ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
侑が観客席から見つけ、”みんな”に広がる大きな夢。
地域を、いろんな人々を巻き込んで膨らんでいく最高のお祭り。
”スクフェス”に向けて、一歩ずつ前進していく同好会。
…でも”みんな”なんて、私はいらない。
貴方だけを見るから、私だけを見て
そんなピンク色の核地雷大爆破! 清廉なる公平さクソくらえ! 上原歩夢の美しきエゴが暴れたおす、ニジガク第11話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
”個”を扱う以上、絶対に描かなければいけないテーマに真正面から、堂々と踏み込むエピソードとなった。
バラバラの”個”が繋がり合って生まれる、健全で喜ばしい”みんな”。
スクフェスが生み出す共同体は地域を巻き込み、構成員を増やしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
それぞれが出来ること、やりたいことを持ち寄って、キラキラでピカピカなお祭りが組み上がっていく。
それはとても明るく、希望に満ちた歩みだ。極めて清く、正しく、美しい。
だが、それだけではない。
”みんな”を見るということは、その視線を独占したいと願ってしまう身勝手なエゴを封殺することでしか成立しないのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
ずっとふたりで満たされてきて、私の夢を抱きしめてくれると約束したのに、”みんな”に腕を広げてるのは裏切りではないのか。
清さでも正しさでも割り切れないものが、静かにのたくる
しかしそれは籠もった想いの質量と熱量において、一切嘘がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
好きだから欲しい。”私だけ”にしたい。
その欲望とエゴがあってこそ、”個”は成立する。
歩夢の炸裂は彼女というキャラクター、それを描いてきた筆致、作品が追うテーマとして、必ず触れなければならない必然だ。
それに対し、物語をスタートさせ、クライマックスを始動させた侑が…彼女から始まった”みんな”がどんな答えを返すのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
”個”と”みんな”の幸福な繋がりを追ってきた(と、僕は思っている)このアニメにとって、非常に大事な問いかけが投げられる回であった。
同時に群像の踊る青春として、しっかり体温のあるエピソードとも鳴っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
侑中心で動いていくスクフェスの歩み、そこに宿る公平な輝き。
そこから取り残されつつ、笑顔で”良い子の歩夢”を護る少女の遠さ。エゴイスティックな接写
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極端に弾いた構図と、異様さすら漂うクローズアップ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
歩夢が置いていかれる”みんな”と、譲ることができない”わたし”の距離感は、見事な画角で幾重にも刻まれていく。
この”絵”の説得力があってこそ、歩夢の暴走…と切り捨てるには、あまりに切実な炸裂に体温が宿る。
歩夢に、侑が夢見る世界は遠い。
それを狭くて湿った距離に近づけるべく、彼女は捨て身でぶつかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
どこかに行けるはずのパスケース、誰かと繋がる携帯電話を鎖に変えて、二人を出口のない星座に閉じ込めたくなる。
それは人のより善い形から判別すれば、大間違いの閉鎖系だ。
でも、嘘がない。だから、とても綺麗だ。
その切実な熱さと愛苦しさを叩きつけられて、侑は何を返すのか。”みんな”は何が出来るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
その答えとなるスクフェスは、この見事なラブライブ外伝をまとめ上げる最高のステージとなるだろう。
問いのクオリティ自体が、最高の答えを約束する瞬間って、確かにあるよねぇ…。素晴らしい。
というわけで、物語は生徒会激詰めフェイズから入る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
個人の想いを”みんな”に届けるためには、適切な手続きとが要る。
社会を成り立たせるシステムの代表として、眼鏡で武装した官僚機構。
しかし彼女たちには、人の体温がある
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『融通の効かない障壁』として生徒会を描くのではなく、彼女たちもまた”みんな”の夢を適切に叶えたいと願い、誠実に職務をこなしていると書いたのは、とても良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
『やりたい!』という思いをより適切な形に整えていく、大事な手続き。今回同好会は、それに挑んでいく。
より善く”個”であるということは、社会が用意しているシステムを完全無視して、好き勝手にやることを意味しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
既存の手続きを適切に踏まえ、そこに込められた願いを受け取りつつ、前に進んでいくこと。
固定的に見えるシステムに、”好き”を伝えて柔軟に代わってもらうこと。
