”プロジェクトセカイ カラフルステージ”の、Leo/needユニットストーリーを読み終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
気づけば幼い真っ直ぐさを失いバラバラになってしまっていた少女たちが、青春の蹉跌に苦しみつつ、再び繋がり歩き出すまでの物語であった。
衒いも照れもない王道踏破。繊細な問題意識、世界認識。
ジュブナイルとしての強さをしっかり見せつける、骨のある物語であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
すれ違い、悩み、苦しみ、それでも胸の中にまだある星を追いかけて、絆を繋いでいく。
未来に進む道は思い出の中にこそあるのだと、四人それぞれの悩みを絡ませつつ掘り下げていく歩みの確かさ、素晴らしかった。
セカイの持ち主であり主人公格でもある一歌が、どこに出しても恥ずかしくないミク廃であることが、一見プレーンなレオニの独自性、ユニット全体の”ゼロ位置”を担当する強さに繋がっていると感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
ミクは、いつでも自分に寄り添ってくれた。
答えを出すのを、手伝ってくれた。
そう心から信じている一歌が、”Untitled”な歌に導かれてセカイに飛び込むことで、ありふれたすれ違いは方向を変えて、思春期の青年たちが本当にやりたいこと、繋がりたい絆、なりたい自分へと近づいていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
そこにVOCALOIDとバンドが、大事な仕事を果たす。
それは両方とも、モヤモヤと形にならない思い、間違っていると感じているのに正せない歩みを言葉にして、あるいは言葉にはせずに自分を変えていける、大事なメディアだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
音楽があることで、青年たちは自分の気持ちを形にし、大事な誰かと共有できる。
これは個人の心から生まれながら、同じ波長を共有する”誰か”に対して開かれたセカイと同じ性質であり、つまりセカイとは音楽なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
VOCALOIDのコンテンツとして、これ以上に正しい答えもないだろう。
世は音に満ちて。ピュタゴラス学派的な世界認識、とも言えるか。
さておき、物語の初期状態ではレオニの三人は、それぞれ何かを間違えてしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
四人で流星群を見上げた時の純粋さ、確かな繋がりは成長とともに傷つき、今の自分は何かを間違えている。
それを判っているのに、正すことが出来ない。
成長に伴う普遍的な違和感と、根源的ないくじのなさ。
それは一歌においては決断力の欠如、志歩においては過剰な決断力、穂波にとっては八方美人な意気地の無さとして発露している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
他人なんてどうでも良かった児童期はもう終わって、誰かを思えばこそ繋がり方を間違える、複雑なセカイが見えだす季節。少女たちは、それぞれの在り方で苦しんでいる。
歌とセカイに出会うことで一歌が勇気を手に入れ、その働きかけがみんなを変えていくのは先述したとおりだが、ここでジョーカー的な仕事を果たすのが咲希である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
病院に閉じ込められ、皆が歩み苦しんだスタンダードな成長から遠ざけられた彼女は、その分純粋な想いを強く保持している。
妹がそんな希望を失わないよう、自分のセカイを明け渡した司くんの人徳がありがたいけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
咲希のある意味幼い真っ直ぐさ、手に入らなかった日常を濁らず求め続ける魂は、本当の気持ちを思い出させていく。
病院で隔離/保護されていたイノセンスが、青春の起爆剤となる。
それが持つ危うさを、最初のレオニイベストでしっかり彫り込んで、救ってもらった形の”みんな”がどれだけ咲希を大事に思い、恩を返すか即座に補足したのは、異常な目の良さだと思うけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
名前のとおり、咲希は見失っていた希望の花を咲かせる、幼い流星なのだろう。
同時にその希望は、強く求めても手が届かなかった苦しさ、置いてけぼりにされる寂しさと裏腹だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
禍福善悪が糾える縄のように密着していて、それが簡単に転位する様子は、登場キャラそれぞれのやり方で描かれている。
穂波の優しさは、傷ついた経験によって転位して、傷つかないための防壁になっていた
志歩の強さは、孤独を演じることで自分が傷つかないための武器に変わってしまっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
四人で星を見上げていた時は、何も考えずに掴めていた『自分らしさ』は、成長しセカイの中で揉まれるうち、自分と他人を傷つける棘になってしまう。
そんなこと望んでいないのに、変わってしまう。
そんな流れに竿を射し、星空への再転位を果たすために大事なのは、とても小さな勇気。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
思い悩んで、苦しんで、それでも一歩踏み出す歩みこそが、世界の壁を壊していける。
凄くありふれた、しかしだからこそ普遍的な答えに向けて、一歌はミク達の歌、咲希の純真に背中を支えられ進む。
そんな四人の歩みは、人間関係の微細な難しさでみっちり埋まっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
モモジャンやニーゴのイベストでもそうだが、プロセカが切り取る世間は無理解と思い込みに満ちて、なかなか上手く行かない。
みんな勝手な思い込みで目を塞いで、ありのままの真実が見れないまま、誰かを勝手に判断する。
いじめも起これば、傷つきもする。そんな生っぽい世界の空気を、一番濃く切り取っているのがレオニだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
キャラ造形と舞台設定が等身大であるからこそ、切り取られる人の難しさ。誰かを思っての行為が、その実真意を裏切りもするややこしさ。
子供じゃないからこそ、思い悩む複雑。
強くありすぎることで傷つく志歩と、優しくありすぎることで迷う穂波。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
