・第一話
モルカーを見た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月9日
モルモットの可愛いポイントを徹底的に観察・再現したモルカーの動き。
ストップモーションアニメとしての驚異的な仕上がり。
可愛らしさと裏腹の最悪の治安。
…なるほど、”龍”ですね。
初手で”モルモットキャラバン”ていう、業界一番のBOMBを投げつけてくるの強いわ。
モルモットの可愛らしさをマスコット的に窃盗せず、徹底的に生身の動物としてどう動くのか、どう鼻と腹部をヒクヒクさせているのかをアニメに落とし込み、しっかり動かしてくれてるのが素晴らしかったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月9日
動物は一個の生命として、まずそこに居るんやな…。
・第二話
モルカー第二話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月11日
モルの可愛らしさ、モルカー独特の生態が活写された回であるが、カーアクションとしての情報量とカメラワークの良さ、小気味いい起承転結も効いている。
車としてのモルカーをどう魅せるか、モル要素と同じくらい考え観察し動かしているのは流石だ。
主役たるモルカーのなめらかで生物的な動きを強調するべく、人間は関節と表情のない人形、あるいは実写のコマを飛ばした”連続する静止画”として描くメリハリが、主客の逆転した作品世界の面白さ(少しの不気味さ)を強めてもいる。的確で力強い表現力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月11日
アニメーションは観察されたイマジナリーな現実を、連続する虚像として再構築する所に面白さがあると思っているが、そういう根源的な楽しさがマテリアルな質感を伴って浮き彫りになるのが、アニメとしてのモルカーの良いところであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月11日
壁をぶち抜いた時の力強さ、ダンボールの肌理。
・第三話
モルカーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月18日
『車にまつわるヤバいことを、可愛いモルちゃんのフィルターでくるんで全部やる』というアナーキーなコンセプトが、いい具合に暴れだして痛快。
このやりたい放題は、児童メインでやってればこそ活きてる感じもする。
僕らが考える子供向けと、子供が視たいカオスは存外食い違う。
製作者の指向もあろうが、結構メイン視聴者のことをよく見た作りだな、と思う。それはいつでも大事だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月18日
仕切りのないケオティックな暴力に対面した時、できればそれはそのまま飲んだほうが面白かろうな、と思う。
それが可愛らしく、面白く、ハイクオリティに彩られれば尚更だ。
・第四話
PUI PUIモルカー 第4話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
吐き出されるゴミを疑うことなく頬張るモルカーは、タイトルバックに対置されているルンバと同じく道具的存在であり、同時に食事と排泄をする生物でもある。
既存の存在に”これ”と当てはめられない、魅力的なキマイラを運転手は弄ぶ。
『人類は愚か、滅亡するべき』と、画面に滲むシニカルな知性に当てあれて呟くことも出来るが、しかしそこに映っているのは我々の鏡である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
”人類”でしかない己に鑑みることなく、モルカー世界の人間を遠くから批判することは、多分壁紙のパラドックスだ。
人類皆死すべしと、他ならぬ人類がいう奇妙。
純朴なモルカーを弄ぶ身勝手は、クソとゴミに塗れて排泄される終わりに繋がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
そこに警句を読むも良し、犬儒派めいた冷たい視線を見つけるも良し、SFとしての面白さを見るも良し。
勿論、健気なモルカーのありように、涙と笑顔を浮かべてもいいだろう。
ここTwitterは広告プラットフォームなので、消費につながるよう基礎設計が為されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
配慮は置き去りにされ、言葉は蔑ろにされ、脳はドライブ状態で一方通行に突っ走り易い。
だから”ここ”でバズったものは、一定方向のバイアスを掛けられながら消費されやすい傾向がある…と思う。
ほかならぬ僕も”ここ”でモルカーを受け止め、語り、消費しているわけだが、そんなメディアの毒に侵されきらず、画面が宿している多彩さを色々噛み締めながら見続けたいなと、思う第四話であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
モルカーという無垢なる異物があればこそ、浮かび上がる人間のフィギュール。やっぱいいSFだな。
モルカー追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
二分半という短さに相反した、狂気の作り込み。
それはリミテッド・アニメーションだけでなく、モルカーのある世界観にも多分及んでいて、しかし映像は細かく世界を語ってはくれない。そんな尺はないのだ。
そのミスマッチが、視聴者の創造を引っ張り込む引力ともなってる。
