呪術廻戦を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
純平の命と魂を弄び、不敵に嘲笑う特級呪霊・真人。
殺す。
魂の奥底から絞り出された殺意を拳に乗せ、悠仁は七海と力を合わせ、悪鬼を追い詰めていく。
その手を人の血に汚し、涙の海に沈むとしても。
正しさを追い求めるために、俺は強くなる。
もう、負けない。
そんな決意が哀しく薫る、呪術戦記第1クール最終回であります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
一切緩みのない超作画でアクションが暴れ倒しつつ、その奥には奪われる命の不条理、奪う力の危うさが確かに滲む。
”クソ”としか言いようのない呪術師の宿命を間近に浴びせられて、なお虎杖くんは正しくあろうとする。
救うべきを救い、裁くべきを裁く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
人としてのシンプルな答えを貫くことの難しさを、純平の犠牲、七海の導き、真人の悪辣がよく教えてくれるエピソードだったと思います。
この惨劇も、呪術師にとっては日常にならざるを得ない。
虎杖くんを待ち受ける運命は、本当に重いのだなと理解しました。
一連の事件で彼は七海に呪術師と認められ、守られるべき子供では無くなってしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
それが虎杖くんの望みでもあったのだけど、やはり純平と二人、クソ映画を見てワーワー言い合う”子供”でいさせてやりたかったと、僕は思います。
それは多分、伊地知さんやナナミンも同じ気持ちなんだろうけど。
しかし気負いなく静かに、菩薩の心で明王の拳を振るう道を選び取った虎杖くんの決意を思えば、やはりその地獄は祝いだほうが良いのでしょう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
墓穴から戻ってきた虎杖くんを学友たちがどう出迎えるかは分かりませんが、哀しみを呑んで強くなり、怒りを噛んで強くなろうとする彼を、包んであげて欲しい
そんな気持ちであります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
まー、実質『呪術師・虎杖悠仁最初の事件』がこの有様なので、待ち受けるのは血塗れ業塗れの道なんだろうけども…。
ただの呪いの塊になっちゃったほうが、全然楽なんだろうな。ナナミンは偉いな本当に…。
物言わぬ骸に流れる一筋の涙が、あまりの無情を宿して激戦を見守る。純平…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
死んだからと言って綺麗な光の粒子とかにはなってくれない、むしろ捻じくれた怪物の姿を残酷に晒すしか無い世界で、呪いと呪術師は命を取り合う。
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 pic.twitter.com/ynArIzpAZp
戦士特有の圧縮された言語で、相手の命を取るのに必要な情報をやり取りする虎杖くんと七海。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
身体を凶器に書き換え、殺しの技芸を楽しみながら試してくる真人に立ち向かうだけの資質が、この短いコミュニケーションに見える。
内言は多いんだけど、発話してる言葉は少ないバランスがいい感じ。
呪術師サイドが刃のように研ぎ澄まされた殺意で、無駄なく最短距離で殺しにかかるのに対し、真人は自分のタマが的にかかっても余裕と無駄口が絶えないのが、なかなか面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
ナメる、嘲る、下に見る。呪いの本性は、自分の命にもかかってるんだろうな…何もかも、どーでもよくしか扱えない存在。
そんな災厄が吐き出した”人間”に虎杖くんは追い込まれ、生きるか死ぬかの局面でも、涙のように落ちてきた涎に目を見開く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
彼が改造人間を殺す決意を固めた時の壮烈は、その喉に手をかけたときの苦しみを思えば、あまりに哀しい。
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 pic.twitter.com/m9ajDSilxQ
虎杖くんは”しょうがなかった”殺人の手触りを、ずっと覚えているのだろう。自分の目の前で死んだ純平の涙を、忘れることは出来ないのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
その身に特大の呪いを宿してしまった彼は、この後呪術師として生きていく中で、多分もっと人を殺す。
主役の宿命というには、あまりに厳しい。
しかし善なるものが悪を為さなければ、無為に命が奪われていく理不尽をこそ、”呪い”を主題に据えたこの話は扱わなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
救いたいと願うほどに掴めない無力も、正しい生き死にを判別できない難しさも、虎杖くんがそれを諦めないからこそ、魂の赤い血でもって作品に刻まれていく。
あまりにも優しい彼を地獄に追い込むことで、何が描けるのか。このお話はこれまでもこれからも、それを問われて答えていくことになるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
そこに容赦がないことは、このエピソードで痛いほど判った。
芥見下々、悍ましいほどに本気だ。
それをアニメにするMAPPA、気概に満ちている。
その熱量を信じて、このキツい話を見続けたいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
七海は虎杖くんが決断を果たし、なお理想を諦めないことを信じている。彼が、自分が一度諦めざるを得なかった”呪術師”になることを。
死地を眼前にして、優しい目をする男(ひと)だな…。
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 pic.twitter.com/VNP9CQIMDa
真人のニヒリズム、汲めども尽きない嘲弄と憎悪は人間の似姿だ。人の祈りが、美しい心が全部無碍にされる厳しい現実への呪詛が、形になって”真人”を生んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
しかしそれだけが、唯一人間の真実なのだろうか。
人の命を奪ってなお、拳を握って立つものに燃えるのは憤怒だけなのだろうか。