そういうことも可能なのだと、侑ちゃんは正しく見落とさない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
『必要なことを言ってもらえて、良かったよ』
NG出されてそう言えるのは、彼女の善き資質だろう。
一歩引いた観客席から、全体を把握する。
そうして生まれた”好き”で、全体を牽引していく。
そんな広さと正しさが、高咲侑にはある。
しかしそんな風通しの良さが、見落とすものもある。気づけという方が難しいけどさ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
広角で切り取られる”みんな”の、中心にいる少女。フェスに向けて躍動する侑の隣で、向けられる視線の重力。
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夢に向かって一歩ずつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
シリーズ恒例”生えてくるかすみ”も回収しつつ、明るく楽しく進んでいく手応えの裏で、しっとりと積み重なる歩夢の爆弾。
それは侑が追う夢が広く、大きく、正しいほどに見落とされていく。その重さと鋭さが、ハッピーな準備描写にズバズバ刺さり続ける。
前回のプールで示唆された、上を向く”みんな”と、下向きに取り残される歩夢の断絶。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
それは準備が本格始動しても埋まらず、なまじっか笑顔で外面を取り繕えるからこそ、内側で発酵していく。
歩夢の外側で、風通し良く進む幸福な”みんな”。
その描写は、とても健全で正しく、手応えがある。
だからこそ、それに乗れない歩夢の重さ、正しさではどうにも動かない濃厚な感情は、これ以上無いほどの質感で伝わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
焦りを宿し、コップを伝わる水滴。
”みんな”の乗り物であるバスに、一人乗れず取り残される少女のかんばせ。
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お揃いのパスケースを正しく活用して、侑ちゃんは先に行ってしまう。歩夢は一人取り残される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
それは事実の描写ではなく、歩夢の心象だ。
第1話でたった一人の貴方と永遠を約束したときから、その後より広く、より多くなっていった物語の只中でも。
歩夢はずっと、バスに乗れていなかった。
それに気づかれないまま、事態はゴロゴロと成功に近づいていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
果林限界オタク力を発揮する綾乃に、推しのゼロ距離顎クイサービス。茹で上がった後輩を優しく抱きとめる、もうひとりの女の微笑。
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『あ、この藤黄…相当にカルマ値高いな』と思わされる、楽しい打ち合わせであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
ぜってー果林にのぼせ上がる綾乃を、最後に抱きとめる立ち位置を確信してる表情だよ。
『星がどんなに強く輝いても、手が届く場所にいるのは人なの…』って感じだ。小鳥を自由に遊ばせてる風で、実は檻の中だ。
妄想はさておき、侑ちゃんの夢はスルスルと他校に共有され、ブッキングは特に問題なく転がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
”みんな”の声を集めるかすみんボックスも、会場の問題も、生徒会という障壁も大きな問題なく、一歩ずつ突破されていく。
ここは一切問題ない。クスグリも多く、みな可愛らしい。
そういう萌え色ハッピードラッグで、オタクの脳を焼いておいて、そこに乗れない歩夢を延々差し込み続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
その多幸感と同じくらい、”みんな”に侑が向き合うほど深まる陰りの重たさを、忘れられないように突き刺す。
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かわいいかわいい中須のお調子乗りと、それを慰める侑ちゃんの多幸感に、ザリザリと交じる視線。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
明るく可愛い”みんな”が強く幸福であるほどに、そこにピントが合わない歩夢の孤独は強調される。
それを置き去りにして、何が”みんな”だ。
何が”好き”だ。
そんな違和感、映像の運び方がしっかり、視聴者を貫いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
元々異常に、視聴者に何を見せてどう思わせるかが巧いアニメであるが、今回は特に冴えていた。
明暗のバランス、輝きと充実に添えられた陰り、突き刺すタイミング。
全てが完璧なまま続いていくんだよなぁ…。
ここで誰かを害して侑を独占するのではなく、とにかく自分だけを見てもらいたいと待ち続ける所が、歩夢の可憐さであり重さでもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
優しい子なので、”みんな”を退ける方向に思考が行かないんだよな…ずっと待って、耐えて、約束を信じて、だからこそ限界に達して炸裂する。おお、エクスプロード!
