ゲキドル 第1話・第2話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
謎の災害、世界同時都市消失から五年。
刻まれた傷を癒やすかのように、生まれた新たな夢。
3Dホログラフを用いた演劇に、抱え込んだ虚無を共鳴させたせりあは、舞台へと導かれていく。
大きくも輝いてもいない、地下の小劇場。
そこに踊る夢は、どんな色なのか。
とまぁ、なんともトンチキなアニメである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
正直第一話ではどこを目指していくか掴みかけ、二話見たからと言って筋道立ったものが掴めているわけでもないが、しかし奇妙に溢れかえる熱量のようなものは確かに感じる。
ド地下だからこその、強く高まった不思議な内圧。手触りのあるファンタジー。
そういうものに本腰で向き合う気合みたいなものが、だんだん伝わってきた感じである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
第2話でカタストロフィSF的要素がどう生きてくるかも、噛合を見せてきた気がする。
出てくるキャラ軒並み感情が濃くて、カルマを分厚く背負っている。そういう輩が暴れるのに、崩れた世界はいい感じだ。
かなり不親切な運びで、キャラも世界観も全然底を見せないし、何がどう繋がっていくかも分からないが、妙な迫力とパワー、時折輝く独自性がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
ヘンテコで魅力が香るアニメで、つまり僕好みなので見続けることにする。
経験上、この食感のアニメは”アタリ”なんだよな…。
話としては、少女がふとしたことから夢に出会い駆け出すという、まぁありふれた感じではある。大枠だけ切り取れば。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
しかしその”少女”がかなりディープな虚無を抱え込んでいて、それが世界の傷とリンクしてるっぽいので、一筋縄では行かない。
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主人公、守野せりあはいかにも前向き主人公っぽい顔をしていながら、怪物的な演技の才能と、それが極端な方向に突っ走る異形の主役である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
彼女が笑顔の奥にかなり分厚い虚無を抱えていることは第一話で見えたし、それが完全トレースの劇才に繋がることも示してきた。
第2話冒頭はその虚無が、”ありす”なる少女の消失と喪失に深く繋がっていることが暗示される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
置き去りにされた物語、人形に託した温もりの残滓。
可愛らしいデザインをぶっちぎって、圧倒的に不穏である。こんな状況で両親不在、せりあの虚無は加速するばっかりだ!
”ガラスの仮面”と”マルドゥック・ベロシティ”を混ぜ合わせたような主役が、今後どういう闇を魅せるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
そしてそれが、平穏な日々を送っているようでかなりズタズタっぽい崩壊後の世界と、どうリンクしていくか。
まだまだ謎は多い。第1話で掴んだ『あ、そういう感じ?』をむっちゃ殴り飛ばされたよ…
その油断させないワケの解らなさが、作品を見る楽しみでもあるわけで、まぁ今後ジワリジワリと精髄が染み出してくるのを楽しみたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
与えられた筋書きを演じるのではなく、完全にコピーすることしか出来ないせりあの才が、消失現象による”ありす”の不在に由来するのならば、それは世界の傷とも繋がる
安心させてくれない主役の中身と思いが分かっていくことが、なーんでアイドルと地下劇場と崩壊世界と青春群像劇を鬼混ぜしちゃったのか、さっぱり得体のしれない作品自体を分かっていく歩みと重なるのなら、これは面白い経験になるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
その見せ方は、お世辞にもスムーズとは言えない。
唐突に深めの闇が顔を出して、ゴヅンと頭を殴りつけてくるかのように、キャラの真実はちらりと見えてはなんかそれっぽい雰囲気に紛れ、また見えなくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
世界は果たしてフツーに、学校行って演劇見れるレベルなのか。
はたまた、インフラ復旧果たされない、血まみれの状態なのか。
そこがハッキリしないように、なーんで樋口さんがせりあにここまで前のめりなのかも、さっぱりわからない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
第一話からエンジンフルスロットルだったけど、このデコ女絶対間合いがおかしいだろッ!
過去に命でも救われてねぇと、この熱量は説明がつかねぇ…。
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世界律的に女は女に巨大感情を抱くもの…というわけではないことは、せりあの覚めて適切なリアクションからも判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
ではただのクラスメートでしか無い”樋口さん”は、一体何でここまでの巨大一方通行感情を常時発熱させ、力強くブン回して叩きつけてくるのか。
判らない…何も判らない。
だが面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
樋口さんの本気っぷりが空回りしつつ、どう見ても本気であるのはよく判るし、それがせりあの人生と全く噛み合ってないズレ方、見せ方もまた面白い。
メインステージである演劇方面から距離がある樋口さんが、今後どういう”勝負”を戦い抜くか。
マジ注目である。
その過剰な熱量を横に置いて、せりあは”アリスインシアター”へと足を踏み入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
巨大劇団スーパーマテリアルシアターとの、こじれた関係。夢をいろどるSFガジェットの説明。後半のドラマへの伏線張り。
色々こなしつつ、あいりは『面倒見のいい先輩』のペルソナをかぶる。
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この穏やかで人のいい感じが、地雷踏んだ瞬間一期に消し飛んで作品のムードも変わるのが、あまりに急旋回すぎて最高に良いのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
常時作品をどこから見て良いのかわからない、安心できないぶんまわしっぷりは評価の分かれるところだろうが、僕は好きである。出るやつ軒並みクレイジー!
