ワンダーエッグプライオリティを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
不登校の少女、大戸アイを取り巻く殻は、夢に食われてひび割れていく。
『エッグを割り、友達を作れ』と囁く、妖しげな水先案内人。
透明な悪意が具現化した、奇妙な冒険。
そこで出会う、新たな誰かと新たな私。
残酷な幻想の先で、さぁ、卵が割れる。
そんな感じの令和の超幻想譚、訳わからねぇまま殴り続ける第一話スタートである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
いやー…マジでよく判らない。
だがイクニで育ったこの体、同じ泉同じ時代を駆け抜けた同胞とも言える野島伸司脚本原案のこの物語…ビリビリと肌に馴染む。
凶暴な思春期が、牙を向いて美麗に踊るこの感覚。
”フリップフラッパーズ””URAHARA””ID:INVAIDED””Pet”…そして幾原邦彦諸作品。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
狂妄なイマジネーションが鮮烈に暴れ倒すアニメに分解酵素と嗜好がある人には、強い親和性と中毒症状をもたらす仕上がりだったのではないかと思う。
要するに、俺に良しな雰囲気と話運び、美しさとわけの分からなさだった
初手から野島節全開というか、生臭さを適度に洗い落とされた性の香りと、雛鳥を縊り殺してくる世界の毒素と、純粋でいることしか出来ない子供たちの凶暴が、ムンムンと入り交じる出だし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
脚本原案から立ち上るヤバい気配を、監督・若林信のセンス、DÉ DÉ MOUSE&ミトの音楽が上手くまとめる。
いい意味で映画的というか、とにかく作品と世界を圧倒的なクオリティとオリジナリティで叩きつけて、飲み込んで溺れさせてくる心地よい不親切に、酩酊する24分であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
現実と夢を切り分けない色彩と演出が活きて、アイを取り囲む殻の不安定さ、彼女の不器用な熱が良く伝わったと思う。
とにかくスタートから圧倒的にナイーブで、画面は示唆に満ちすぎている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
誰もが顧みない、美しくもないカナブンの死体は、夜闇の中で蛍のように一瞬輝いている。
ひよこの黄色に身を包んだアイは、残酷に光る顔のない獣の眼に照らされながら、それを己の手で拾う。
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アイから見た自動車は両の眼を爛々と光らせ、『お前も殺す』と言わんばかかりの静かな圧力で、彼女を正気に戻す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
それは正しい。赤信号の只中に座り込んでいるのはアイだからだ。世界はひよこに優しくなく、そんな光を浴びることで、蛍の死体はカナブンに戻ってしまう。
しかしアイは己の手を汚して墓穴を掘り、木の根元に死体を埋める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
それが助けられなかった友達の代理埋葬なのは、一話を見た後だと明白だ。物語のスタートから、彼女は死と復活、穴に落ちて(落として)は立ち戻ることを繰り返す。
カナブンはぞろりと蘇り、尻を光らす。
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奇妙な言葉を連ねるカナブンゾンビに追い立てられて、アイはひよこのフードを引っ剥がして、自分も墓穴に追い立てられていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
そこが正気の領分なのか、狂気の領土なのか、もう最初から分からない。
彼女が追い込まれた檻の先には、死体と墓穴と卵が、幾重にも連なる。
それは夢であり、しかし受け取った卵は現実化する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
孵化。
殻を割って飛び出す行為、閉ざされた死地から蘇る行為は夢と現の境界を越えて、アイの自閉した(させられた)物語を駆動させる。
アイは良い母親でも、良い子供でもない。
学校に行かず、卵を背中で押しつぶす。
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卵。小さなビオトープの中の魚。いじめと友の自殺に苦しめられ、部屋に閉じこもった子供。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
小さい場所に閉じ込められるイメージはアイの”現実”に積み重なり、そのいニンフェットな肢体は無防備に、美しい檻の中を歩き回る。
アイはどこかに行きたくて、ルームランナーの上を永遠に歩く。
彼女の瞳は左右で色が違う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
OddEyeはこの世ならざる場所を見つめる妖精眼であり、異界に飛び込む資質はそのデザインと名前に、既に刻まれている。
伸びてくる骨に皮膚の成長が追いついてこない、思春期特有の身体を執拗に描く筆は、彼女が卵を抱く前の乙女であることを示す。
闘争の中で流れる、少女たちの血。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
自分たちを大人にし、あるいは成れなかったものを墓穴の奥のネバーランドに押し込める暴力。
アイの二つの瞳は、その際を見る。
死んだものと生きたものを隔てる境目を見て、他のものが見捨てたカナブンの死体を蘇らせる。
アイの殻を叩く教師は、顔を描かれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
アイ唯一の親友を食い殺した、学校という孵卵器。
その中で死体がどんな腐臭を放っているか、彼の正しすぎる態度は教えてくれない。