導火線がチリチリいう裏で、璃奈ちゃんは新しい繋がりを手に入れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
第6話で強く『ツナガルコネクト』を歌い上げた彼女が、スクールアイドルを始めたから掴めたもの。
ステージから生み出し、届けて別の形になった”好き”
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焼き菓子同好会との一幕は、璃奈ちゃんがダンボールを被ったまま外に出たことで何を掴んだか、幸福に見せてくれて最高だった。良かった…本当に良かったね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
しかしそこでかじられ、欠けている虹の色はライトピンク…歩夢のイメージカラーである。周到な犯罪計画…ッ!!
せつ菜のラストステージを侑が見て、”好き”に火が付いて始まった物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
それは璃奈ちゃんが求め掴めなかった”繋がり”を、クッキーに焼き締めて届けてくれる。”みんな”がそれぞれの場所で、”好き”にリンクしていく。
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そんな物語が、歩夢の求める形ではない…少なくとも、今の歩夢はそう思えていないことを、繊細な表現がしっかり切り取っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
貴方だけにかけた言葉が、”みんな”に弾かれて届かない切なさ。ピントが合わない遠さ。
ラブライブ伝家の宝刀”エモい情景描写”は、もはや凶器の領域である。
歩夢は自分が抱えた独占欲が子供っぽい、悪いものだと思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
大好きなロリータファッションを『もうそんな歳ではない』と手放しかけたように、誰にも言い出せない自分の中の獣を、檻に閉じ込めたまま持て余している。
それを叩きつけて、”みんな”を壊したくはない。
その思いも、多分嘘ではない
鳴らない電話、言えない言葉。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
同じ場所に進んでいく約束だったはずのプレゼントは、ただただあの人を遠ざけていく。
しかし、侑が歩夢を見捨てたわけではない。
ずっと一緒だった、ずっといちばん大事な人。
それも、嘘ではない。
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でもそれだけで、侑の好きは止まらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
”一番好き”をたくさん抱えられる活力があればこそ、物語は駆動した。
最大最高のお祭りも、色んな人を巻き込んで成功軌道に乗っかった。
それは間違いなく、侑の美質だ。譲ることができない根源で、だからこそややこしい。
ほつれた糸の解き方がわからないまま、侑は”みんな”の答えを見つけ、突き進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
かすみんボックスには沢山の思いが届き、同好会が自分たちの”好き”を届けて生まれた、それぞれの”好き”が見えてくる。
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副会長ちゃんに即座に間合い詰める侑のタラシ力、焼き菓子同好会の”好き”を口に含んでいるはずの歩夢。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
『お前ら、そういうところだぞ…』と思わず突っ込むが、魂に焼き付いた業というのは、早々簡単には消えてくれない。
だから”個”として、自分だけの大好きを叫べるのだ。
それを侑がせつ菜から受け取り、返した尊さについては、先週確認したとおり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
侑ちゃんの公共志向、”みんな”に近い距離で接する踏み込みの強さは、色んなものを良い方向に導いている。
それは、嘘じゃない。
同時に、歩夢はそれで満足できない。始まりから今まで、たった一人を求め続ける。
そうやって始まった”スクールアイドル・上原歩夢”が、既に侑以外の人にも届き、愛され、生きる支えにすらなっている事実を、歩夢はどう思っているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
『ファンなんてどうでもいい』のか、『それも大事だけど、軽重つけるなら侑ちゃん』なのか。
なあ歩夢…あゆぴょんクッキー、どんな味がした?