心なき人形にも”アリス”と付けてしまうせりあの闇といい、一見フツーの世界観紹介フェイズに見えて、随所に火薬の匂いが漂ってるのがまー、このアニメらしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
一体どこから発火してくるのか分からないが、燃えだすと凄い火力が出る。この二話は、そういう作品の作法を教えてくれる。
それが燃える舞台として、シアターの後ろ暗く湿っぽい雰囲気、狭いからこそみっしりと詰まった圧力の高さが常時匂っているのは、やはり良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
『地下ドルとか小劇場とか、マイナーだからこその肌触りが好きな人達が作ってんだろうな…』という肌感覚が、作品に独特の湿り気と温度を与えている。
規模の大小を描く時、デカいの偉いと書いてしまいがちだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
せいあがこの小さい洞窟にたどり着いた入り口も、滅茶苦茶大仕掛けな”偉い”劇場であった。
しかし彼女は、そっちではなくこちらを選ぶ。ちっぽけで、手作りで、不器用な場所を。
そこには確かに、不思議な魅力がある。
それは言葉にするものではなく、設備との距離感、人間との間合い、生み出される空気を感じ取ることで分かっていくものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
そんな実在感がシアターを切り取る全ての画角に、異様な”力み”を込めて宿ってるのが、僕は好きである。
自分たちが選び取ったサイズを一切ナメてない感じ、というか…。
それは今後、トンチキな劇団員がゴツゴツぶつかるドラマを受け止め、増幅する舞台装置となっていくのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
なんかヌルい感じの女の子いっぱい空間が、せりあが核地雷踏んで一期に降っっ飛ぶ瞬間の落差が、マジで面白かった。
アンタ二秒前まで、いい先輩だったじゃんッ!
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とは言え急旋回だから、こそそこに触れちまったら激発しかねぇ”急所”があいりにあること、それほど強い感情を昔の相棒にいだき一切解決できてないことが、よく伝わりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
なんかフワッと萌え萌えな造形に見えて、このアニメのキャラには血が流れている。沸騰もするし、凍りつきもする。
生きてる人間の生っぽさと、いかにも人造の嘘くささ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
それがスムーズに混ざり合わず、激しくぶつかって波を作るところもまた、この作品の独自性かもしれない。
デザインも流行りから三歩ぐらい遅れて、ゼロ年代深夜の懐かしさがあるのがまた、おもしれぇんだよな。”かみちゅ!”テイストというか…。
光熱費すら払えない、怪しさ爆裂のアリスインシアター。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
解決策もまーボンクラで、『絶対闇深いでしょ、このはきゅーん系…』と思わされる愛美の提案で、何故かアイドルすることになる。
ここでもあいり先輩はバチギレっすわ。いやまぁキレるわ。
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相方は自分と劇場を見捨てて、デカい舞台に上がってっちゃうし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
導き手になるはずの女は、やる気が見えずマジテキトーだし。
仲間たちは個性の活かし方がさっぱり分からず、なんかパットしないし。
最古参としてはやっぱり、心の置きどころがないわな。
そんな先輩の思いを受け取ることなく、アイドル特訓は続きせりあは筋肉痛に悩む。樋口さんはまーた過剰に接近しスカされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
自分を置き去りに、夢の階段を突っ走っていった元相棒。走っても走っても、追いつくことは出来ない。
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そのもどかしさとやるせなさが、降って湧いたアイドル活動への拒絶の源泉…ってだけでなく、どうやらもう一枚底があるっぽいけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
こんだけの強度で炸裂する思いとは別のところで、話の流れを受け入れねぇ業が沈んでるの、因縁のサルガッソーって感じで全く油断できねぇ。
かくして迎えた初ステージ、衣装はバラバラ、挨拶も揃わない。司会は長喋りで無駄に時間使うし、つーか一人欠けてる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
ド地下もド地下、ただただ頑張ってるだけのド素人集団。
だが、だからこその真摯さがある。
ステージが始まってからの表現は、ひどく固く余裕がない。
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表情を作る余力もなく、大きな動きのないダンスで必死に歌を紡ぎ出す、アイドル未満の少女たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
そのパフォーマンスに宿る不思議な真っ直ぐさを、このアニメは逃さず捉える。
ここの表現力で、僕ももう一歩”ゲキドル”に前のめりになった。
それは、小さくてみすぼらしいからこその、奇妙な熱。
頑張ることしか出来ないからこそ、それしか差し出せないからこそ宿る硬質な光。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
そういうモノが異様なほどにしっかり描かれたステージで、大変良かった。
そしてその視線は、急に”演劇”と接合されていく。ここの繋ぎ方もまたマジ急旋回で、しかし”ゲキドル”ならばやらなきゃならんのだろう。
せりあは暗闇で他のメンバーがパニクる中、悪魔が作ったスピーカーのように、前回見取った芝居を演じていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