モルカーはどんな生態と社会を持ち、何を思って在るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
動きから背景のオブジェクトまで、隙なく組み上げられた箱庭を見ていると、自然色々考えたくもなる。可愛さとシニカルが同居した作風も、それを加速させる。
謎と答えがポン、と短く置いてある圧縮率も、この時代にあってるのかもしれない。
あとモルちゃんがごみの山に飛び込む時の、ビースティな迫力に満ちた動きとアングルが良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年1月25日
やっぱアクションとして、一話一回はキッチリ”勝負”出来るシーンを入れてるの、メリハリついて凄いなー、と思う。
可愛いだけで終わらないのは、話の筋立てだけじゃないっつー感じ。強いわ。
・第五話
PUIPUIモルカーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月1日
サーキットを舞台にしのぎを削る、超音速のモルバトル…とは行かず、食ったり怯えたり、モルカー達は自由である。
胴体の若葉マークと全く噛み合っていない危ないロケット改造は作動せず、ガンガン叩いて動かそうとしたパイロットはふっ飛ばされる。
人間の思惑などお構いなしに、モル達は走り人参を食べ、食べれなくて涙しながらゴールラインを切る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月1日
報奨と与えられたトロフィーを、よだれダラダラの仲間たちと分け合い、今日も平和な日が行き過ぎる。
人間があんま絡まない今回、大騒ぎながら平和であった。世界よ、モルであれ。
レース回だが走りにはそこまでキレたアクションを入れず、ロケット主観の飛翔作画、湧き上がる煙の表現にキレがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月1日
短い足をモルモルと動かし、プイプイと進むモルカーの姿が可愛らしいので、ある意味気合は入っているのだが。彼らは勝手気ままに動いていて、大変良い。
モルカーたちがレースをするのは、人に従わされてのことなのか、それとも付き合ってくれているのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月1日
描写に答えはなく、僕の中に疑問符は生まれる。
そういう奥行きがあるのは、やっぱ良いな、と思う。
作品自体は短いが、生み出した波紋は大きく広がり、思考を占めていく。
そういう仕上がりが、異様なまでに忙しないこの時代とは噛み合っているのかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月1日
ここまで短く圧縮された娯楽を摂取する余裕しかない現実に、エンデの”モモ”が描いた、灰色の男たちの世界が少し重なる。
床屋の鏡に刻まれた、冷たい偽証方程式。モルカーは時間の花の夢を見るのか?
・第六話
PUIPUIモルカーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
可愛さに不穏さを(たっぷり)滲ませていたモルカー、遂に脈絡なくゾンビパニックである。まぁゾンビパニックは大概、脈絡ない不条理なわけだが。
逃走と闘争の道具として、武装され争うモルカー。
ゾンビは肉、モルカーは野菜、鳥はパン。
そして仲裁と平和が訪れた…。
かに見えて、ゾンビは結局肉を食う存在で、シロモを齧ったことでゾンビモルカーが生まれてしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
野菜で満足するモルカーらしさを投げ飛ばし、同族の肉を狙うシロモの脳裏に、去来するものはなにか。
答えはない。
モルカーは荒野に飛び、物語はゾンビ映画的に終わる。
二分半の短い時間に、起承転結と盛り上がりをしっかり入れ込む脚本の手腕に、毎回感心するのだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
今回は特にメリハリが付いた、力強い物語がうねっていた。
攻守の逆転、闘争の火花、一時の平和、カタストロフ。非常に見応えのあるドラマであった。
追いかけられ追いかけ回すスピード感、肉を貪るゾンビの浅ましさも、非常に鋭くアニメーションしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
コミカルな絵面だが、ガトリング砲とブレードで”凶器”になってしまったモルカーの佇まいには、なんとも言えない悲しさも滲む。
純粋なものも、生存のためには己を作り変えるのだ。
己を鋼の怪物に作り変えたアビーに、『そんなのモルカーらしくないから止めなよ』と言ったところで、ゾンビは肉を食いに来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
でもモルカー的なものはチョコの仲裁で確かに生まれ、一瞬世界を支配しそうになって、ゾンビがゾンビ性を経口感染させて、シロモはゾンビになってしまう。
それは腐り果てた人間性、腐敗への宿命であり、モルカーもまたそこからは逃れ得ないのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
そもそも、この話は無敵に自由で純粋な存在として、モルカーを描いてなどいなかったな、などと思い出しつつ、不思議な余韻の残る視聴となった。
ゾンビ映画が常にそうであるように、描くのは人間であるな。