忘れたのか、見て見ぬ振りか、なかったことになったか。
どちらにしても、アイは殻を出て学校にはいけない。
”現実”では。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
アイは昼の生活をまともに営み、普通に子供を殺してしまうような常人から遠く離れ、夜を自由に駆ける。
妄想と真実が詰まったエッグを抱え、ひよこの鎧で武装して自分の世界を広げていく。
そこに、優しい母は関与しない。勝手な巣立を、ただ見守る=見て見ぬ振りをする。
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踏み出した夜に広がっていたのは、逃げ出したかった学校である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
切り取られ飾られた百合。死にゆくことを約束された命。しおれていく外性器。
それは真っ白な悪意を込めた弔花であり、親友を地べたに叩き落とし自分を殻に追い込んだ、顔のない悪意が薫る悪華だ。
アイはカナブンやトイレットペーパーの形を借りて、ザワザワと心を乱す存在に苛立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
悪意から逃げ、肩をすくめてやり過ごそうと閉じこもったトイレ…糞便の薫る殻の中で、『卵を割って戦え』というメッセージに怯え、逃げ出し…怒りを込めて投げつける。
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それが奇妙な闘争と友情の始まりを告げる、まさに鶏鳴となる。卵は世界への期待感ではなく、抑えきれない怒りによって割れるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
『開ければ友達が、欲しい物が手に入るガチャ』と告げられていたエッグは、確かに女の子を出産する。
名前も知らない、ちょっと怖い女の子。
便所の床に産み落とされた異物に追い出される形で、アイは再び殻を追い出される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
アイは自分を守る殻をいつも求めながら、自らの怒りで、他人とのふれあいでそこから追い出される。閉ざされた棺の中で永遠に眠っていることは、彼女には出来ない。
しかし殻の外側に思いを上手く出すこともまた出来なくて、窓ガラスは陰キャがブツブツ文句垂れるなか、じっとりと涙滴に濡れていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
顔の知れない、得体が知れなくて気持ち悪い、凶暴に人を殺す”みんな”がいる教室に入れないまま、アイの殻は分厚くなっていく。
名も名乗らぬ”友達”にとって、アイが見ている夢は現実だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
放り投げられた悪意の斧は、消えることのない傷を突き刺す。
それを間近に感じて、真後ろで親友を殺されて、何も出来なかった痛みが、アイを卵に、棺に、墓穴に、夢に、閉じ込め続けている。
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夢の中で流れた他人の血を、『痛そうだ』と思う心。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
逃げ出す誰かの手を掴んで、戦いを助ける夢想の力。
アイはそれに自覚的ではない。
エッグにまつわる闘争に勝ち切る武器を自分が持っていることに、優しさと強さが確かにあることに、確信を何も持てない。
だが、それがあればこそ。
アイは夢の中で戦いに巻き込まれ、”友達”と同じように血を流す。手を取って走り、夢に巻き込まれていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
見ず知らずの、既に死んでいるであろう少女最後の夢想に付き合ったところで、何が得られる確信もない。
それでも、自分なりの”現実”として死闘を駆け抜ける少女と、夢と戦いを混ざらわせていく。
アイは吹き抜ける顔のない暴力に、立ち向かいたい子である。殻を破り、友を救い、間違いきってる世界を正しくしたいと思う子供である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
しかし、それは出来なかった。
出来ないから、あの子は落ちて死に、アイは幾重にも連なる卵=墓穴に出たり入ったり、死んだり蘇ったりする。
ロッカーの奥にある非常口。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
知恵と勇気が見つけるアジールは、スルリと世界の色彩を変える。
ここは夢。面白くもない条理よりも、摩訶不思議な真実に縛られた場所だ。
BGMの使い方も合わせて、そのふわりと惨烈な臭いが上手く伝わる。そこに薫る、かすかな友情も。
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”友達”の癒やされることのない傷と血に触れる中で、二人は奇妙に縁を近づけて、なにか温かいものが一瞬、生まれていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
そこは顔のない怪物たちが迫ることもなく、醜悪な色合いに染め上げられることも、刃が飛んでくることもない。
殻の中にいることは、そういう優しさも孕むのだ。
エッグを通じて、奇妙に入り混じってしまった夢と現実。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
そこには死の危険と、過去を取り戻せる可能性と、顔のない憎悪と、名前も知らない友情がある。
溢れかえる混沌が様々な可能性を世界に広げていく様子は、創世神話の宇宙卵に似る。
卵を割らなければ、オムレツは作れない。だが、ひよこは死ぬ。
死んでなお生きるか、死した思い出が蘇るすべはあるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
