体操ザムライを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
全日本選手権二日目、勝負に挑む城太郎の隣に、青い目のニンジャはいない。
冷たさで遠ざけられた玲はレオの真意に近づくべく、成田への道を爆走する。
その裏では、鋼の意志を取り戻した鉄男が猛追を見せていた。
それぞれの戦場を越えて今、サムライが舞う…。
そんな感じの体操競技を通じて人生を描く群像劇、大団円の最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
いやー…大変良かった。
様々な人の闘志と優しさが輝いた作品の相応しく、それぞれの戦場に思いを届け、それぞれの高みをしっかりと掴む最終回でした。
ここまでの出会いが、最高のラストを作る。大事よそういうの…。
鉄男と城太郎がせめぎ合う、体操の戦場。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
家族を連れ戻す、玲ちゃんの戦場。
弱さを知り強さを見つめて新たに進み直すレオの戦場。
人にはそれぞれの合戦があり、それぞれの戦いがある。それはバラバラ個別だけど、しっかり繋がっている。
そんな骨のあるメッセージが最終話も元気で、とても良かった。
というわけで、世間の眼が注がれるのをものともせず、相変わらず城太郎はヌボーと戦場へ向かう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
”アスリートの娘”として父を見送り、物分り良くレオを諦めようとした玲ちゃんに、何も知らねぇガキが真理を突きつける。
ニンジャがサムライ諦めるって、んなわけないじゃん
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過剰に大人びてしまったことが、自分を縛る加瀬にも鳴っていた玲ちゃんは、レオが硬い鎧の奥に引っ込めたものを想像できてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
しかし大人びたベターよりも、圧倒的なベストを掴むためには時に、ガキっぽい無鉄砲を通す必要もある。
そんな言葉を届けてくれる友と、仲良くなれたのもレオのおかげ。
ここで玲ちゃんは再び、ワガママな子供に戻り、周りに頼って突っ走る。第6話までの物語を引っ張った少女のエンジンが、この土壇場でもう一度炎を吐き出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
この表情で頼まれちゃったら、ボーイも男になるしかねぇよなぁ…。
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黙って世間の道理を飲み込んで、苦しいのに我慢して進む。そればっかりじゃ欲しいものは掴めないと、判ってたはずなのに後ろに引いてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
でもそれは、取り返しがつかない間違いではない。
父がワガママに復活したように、家族を取り戻したい玲ちゃんの願いも、必ず叶う。
そんな感じで、玲ちゃん最後の戦いはオババを運転手に爆走していく。やっぱマリさんは最高にカッコいいオババで、素晴らしい名脇役でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
今回は代々木と成田、二つの戦場を並走させて、最後に合流してまとめる形である。
思いは届くか、間に合うか。ハラハラして良い。
城太郎と天草さんが信頼を確かめ勝負に挑む隣で、鉄男も鋼の意志を取り戻しズイズイと進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
まさに気合十分、そこに割り込むブリトニーの怒声。ボーイに約束を果たさせるべく、注目を集めてキメは任すところが、優しい人で好き。
あとタッキーは相変わらずバカ。好き。
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玲ちゃん一行がエージェントさんとも繋がりつつ、忙しく戦場に急ぐ裏で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
体操戦士たちは自分のなすべきことを、粛々と完璧にやり遂げていく。ここら辺の動と静の対比は、アスリートが身を置く張り詰めた静寂を強調して好みだ。
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気負うことなく、揺らぐことなく結果を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
傍から見れば鋼鉄にも思えるアスリートだって、揺らぐ心がある。アームカバーに隠した、幼い悲願がある。
それを投げ捨てて、鉄男は自分を鋼鉄に戻した。
彼はむっつりと自分を語らないけど、だからこそよく伝わるものがある。そのストイシズムが好きだ。
色んな人の助けを繋いで、玲ちゃんはようやくレオの背中を捕まえる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
サングラスを外したエージェントさんが、同僚と想いを交わす描写が好き。
