・第一話
モルカーを見た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月9日
モルモットの可愛いポイントを徹底的に観察・再現したモルカーの動き。
ストップモーションアニメとしての驚異的な仕上がり。
可愛らしさと裏腹の最悪の治安。
…なるほど、”龍”ですね。
初手で”モルモットキャラバン”ていう、業界一番のBOMBを投げつけてくるの強いわ。
モルモットの可愛らしさをマスコット的に窃盗せず、徹底的に生身の動物としてどう動くのか、どう鼻と腹部をヒクヒクさせているのかをアニメに落とし込み、しっかり動かしてくれてるのが素晴らしかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月9日
動物は一個の生命として、まずそこに居るんやな…。
・第二話
モルカー第二話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月11日
モルの可愛らしさ、モルカー独特の生態が活写された回であるが、カーアクションとしての情報量とカメラワークの良さ、小気味いい起承転結も効いている。
車としてのモルカーをどう魅せるか、モル要素と同じくらい考え観察し動かしているのは流石だ。
主役たるモルカーのなめらかで生物的な動きを強調するべく、人間は関節と表情のない人形、あるいは実写のコマを飛ばした”連続する静止画”として描くメリハリが、主客の逆転した作品世界の面白さ(少しの不気味さ)を強めてもいる。的確で力強い表現力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月11日
アニメーションは観察されたイマジナリーな現実を、連続する虚像として再構築する所に面白さがあると思っているが、そういう根源的な楽しさがマテリアルな質感を伴って浮き彫りになるのが、アニメとしてのモルカーの良いところであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月11日
壁をぶち抜いた時の力強さ、ダンボールの肌理。
・第三話
モルカーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月18日
『車にまつわるヤバいことを、可愛いモルちゃんのフィルターでくるんで全部やる』というアナーキーなコンセプトが、いい具合に暴れだして痛快。
このやりたい放題は、児童メインでやってればこそ活きてる感じもする。
僕らが考える子供向けと、子供が視たいカオスは存外食い違う。
製作者の指向もあろうが、結構メイン視聴者のことをよく見た作りだな、と思う。それはいつでも大事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月18日
仕切りのないケオティックな暴力に対面した時、できればそれはそのまま飲んだほうが面白かろうな、と思う。
それが可愛らしく、面白く、ハイクオリティに彩られれば尚更だ。
・第四話
PUI PUIモルカー 第4話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
吐き出されるゴミを疑うことなく頬張るモルカーは、タイトルバックに対置されているルンバと同じく道具的存在であり、同時に食事と排泄をする生物でもある。
既存の存在に”これ”と当てはめられない、魅力的なキマイラを運転手は弄ぶ。
『人類は愚か、滅亡するべき』と、画面に滲むシニカルな知性に当てあれて呟くことも出来るが、しかしそこに映っているのは我々の鏡である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
”人類”でしかない己に鑑みることなく、モルカー世界の人間を遠くから批判することは、多分壁紙のパラドックスだ。
人類皆死すべしと、他ならぬ人類がいう奇妙。
純朴なモルカーを弄ぶ身勝手は、クソとゴミに塗れて排泄される終わりに繋がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
そこに警句を読むも良し、犬儒派めいた冷たい視線を見つけるも良し、SFとしての面白さを見るも良し。
勿論、健気なモルカーのありように、涙と笑顔を浮かべてもいいだろう。
ここTwitterは広告プラットフォームなので、消費につながるよう基礎設計が為されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
配慮は置き去りにされ、言葉は蔑ろにされ、脳はドライブ状態で一方通行に突っ走り易い。
だから”ここ”でバズったものは、一定方向のバイアスを掛けられながら消費されやすい傾向がある…と思う。
ほかならぬ僕も”ここ”でモルカーを受け止め、語り、消費しているわけだが、そんなメディアの毒に侵されきらず、画面が宿している多彩さを色々噛み締めながら見続けたいなと、思う第四話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
モルカーという無垢なる異物があればこそ、浮かび上がる人間のフィギュール。やっぱいいSFだな。
モルカー追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
二分半という短さに相反した、狂気の作り込み。
それはリミテッド・アニメーションだけでなく、モルカーのある世界観にも多分及んでいて、しかし映像は細かく世界を語ってはくれない。そんな尺はないのだ。