かくして掲げられる、虹色の祝杯。喜ぶべき未来の隣で、歩夢はこの表情ですよ奥さんッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
『俺達は”やる”ってずっと言ってたし、先週念も押したからな…』という、制作陣の”殺意”を感じる畳み掛けだ。
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加速する感情は深まる闇の中鮮烈に輝き、せつ菜は善意の足取りで地雷原にスキップする。ヤベーってマジッ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
せつ菜が人のいいバカであることはここまでしっかり描かれてきたが、ここで危うさの火種に使ってくるとは…。
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いや、せつ菜は欠片も悪くないし、侑も歩夢も、誰も悪くないんだけどね…それでもこうして、全てを更地にするような巨大な炸裂が起こるのが”個”である、つう話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
規範や倫理でたがを嵌めて、”みんな”のためで衝突を回避する。デカい目的に全てをまとめる。
そういう道は、もうやったからね…。
自分だけが特別ではないと思い知らされ(あるいは思い込み)、歩夢の瞳は危険に曇る。一緒に前に進む歩みを止めて、後ろに下がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
しかしその表情は、内側に抱えた熱量を覆い隠す笑顔だ。
この檻の強さが、良い子の仮面が、歩夢を追い込んで来たのだろう。
でもなぁ…いつもニコニコ朗らかで、絶対の一番じゃなくても”みんな”に混じり、”みんな”の事大事にできてた歩夢の在り方って、俺は凄く良いと思うのよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
嘘じゃないって、それも。
巨大すぎる『侑の歩夢、歩夢の侑』だけを真実と思い込まず、今までやってきた自分も愛して欲しい所…難しいね。
行き場のない感情が胸を貫き、灯る赤信号。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
届いたメールは、やるせない思いを受け止める非常口。
交通信号を状態の指標に使う演出は定番だと思うが、見せ方とタイミングが素晴らしかったので、最高に活きる。
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蜘蛛糸にすがるように辿り着いた部屋で、見えたピアノ。私じゃない誰かと、共有する特別。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
侑が新しい夢に伸ばす手が、歩夢の顔を覆い隠しているのが、悪魔的な演出センスである。
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その隠蔽/見落としが、あくまで歩夢の主観でしかなく、客観的には世界は公平に、幸せに回っていることをこのエピソードは丁寧に積んできた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
隔離され、覆われ、抑圧されているのはあくまで、一人の少女の思い込みでしか無い。
だがそれは、世界全てを染めるほどに強く、大切なものだ。
『”個”を尊重する』というのはそういうことで、自分勝手なエゴを、歪んだ思い込みと愚かさを『みんなのため』で切り捨てるのであれば、”個性尊重”なんぞ題目でしか無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
バラバラでありながら、繋がった”みんな”であることはひどく面倒くさく、コストがかかるのだ。
しかしそこに向き合わなければ、”個”がみんなに繋がり、みんなであることが”個”を育むような理想は、基石を欠いた伽藍となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
歩夢の勝手な、切実な思いに侑が向き合い答えを返すことは、二人の燃え上がる青春であると同時に、作品全体を問う一筆であろう。
月夜が見守る闇の中で、侑はしっかりと歩夢を見て、言葉を届けようとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
それを覆い隠し、聞くまいとしているのは歩夢だ。
全く正しくない。子供っぽい。
そんな自分に嘘を付きたくないから、スクールアイドル始めたのだ。
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窓の向こう側を、歩夢がいない方を、侑は見つめて夢を語る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
そこにいるだろう”みんな”に、歩夢は入っていない。
事実としてそうであるかなど、もはや問題ではない。
溜め込んだ愛おしさが、掌からこぼれ落ちる独占が、歩夢にそう感じさせたから、窓の向こうに広がる”みんな”から彼女は、侑を奪う。
落ちる携帯電話は、誰かと繋がりうる窓。そこを通じて、侑ちゃんを奪っていく出口。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
それを塞ぎたかった。あの時みたいに、たった一人のためのステージを、私はずっと続けたかった。
貴方が沢山の一番に、窓の向こうの星に手を伸ばしたいとしても。
行かせない。
足を挟み込み、幼い二人だけが写ったフォトフレームに永遠を閉じ込めようとする、歩夢の懇願。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
それを至近距離で叩きつけられた侑の表情は、この困惑である。
このアマ…触れる距離に変動重力源が埋まってたことに、気づいてねぇ!