それは完璧で、唐突で、奇妙な熱を持って観客と演者を引き込む。
世界と一緒に生まれた空虚を、埋めてくれるかもしれない輝く嘘。
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せりあがぶん回す才能を受け止められるのは、シアターを託されたあいりだけである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
つーか雛咲いずみが凡人の感情を惹き付けるだけ惹き付けてずたずたに引き裂き、地面に放置して一人突っ走っていく最高のクソアマ過ぎて、魂が震える。
残酷な女だ…素晴らしい。
せりあが持つ、虚無と裏腹の過剰な”才”。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
役者として、焦がれた相棒に相応しい自分として、それをしっかり受ける。
あいり先輩は、そういう心をちゃんと持ってる人である。
そしてせりあは、虚空に向かって芝居の爆弾を投げつけ、人を引き付ける魔力を持つ。
この二人が噛み合って、闇の中に演劇が(マジ唐突に)生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
それを最大限ドラマティックに演出できるよう、かをるちゃんがタイミング図っているのは好き。
大人失格、演出家合格…なのかな? かをるちゃんも謎多いからなぁ…。
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かくして思い切って吠えた芝居は観客を引き込み、そこから続くステージにも、暗転前とは違う熱が入る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
歌と踊りと芝居が、シームレスに繋がって進む新感覚の舞台。そこに3Dホログラムが入り混じった時、何が生まれるか。
いや、正直さっぱり分からねぇ…だが、”龍”の気配はある。
アイドルと役者の境界線をぶっちぎり、思いっきりぶん回す魅力はおそらく、作品のバックボーンにある現実…”アリスインプロジェクト”に源泉があるのだと想う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
生々しい手触り、唐突ながらだからこそ真実味のある運びは、元ネタ有りのアイドルSFっつー、奇っ怪な構造だからこそ選び取られた…のかな?
背景に広がるネタの手触りは不勉強故に判らんのだが、アニメで描かれている舞台の手触り、そこに籠もる実感は、唐突で劇的なパワーを宿して大変元気だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
ハプニングすら演出に変える、リアルタイムの面白さ。
無茶苦茶な越境が生み出す、不思議なうねり。
才能が暴れる現場の、コンパクトな実感
そういうモンがせりあとあいりの初舞台で終わって、良かった良かった一段落…終わってねえッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
昔を知る風な青年に”あいあい”と呼びかけられ、物分りの良い先輩ヅラがまた二秒で崩れる!
雨の秋葉原に駆け出した少女は、一体どんな感情を抱え込んでいるのか!
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さっぱり分からないまま、異様な熱量を抱えて次回に続く、である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
感情の噴出は唐突だし、才能は前触れもなく暴れ狂うし、状況は舗装されないままゴロゴロと生っぽく転がる。
誰かの思いは力強くぶん回され、上手く他人に刺さらないまま暴れる。
変なアニメだ。だが、俺は好きだ…。
そういう唐突で強烈で、しかし奇妙な納得を宿した感情が激発してこそ、芝居は人の心を動かす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
テーマと表現は、非常に奇妙な角度でカッチリ噛み合っているように思うのだ。
嘘で人の心を動かしたければ、本当の思いを燃やすしかない。
そんな題目に、ボッと不器用な火が宿っている。
色んな奴らが懐を見せきらないまま、妙に力んで芝居をやってる。小さな箱にムンムンと、爆発寸前の熱量が籠もっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
それが”アイドル”と出逢った時、どういう炸裂が起きるのか。
それを受け止める半壊した世界は、どんな顔をしているのか。
まだまだ、物語は途中だ。だが、だから面白い。
今後話が進むに従って、世界の謎もキャラの裏も見えてくると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
そんな未来を小器用に予感させてくれる親切さは、この話にはない。全ては唐突に劇的に訪れ、炸裂して一期に転がる。
それが、凄く良い。
この奇妙なパワーを殺さず、全力で裏路地を駆け抜けて欲しい。
”アイドル”がどう描かれるかはまだ判らんのだが、”芝居”というもの、それが動く劇場をマジでやる、という気合は、第二話の時点で十分以上に漲っていて、明後日の方向にぶち当たりつつも空回りはしていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
演劇モノとして、やっぱちゃんと説得力がある見せ方ができてると思うのだ。
そこがガッチリしてりゃなんとかなるだろうし、それをSF方向にぶっ飛んでる世界観とどう噛み合わせるかも、また楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
ホントなんで、わざわざぶっ壊れた後の世界を舞台に選んだのか。
現段階では分からないが、なんか嵌りそうな気配はある。同じくらい、判んねぇまま終わる感じもするが。
しかしともあれ、異様な迫力と独自性があるアニメが動き出した。大変に俺好みで、ちょっと懐かしい気配もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月13日
こんなに市民権を得る前の”深夜アニメ”の匂いすんだよな…”Ergo Proxy”とか。
この後どんな風に話が転がるか、さーっぱり分かりませんが。
俺はマジで期待してます。面白いよ、このアニメ