幻想でも妄想でもなく、あるいはそれをそのまま抱えて自分を殺しに来る世界に立ち向かう決意を掴み直すために、少女たちは卵の死地に挑む。
あるものには現実であり、あるものには夢でしかないもの。
そこでも、アイは繋がった手を振りほどいて殻に戻っていく。弱く、卑怯に、切実に”ごめん”と告げて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
自分が当事者ではない、無くなってしまったことで魂の半分を殺されてしまったような、極めて凶暴な嵐を頭を下げ、やり過ごそうとする。
アジールは潰され、”友達”は再び追い立てられる
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後悔に閉ざされたままであることを、エッグが導いた世界は許してくれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
名前も知らぬまま、生まれてしまった触れ合い。
確かに残された遺品、つながった手、嘘ではなかった血のぬめりがアイを、花の死体が散乱する場所へと、己を墓穴に繋ぐものへと帰還させていく。
夢の中では場所と場所も、過去と現在も、生と死も境目なく繋がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
ガラスの向こう側、透明な殻が破れた先に待っていたものを、否応なく思い知らされる。
自分が何を失い、何に手を伸ばせなかったかを。
殻の中は、けして安全でも平和でもないことを。
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醜いと顔もなく、自分を突き刺してきた悪意。護るために垂らした、前髪の殻。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
それを跳ね除けて、オッドアイである自分を見つめてくれた友達。
とても、綺麗な存在。多分、世界で唯一。
それをアイは掴みかけて、既に取りこぼしている。
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覆いを外す。殻を壊す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
それは既に為されていて、しかし成功しなかった。
親友と麗しく生きていく未来は、いじめによる自殺という、もっとも醜悪で残酷な形で地面に叩きつけられ、割れてしまった。
王様と家来の馬が全員がかりでも、塀から落ちたハンプティ・ダンプティは治せない。
果たしてそうなのか。世界卵に混沌なる無限が宿るというのなら、死すらも取り戻すことは可能なのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
アイはエッグの夢に微睡み、一瞬だけ自閉の檻に訪れた優しさを思い出す。
傘を奪われ濡れるばかりの自分を抱きしめてくれたもの。
それが、死してなお生きるというのならば
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母はアイが雨に濡れ、寒さに凍える理由を知らない。無関心な優しさは、透明な悪意と同じくらい彼女を傷つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
水玉模様のシェルターを開けて、親友が踏み込む。
メガネを外し、言葉をかけ、その指でアイに触れる。
殻の中、みっしりと伝わる体温。
卵の外に出ても、生きていけると教えるメッセージ。
それが落ちて砕けたから、アイは(再び)殻にこもった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
しかしその中には、後悔と怒りがある。エッグを割った熱量は、愛が奪われたからこそ静かに燃え続けている。
重すぎる喪失を経てなお、アイは愛を諦めていない。
過去彼女を覆っていたフードは、卵の白。今はひよこの黄だ。時は確かに流れている
ならば、飛ぶしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
思い出の中と同じ表情で、舳先に立つ少女像に抱かれたアイはそれが失われた愛の名残だと、流れる涙は彼女の痛みだと直感する。
そこに理由はない。夢であり、愛であるものは時に霊的に、現実を飛び越えていく。
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銅像という殻に閉じ込められた何者かの魂は、熱い涙をアイに受け渡し、アイはそれを飲み干す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
水は冷たい雨として愛を苛むだけでなく、魂の糧として喉を潤しもする。
その温もりは、墓穴に封じられてなお確かにまだ、鼓動を刻んでいる。
アイは涙を流す/飲み込むことで、それを確かめていく。
ここでアイが受け取った確信は、殻の中の妄想でしかない。外界に羽ばたき共有されるマトモさは、主人公を突き動かし物語を引っ張る動因にはカケラもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
それが、良いと思う。
夢と現実、生と死の境界が極端に薄い…エッグの世界と”現実”が同じ美術で描かれる物語が動くなら、それは狂熱が良い。
鶏鳴を待つよりも早く、透明な嵐に飲み込まれそうになってる”友達”を前に、アイは虚空を越えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
それは親友が食われ、自分の心が割れた場所だ。
夢の中なら無敵だから、かつて勝てなかったものにも勝てる。
でもその魔法を生み出すには、燃えるような怒りが迸る必要がある。
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握りしめた友情は力へと変わり、厚底可愛いスニーカーはアイに翼を与える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