それが歪んだ鏡像に見えたとしても、そこに反射しているのはあくまで自分の似姿、腐ってようやく見えた中身である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
愚かで滅ぶべき人間の対比物、汚れなき天使としてモルカーを描いていない視線は、やっぱり好きだな、と思う。
彼らも身勝手に生き犠牲に死ぬ、当たり前の生物なのだ。
・第7話
PUI PUIモルカーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月15日
極地に適応し泥に塗れた冒険家は、街では暮らせない。
ならばその装いを整えるために、彼が飲み込める方法で街の流儀に身をくぐらせ、アーバンな存在を生み出す工夫。
人間が間に入らないと、モルカーは持ち前の善良さを衝突なく発揮できる…
…と言いたいところだが、ギミックの壮大さが目を引く洗モル機は人間が作り運営しているものだし、なんだかんだ共存の間柄なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月15日
跳ねる泥を活写したクレイアニメーション、少し素材感が透けてそれがワクワクを強化する機械の描写。
共に素晴らしかった。
細かい仕草やアクションから、尺以上の物語世界を感じ取らせ、想像させる手腕がこのアニメは優れている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月15日
一足飛びにマシンの上に飛び乗る冒険モルカーのフィジカル、泥に汚れるのもいとわず彼を押すモルたちの愛らしさ。
最後の眩しさに目を細める表情、デカ目なサングラスも、チャーミングで良い。
前回は唐突ゾンビからの急展開、投げっぱなしのオチでぶん回されたが、今回はモルたちの善良さが全面に出た仕上がりで、シリーズを通した緩急も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月15日
やっぱモル達には、お互いを思いやり賢く生きれる存在でいて欲しい。
その美質を発揮させられるかは、周囲の環境…それを生む人にかかる。
無垢なる獣を鏡にして、人間の可能性も照らされる話なのは間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月15日
そういう描写の奥にあるものと同じくらい、モルたちの徹底した可愛らしさ、いじましさをしっかり描き続けているのも、また凄いと思う。
とにかく可愛いからなモルちゃん達は…ありがたい。
・第8話
PUI PUIモルカー 第8話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
さらわれた冒険モルカーを助け出すべく、ビームと爆発百連発の大立ち回り!
問答無用の大迫力が暴れ倒す、二分半の大スペクタクルであった。
普段はぷいぷい可愛らしいサイズ感のモルカーが、大きく見える不思議。本当に見せ方が闊達自在である。
前回印象的だった冒険モルカーのサラサラヘアーが、画面に満ちる爆風をこちらも感じるための触覚として機能していて、アクションだけではなく話数構成の妙にも唸る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
悪党が彼を誘う動機づけも、前回の遺跡冒険でちゃんと見せられていることで、余計な説明に尺を取らない。
残りはド迫力の大ジャンプ、爆発、爆発、AKIRAバリのイカすブレーキ、スローモーションとビームと爆発である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
画面をみっしり、アクションで埋め尽くす大満腹の構成のために、考え抜かれた運びが生きると感じる。むっちゃくちゃ見せ場多かったな…。
メカシャークの機械っぽい動きと、モルカーの生物的な動きの対比。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
あくまでマテリアルな質感を残したまま、力強い躍動に満ちた各種エフェクト。
触れる”モノ”が動いている、ストップモーションアニメならではの面白さが、一層前に出たエピソードであろう。
モルカーキャリアが爆発するところの、奥行きを感じられるカメラワークや、メカシャークがレーザーを発射するところのタメなど、機械ゆえの動きの面白さ、ワクワク感も鋭く捉えられていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
やはり世界を見抜く鋭い観察眼が、アニメーターの武器なのだな、と感じた。
それを一コマ一コマ、画面に焼き付ける狂的な努力と、動かないはずのものを動かすセンスと腕前。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
風刺色を抑えめに、ど真ん中のアクションで魅せる回だからこそ、作者のアニメーター腕力がしっかり伝わる作品となった。
あんだけ可愛いキャラが、これだけ格好良く見える。凄いことである。
ストローやティッシュなど、身近なはずのマテリアルがこの活劇を通せば、凶悪なビームや激しい爆発に変わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
モノが持つイメージを変化させ、力強く動かす面白さが、この”アニメーション”の(たくさんある)強さなのかな、とも思う回だった。
素材感はマジ大事にしてるよね。
・第9話
PUI PUIモルカー 第9話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月1日