最後のレオと城太郎の対話もそうだけど、今回は眼で語り合う描写が多めで、自分たちがここまで積んできたものへの信頼が見える
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台詞で縁取らなくても、キャラクターが抱えるもの、託すものは判ってもらえる。そう信じるからこそ、瞳で分かり合う描写が多くなるのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
そういう不親切な創造力が生き生き躍動する素地は、このアニメしっかりと作ってきた。
たった11話なんだがなぁ…話数じゃねぇわな、やっぱ。
玲ちゃんはレオの防壁の内側に踏み込み、彼を見知らぬプリンシパルから荒垣家の忍びへと戻していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
コートを脱いだ姿はちょっと子供っぽくて、ホテルで向き合った時よりも普段着だ。その飾らなさが、ワガママを押し通す覚悟を感じさせて良い。
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玲ちゃんは賢くて優しいので、瞳を見せないレオが叫ぶ痛みを、しっかり想像できてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
だから踏み込めなかった距離は、彼女自身が囚われ…大事な人が壊してくれた檻でもある。
好きだからこそ完璧だと思いこんで、愛を重荷に変えてしまう。自分を縛り、出口が見えなくなる。
ここで第6話が回想されるのホント良くて、玲ちゃんが過去の体験から学んだものを自分の中だけで留めず、ためらいを乗り越えて他人に分け与えられる強さ、賢さ、優しさを掴み取った描写だと思うわけ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
自分が見つけたものを、勇気を持って誰かに差し出せるのって、とても立派なことですよ。
それは目の前で震えてるレオが一緒にふざけて、笑って、いてくれたからこそ掴めたもので。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
自分がダメになりそうな時、手を差し伸べ隣りにいてくれることのありがたさを知ってるからこそ、玲ちゃんは強くレオの弱さと怯えを受け止めることが出来る。
憧れに完璧を求めてしまうレオの気持ちも、よく判る
他人と自分の境目をしっかり理解しつつ、力強く決意を吠えて、憧れを堂々演じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
我が道を進む父とは違うけど、でもどこか通じるものを玲ちゃんは伝えきって、彼をサムライに憧れたただの子供に戻していく。
弱さも強さも全部持ってる、人間としての城太郎に会いに行く
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ここで玲ちゃんがお母さんの演技をコピーしつつ、そこに宿った魂を本気で演じきって、最後に自分の言葉、自分の表情でレオに向き合うのが好きです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
思い込みに突き動かされて、あこがれを完璧に真似しようとして迷って、でもそこにある魂を受け継いで自分の道を進んでいく。
よく似てるんですよ、レオと玲ちゃん。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
ダメになることも、ダメだからって見捨てないことも、そばに居てくれることが歩き直す支えになることも、お互いよく判ってるじゃないですか。
ずっと一緒にいたんだから。人間の一番柔らかい部分を、支え合ったんだから。
玲ちゃんはレオに向き合い、お母さんの言葉を借り…それを越えていくことで、そういう自分の中の答えを、強さを、家族に分け与えたんだと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
強すぎて怖いと思える城太郎を、それでも好きで、その飛翔を見守りたいと思ってる自分が、玲ちゃんを鏡にして見えてくる。目を開く。
それが、レオをずっと悩ませていた顔のない”眼”への恐怖を、払いのける一歩目になるってのは、作品を描ききったがゆえの必然としか言いようがなく、大変良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
空港、衆目の中演じきる。
人の目を気にしないで。自分を吠える。
レオが辿り着くべき未来の、モデルケースでもあるかな。
揺るがぬ己を取り戻した鉄男と、取り戻させた中ノ森コーチ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
お互いを変えながら、未知の領域へ二人で挑んできた城太郎と天草さん。
0.1を争う激戦は、選手を支える男たちにとっても戦場だ。やり取りがとにかく染みるぜ…。
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失敗を恐れない演技を見事やりきった鉄男が、小さく見せるガッツポーズ。鋼鉄のエースから漏れる気合に、城太郎の頬にも汗が伝う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
