ワンダーエッグプライオリティを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
かくして、運命と出会った四人は楽しい日々を過ごす。
特別で、幸せで、死ぬ理由など一つもない日常。
友情が今この手にあるのなら、闘う訳も泡と消えていく。
それでも、背中の傷が痛むから。
心の奥に、虚無が疼くから。
かくして、少女は死地に進む。
そんな感じのランボオも照覧あれ! 絶賛きらら系地獄の季節、ワンエグ第六話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
第2話以来殻の中に閉じ込められていた、ねいるの世界と戦う理由が開示され、一瞬の幸福な微睡みを離れて少女たちが自ず、命がけの場所に戻っていく話。
これをやられてしまうと、もう帰路はない。計画的犯行…。
本音を預け、それでも笑い合える最高の友達。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
自分だけの物語を共有し、私達の傷を受け止め合う仲間。
そんなモノがあれば生きていけると、大概の人々が思い込む幸福を掴んでなお、物語が止まってはいけない理由を、大人びざるを得なかったねいるを中心に描く話であった。
それが、私だから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
そう言われてしまっては、戦場に挑む細い背中を止める術はない。
彼女たちは自分そのものであるような喪失を取り戻すために、幸福に背中を向け炎に飛び込む。
あるものは何かを持ち帰り、あるものは冥府に食われるだろう。ジェンガはいつか、必ず崩れる。
それでも取り戻そうと願った夢は、泡と消えていく”そんなもん”の思春期ではなく、決死に生きた証である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
そうでなければならない。
この美しい夢を名残にして、おそらく物語は苛烈を極めていく。悲惨が舞い、残酷が踊るだろう。
しかし、この物語を安全圏から窃視するしかないものとして。
せめて目をそらさず見切るのが、最低限の責務なのだろうな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
今回で覚悟が決まった、とはとても言えない。多分、そのときには苦しく泣きじゃくるのだと思う。
それでも、エッグの子どもたちと同じ様に、彼女たちもまた必死だった。
子供であることに、大人になりかけることに。
その多彩な色合いと、思春期を蚕食する残酷さを刻みながら、最後まで見なければならないな、と思わされる回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
皆幸せになり、幸せに生き続けて欲しい。
君たちなら青春を呪わず、子供を食い散らかさない大人になれるから。
おそらく叶わぬと思いつつ、つくづくそう願う。
か、神よ…。
というわけで、ねいるの世界から物語は開始である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
銃弾飛び交う橋。高く美しく孤独な場所で、ねいるはクールな態度でエッグの子供を突き放しつつ、必死に戦う。
それはあくまで自分のため。
悪徳が匂うクズに、我慢がならないだけ。
欲しい物を掴みたいだけ。
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そう嘯きつつ、ねいるは綾香の隣に寄り添い、その顔を影から引っ張り出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
家に居場所なく、ただ奪われるだけだった少女が怒りを込めて反撃するキッカケを作り、後の闘いを引き受ける。
死んでいく少女の無念を、一人覚えていく。
ようやく開いたねいるの殻の中には、やはり優しさがある。
”Give&Give”と吠えるクソ大人は、社長としてビジネスに身を置くねいるにとって、耐え難い存在なのかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
適切に与え、対価を貰う。ねいるの仕事ぶりはまだ良くわからないが、多分良いビジネスパーソンなのだと思う。
その目から見れば、奪うだけの簒奪者はゴミとも映ろう。
ネイルは愛用のコンパスを対物狙撃銃に、巨大な刃に変え華麗に闘う。アイちゃんの血みどろバトルに比べると、戦いなれている感じがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
心無い外道の搾取に死を選ぶほど傷つき、物陰で膝を曲げるしかない相手の代わりに、静かに応報する。
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そこにどんなエゴが絡んでも、怪物化した欲望を制裁し、亡者を笑って死ねるようにする行動には善があると、僕は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
でもねいるはその輝きに目を潰されず、身勝手でクールな自分を維持しようと務める。
世界と自分が、どんな形をしているか見つめて、冷静に距離を守る。
製図道具であるコンパスが彼女の武器なのは、そんな内面も反映してるかなー、と思ったりするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
砲声ではなく花火が美しく上がる中で、ねいるの勝利は寿がれ、彼女は一歩望みに近づく。
近づいているか、本当のところは誰にもわからない。アカは教えない。