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でもねぇ…ここで”言えた”のは俺、マジ良かったと思うよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
言えなくて空港ギリギリまで飛び立ちかけた女とか、当人に触れ合うことなく『いいの!』でなーんも良くねぇ決着に落ち着いた女とか、色々いたからね…。
この情念がノーブレーキで突っ込めるのは、”個”のニジガクだからこそ、って感じする
僕らは観察者として、歩夢以外を順調に包む幸福感と、そこから置き去りにされてきた歩夢の思い、両方を見てきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
しかし”みんな”の舳先に立って進んできた侑にとって、幼馴染の感情爆弾は確かに、不意の一撃である。
”みんな”で楽しく、確実に。その一人だと、思っていたはずだ。
しかしそうではないと、体温が籠もった抗議が突きつけられた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
欲しいのは”みんな”なんかじゃなくて、たった一人の貴方。
重なり合う携帯電話は、再び響き合うのか。
繋がりを閉じた楽園へ、二人を誘うのか。
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暗喩の詩学が凶暴に暴れ倒し、さて次回に続くッ! である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
ここまで基本一話完結で、凹み調子をキッチリアゲて終わってきた虹学が、あえてストレスを週でまたぐ。
”ゆうぽむ”に…それが集約する個と公のダンスにどれだけスタッフが本気か、よく判る構成でした。
あまりにも狭く湿った、だからこそ重く鋭い歩夢の情念。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
その個人的な色合いを徹底的に掘り下げつつ、作品をまとめるに相応しいテーマ性が宿る話でした。
”個”と”みんな”がどう繋がり、それは何を生み出すのか。
そして、その幸福で正しい歩みが振り落としてしまうものはないのか。
僕個人はそういう所にフォーカスして、お話を見ました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
各員の興味に合わせて、色んなものが浮き上がってくるエピソードだったんじゃないかなぁ…こういう豊かさは、虹全般に言えるけど。
徹底的に作り込んでいるからこそ、色んなものが見えてくる。これも”個”と響き合う”みんな”の構造かな。
わたしは”みんな”じゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
白いソックスの蜘蛛糸が、絡め取り伝えた灼熱。
その重く熱すぎ嘘のない、美しい叫びを侑はどう受け取り、”スクールアイドル”は何を歌うのか。
問いは投げられ、答えを待つばかりです。確実に、最高の物語が帰ってくるでしょう。
次回、楽しみですね。
追記 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会、あるいは同時代ゲーム
虹追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
歩夢の思いの暴走を『いい加減大人なんだから、聞き分けなよ』と”みんな”の方向から収めるのはまぁ筋が違くて。
ロリータファッションも、アリスの夢も個人の”好き”として追求して良いんだよ、ってところから第一話始めたんだから、その聞き分け悪い幼さは肯定されるべきだと思う。
その上で、ともすれば”みんな”を否定しかねない個人の願いを引っくるめて、より良い形でどう”みんな”になっていくか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
そういう夢のような昇華に対し、スクールアイドルであることは何が出来るか。
おそらく次回(このアニメのクライマックス)はそれに答えが出る。
それは”みんな”を描き、時に呪われてきた”ラブライブ!”の第三作として十分以上に追う意味のある問いかけだし、この分断の時代に相応しい希望だとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
キャラの配置と話運び、テーマとキャラクターの選別、各話の仕上がりと連動。
そういうアニメとしてのクオリティの、最新鋭だけではなく。
”みんな”という幻想を維持運営していくコストの課題、それを諦めた時に刻まれる巨大すぎる傷がおぼろげながら見えてきてる時代と、しっかり呼応したアニメな気がすんだよね…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月12日
デカい言い回しになったけど、本気で創作するってまぁ、そういう部分を拾い触るもんだとも思う。だから面白くもなるのだ。