ここでライバル三人組の、とぼけたやり取りを見せてくれるのも有り難い。彼らも好きだなー…。
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最終種目、勝敗はかなり見えてる状況で岡町くんは『どうしたらもっとやれるか』を考える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
それは彼が気にしている城太郎が、心の支えとしている考え方だ。
出来ると思うから、やってみたいから、必死にもなれる。力みのない本気を、戦士たちは共有している。
それでも、鋼鉄ならざる人は揺らぐ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
アイツと作り上げた最高の技を、試す最後の勝負所。思いは届かぬかと思いつめたその時、真っ白な空間を貫く娘の声。
かくして、レオはサムライともう一度出会う。
玲ちゃんが弱さを受け止め、手を引いてくれ方から。
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レオ自身が震えを乗り越えて、向き合うと決めたから繋がる視線と視線は、意思を込めて熱い。何も言わずとも、全てが通じるほどに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
最終話、城太郎がほとんど何も言わないのが、ヌボーっとした彼の”器”を最後に感じさせてくれて、最高に良いんだよな…城太郎らしいよ、この繋がり方。
ローザンヌでは死別の悲しみ、だからこそ飛ぶという悲壮な覚悟を宿していた魂の炎は、今回は再開の喜びに、未来を切り開く決意に燃えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
あの時掴めなかったものを掴み、終わったはずの道の先に何が輝くのかを、己の肉体で描きぬく。
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屈伸のアラガキを見た時の鉄男の驚愕、『『掴め!』』とシンクロする城太郎とレオの心。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
最後の演技は、この作品の全てをしっかり宿し力強かった。
サムライを失墜させた喪失の悲しみを、レオが埋め…ないけど、超える手助けを山程してくれたからこそ飛べる四回転なんスよ…。
誰も誰かの代わりになんてなれないし、弱さも迷いもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
でもそれを補い合いながら、時折迷い間違いながらそれでも、それぞれの空を高く飛べる。
その証明を城太郎が、完璧に果たしてくれた。しっかり勝たすのが良いよね。
『負けるが勝ち』でも収まりそうなところを、だからこそ譲らない。
奇跡の演技を終えて、同志は当然と揺れずに微笑み、ライバルは敗北を予期して苦笑いし、当人は点数よりも先に、自分をここに導いてくれた人を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
ここのタッキーの顔が良いのよ…結果出た後は、男泣きに抱き崩れてる所含め。
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挑まずとも点数には出ない、前人未到の四回転。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
それでも、サムライは飛んだ。
後輩のためとか、日本のためとか、そんな広い視野は城太郎にはない。
ただ、出来ると思ったから挑んだ。
沢山の人に支えられてる自分を見据えて、必死に汗を流し積み上げたものを、最後まで出し切って掴んだ。
そんな爽やかなエゴイズムが、より沢山の人の心に届き、より広い道を切り開いていくのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
空気読めない天然主人公が、だからこそ”みんな”の輝きになる結末は…なんか見てて、スゲェ元気出るよ…。
天草さんに届いたメッセージも、チャーミングで最高。
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そして…待ってたものが来る。やっぱり鉄男、超絶巨大感情人間だったぜーーーーッ!!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
憧れればこそ、醜態を見ていられなかった。
無様にあがくのなら、自分の手で引導を渡したかった。
若きエースの真っ直ぐな想いは、城太郎を奮い立たせ、再び高みに立たせた。
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それを思い知らされて、『たいそうのいちばんになる』という祈りをくじかれて、鋼鉄が流す涙。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