車にまつわるアクシデントを、モルの魔法で可愛く楽しくするこのアニメ。
今回は路面凍結による交通混乱を、氷上のサプライズへと変えていくミュージカル風味の仕上がりである。
サメアクションからロマンティック・コメディへ。ジャンルの振り幅が凄い。
この作品、見せ方の手札が異常に多く、バラエティ豊かに楽しませてくれるのも強みの一つだと思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月1日
ツルツル滑る凍結道路に悪戦苦闘するモル達が、自然リズムを刻み交差点がリンクになっていく面白さ、可愛らしさだけでなく、今回は人間の魅せ方も冴えていた。
最初『デwwwカwwwすぎwww』とツッコんでいたエンゲージリングが、華麗なスピンジャンプを経て花嫁衣装を生み出すファンタジーの書き方は、非常に鮮烈だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月1日
相変わらずゾンビってるシロモとか、エグいものを描く筆と同じくらい、綺麗で優しい魔法を描くのも巧い。
豊かな表現の基礎体力が、今回は人間のカップルを見事に飛ばせ、虹色のハッピーエンドへと導いていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月1日
毎回趣向を凝らし、ジャンルを横断し、様々な見せ場を贅沢に味あわせてくれる工夫が、相変わらず元気である。
短い時間にギュッと内容を詰めて、濃厚に食わせる形式と多彩さが噛み合っている。
もともとサイレント作品なので音楽は台詞の代わりをする大事な表現であったが、今回はスケートモチーフということで、ちょっと劇映画的な変化を上手く載せ、BGMも踊っていたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月1日
第1話で混乱を引き起こしていた、DJモルがフロアを熱狂させていたのも良い。
ツルツル混乱が広がる日常が、プロポーズとアイスダンスに染まっていって、なんかハッピーな雰囲気に塗り替えられていく面白さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月1日
世界のルールが書き換わるダイナミズムが、ミュージカル映画の楽しさだと思っているのだけど、今回そういう味わいが強くあったと思う。
これは美術ジャンルとしての”ハプニング”の面白さでもあって、日常を埋めていた乗用モルカー達はアイスダンサーに、あるいは審査員にガラッと変わっていく。なんやねんあの寿司モルカーは…(好き)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月1日
日常が色を変える面白さ。
それがモルカーと、サプライズ・プロポーズを仕掛けた新郎との間で共鳴する
モルカーと人間たちが同じ方向を向いて、同じ舞台で踊る今回は、そういう共鳴の面白さがよく出た回だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月1日
まぁ交差点は大混乱であり、パトモルカーには災難であったが…。
そういうシニカルなエンドマークを忘れない所含め、やはりよくできた短編である。
・第10話
PUI PUIモルカー 第10話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月8日
アメコミヒーローが理想なアビーが、所有者の無理解によって萌え痛車にドレスアップさせられ、しかしそのペイントがヒーローになる魔法をくれるという、結構複雑なヒロイズム。
英雄とは外形ではなく行いであるという、非常に骨の太いヒーロー論出会ったと思う。
トレーニングを積んで若葉マークが取れたアビーの期待を、アキバ色に染め上げるスモークの表現が豊かで良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月8日
まぁそこから顔を出すのは、アニメ塗りの悪夢なんだけども…”なりたい自分”を解ってもらえないのは、大変に辛い。リュックにビームサーベル刺してる場合じゃない。
今回はストップモーションではない”普通のアニメ”が挿入されて、アビーの妄念、二次元の夢を表現していたのが面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月8日
こうして同一放送枠に収まると、セルアニメとストップモーションの”肌理”の違い、それぞれの素材感が際立つ。
ここでもるみのペイントにも意志を宿して、押し付けられた恥の象徴こそが、アビーの夢を叶える魔法であったとする運びはとても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月8日
カッコいいアメコミヒーローだけが、憧れの形ではない。押し付けられた誰かの夢が、空飛ぶ翼をくれるときもある。
アビーはタフに誰かを守るヒロイズムを、マッチョな男性性に求めていたわけだが、それは可愛い女の子に宿っても良いものだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月9日
自らの夢を後押ししてくれる魔法を刻まれて、アビーはもう痛車な自分を恥じないと思う。その行い、生まれた奇跡にこそ、ヒロイズムはある。
貼り付けられたペイントが、自由に動いて奇跡を後押しする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月9日