そのミスマッチが、視聴者の創造を引っ張り込む引力ともなってる。
モルカーはどんな生態と社会を持ち、何を思って在るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
動きから背景のオブジェクトまで、隙なく組み上げられた箱庭を見ていると、自然色々考えたくもなる。可愛さとシニカルが同居した作風も、それを加速させる。
謎と答えがポン、と短く置いてある圧縮率も、この時代にあってるのかもしれない。
あとモルちゃんがごみの山に飛び込む時の、ビースティな迫力に満ちた動きとアングルが良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
やっぱアクションとして、一話一回はキッチリ”勝負”出来るシーンを入れてるの、メリハリついて凄いなー、と思う。
可愛いだけで終わらないのは、話の筋立てだけじゃないっつー感じ。強いわ。
・第五話
PUIPUIモルカーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月1日
サーキットを舞台にしのぎを削る、超音速のモルバトル…とは行かず、食ったり怯えたり、モルカー達は自由である。
胴体の若葉マークと全く噛み合っていない危ないロケット改造は作動せず、ガンガン叩いて動かそうとしたパイロットはふっ飛ばされる。
人間の思惑などお構いなしに、モル達は走り人参を食べ、食べれなくて涙しながらゴールラインを切る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月1日
報奨と与えられたトロフィーを、よだれダラダラの仲間たちと分け合い、今日も平和な日が行き過ぎる。
人間があんま絡まない今回、大騒ぎながら平和であった。世界よ、モルであれ。
レース回だが走りにはそこまでキレたアクションを入れず、ロケット主観の飛翔作画、湧き上がる煙の表現にキレがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月1日
短い足をモルモルと動かし、プイプイと進むモルカーの姿が可愛らしいので、ある意味気合は入っているのだが。彼らは勝手気ままに動いていて、大変良い。
モルカーたちがレースをするのは、人に従わされてのことなのか、それとも付き合ってくれているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月1日
描写に答えはなく、僕の中に疑問符は生まれる。
そういう奥行きがあるのは、やっぱ良いな、と思う。
作品自体は短いが、生み出した波紋は大きく広がり、思考を占めていく。
そういう仕上がりが、異様なまでに忙しないこの時代とは噛み合っているのかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月1日
ここまで短く圧縮された娯楽を摂取する余裕しかない現実に、エンデの”モモ”が描いた、灰色の男たちの世界が少し重なる。
床屋の鏡に刻まれた、冷たい偽証方程式。モルカーは時間の花の夢を見るのか?
・第六話
PUIPUIモルカーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
可愛さに不穏さを(たっぷり)滲ませていたモルカー、遂に脈絡なくゾンビパニックである。まぁゾンビパニックは大概、脈絡ない不条理なわけだが。
逃走と闘争の道具として、武装され争うモルカー。
ゾンビは肉、モルカーは野菜、鳥はパン。
そして仲裁と平和が訪れた…。
かに見えて、ゾンビは結局肉を食う存在で、シロモを齧ったことでゾンビモルカーが生まれてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
野菜で満足するモルカーらしさを投げ飛ばし、同族の肉を狙うシロモの脳裏に、去来するものはなにか。
答えはない。
モルカーは荒野に飛び、物語はゾンビ映画的に終わる。
二分半の短い時間に、起承転結と盛り上がりをしっかり入れ込む脚本の手腕に、毎回感心するのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
今回は特にメリハリが付いた、力強い物語がうねっていた。
攻守の逆転、闘争の火花、一時の平和、カタストロフ。非常に見応えのあるドラマであった。
追いかけられ追いかけ回すスピード感、肉を貪るゾンビの浅ましさも、非常に鋭くアニメーションしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
コミカルな絵面だが、ガトリング砲とブレードで”凶器”になってしまったモルカーの佇まいには、なんとも言えない悲しさも滲む。
純粋なものも、生存のためには己を作り変えるのだ。
己を鋼の怪物に作り変えたアビーに、『そんなのモルカーらしくないから止めなよ』と言ったところで、ゾンビは肉を食いに来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
でもモルカー的なものはチョコの仲裁で確かに生まれ、一瞬世界を支配しそうになって、ゾンビがゾンビ性を経口感染させて、シロモはゾンビになってしまう。
それは腐り果てた人間性、腐敗への宿命であり、モルカーもまたそこからは逃れ得ないのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
そもそも、この話は無敵に自由で純粋な存在として、モルカーを描いてなどいなかったな、などと思い出しつつ、不思議な余韻の残る視聴となった。