あまりに熱い雫が孤独に流れるのではなく、中ノ森コーチがそばに居てくれるものであって良かった。
皆胸の中に炎を抱えながら、己の道を進んでいく。でも、一人ではないのだ。
まっっっじで鉄男の行動の裏に、筋金入りの”熱”があって欲しかったマンなので、この回収は2億兆点満額回答でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
ずっと顔を引き締め強くあろうと頑張ってきた彼に相応しく、湿り気のない発露にしてくれてありがたかったです。てっちゃん…俺はアンタが好きだよ。
かくして万感を込めて、伝わる思い。もはや言葉はいらない。それを越えたものを、”体操”は伝えうる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
メインテーマに選び取ったものが何を為しうるか、しっかり示せる最終回なのはやっぱ最高ですね。
作品の強みだった”眼”の表現力が、大トリで最高に綺麗だ…。
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そして約束の倫敦、ロイヤルオペラハウス。玲ちゃん…すっかり背丈も髪も伸びて…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
ニ年前に客席で受け取ったものを、今度は戦場から返す。軽やかな飛翔に、もう恐れはない。
弱さを受け止めてくれる、ダメになっても受け入れてくれる家族が、いることを知っている。
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これは老いたるサムライと、道に迷ったニンジャと、彼らを愛する少女がそれぞれの戦場で、高く高く跳ぶまでの物語だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
大変いい最終回、大変いい物語でした。
体操ザムライ、本当に面白かった。ありがとう。
出てくるみんなを好きになれる、力強い群像劇だったと思います。
というわけで、体操ザムライ無事完結である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
11話という比較的短い時間の中で、多彩な個性と夢、強さと弱さを持ったキャラクターがそれぞれ活き活きと、支え合いながら進む物語であった。
強そうに思えるものが実は脆く、その脆さを誰かに預けつつ歩む姿が、大変良かった。
『競技初心者が勝利を積み重ねながら、何事かを成し遂げていく』という、スポ根のスタンダードからは(同じくMAPPA制作の”ユーリ!!! on ICE”と同様に)外れつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
一度は頂点を掴みかけつつ、引退撤回まで追い込まれた老兵がどう再生し、どう変化するかを軸に据えた物語は、独特の面白さがあった。
主役の城太郎は体操以外出来ない男で、娘の笑顔の奥に何があるかも、自分が何故飛べていたか(そして飛べなくなったか)も解らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
しかしその鈍感さが、エゴイスティックに自分を信じ、軸をぶらさない凄みにもなっていく。独特で、魅力的な主役の個性があった。
彼を取り巻く人はそんな困った城太郎を補佐…するだけでなく、それぞれの個性にあった難しさや弱さを抱えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
それが挑むキャンバスは城太郎と同じく体操であったり、それ以外の場所であったりする。
この体操以外にそれていく”横道”が、僕にはとても面白かった。
前半は過剰に成熟し、しかし当然大人ではない玲ちゃんが重荷を顕にし、周囲に預け、思いを打ち明けるまでを一つの軸としている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
良く出来た娘として、知らず辛い立場に置いてしまっている彼女が抱えたものを、丁寧に話数を使って彫り込んでいく筆が、作品が人間を見る視線を語っていた。
そこで玲ちゃんを助け、支えてくれたレオが抱え、隠していたものを彫り込んでいくのが、後半の軸となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
堕ちかけた城太郎に突然現れた、救いの天使。
荒垣家に迷い込んだ、青い目のニンジャ。
彼の話が始まる頃には、僕はレオのことがすっかり好きになっていた。
色んな人を助けてくれた彼が、見た目通りの能天気では当然なく、表現者として人間として自分を取り囲む”眼”に怯えていたこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
そこに、空気読めない城太郎は寄り添えない。それは『わからないこと』なのだ。
だから、ただただ信じて体操をやる。そのスタイルはブレない。
信じればこそ、レオと作り上げた新技を携え、己の戦場で待つ父の代わりに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
