Dr.STONE STONE WARSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
囚われのクロムを助けるために、生み出された鋼の獣。
スチームゴリラの襲来を待つよりも早く、科学使いは独力脱出を試みる。
野心と暴力を宿したヨウ一党が見張る中、雑草を集め、屈辱に耐え、学んだ全てを力に変えて。
いくぜ…自由への脱出!!
そんな感じのストーンワールド・ジェイルブレイク、まるごとクロムな二期第6話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
ここまでチート千空の弟子にして引き立て役気味だったクロムくんが、師匠を離れたった一人、知恵と侠気を武器に一大事を成し遂げるエピソード。
彼がムケてく過程大好き人間としては、ありがたいアニメ化だった。
石神村のハズレもの、ストーンワールドの基準じゃ何の役にも立たねぇ”科学”にうつつを抜かしていたバカガキが、どんだけ育ったか。その変化を生み出したものをなにか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
今回のエピソードは”子供”を主役に据えて、教育を書く話でもある気がする。
アクションとギャグ満載で、説教臭くならんけど。
クロムが過去から来たチート野郎に驚きつつ付き従い、学んできたもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
それは知識であると同時に生き方で、考えたり騙したり、周りにいた人の良いところを自分のモノに変えながら、経験と失敗から成功を掴むクロムらしさを混ぜている。
泥臭く、一歩ずつ。その成果が、今回の脱獄成功である。
右京やヨウの言葉や行動からも、目的を達成するヒントを掴んでしまう辺、効率最重視な師匠のやり口が、しっかり染み付いてるなぁ、という感じでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
相手を侮り、自分を過剰に誇る。
ヨウの驕りにつけ込んで目的を達成するクロムだが、そんな思い上がりは、登場時の彼にもあった。
しかし千空という、周囲の目を一切気にせず邁進する存在をロールモデルに、自分のエゴを守るよりも大事な目的がなにか考え、そのために忍耐と努力を重ねる姿勢を、己に引き寄せてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
『俺も一端の科学使い、石神村のクロムだ!』
そんなプライドは、大声でがなるもんじゃない。
自分一人で考え、耐え、試す。思い出し、結びつけ、行動する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
独力で窮地を脱することで、クロムは己の生き様にぶっとい柱を立てた。
その土台として成功も失敗も、自分の周りにあったもの全てが必要だった。
そんな、科学少年への通信簿のような回だったと思う。人生オール5です、クロムくん…。
というわけで、野心家ヨウくんが見張りに配置され、クロムのミッション・インポッシブルが開始する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
やる気はあるが機材なし、着想なし、暴力なし。ないないづくしの脱獄計画だが、諦めるわけにはいかない。
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会 pic.twitter.com/WPqc7l382Z
形だけ千空の真似して指立ててみても、チート知識が降って湧いてくるわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
目の前には、暴力と寛容を押し付けて小集団のトップに立ってる、考えのない正義の暴走が待ち構えている。
ヨウくんの描き方、腐ったホモソーシャルとして妙に解像度高いんだよな…OK言いつつ殴る所とか。
クロムが弱い自分を自覚し、敵を侮らず裏をかこうとするのに対し、ヨウは強い自分を誇るために””原始人”を舐め腐る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
敵も引っくるめて”他者”というものに、どれだけ意識を向けるのか。敬意を払うのか。
お互い、頭に据えてる人物の違いが反射してる感じ。
正確にいうと、司は敵を一切ナメず頭も使ってるんだが、その生き方が仲間に浸透しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
千空が持っている最強の武器…”信頼”が上手く使えていない。
結果、下部組織は自分のエゴ最優先で勝手に動き出して、目的は共有されず致命的な失敗が起きる。
今回の話、結構組織論よね…。
というわけで、ナメてる隙を付いて色々集めて、散々失敗する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
チートでガンガンサクセスしてく千空が担当できない、あがいて迷って答えを掴む、泥臭いクロム式のクラフト。
その鍵は、クロム自身の資質と周囲の支え、両方だ。
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会 pic.twitter.com/QPIzJNdQTC
クロムはたくさん間違える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
役にも立たねぇ草を集め、摩擦熱による発火には失敗し、電気発火も激しすぎて脱獄には不適切だ。
しかしシコシコこすってた努力の跡が、ヨウの目線をそらしチャンスを繋げもする。
失敗に見えて、やってたことは役に立つ…かもしれない。未来は誰にも分からない。
僕はクロムというキャラクターは、一番子供に寄せたキャラなのかなー、と思う。おどけて等身大で、必死で時々カッコいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
間違えることが出来る彼は、千空一人だと読者に伝えられないことを、作品に焼き付ける仕事を担当しているのか、と考えることがある。
共同体の端っこで、侮られながら自分の好きなことに打ち込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
それは簡単に”何か”を生み出さないけど、そこで積み上げたものが確かに、”何か”に繋がる瞬間が必ずある。
だから、君も君の好きを諦めなくても良い。
クロムの書き方には、そういう視線がある気がする。
今回は、そんな彼の晴れ舞台だ。
クロムはヨウの侮辱に反発せず、あえて乗る。自分をナメさせ、目を曇らせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
恥を知略に変えるタフさ、目的を見据える鋭さは、物語に登場した時の彼にはなかった。
俺は凄い、俺は強い。
目の前の敵と、かつての彼は同じだった。
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会 pic.twitter.com/RwWvoxDa15
しかし千空の圧倒的な科学に打ちのめされ、憧れ隣に並ぶうち、彼は千空の生き方を学んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