真人が”子供”であることは七海の慧眼が既に見抜いたところだが、彼がそう生まれついてしまった虚無主義もまた、彼があざ笑おうとしてる”ガキの理屈”なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
光と闇、救済と呪詛が入り交じるあまりに複雑な世界を、慄きつつそれでも進む人の在り方。
七海と背中を合わせ、虎杖くんが呪いを殴り抜けて進もうとする複雑さを、真人は見ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
理不尽な死をもたらす引き金を引かせないために、自分が引き金を引かなければいけない矛盾を呑んでなお、強く正しくあろうとする足掻きは、呪いには理解できない。
そう生まれついてしまったのは、幸か不幸か。
そんなことを、命の土壇場は問わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
獲るか、獲られるか。
迫りくる死を引き金にして、発動する”自閉円頓裹”。
よりにもよって円頓戒を蔑して来るあたり、”真人”らしい驕りである。テメーが一切無不足の覚者なわけねーだろッ!
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 pic.twitter.com/II3sjXdS0T
必殺の領域に囚われ、虎杖くんと切り離されたナナミンの瞳に、しかし焦りはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
脳裏に蘇るのは、”クソ”な呪術師を止めた後の”クソ”。
実りもなにもない、銭の埋まった職業砂漠の記憶。
何も考えず稼いで、とっととクソからオサラバする。
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 pic.twitter.com/vVibQNJuDZ
そういう賢い生き方の出来る男ではないことを、僕らはよく知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
呪術に背を向けた先にも、ドロリとのたくる現実の呪詛。砂を噛むように金を稼ぎ、出口を探した日々で彼の光は、やはり他人の笑顔だった。
祓い方がフワッと鋭くも優しいのが、『あ、ナナミン』って感じ。
何も見えてないノンキな笑顔と『ありがとう』で、クソの海に飛び込む事を決意する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
馬鹿な男と笑わば笑え、七海建人はそういう生き方しか、結局できないのだ。
クソの海に飛び込んできた子供をサングラスで冷たく遠ざけようとして、結局熱すぎる魂で寄り添っちまう。
自分を取り囲む闇の中で、七海は微笑む。死を前に、呪いではなく感謝を紡ぐ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
それは自分をごまかすための偽りではなく、心から湧き出した本心なのだろう。
それに応えるべく、宿儺の器が死地に飛び込む。
その無私が、真人の領域を砕く。
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 pic.twitter.com/h0wK7GkMxZ
条理の外にある、虎杖くんの特攻。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
それが許されざる二度目の接触を導き、宿儺の怒りに火を付ける。
まさに傲岸不遜、悪逆非道。今は、少しだけ頼もしい。
つーかアンタ、ホントに伏黒くん好きね…まつ毛長いから? アタイも好きだけどサ…。
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 pic.twitter.com/5Cogv0QXlD
初遭遇時に出遅れたときといい、真人最後の賭けに全力を乗せてしまったことといい、この学校の激戦は虎杖くんの未熟も、冷静に切り取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
死地を冷静に受け止めるイカれっぷりがあっても、相手のハメ手を凌ぐには経験がいるからな…そこは、どうしても足らない。
どうあっても追滅しなければいけない悪逆の後ろで、倒れる命。七海は真人追跡よりも、虎杖くんに寄り添うことを選ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
結局そういう呪術師(ひと)なんだよなぁ…ほんっっっっっま死んで欲しくない。だから死ぬんだろうなぁハーッ…。
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 pic.twitter.com/WmwM0Q0PLh
一方逃げおおせた真人は、ドブの奥で殺意を練る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
そらーこんだけ因縁作ったら、そうそう簡単には退場させないよな。虎杖くんの魂を全部切開し倒すまで、憎々しい敵役をやるだろう。
今回アップの書き方が結構独特で、真人のキモさがよく出てて良かったです。
アイツまじキモイ。呪いとして正しい。
痛み分け…というにはあまりに失うものの多い戦いの果てに、転がる死体袋。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
虎杖くんは戦友を隣に、血を吐くように言葉を紡ぐ。
正しい生、正しい死を守る。
そんな綺麗事を信じて進んできたその手で、奪わざるを得なかった命の重さを握り住める。
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 pic.twitter.com/vXhPDfcL9J
守るべきを守り、罰するべきを罰する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
その難しさに疲れ果てて一度諦め、逃げた先に待ってた呪いに耐えられず、闇の中に光に七海は進んだ。
彼が自分の命を守ってくれた戦友にかける言葉は、多分自分自身にも反射してる。
虎杖くんの善良を静かに寿ぐその言葉、まんまアンタに返すぜ…。
ナナミンは虎杖くんが今回足を踏み入れた苦難の道を、一足先に進んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
イヤってほど試され、傷つき、諦めて諦めきれず、クソまみれになりながら誰かを助け続けている。
その苦しさとかすかな…本当にかすかで大事な救いには、熱い血が通っている。
サングラスを外し、対等な視線で自分を認めてくれた言葉にも、虎杖くんは笑わない。掌からこぼれ落ちたもの、その拳で砕いたものが、あまりに痛すぎる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
今後話が進む中で、彼のこういう表情をもっと見ることになるのだろうか?