そしてなによりも、レオと笑い、レオに救われた自分自身として、玲ちゃんは再獲得した子供らしさと、より善い使い方を覚えた大人らしさを両方構えて、彼を取り戻しに行く。
その踏み込みが、今度はレオを救う。
それぞれバラバラの個性があり、出来ないことがあり、だからこそ出来ることで補っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
人と人が繋がり進んでいく物語は、迷う役と導く役を入れ代わり立ち代わりきらめかせながら、しっかりと進んでいった。
賑やかで楽しい日常を共有していたことが、連帯の地盤として機能もしていた。
後半鮮明になってくる知世さんの死が、基本陽性な物語に複雑な陰影を加え、作品の立体感を高めたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
城太郎はなぜ、栄光を掴めなくなったか。
序盤から実は提示されていた謎の裏に、大きな喪失があるのだと…そしてそれは、失われてなお消えないのだと見せたことが、天然主人公に影を足す。
それを湿っぽい重たさではなく、それを背負いつつもなお、妙に図太く能天気な体操バカの人間性として描けたのは、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
母の不在は玲ちゃんにも長い影を伸ばし、同時に思い出の中にあり今も息づく光を強調もしていた。キティちゃんはホンマありがとう…。
城太郎のライバルとなる鉄男も、むっつりとしたストイシズムの奥に渦巻く熱い感情が漏れる、良い造形だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
城太郎とはまた違う、勝利至上主義…よりももっと清廉な彼のスタイルは、この作品が”体操”を描く大事な補助線だったと思う。
彼が強いことで、作品がしっかり支えられた感じは強くある。
他のキャラクターも軒並み、作品世界でしっかりと息をして、鮮明に生きてくれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
とても辛い状況も逃げずに書くこの物語で、色んな人が側にいてくれること、手を差し伸べてくれることのありがたさは、随所で躍動していた。
ヘンテコな連中が、活き活き肩を組んで一緒に進む。それが眩しかった。
ファミリーコメディとしての暖かさ、人間讃歌としての骨の太さが、”体操”という競技、勝負の重たさと適切な間合いで向き合う足場になっていたのも、良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
実は城太郎の勝ち負けはそこまで主軸になっていない作品だが、その中で勝つことの意味、負けることの価値は鮮烈であった。
3Dモデルを活かした体操表現には逃げがなかったし、作中のヒエラルキーを支える王者、リュウの人間性も素晴らしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
体操に挑むものが皆、爽やかに気持ちのいい連中だったのも良かった。
おそらく意識して、”悪役”を作らない作劇だったのだと思う。それは成功していただろう。
バチバチ勝ち負けを競い合う激しさからは少し引いた、人間の絆に重点を置いた作風は、むしろ”体操”に何がなしうるのかを魅せてくれた気がして、僕はとても好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
それはただ体操選手が飛び、演技をするだけでは終わらない。
バレエの舞台に、無限の未来に誰かが漕ぎ出していく力になりうるもの。
それを生み出す城太郎は、しかし『みんなのため』なんて御大層なことは考えていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
ただ、出来るのだからやる。
その自分勝手で自由な飛翔が、しかし孤独ではないこと。
誰かに支えられ、誰かの支えになりうることを、ちゃんと描いてくれた。
その自由な連帯感が、この作品一番の強みではないか。
そんな感慨が終わりに浮かぶ、大変優れた作品であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
世界に確かにある理不尽や弱さを見据えつつも、それに膝を折らず、繋がり進みうる希望。
それが揺るがず作品を貫通し表現されていたのは、とても凄いことだ。
そんな靭やかな前向きさが乗る土台として、体操選手の美しい身体は大事だったと思う
『自分のやるべきことをやる』という、人口に膾炙したキャッチコピーがその実、どんな意味を持つのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
レオの逃げ、城太郎の凄み、玲ちゃんの迷いと爆走。
美しい白鳥の飛翔に辿り着くまでに必要なものを、しっかりまとめ上げた最終回もまた、素晴らしかった。
大変良い作品でした。大満足です。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月21日
人数が多いこと、個性が強いことを活かして各話に起伏があり、それがしっかり連動していたのも、毎回丁寧に演出されていたのも良かったです。
よく出来ていて、それで終わらないアニメでした…面白かったッ!
体操ザムライ、素晴らしかったです。ありがとう。