もるみもまた作中で”アニメーション”し、アビーのセルフイメージ、ヒロイズムの形を変化させていた。羊毛フェルトだけが、あの世界でAnimeしているわけではない。
そういう靭やかさがある回で、非常に現代的なエピソードだったと思う。
それにしたって所有者はアビーの願いを汲まなさすぎであるが、人間がそうであるようにモルカーも、意思疎通に常に難しさを抱えているのだろう。ぷいぷいしか言わねぇしな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月9日
無条件に通じあえる”優しい世界”ではなく、他人の思いを汲み取れる人も、無視して我を通す人も色々あると、毎回個別に描く。
強盗もいれば善人もいるモルカー世界の書き方が、ファンシーな外見に多彩さと面白さを生んでいることを、再確認する回でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月9日
扱うテーマ、表現方法、キャラクターの個性。
飽きさせないバラエティの豊かさが、作品の奥行きに繋がっているのは力強いなぁ…尺は短いが、本当に豊かだ。
あとぷいぷい秋葉原の作り込みが(相変わらず)気合入ってて、アニメシティとしての実在感がガッツリあったのが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月9日
短い時間に多大な情報量をギュッと詰め込むことで、ある種の認識的相転移を起こす技法、表現の背骨と腕力がないと絶対ムリなので、やっぱ凄い。
PUI PUI モルカー第11話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
BTTFをオマージュした時空SF回…を飛び越え、まさかのジャイアント生モルで一気に押し流す回。
”車でやること全部”がコンセプトなモルカー、ある意味世界一有名なデロリアンを扱うのはある意味予測の範疇だった(?)が、このタイミングで生モル…。
やられてみると”ご先祖様”には違いなく、映像表現としても異質性と納得が両立する妙手である。可愛いし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
ツムギちゃんはモル声も担当しているので、ある意味声優顔出しといえなくもない。第1話で、携帯電話の壁紙にもなってたしね。
次回予告でタイムスリップネタを出しつつ、生モルは隠して殴りつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
二分半という短い時間でも、『期待を叶え、予想を裏切る』というエンタメの理想形はしっかりやれるのだなと、感心通り越して感服させられる話運びであった。
『モルカーは無茶苦茶やる』という、視聴者の学習を逆手に取ってる。
『サメも飛んだしゾンビも出たし、タイムマシーンくらい余裕!』とナメてた所に、別角度から一発入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
しかしアニメーション表現を軽やかに越境する作品であることは、前回のもるみで既に示されており、これはフェアな表現でもある。
そうなるように、シリーズをしっかり組んでいる。
初期に出てたら”奇”でしかなかっただろう生モルが、作品との信頼関係、そこから生まれる期待と対話によって”妙”になるのは、まさに11話使った魔法と言えよう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
なかなか生まれ得ない関係性が視聴者との間に生成されており、凄いなぁ、と感心する。
作品自体の質と、その活かし方の化学反応。
原始時代の壁画を見ると、生モルは槍もて追われる強敵として扱われている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
以来長い時間をかけて、モルカーは人間のエゴに振り回されつつ、結構勝手気ままに生きてるパートナーとして社会に溶け込んだ。
ドクの優しさにより、モルカーはセーターを着る存在へと変化したが、そこは変わらない。
二分半のSF的断片から、モルカー社会を想像するのも面白いこの作品。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
今回は時空改変による社会変革が発生したので、さらに読みがいのあるエピソードだったと思う。
セーター改変により、ゾンビ事件がなかったことになって、シロモも戻ったか。ゾンビしてるキミも可愛かったが、まぁそれが良かろう。
短く、しかし確かな手応えで僕らを楽しませてくれたモルカーも次回最終回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
僕は色んな”アニメーション”が好きなので、アートな表現を簡勁なエンタメの心臓として駆動させつつ、短いからこその鋭さで時代に、僕の心に突き刺さったこの作品が、終わるのは寂しい。
しかし同時に、様々な面白さと表現を盛り込み、貪欲に楽しませてくれたこの作品が最後に何を描くかがとても楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月16日
『何が来ようが”モルカーである』という期待と信頼が、今たしかにある。
二分半の連作で、そういう感慨を人間作れるものなのだ。凄いねぇ、つくづく。
・第12話
PUI PUI モルカーを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
疲れた人間の足として帰宅を手伝い、ヘロヘロの身体を眠らせたら、そっから先はPARTY TIME!