二人の対比は、とても鮮明だ。
彼女たちの迷いに踏み込み、拒絶され間違えてなお、過去から現在、未来へと続く夢を取り戻そうと働きかけ続ける一歌と咲希の奮戦も、語り口に嘘と大げさがない。
友達が何を考えているのか。どんな状況で、何に苦しんでいるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
見えないからこそ考えて、大事だからこそ立ちすくむ。
子供みたいに真っ直ぐなんて進めないけど、だからこそ思い切って踏み込むことで、過去を取り戻し未来に歩き出す。
そういうありきたりの、大事な青春が活写されていた。
そんなみんなのアジールとして、”バンド”という結束の形を示し導くミクとルカも、”先輩”であることに悩んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
レオニ視線だと完璧な”大人”に見える彼女たちが、彼女たちなりに思い悩み、色々考える”人間”なのだと教えてくれるボカロストーリーは、やはり秀逸な形式だ。
あれがあるから、VOCALOIDは人間を助ける神様で終わらず、意志を込めて決断する電子化された人間たり得ている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
同時にファンタジックに特権的な存在であるからこそ、子供らが答えを導く星として、揺るがず存在も出来る。
人間の話とボカロの話を、切り離しつつ繋げた形式は大正解だと思う。
孤立をベースにぶつけ続けた志歩(”志を歩む”という名前は、彼女の闘志に相応しい)に重なる形で、少女たちはバンドになっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
かつて握っていた楽器を取り戻して、自分を表現し、他人と繋がる手段として音楽を選ぶ。
そうして”Untitled”な楽曲は”needLe”となり、バンドには”Leo/need”と名がつく。
針で突き刺されるような青春の傷みを越えて、友達の苦しみをどうでもいいとは言えない自分に立ち戻る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
”needLe”という楽曲はまさに、Leo/needの物語を凝集したアンセムである。心を押し殺し、子供な自分を諦めていた過去に決別する歌なのだと思う。
そこから動き出す物語はまだ、始まったばかりだ。曲を作り、バンドとして活動していくミライはずっとずっと、白紙のまま広がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
ワンダショのユニストもそうだが、あくまで結成段階で止めてそこからの活動を、今後のアプリ展開に残してあるのはさすが。そこが美味しいからな…。
原点を取り戻し『やる!』と決め、自分たちがどんな存在か、どんな歌をセカイに吠えていくか決めても、現実は早々簡単には動かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
でも確かに、その決意があったからセカイは広がっていく。
”Leo/need”の”/”に刻まれたしし座流星群を、その音楽を耳にした沢山の人が共有するミライは必ずある。
楽曲というメディア、バンドという活動を通じて、四人が個人的に共有し、思い出した流星がもっと広い場所へ繋がっていく可能性を、この段階で示唆しているのは凄いなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
私の歌、私達の歌は、いつでもみんなの歌になれる可能性を秘めている。そういう強さが、色濃く出ていた。
無論そこにたどり着くまでには、色んな荒波もあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
バンド活動の厳しさ、ユニットであることの難しさ。お互いを思えばこその軋轢も、青春の悩みもどんどん押し寄せてくる。
しかし、それは越えられる。荒れ狂う嵐に立ち向かう武器は一人ひとりの胸の中、思い出の中にちゃんとある。
そして一人ではないと思い出せば、想いに踏み込む勇気、思いを受け取る強さで繋がれば、ちゃんと進んでいける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
そういうポジティブなメッセージを、作品世界のノイズを濃い目に切り取りつつしっかり出しているのが、若人(と、かつて若人だったすべての人)に向けた物語だと感じた。
バンドとしてのサイズ感と雰囲気、構成メンバーの造形、楽曲のストレートさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
全てがど真ん中をしっかり捕まえつつ、”Leo/need”だけの物語になってオリジナリティを感じられるところも、とても良かったです。
王道だが、ありきたりではない。これやり切るの、相当難しいと思うよ…。
自分の優しさと弱さに苦しんだなほちゃんが、レオニの仲間に心を受け止めてもらうことで、今の友達との関係、そこに繋がる自分もより善くなってく描写があるのが、本当に好きなんですよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
レオニは特別で大事なホームだけど、セカイはそれだけで構成されてない。
色々悩まされる人間関係も、自分のエゴに繋がった自己防衛も、人が当然持っている在り方の一つで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
セカイと出逢った特別な物語が、そういうとてもありふれたものを変えていける描写があるのは、ファンタジーを現実に繋ぎ、”私達の物語”として活かす大事な足場だと思います。
己達の名前を定め、追うべき星を思い出したレオニは、この後もたくさんの歌を作っていくでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
彼らはバンドで、それを助けてくれる仲間はいつでも、セカイで見守ってくれる。逢うことも語り合うことも出来る。
隣人としてのVOCALOIDを、しっかり描き出す物語は続いていきます。今後も楽しみです。
追記 あの思い出の流星群を一緒に見た、四人の若獅子にとってお互いは必要な存在。Leoはneedなワケよ。
レオニは名に”Leo”を背負ってるのが良いですよね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年11月25日
青春の蹉跌に傷ついて、なお怯まずに歌を吠える金毛の気概が、バンド名から匂い立っている。
『負けねぇぞ…』っていう闘争心は志歩の資質として強く現れてるけど、多分集ったみんながちゃんと持ってて。可愛いだけじゃないのよ。