学友と触れ合う日々が、その重さを減じるのだろうか?
あるいは光を身近に感じればこそ、それを奪われる地獄はより深くなるのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
多分その全部が、今後も描かれていくのだろう。
何かを求め、奪われる宿命が呪いを生むのならば、それを書くには人間の全部を描かなければいけない。
なかなか重く難しいネタに向き合う資格を、この物語は既に示してる
純平の死は正しく哀しまれることもなく、彼は永遠に消えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
彼が撒き散らした呪い、見て見ぬ振りをされた…あるいは見落とされた痛みを背負うもの。片目を塞ぎ呪うもの。
超常の地獄が去っても、人は生き続ける。
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 pic.twitter.com/TKHrcO8G7G
見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
それが罪の贖いと自分に定めた先生の視線が、片目を塞がれ闇を見る加害者…にして左腕を奪われた被害者の呪いを、祓っていく助けになるのか。
それは呪術師を扱うこの物語が、もう追いかけない戦いだ。そこで呪いは、怪物の形にはならない。
しかし、たしかにそこに呪いはある。
善人でも悪人でもない大半の人々。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
どう生き、どう死ぬべきかを自分で決めなければならない、重い定めの中にある当たり前の人々。
そんな人達も、当たり前に呪いと闘い続ける。ナナミンの呪いを解いたパン屋のお姉さんと、同じように。
超常作画の異能アクションの端で、それをちゃんと書くのは偉い。
かくして、無明の塵界に一歩を踏み出した呪術師。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
光と闇が複雑に絡み合う、難題だらけの世界でそれでも、前を向き正しさを追う。
希望という名の呪いを降ろさず、強くあり続けたいと願う。
その一言に、力みがないのが凄く良い。虎杖くんらしい。
©芥見下々/集英社・呪術廻戦製作委員会 pic.twitter.com/M7T7TCTbVf
というわけで、一連の重たい事件もひとまずの決着であります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
いやー…まじで容赦がなかった。嫌な予感がして固めた腹筋を、想像の五倍ぐらいの硬さと重さでボコ殴りしてくる展開と描写に、魂をグラグラやらされてしまった。
ナナミン…アンタがいてくれて、ホントに良かったよ。死なないで…。
いじめという、怪物になることのない透明な呪いは現実に重く在って、それが純平の青春を狂わし、尊厳なき死を呼び込むことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
異能アクションを暴れさせつつ、そういうシビアな重たさを持ち込んでくる視点は、とても良かったです。
ナナミンの労働呪詛も、そういう生っぽさの一環かなー。
過酷な運命に巻き込まれつつ、ここまで正しく振る舞えてきた虎杖くんが、凄まじく残酷に希望を奪われ、自分の中の呪いを引きずり出される話でもありました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
この出会いと別れ、宿敵との因縁を経てなお、ラストの涼やかな決意を見せれるあたり、やっぱ強くて正しい子なのだと思う。
そんな彼の血に、確かな実在感と尖すぎる痛みが宿ったエピソードでもありました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
こんぐらい厳しく試さないと、虎杖くんの”正しさ”は綺麗に過ぎる…つうことかもしれん。それにしたって試し過ぎだろうマジ…。
来年からは京都との交流試合、墓場から出てきてようやくマブダチと合流できるけど…
『大丈夫? 伏黒くんと野薔薇にぶっ殺されない?』と心配になりつつ、主人公を一人の呪術師と鍛え上げた名エピソードの終わりに、ありがとうとお疲れ様を。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2020年12月26日
いやー…最悪に胸糞悪く、最高にいい話だった。
つえーな呪術廻戦…まだ1クールもあるのか。スゲェなマジ。
来年も楽しみです!