裏世界ピクニック 第5話を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
いつもの打ち上げ。たっぷり飲んで絞られて、酔って笑ってお家に帰る。
そのはずが、気付けば夜の闇に喰われている。
準備も覚悟もなく、飲み込まれた裏世界。異形の徘徊する線路の先に、待つのはきさらぎ駅と銃口。
彷徨う二人に、夜明けは来るのか?
そんな感じの二話連作、裏世界ハンター VS きらさぎ駅 with 米軍編である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
先週とは別の形で要素がてんこ盛りで、なかなか酩酊感のある話だった。
『こういう感じね~』と、自分の中で納得したところでガツンと突き上げを喰らい、ひっくり返される不可思議な楽しさは、空魚達の冒険に通じるところか。
ここまでは(作動原理が分からないなりに)手順を踏んで”行く場所”だった裏世界が、何の用意もなく”来る場所”となる今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
エレベーターのおまじないを超えて迫りくる唐突さこそが、異界の本質かもしれない。
こっちの都合はお構いなし、解ったと思えば別の顔で、新しい牙で噛み付いてくる。
それに対処するごとに異界との接点が増え、心身は変質していく。”あちら”に近づいていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
見る/見られるという境界線が反転し、混合し、定位を失う。常識が消失する恐怖と、新しいモノへの微かな喜び。
そんなテイストが、より強く顔を出すエピソードだったと思う。
かなり長い時間を使って語られる、恒例の打ち上げ風景。小桜さんへの詫び飲みだってのに、即座に別会計を画策する辺、やっぱり鳥子はいい性格をしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
グビグビ飲んで、酔うだけ酔って、後はお家に帰るだけ。裏世界探訪もルーチン化してきたなッ!
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そんな油断が、二人にも視聴者にも出てきたタイミングを見計らって、予期せぬ越境が二人を飲んでいくのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
”際”を超えたのはいつだったのか。
異界の物品たる八尺様の帽子を、不用意に取り出したときか。
居酒屋の中か、その扉を越えた時か、青すぎる池袋に彷徨った時か。
その境目は見えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
今までは意思を込めて”行く”場所だった裏世界は、今回双方向的に二人を勝手に飲み込む。
その予兆は前回既にあって、奇妙な来訪者やおっさんの姿を取って、裏世界は二人に接触してくる。
そこにあるロジックは、常人が理解するにはあまりに不明で、全ては唐突だ。
異質性との接触というのはまぁ大概そういうものであろうし、それを噛み砕いて上手く付き合う方法として、対話やらオカルトがあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
空魚の世界に急に降り立ってしまった、鳥子を巡る冒険もまた、そんな唐突さと不鮮明に満ちている。
よく解かんねぇことしかしねぇぞ、この女ッ!
それは鳥子からみた空魚(あるいは冴月)も多分同じで、日常生活に見えるものは、人間サイズの裏世界がぶつかりあった結果とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
解らないからこそ惹かれ、手を伸ばし、時に危険に喰われそうになる。
果たして空魚は、不意打ちの冒険から帰ってこれるのか? 答えは、恋のみぞ知る。
電柱を超えた瞬間、世界は様相を変え(あるいは、既に異質性に飲み込まれていた事実を伝え)る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
夜の裏世界。タブーの中のタブーに二人は放り込まれ、死に接近する。
さっきまでグデングデンに見えた鳥子が、一瞬で醒めるのは興味深い。
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酔態が演技だったのか、危機にひんしたらアルコールが体内から抜ける体質(あるいは訓練)を持つのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
そこら辺は判然としないが、鳥子はヤバい状況に素直に飲み込まれるただのヒロインではないことが、この対応で更に良く見えてくる。
そんな彼女も、あまりに異質な怪物、死体のリアリティには居竦む
そこで異界を掴む手を取って、危険を予期しながら駆け抜けるのは空魚の仕事である。相棒っぽくなってきたな!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
と言いたいところだが、見えてしまうことは危機も呼ぶ。線路を駆ける異物を感知し、竦む手を今度は鳥子が取る。アドバンテージが入れ替わる。
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キナ臭い銃口の気配を素早く察知し、『伏せる』という現実的な対処をするのも、鳥子である。空魚の目では見えないものが、闇の中鳥子には見えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
目の前にある人間の手を取り、危険な闇の中に強く踏み込んでいく。その時、二人は手袋をしていない方の手を握り合う。
軍服の男たちもまた、予告なく異界に食われた。おそらくそっちが、異界来訪のスタンダードなのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
異質なものの作動原理を探り、安定したアクセス手段を探す。
古来より魔法や術式とされた知識は、銃を手に入れた人間には遠くなってしまった。
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都市伝説にしか無いはずの駅看板を超えて、構築された陣地。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
人知を超えた場所でなお、最も近代的な組織集団であろうとする米軍のあがきは、果たして突破口を見つけうるのか。
あくまでソロとして、たった二人繋がった存在として異界に潜る二人の異能が、闇を裂くのか。
急に米軍が出てきて正直びっくらこいたが、銃弾に代表される近代の力と、空魚の目、鳥子の手に宿った旧い力の対比なのかなー、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
いやコレで、基地の中から米軍超能力部隊が出てきたら、土下座で謝るけどさ…USAはオカルトも制すッ!
もう一つの対比は郡と個であり、軍規を神経系として一つの集団知性を為す軍と、お互いさっぱり分からない個人と個人として向き合ってる二人は、やはり異質な存在なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
既に散々命を食われ、異常な状況に心をやられてる感じの米軍だが、自慢の銃弾は理不尽を切り裂くのか。
それとも、夜に食われていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
彼らとは別のロジックで動き、別の強さ(と弱さ)を持つ二人は、どんな道を行くのか。
次回後編、なかなか楽しみである。
米軍との出会いに宿る唐突さと異質さも、空魚の恋と同じく、裏世界を駆動させているものの変奏なんだろうな…。