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廃墟に佇む少女像は、遠い遠い輝きに照らされて少し、体温を上げたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
それがねいるの心象であり、戦う理由であり、背中に刻まれた呪い、戦士の聖痕である。
他のエッグの戦士たちのように、綺麗で寂しい場所だ。第2話での省略が効いて、よく刺さる。
かくして舞台は現実に移り、三人は友達の家を尋ねる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
既に殻の中に、挨拶もなく入っているものだった沢木の革靴と違い、友達はちゃんと正式の手順を踏んで境界を超える。
アイは来訪に微笑み、ねいるは緊張に汗を流す。かわいいッ!(発作)
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リカの”ママさん”への不躾な態度が、どんだけ家に居場所がないのか、実母と関係作れてないかを思わせ、ひっそり涙する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
大戸家は優しい母に見守られ、秘密と個性が行き交う卵として友情を育んでいく。
殻の中にいることの、多分最善の意味。ぷんすかアイちゃんかわいいッ!(発作)
出逢ってしまった四人は暖かな子供部屋の中で、同じものを食べて同じことを喋る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
世界との触れ合い方には個性があるが、そのブレも含めて共有されている、小さな共同体。
成熟の在り方は様々で、それぞれの瞳から見えるものは違う。
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ジュニアアイドルとして活動していたリカは、あけすけなセックスもタブーとせず、むしろ性への露悪を鎧に変えて乗りこなそうとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
魔除けのように置かれたスニーカーを睨む、殻の中の秘密に目線を向けるものが、一体何を隠しているのか。
身内のエロネタいじり、キツいな桃恵…。
それは殻の中に隠されたまま腐ろうとしていたものを暴き立て、白日に晒す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
後に悪役を買って出るいじましさを見ても、リカは”いう役”である。
蓋をしている事実、見て見ぬ振りでごまかす痛みを暴いて、嘘をつかない。カッターで切り裂いて、中身を出す。
小糸ちゃんは何を思い、何に死んだのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
アイは自分が戦う理由を知らないからこそ、闘い続けている。
幼く可愛らしいたくさんの表情が示すように、アイは四人で一番子供である。
あの抱擁の意味。先生が抱えているもの。
何も知らない。
知らないからこそ、血を流しても知りたい
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そう思いつつ、ふにょんとした表情はいかにも幼気で、担任の顔にかかる影に触れれば、崩れてしまいそうで心配にもなる。ぜってぇロクでもねぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
今回子供たちを静かにケアしてくれる最高の大人としてママさんが描かれているので、『だからこそ切り崩すだろうな…』という確信が凄い。やめてッ!
アイちゃんにとって沢木先生は常にガラス越しに、よく判らない存在だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
身近で大事な人を取り込み、知らぬ間に手をのばす存在。殻の中の怪物。
そんなイメージが、錯綜する記憶の中で踊る。
小糸ちゃんは、なぜアイちゃんを誘導しているのか。
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先生はなぜ、アイちゃんを最初画材と選んだのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
描かれるのはアイちゃんが見たものだけであり、バラバラのピースには不確かな不穏さだけが色濃く匂う。
命を賭けるほど大切と思えたものが、実は自分を裏切っていたと知れば、少女は大人になれるのだろうか?
真相は、多分重く痛いのだろう。
少女たちはアイの子供部屋で殻に守られ、秘密を共有する特別な存在だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
しかし殻は他の場所にもあり、秘密は微笑ましいものだけではない。
少女たちの物語が血みどろであるように、殻を開けてみれば多分、腐った中身が飛び出してくる。
それでも闘争の代価として、真実を蘇らせたいのか。
既に死んだもののために挑む、未来に死が待つ闘争。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
その狭間にある穏やかな現実は、一瞬のとまり木として幸福に描かれていく。
ここに微睡み、全てを忘れていく当たり前の生き方を、なぜ彼女たちは選べないのか。
それを語るエピソードである。
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ジェンガの抜き取り方にも個性が出ていて、とても面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
お互いの関係を壊してしまうような危うい真実にも、上手く接近しつつ少女たちは今を楽しみ、笑い…その喜びが、ミテミヌフリ達のノイズに切り替わる。