感情に流されない合理、自分のエゴよりも大事なものを見据える視線、知恵で状況を操作する賢さ。
同じようには出来なくても、尊敬する誰かのメソッドを、自分の血肉に変えることは可能だ。
今回の闘いは、来る大決戦の前哨戦的な側面がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
情報を制し、状況を握り込み、敵を侮らないものが勝つ。
そういうルールで、今回の脱獄も今後のVS司帝国も動いていく。
圧倒的な暴力がぶつかるように見えて、精神が鉄火場を支配している。
クールにクレバーに、場を制圧する鋼の意志。
そういうモノを、クロムが千空から学習していたからこそ、そしてそれを自分なりに咀嚼し、血肉に変えていたからこそ、たった一人の脱獄は成功に向かう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
余裕ヅラのチート人間が、どれだけ体張って汗流していたか。
王様顔でふんぞり返るのではなく、仲間に混じって働いたか。
それを至近距離で見ていたからこそ、ビコビコ跳ねて汗を溜めるのを躊躇わない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
あんだけスゲェ奴が汗まみれになってんだから、俺はもっと泥臭く、必死にやんなきゃダメだ。
そういう意識は、クロムの魂に強く焼き付いているのだと思う。劣等感を消化する、心の胃袋が強い子供である。
クロムが学び取っているのは、千空の科学と生き様だけではない。ゲンちゃん得意の詐術、一秒の隙を作る舌先の魔術がここで唸るのも、非常に良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
これも後の闘争の前哨戦で、心に隙間を作る衝撃力を、科学帝国は重視して闘うことになる。
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会 pic.twitter.com/kyf5USRAVM
罠を逆手に取り、有利を作る。自分を苛んだ相手の組織体制もしっかり見て、弱点をつく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
クロムは敵味方隔てなく、よく状況を観察し、記憶して活路を開いていく。
弱い自分をよく知っていて、誰も侮らない。
失敗に暴力で応えた結果、ヨウ一味は挑戦を恐れるようになった。
対してクロムが”もし、間違えたら”に怯えないのは、彼自身の挑戦者気質もあるのだろうけど、千空がむちゃくちゃ褒めるのもあると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
色々やってみて、試して間違える。
それこそが科学の基礎なんだと、千空は石器時代の科学少年を勇気づけてきた。
それが、この土壇場で少年を翔ばせる。
『トップの影響ってデカいなぁ…』と、画面に映らない人のことを考えさせられる疾駆である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
一人の山を駆けていた時代、遊びに見えた棒高跳びも、こんな風に活きる。
そうやって過去の体験を活用できる足場も、千空達との日々が整えてくれた。師の導きって、本当に大事ね…。
追い縋るヨウに、クロムは一世一代の大芝居で隙を作り、竹槍の一撃で勝負を決める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
惨敗に終わったトーナメントのために、修行していた釣鐘打ちも、ここで役に立つ。それを打ち込むための詐術は、やっぱりゲンちゃんから学び取ったものなのだろう。
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会 pic.twitter.com/bbfV2trOoX
クロムは周囲をよく見てる…よく見るようになったし、周囲の人々もクロムに向き合い、色んなものを手渡している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
それは村外れに追いやられた、アウトサイダーの立場では開花しなかった資質だと思う。
外れものと侮られ、無駄と罵られる。そんな立場の人にこそ、向き合うことで生まれるモノ。
クロムのプリズン・ブレイクは少年の一大成長譚であると同時に、マイノリティとの対峙を描いている気もする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
社会に居場所を与え、承認と機会を手渡す。
そのことで、驕り高ぶっていた孤独な科学少年は、たった一人窮地を乗り越える力を手に入れた。自分の資質を開花させた。
そういう事が可能な環境を、過去から蘇った変人科学者は作り上げたわけで、やっぱり千空は大したヤツだな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
分かりやすい科学無双でテンション上げつつ、描写の背骨は凄く思弁的、概念的なもので支えてるのは、この作品の基本方針だろう。
スペキュラティブよね。良いSFだ。
かくして、英雄は己の足で故郷に帰る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
必ず、俺の帰りを待って見張っている。見つけて、支えてくれる。
ともすれば迷いそうな道も、確かな信頼が行く先を教えてくれた。
このオチも大好き。あとコハクのお帽子可愛い。
©米スタジオ・Boichi/集英社・Dr.STONE製作委員会 pic.twitter.com/9sh3XK0oAG
自分が助け舟を出せない場所で、弟子が必死に知恵と経験絞り出して策を練り、帰ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
クールガイ千空がむちゃくちゃ嬉しそうなのが、すっげぇ良い。
この人科学が大好きなんだけども、同じくらい誰かが個性を発揮して何かを成し遂げるの、その手助けするの好きよね…。
元々千空はクロムに凄く期待も信頼も寄せていて、自力で何かを成し遂げる瞬間を待ち望んでいたんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
逆転の大兵器・スチームゴリラをその救援に使い潰すのを躊躇いはしないが、自力で帰れば嬉しい大誤算、戦略を根本からひっくり返せる。
そんな算段を、しっかり叶えてくれた。そりゃ嬉しい。
でも何より、親友が無事に帰還したことが何より嬉しいんだと思う。根っからのヒューマニストやでぇ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
僕も、クロムの成長と帰還が嬉しい。
それが”ミニ千空”になるのではなく、周囲の人から学びつつもあくまでクロムらしく、無様な失敗とたくさんの試行錯誤と、確かな変化に満ちていることが。
クロムの奮闘を通じて、それを支える科学王国の強みも見える話だったかな、と思います。相互信頼と適切な承認だよなー、やっぱ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月18日
かくしてスチームゴリラ号を温存し、クロム帰還を成し遂げた千空達。
この一手が戦況に何をもたらすか、次回も楽しみですね。