メンバー総出演でお送りする、ご機嫌のミッドナイト・レイヴ。
可愛く楽しかった作品にふさわしい、賑やか極まる祭りの終わりであった。
ありがとう、モルカー。
僕は妖精譚というのがとても好きで、モルカーにもその気配を強く感じていたので、今回人間が寝静まった後に始まるガレージでの宴は大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
人間と同じ景色を共有しつつ、同じではない存在が持つ独自の喜びや社会が見れると、朗らかな豊かさを感じて大変良い気持ちになる。
今回分かったように(あるいは今まで書かれていたように)、モルカーは独自の意志と社会を持つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
人間の情報インフラを上手く利用して連絡を付け、お家を勝手に使ってバレそうになったらカーテンほっかむり、お尻をPUI PUIして誤魔化そうとするズルさもある。
モルカーは、天使なんかじゃない。
しかし首輪も鞭も焼印もないまま、彼らはよくわかんねぇ二足歩行の動物に隣り合い、乗っけて運んで布団をかけてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
ワイワイ騒いだ後始末を忘れもするが、しかしそんなお互いの勝手をそれでも尊重し、楽しく利用し合う関係、絆と心の靭やかさがよく見えた。
そこに愚かな人間を許してくれる無原罪な優しさを見るか、結構勝手しつつもまぁまぁ上手くやってる距離感を見るかは、存外人それぞれだと思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
僕には後者が見えて、それが”モルカー”という存在の尊厳を大事にした書き方だな、とずっと思ってきた…し、それを確認できる最終回だった。
人間が愚かだというなら、モルカーも愚かだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
あのPUI PUI可愛い動物だけが身勝手さや失敗から逃れる、天使の羽をもっているわけではない。
それでもあの世界はとても楽しそうに、時に暴力や理不尽の気配を感じさせながらも、ド迫力のアクションとぶっちぎりの可愛さでそれを超えて来た。
そんなも物語が終わる時、しんみり涙の気配ではなく、最高のPARTYでゴキゲンに幕を閉じていくのが、素晴らしいサービス精神だな、とも思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
ここまで楽しい物語を届けてくれた、沢山のモルちゃんたち。彼らがみんな楽しそうにごちそうを食べ、ゲームをし、歌い踊る。
画面に満ちる祝祭と活力。
二分半の笑いと愛おしさをたっぷり摂取して、モルカーは終わっていく。そこには感謝があり、元気があり、喜びがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
色んなものを書いて、色んなジャンルを横断したモルカーがそういう、ポジティブな活力を手渡して終わるのは凄く、潔く力強いことだと感じた。
第1話と人間さんを共有し、かわいいかわいいモルトレインももう一度顔を出し、『行きて帰りし物語』として終わっていくのも、大変良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
渋滞を引き起こしたラッパーモルカーも、最高のMCとして楽しい時間を演出し、今度は”悪役”ではない。
話ごと、場面ごとに役割も、書き方も変わっていく。
お話の作り方も、扱うジャンルも、モルカーや人間や世界の書き方も凄く多彩だったこのアニメ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
今第1話に戻ると、全く違うものが立ち上がってくると思う。
そういう豊かさが、二分半の連作の中にしっかり宿ったのは、本当にスゴいことだと思う。それを笑いながら思い返せる、最終回だったのも。
羊毛フェルトを用いたストップモーション・アニメーションという、アートな形式を非常に上手くエンタメに落とし込み、素材が持つ独自の感触、二分半という短さすら力に変えた作り込み。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
全領域で大変素晴らしく、心から楽しませてもらいました。
良いところたくさんあるが、何よりまずモルが可愛い。
時にアクション大巨編を、時に心躍るファンタジーを。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
アニメーションとしての大胆な表現に果敢に挑み、その労力を力みなく笑いに変換していた手腕含め、大変楽しい体験でした。
みんな元気で、可愛く、好きになれるキャラクター、ストーリーばっかりだったなー…全部お気に入りだ。
この短い夢に費やされた労力を思うと、『二期はよ!』とはとても言えませんが、爽やかでありながら濃厚、朗らかかつ思弁的な極上のファンタジーを、もう一度味わいたい気持ちは強くあります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月23日
しかし今は、とにかくありがとうとお疲れ様を。素晴らしいアニメーションでした!