『この幸福は偽りではないが、たった一つの真実でもないよ』と、僕らに告げるように。
ここのスパッと切り落とし、ショックで殴りつけるような場面転換は凄まじく見事で、流石の牛嶋新一郎という感じであったが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
殻の中の幸福は、夢の中の死闘と常に隣り合わせだ。
尋常ではない狂気に身を委ねるだけの理由を共有するから、四人は出会い友だちになれた。
そこにはそれぞれの戦場と、戦う理由がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
サングラスに瞳を隠したエッグの少女は、腐敗していく青春を止めるために死んだと呟く。
なぜ、死なないのか。
助けるはずの犠牲者は、戦士に呪いを重ねてくる。
殺せない怪物が囁くは、白雪姫を殺す呪言。
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若さに嫉妬し、娘を殺す呪いの母。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
美しい髪で男を誘い、妊娠して塔から出たラプンツェル。
葵は自分を殺す呪いと一体化し、瞳の奥の真実をサングラスに隠し続けた、共犯者にして犠牲者でもある存在だ。
そちらの側を向かなければ、勝ち方も見えてこない。
孤独であることは勝利を呼ばず、呪いを撒き散らす敵を見つめなければ、自分らしさを掴めないときもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
そんな複雑さを、葵とねいるの厄介な闘いは告げてくる。
足を止めて幸福に微睡めば、全てが風化して大人になれる。
こと彼女たちにとっては、そんなことはないのだ。
少女たちは戦場の前庭であるエッグ売り場を、誰にも咎められない遊び場…殻の中の孵卵器として遊ぼうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
私達以外誰もいない、一瞬のモラトリアム。
戦場のルールをハックしたようでいて、都合よく息を抜かせるための予定調和。
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それでも子供たちは自分たちだけの名前を手に入れて、幸福に遊ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
よく遊び、よく戦え。
愉しみは傷の代価じゃねぇんだけどよ、アカさん…。
卵の中の闘争で、戦士の肉体を手に入れていくことは、アイちゃんにとって幸福なのだろうか。
それは夢からの侵食なのではないか。
そんな疑念も、心に浮かぶ
写真の中に閉じ込められた、幸福な瞬間。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
いつかこの思い出も、死せる友人たちの記憶として思い返される時があるのか。
皆夢と終わって、忘れ去られていくのか。
桃恵のシリアスな後悔と性自認、微かな身勝手さは、楽しい日々の中で共有されていく。
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女の子としての自分を見てくれて、女の子だからこそ肌を重ねたくて、でもそこに寄り添えなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
拒絶が押しのけたものはホームから落ちて、白百合色の後悔を桃恵に刻んでいる。
ホント、どうしたら良かったんだろうね…。
答えが出ないものを取り戻すために、少女たちは闘っている。
ねいるは桃恵の被害者ヅラの奥にある、結構ズルい部分にもしっかり踏み込み、なおかつ糾弾しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
共感も肯定もしないが、『女の子に好かれる、美青年に見える自分』を楽しんでいる桃恵を冷静に見据えて、隣り合う。
そのクールな立ち位置は、非常に彼女らしい。
相反し、反発する男性性と女性性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
それが生み出した悲劇と傷すら、都合よく飲み込めてしまう生き汚さ。
そういうモノが複雑に入り混じって”自分”である摂理を、ねいるは大人びた顔で既に飲み込んでいる。
わたしはわたし。
冷たいトートロジーを、真実と噛み締めながら。
そこからはみ出してしまう”私達”の喜びを、思いの外朗らかに受け取っている仕草が、僕には嬉しく…少し怖い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
奪うには与えなければいけない。
儚さは永遠を夢見るからこそ生まれる。
このアニメはそういうロマンティシズムの基礎を、よく抑えた物語だから。
遊び倒した幸福な日々が、生み出す当然の疑念。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
もう、戦わなくて良いんじゃね?
リカは切開するものとして、一つの真実を堂々突き出してくる。
それはこれ以上傷つかないための身勝手な自己防衛であり、友達が死なないための警告でもある。
©WEP PROJECT pic.twitter.com/ACSEsmOrqj
ひよこのフードを被り、胎児の姿勢で眠っていたアイは、親友を蔑するリカの言葉に殻を外し、感情をむき出しにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
勝手に死んで、勝手に傷ついて、もうこれ以上傷つく必要なくね?
