掴むまでのしずくとは真逆の、自己肯定に支えられた演技だ。
好きな自分を、好きなアイドルを、堂々好きと言うために、自分を演じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
そんなかすみの光を、愛を叩きつけられたことで、守り逃げるための防壁だったしずくの”演技”は、壁を壊して自分をさらけ出していく。
嘘と本当は、いつも近い場所にあるのだ。役者とぶりっ子、そこが似てる。
そうしてたどり着いた、主演の舞台。なんかつえーオーラだしてる他校の生徒も見守る中、しずくは”みんな”のエールを受けて、堂々センターに立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
やっぱ強豪他校が顔出してくると、グッと世界広がってテンション上がるなぁ…。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/5kLEKIPF6R
鏡の中微笑むもうひとりの自分に、しずくはもう怯えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
仮面を付けていても、いなくても。
顕な黒でも、隠された白でも。
そのどちらも自分で、暴いても怖くないくらいに好きになれたから。好きなのだと、貴方が教えてくれたから。
中須の視線が熱いぜ…。
心の中だけで演じられ、結末にたどり着けなかったグリザイユの葛藤。それは部長を鏡役に実体化し、融和のドラマを生み出していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
内面シーンと身長が違うの、イマージュとリアルを細かく書き分けて、極めて繊細な演出だと思います。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/u1aICMxJyu
白は影の中に、黒は光の中に。矛盾するように思われた嘘と真実、好きと嫌いは複雑に混ざり合って、私の輪郭を縁取っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
矛盾が止揚される物語的カタルシスは、その実しずくの個人的な体験…マブダチと本気で向き合ったあの教室のドラマを、強く再演している。
その演技を掴んだ裏に、個人的な…あまりに個人的な衝突があったことを観客は知らないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
だが…だからこそ、舞台の上で抽象化された白と黒の融和、二人の私の和解は客席へと通じる。
自分をさらけ出すことでしか、人を動かすような嘘は生まれ得ないのだ。これもまた、矛盾の融和か。
すこし視線を拡げてみると、白と黒の境界線はスポットライトに彩られた舞台と、照明を落とした客席にもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
演じるものと観るもの、その境界線もまた、ステージの上で最高の演技を歌い上げる中で、感動に溶け合っていく。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/e8twsnylLk
激しい雨の中、見つけた光。時間すら止めてしまうような、圧倒的な表現。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
台詞はないのにドラマを感じてしまう、圧巻の歌とダンス。見事な組み立てで見せられる女優/=スクールアイドル”桜坂しずく”の、いくつもの影。
黒も白も、沢山の私がいていいと思えたから。
心を濡らす雨を止めるのではなく、その只中で踊る手段を見つけたダンスは、複数照明による影が多重に走る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
そうすることで、見つけた私だけの空。
美しく晴れ上がり、隠すものなどどこにもない。それでも、何も怖くない。
私は、私だ
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/q8O6WFETv8
そんな境涯が強く焼き付く、圧巻のステージでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
このステージの(少なくとも一部以上)を観客も現実として共有すると考えると、なかなかに趣は深いですね。
舞台が切り取るもの、演出のプラニングを想像しながら見るという、観劇の楽しさを見事に取り込んだ、しずくらしいステージだと思います。
やっぱ璃奈ちゃん以降、より広い場所、より現実的なアクティングとして、スクールアイドルの輝きを凝集したステージが形になっているのが、同好会が世間に認められ、”好き”が、”個”が広がっていく手応えをシッカリ裏打ちしてる印象です。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
デカい目標追ってないのに、強くなる実感が確かにある。巧いわ
桜坂しずくが新たに己を問うために必須の共演者、鏡、ドッペルゲンガーが、演劇部部長なのがやっぱ良いんですよね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
同好会の外にも、しずくの魂を支えてくれる人がいる。二つの足場を持つからこそ、描ける豊かさがある。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/2epEOYsaSr
そんな豊かさを短い舞台袖のカットに塗り込めたことで、二足のわらじを履くしずくだけの強さ、”個”が見えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
ようやく誰かに自分を見せて、”好き”を堂々世に問い、受け止める姿勢ができた最高の笑顔と合わせて、素晴らしいエンドマークでした。
そして強キャラオーラ漂う他校のスクドルが、果林先輩をロックオンして次回に続くッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
一人ひとりが熱く激しく己に迷い、友とぶつかりあった結果、デカくなってきた虹ヶ咲。
その実感が、外からの視線で鮮烈になる。
©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 pic.twitter.com/lhQWU6mOeQ
さぁ、ここから何を書くか。非常に楽しみになる、見事なエピソードでした。こんだけ細かく映像を解したのも、自分的には久々かな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
見応え、熱量、巧さ、誠実。様々なものが24分間、過不足なく見事にまとめられ、”虹ヶ咲”の強さを象徴するようなお話だったと思います。つえーわマジ。
実際『こんだけ凄いの見ると、これ以上は…』っていう軟弱な予防線を、こんだけ堂々ぶっ壊す仕上がりってマジ凄いです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月22日
中須のこともっと好きに慣れたのも、最高にありがたかったですね。もうみんな大好きよアタシゃ…(オタク敗北宣言)
次回も楽しみです。”越えて”くるだろ、間違いなく…。