飛ぼうとしたこと、親友を殺してしまった(加害者達の、そして自分の)”見て見ぬ振り”に刃を振り下ろそうと怒りを燃やしたことで、アイは過去を越えていく。
トサカにきたぜ。ひよこは止めだ。
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名前も知らない友達が、置き去りにした遺品。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
それを掴み、死んでしまった友の涙を飲むことで、アイは怒りの炎を燃やして飛んだ。殻をブチ壊し、トサカのある成鳥に化けた。
だから多分、このアニメは友情と闘争の物語なのだと思う。闘って、理不尽に牙を突き立てる話なんだと思う。
ようやく名前を伝えあって、友情が始まるのかと思った時、再びアイの”友達”は消えてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
死という現実は、死者にとっては覆せないのかもしれない。
それでも墓穴の底に取り残されてしまった生者は、夢のような奇跡を望む。く、くるみちゃん…。
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今まで比較的冷静に妄言を連ねてきたが、便所で最悪の出会いを果たし、お互いの血に触れ合って縁を紡ぎ、怒りを込めて飛び立ち手を繋いだ二人の夢が、煙と消えてしまう展開は非常に…非常に辛かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
二人の描き方が凄く活き活きしてて、妄想たっぷりのファンタジーに体温与えていたから。
それを極めて残酷に奪って、エッグの世界のルール、作品の方向性を突きつけてくる話運びは的確で、残酷で、よく刺さる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
繋がった指から儚く消えたものが、まだ息をしていると確信できるのなら、いくらでも戦える。
そんなアイの切ない決意も、しっかり伝わる。つれー…。
アイは夢から覚めて、夢で受けた傷で倒れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
優しいママは娘の負傷に気づくこともなく、悪夢に侵食された現実の中で泣きじゃくる。
でもその傷は、今浮かび上がっただけでずっとそこにあった。アイは既に冷たい雨の中泣きじゃくり、差し出された傘は地面に落ちて砕けていた。
©WEP PROJECT pic.twitter.com/rsH44EcrrL
臨死の夢は、新たな墓穴に続いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
アイが飛び越えた”見て見ぬ振り”に囚われた者は、冥界のワンダーランドに飛び込むことは出来ない。
”次の瞬間に、アリスもそのあとを追っかけてとびこみました。
いったいぜんたいどうやってそこから出ようか、なんてことはちっとも考えなかったのです”
既に死んでいた(というアイの問いかけに、アカはノーコメントを貫くけども)くるみちゃんの遺骸を越えて/抱えて、アイは新たなワンダーランドに進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
死人を蘇らせるのは、唯一親友が掴まえてくれたときだけ。
花満ちる世界で出会った新たな戦士は、どんな卵を抱えるか。
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それは、物語に翻弄されながら見えてくるものだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
野島伸司の残酷美麗な作家性が、アニメという表現メディア、そこに集った様々な才覚にしっかり支えられて、わけの分からねぇパワーでグイグイと押し込んでくる第一話でした。
ド濃厚に『俺のやりたいこと』を叩きつけられ、困惑し興奮しております
わけの分からねぇ第一話ですが、とにかく作品世界が美麗かつ残虐であること、映像体験として相当なパワーがあること、”本気”であることはよく伝わりました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
何よりアイが、殻に閉じこもりつつ怒りを抱え、形にならない優しさと凶暴を備えた良い主役であると、よく判ってよかったです。
くるみちゃんと走った冒険の仕上がりが凄く良かったからこそ、それを断ち切る残酷と痛みがスパッと突き刺さり、物語の行き先を見守りたくもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
非常に鮮烈で、的確なスタートだと思います。
この話は、綺麗で痛い。
俺の好みの味わいなので、今後も見続けたいと思います。次回も楽しみ。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
卵モチーフだといろんなイマジネーションが湧くが、使徒再生を繰り返す話運びからしてイースターエッグは、今後確実に顔出す予感。
あと美麗な話なので、ファベルジェエッグ(と、ロマノフ王朝の滅び)も触る…かなー。
ここら辺の妄想棚ざらいしてる時が、俺は一等楽しい。
卵繋がりで、禅語には”卒啄同時”という言葉があって。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
卵の内側で雛が突くタイミングと、外側から親鳥が突くタイミングが合わないと孵化しない、みたいな意味合いなのだが。
アイは殻に閉じこもり世界を拒絶し、自分を守りたいタナトスと、怒りを込めて外に飛び出したいエロスが入り混じっている。
ガチャから出てきた友達、親友を蘇らせるために救う卵の少女たちという”外”に触れ合う中で、孵化したいと願うアイの魂は果たして、殻を破れるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月14日
卒と啄の重なり合い、内部と外部の絡み合いとしても、この奇妙な青春闘争を見守りたいと思う。