大人びた態度の子供が、必死に絞り出す生存戦術。
リカの言葉はあまりに剥き出しで、不器用で、灼けるほど優しい。
その撤退は真実の一面であり、大概の人がそれを選んで殻から出ていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
忘れて、微睡んで、闘いに背中を向けていく。
そうなれないから…あらゆる人に打ち捨てられる死体を、自分の手を汚して埋葬したいからこそ、少女たちは夢(または悪夢)に出逢った。https://t.co/ZXyeMnREsd
『思えば第一話冒頭に、作品の精髄はすでに示されていたなぁ…』などと思いつつ、リカは現実に耽溺する卑怯者を演じることで、自分たちの退路を断っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
この穏やかな正しさ。四人の幸福な繋がり。
けして、嘘ではない。でも、私達の全てでもない。
©WEP PROJECT pic.twitter.com/3SdBXZrLh9
ねいるは迷える子供たち(両足を踏みしめ、友達を生の岸に繋ぎ止めようと必死なリカの有り様が、気高く痛ましい)から一人、立ち上がって背を向ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
揃ったローファーは、彼女の人格を反射して、自死寸前のように綺麗だ。決意を込めて、崖の向こうに身を投げる人のありよう。
なぜ、そこに進まなければいけないのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
背中の傷は、忘れようとしてもあまりに強くねいると同一化し、離れることはない。
取り戻さなければわたしがわたしでは居られないものを、奇跡にすがってでも取り戻すために、この微睡みを捨てて殻を破る。
待つのは夢か、愛か、死か。
学校。岬。駅。橋。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
それぞれが闘う戦場、抱える地獄は異なる。
私達は友達で、でも別々の存在で、笑ったり手を差し伸べたりは出来ても、結局自分の殻の中にあるものを自分で掴み取らなきゃ、何処にもいけないくなってしまったのだ。
ねいるの独歩は、気高く寂しい。そして嘘がない。
©WEP PROJECT pic.twitter.com/2dWU3Kajqr
そうして進んだ先で、ねいるは血みどろに闘い、隣り合う死者の顔を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
己の夢を掴むための、ただの踏み台。
そう悪ぶるにしては、ねいるはあまりに強く葵を見て、彼女に寄生し操るものを堂々打破しすぎる。
その視線の鋭さ、銃弾の激しさは、やはり正しく優しい。
©WEP PROJECT pic.twitter.com/Yz3AODv4Dn
母に寄生されていた時は大人びて邪悪に見えた葵が、ねいるの銃弾を受けて髪を千切られた瞬間、被虐待児童にしか見えなくなる演出は、悪魔的に鮮烈である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
それが、敵味方が入り交じる世界の真実。
押さえつけられた涙を一つ流して、生き残るものに言えなかった後悔を刻んで、葵は塵へと帰る。
綺麗だと、言い続けてほしかった。腐敗に抗う醜さを超えて、キレイな大人になりたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
死んでよかったなんて思ってないけど、思わなければ死んでも居られない。
美しいものを奪われて立ちすくむ子供の、最後の苦鳴を、ねいるの鋭い視線は見抜き、聞く。
ねいるは全てを聞き許してしまうアイの幼さを、己の救いだと先週言った。まるで、子供時代を終えた大人のように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
でも冷厳で身勝手な戦士の顔に、確かに亡者の声を聞き彼女たちのために闘い、血みどろで無念を解き放つ今回の闘いは、彼女もまた優しい子供であると教えてくれる。
そして、優しいだけでは生き残れない。忘れてはならないものを、掴み直すことも出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
だから私達は、エッグを抱えて傷を増やしていく。
一つになれないまま、それでも相手を思いやり視線を伸ばす子供たちの歩みが、置き去りにされた微睡みの残滓が、ひどく切ない。
©WEP PROJECT pic.twitter.com/oMf5ddgNUw
行くなといえば行き、行けと願えば遠ざかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
大人がよく知る世界の真理に乗せられて、少女たちはエッグを孵化させていく。
呵々大笑するアカ達の思いを超えて、奇跡はつかめるのか。
それもまた、誰かに用意された殻の中の夢想なのか。
物語は続く。アカ、ぜってぇ許せねぇからよ…。
私達は一人で、わたしはわたしでしかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
それでも伝わる温もりに、未来に待つ希望に視線を投げながら、ねいる達はまた歩みだす。
帰り路はない。
リカが問いただしことで、彼女たちは当たり前の諦観と忘却を掴めないと、血みどろに進むしか無いと解ってしまった。
©WEP PROJECT pic.twitter.com/7OGjMr9N77
でも、その道で触れ合った温もりは嘘ではない。嘘であってはいけないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
そう願いつつ、次回を待つ。
とても苦しい。
アイちゃんの純朴も、ねいるの賢さも、リカちゃんの切実も、桃恵の複雑さも、みな生き生きと輝き、だからこそ赤い血を流し続けている。
それが塞がるすべはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
青春の血流すら振りちぎる速度で走り切ることしか、多分この物語には結末がない。
あるものは倒れ、あるものは生き延びるかも知れない。願わくば、幸福に殻を破らんことを。
全く容赦のない物語で、大変楽しく苦しいです。
次回も楽しみですね!
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
この切開する強さは、後に葵と向き合い真実を暴くことでねいるにも訪れる。
犠牲者であるはずの少女が、加害者の価値観と一体化し、呪いの発信源になってしまう難しさを、銃弾で切り裂いて涙を開放する。
葵が押し殺した真実を引き受け、撃ち抜く。
相性悪くバチバチぶつかっているように見えて、ねいるとリカにも共通点があり、バラバラでありながら繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月9日
四人の戦士、皆が多分そうで、だから友達たり得ているのだと思う。
その繋がりはおそらく、世の残酷さを前に蟷螂の斧でしか無いが、しかし嘘ではない。
嘘であってはいけないのだ。