BEASTARS 第二期を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
学園に潜む視線の正体は、ガラガラ蛇の警備員。
その視線に背中を押され、レゴシは未だ正体定かならぬ喰殺犯を探る。
鼻をくすぐるテムの残り香、ルイの後悔。
姿は消えても残るものを追って、陰気な狼は事件に飛び込んでいく。
誰かのためでなく、ただ己のために、もう一度
そんな感じの青春探偵レゴシ、本格始動の第14話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
妖艶な気配が匂うロクメとのやり取りを経て、不器用な調査と目的の確認、生まれる決意。
レゴシが二期を引っ張る探偵役として、自分の事件を見つけるまでの物語であった。
その外側ではビースターの重責が渦を巻くが、まぁそれはそれ。
青年はあくまで自分自身のために、消えてしまった自分の大事な人の残り香を追っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
闇の奥を探るような歩みが、まさに闇の只中に身を置いたルイのそれと、どう交わるのか。
EDでイブルイのド真ん中を公式に叩きつけられた俺達はどうしたら良いのか。
物語が動き出す実感が強くあり、大変良かった
各種族のエゴと建前が色濃く匂う、全学園長会議。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
教育者としての本音でもあり、自己保身のための綺麗事でもある理念を、虎の学園長はヨロヨロと演説する。
彼の生煮えな理想主義者っぷりが、僕は結構好きだ。
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デカい体と鋭い爪牙を持ってても、肉食も楽な立場ではないことはここまでの物語でも示された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
立派なスーツと建前で装った会議では、身体よりも声のデカさが武器になる。
ネズミは弱者の特権としてメガフォンを握り、発言権を拡大して学園長を追い詰めていく。
ヒーローの重責と伝統が、ルイを追い詰めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
学園長の言い分は半分以上本音で理想で、自分の庭で起こった不祥事を回避する建前でもあろう。
殺して、喰って、ハイおしまい。
そんなサバンナの掟で”社会的動物”が動いていない以上、色んな鎖が身体を縛る。
実態のない星を祭り上げることでなんとか安定している世界の矛盾に押し出されて、ルイはストリートに戻った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
食われるものではなく、食うものとして。
そんな彼を心配する視線は、複雑怪奇な権力構造でネジ曲がり、へんてこな所に落ち着いていく。
そんな大人の事情を横に置いて、ルイはムツメと対峙し語り合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
立場を示す制帽を身に着けた瞬間、巨大なガラガラ蛇が秩序の使徒に見えてくるのだから、装い(を活かす演出)とは不思議なものだ。
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ムツメさんは手足のないイレギュラーとして学園の影に潜み、レゴシの影も光も見つめてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
陰気な変態ロリコン狼が隠し持つ、力強い手足とヤバい本性。
それに惚れ込みつつ、彼が本当に事件を解決する”星”か、自分の蛇体で確かめようとする。
長いまつげの書き方がなんともセクシーであるが、ムツメさんは警備員として、子供を見守るものとしての自我と自負を、強く持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
見込んだ狼が、偏見にも恐怖にも負けず真実を終えるか、しっかり見極めようと試してくる。
その慎重な姿勢が、僕は好きなのだ。
レゴシは(いつものように)無自覚に試練を越えていって、蛇体に優しく手を添え、意図しないセクシーを割れた腹筋から垂れ流しにする。まったこの子は…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
ここで鱗を撫でる仕草は、やっぱ彼の生まれと関係した態度なんかねぇ。爬虫類に愛着あるのは、原作読んでると納得。
誘うようにレゴシの視線から身を捩ったムツメさんを追って、狼は闇に身を投げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
そこには忘れてはならない惨劇があり、自分に未来を託して消えていった男の後悔が薫っている。狼の鼻は、それをしっかり嗅ぎ分ける。
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誘うように先に立っていたムツメさんは、レゴシを運命に導いた後、そろりと彼の後ろに陣取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
お前はこれを前に、どうするんだ。
そう問いかけ、見守り見抜くようなポジション取りが、彼の期待と誠実を語ってる感じで好きだ。
好感は前からある。触れ合って、セクシーな電撃も走った。
しかしそれだけでは、事件を預けるには足りない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
アニメ独自の演出であるけども、ここで一歩後ろに引いて、青春探偵のお手並み拝見となる慎重さが、ムツメさんの”格”を上げた感じもある。
レゴシが当事者として事件に向き合う意味も、この後の回り道でより濃く見える。
大人たちが建前と政治をぶん回す会議で、事件の扱いが勝手に決まっていく中で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
レゴシはあくまで学生らしく、自分の足と頭、ダチのツテを頼りに喰殺事件に切り込んでいく。
それが、ムツメさんの厳しい審議を越えていく、唯一の道だ。
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事件は謎に満ち、ガラス越し曖昧にハッキリしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