ゾンビ映画が常にそうであるように、描くのは人間であるな。
それが歪んだ鏡像に見えたとしても、そこに反射しているのはあくまで自分の似姿、腐ってようやく見えた中身である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
愚かで滅ぶべき人間の対比物、汚れなき天使としてモルカーを描いていない視線は、やっぱり好きだな、と思う。
彼らも身勝手に生き犠牲に死ぬ、当たり前の生物なのだ。
・第7話
PUI PUIモルカーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月15日
極地に適応し泥に塗れた冒険家は、街では暮らせない。
ならばその装いを整えるために、彼が飲み込める方法で街の流儀に身をくぐらせ、アーバンな存在を生み出す工夫。
人間が間に入らないと、モルカーは持ち前の善良さを衝突なく発揮できる…
…と言いたいところだが、ギミックの壮大さが目を引く洗モル機は人間が作り運営しているものだし、なんだかんだ共存の間柄なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月15日
跳ねる泥を活写したクレイアニメーション、少し素材感が透けてそれがワクワクを強化する機械の描写。
共に素晴らしかった。
細かい仕草やアクションから、尺以上の物語世界を感じ取らせ、想像させる手腕がこのアニメは優れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月15日
一足飛びにマシンの上に飛び乗る冒険モルカーのフィジカル、泥に汚れるのもいとわず彼を押すモルたちの愛らしさ。
最後の眩しさに目を細める表情、デカ目なサングラスも、チャーミングで良い。
前回は唐突ゾンビからの急展開、投げっぱなしのオチでぶん回されたが、今回はモルたちの善良さが全面に出た仕上がりで、シリーズを通した緩急も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月15日
やっぱモル達には、お互いを思いやり賢く生きれる存在でいて欲しい。
その美質を発揮させられるかは、周囲の環境…それを生む人にかかる。
無垢なる獣を鏡にして、人間の可能性も照らされる話なのは間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月15日
そういう描写の奥にあるものと同じくらい、モルたちの徹底した可愛らしさ、いじましさをしっかり描き続けているのも、また凄いと思う。
とにかく可愛いからなモルちゃん達は…ありがたい。
・第8話
PUI PUIモルカー 第8話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
さらわれた冒険モルカーを助け出すべく、ビームと爆発百連発の大立ち回り!
問答無用の大迫力が暴れ倒す、二分半の大スペクタクルであった。
普段はぷいぷい可愛らしいサイズ感のモルカーが、大きく見える不思議。本当に見せ方が闊達自在である。
前回印象的だった冒険モルカーのサラサラヘアーが、画面に満ちる爆風をこちらも感じるための触覚として機能していて、アクションだけではなく話数構成の妙にも唸る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
悪党が彼を誘う動機づけも、前回の遺跡冒険でちゃんと見せられていることで、余計な説明に尺を取らない。
残りはド迫力の大ジャンプ、爆発、爆発、AKIRAバリのイカすブレーキ、スローモーションとビームと爆発である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
画面をみっしり、アクションで埋め尽くす大満腹の構成のために、考え抜かれた運びが生きると感じる。むっちゃくちゃ見せ場多かったな…。
メカシャークの機械っぽい動きと、モルカーの生物的な動きの対比。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
あくまでマテリアルな質感を残したまま、力強い躍動に満ちた各種エフェクト。
触れる”モノ”が動いている、ストップモーションアニメならではの面白さが、一層前に出たエピソードであろう。
モルカーキャリアが爆発するところの、奥行きを感じられるカメラワークや、メカシャークがレーザーを発射するところのタメなど、機械ゆえの動きの面白さ、ワクワク感も鋭く捉えられていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
やはり世界を見抜く鋭い観察眼が、アニメーターの武器なのだな、と感じた。
それを一コマ一コマ、画面に焼き付ける狂的な努力と、動かないはずのものを動かすセンスと腕前。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
風刺色を抑えめに、ど真ん中のアクションで魅せる回だからこそ、作者のアニメーター腕力がしっかり伝わる作品となった。
あんだけ可愛いキャラが、これだけ格好良く見える。凄いことである。
ストローやティッシュなど、身近なはずのマテリアルがこの活劇を通せば、凶悪なビームや激しい爆発に変わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
モノが持つイメージを変化させ、力強く動かす面白さが、この”アニメーション”の(たくさんある)強さなのかな、とも思う回だった。
素材感はマジ大事にしてるよね。