共存共栄の理想が詰め込まれた学園にも確かにある、種族の間の壁。
友達アプリでも越えられないものが立ちふさがって、レゴシの捜査はなかなか難しい。体操服盗む悪漢も、ビクビク夜を歩いてるし。
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しかし似合わぬ愛想笑いに牙を隠して、自分なり真摯に事件を探ろうとする姿勢を判ってくれる人もいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
『空振りだな~』と、いつもどおりヌボーっと立ち回りつつも、ボクシング部の腕自慢を完全制圧し、行きがけの駄賃と厄介事を解決もしてしまう。
レゴシには、無自覚な英雄的資質…星の素質がある。
しかし英雄として燦然と輝く未来なんて、レゴシは全く望んでいないし適正もない。ジュノとは違うのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
それでも自分なり、必死に青春する姿が人をひきつけ、運命を切り開いていくのが、英雄候補生の資質なのだろう。
多分ロクメさんも、それを見守り見込んでいる。僕らもね。
警戒を解いて託してくれた、テムの遺品。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
そこには平和な青春が爽やかに薫っていて、それだけではないきな臭さ、怪しい謎、ルイの残り香が漂う。
見てはならないものを、あえて見る。
そこにしか、自分の真実がないのだとしたら。
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ポエミィな日記帳に自分とルイ、姿の見えぬ喰殺犯の陰を嗅ぎ取りつつ、レゴシは自分の行くべき道を定めていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
巻き込まれるのでも、巻き付かれるのでもなく。
意思を込めて闇に光を投げかけ、その奥で待ってくれている人に正面から向き合う。
その意志をこそ、ロクメさんは待っていたのだろう。
ルイは逆転した明暗の中で、レゴシが真っ直ぐ光の中を進んでくれる未来を望んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
しかし日記帳にまだ匂っている先輩の後悔を嗅ぎ取り、そこに自分の名が確かに刻まれていることを確認して、レゴシは自分の意志で闇に光を持ち込む。
この決意は、アニメで分厚くなった部分だと思う。
そしてそれは、ルイが身を置く闇にも通じている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
同族の死体が散らばるデリカテッセンに、一切臆せぬ狂気。草食だからこそ引き受けられる、悪徳の代弁者。
それが、ルイが新たに選んだ仮面だ。
顔にかかる影はギラついた欲に照らされ、深くて濃い。
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肉食獣の邪悪さを信じ、嘘のない闇の中で強く生き抜く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
金ピカの重荷を背負い、その欺瞞に疲れ果てた結果たどり着いた場所は、果たして剥き出しの欲望だけが踊る場所なのか。
そこにもまた、かすかな光を見出してしまう気質が、ルイの不器用過ぎる青春にはあるのではないか。
僕は原作をもう読んでいて、ルイを取り巻くシシ組の人間性を知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
エゴに塗れた醜悪に見えるものの中に、確かな輝きがあってしまうことを…表社会の欺瞞とはまた違う複雑さが、ルイを苦しめ救うことを知っている。
だからこそ、闇に輝く彼の決意がひどく眩しい。き、綺麗やルイはん…。
んで、その輝きに魂を焼かれちまったライオンのイメソンが情け容赦なく、俺達の情緒を滅多打ちにしてくるんですけどッ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
いやー…こんなに力強く、公式に”イブルイ”されちまうとは思ってなかったな! ありがたい!!(断末魔)
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実際、EDでこんなにも巨大な感情を描いてる男がいる組織が、邪悪さだけで構成されてるわけがないんよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
そこには剥き出しの生き死にと、利用し利用される欲望と、それでも繋がってしまう思いがある。
迫りくる死神の骸骨と、ただ一人生身の実感を伴った”あなた”がいる。
一期でルイが、アカシカの頭骨を仮面に演じたのが”死”であるのは、まぁ凄まじく示唆的であるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
イブキが助手席に、盃の底に見つめ囚われるもの…彼と彼らの運命を定めるものは、ルイが背を向けた青春の舞台に、このEDに色濃く焼き付いている。
我が愛、我が王、我が死。おお…イブルイ…。
踊る会議が勝手に、青年たちの未来がどこに座るか決めるとしても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
子供たちは身勝手に力強く、自分たちが向き合うべき光と闇を選び、運命はそんな思いを気にもとめずに荒れ狂う。
それでも、意思を込めて力強く、光を抱えて闇に挑む。
それが、俺達の戦いだから。
そんな熱い火花が見えてくる、良い物語のイグニッションだったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
ここで生まれた炎がどう燃え広がり、闇の奥の怪物がいかに照らされるのか。
そこに写るのは社会の矛盾か、己のエゴか。鏡写しの怪物か。
未来は全く無明で、それでも青年たちは踏み込む。
それが他でもなく、人生という自分だけの物語だから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月15日
そして、誰かに託された大事なものが、そこにはあるから。
アニメがアレンジした描写は、そんな決意をより強く照らし、大変良かったと思います。
光の中の闇と、闇に輝く灯火が付いては離れ、火花を散らす青春絵巻。次回も楽しみです。