裏世界ピクニックを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
悪夢の海から現実世界に帰還した空魚たちは、再び怪事件を持ち込まれる。
猫の忍者に、命を狙われる。
笑うか、狂気を疑うか。
そんな普通の反応は、邪悪な刃物を引っさげた猫忍者の実在に押し流されていく。
今日も今日とて、私達裏世界ピクニック。
そんな感じの、ファニーな雰囲気流れるカラテ VS ネコニンジャである。どこのアルバトロス・フィルムだ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
もともとクリーチャー造形がどっか空気抜けてるというか、微妙に怖くない仕上がりなので、ネコニンジャとの奇妙な追いかけっこも恐怖より奇矯な空気のほうが先に立つ。
話としては第3話的というか、すっかり異界ハンターが身に染み付いた空魚が、怪異に当惑しつつもチャッチャカ片付けていく展開。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
常識人サイドの小桜さん(ちっちゃくて可愛い)の出番が多いことで、主役二人のクレイジー加減がより強調されてた。もーダメだよアイツら…。
冷静に考えると相当にヤバい状況なんだが、ヌルヌルと乗りこなしていく空魚も、すっかり隣りにいるゲキマブヤバ女に染まったなぁ、という感じではあるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
のっぺりしているようでいて、要所要所で濃い感情を出してくるのがまた面白い。
"共犯者"の称号は、そうそう簡単にバラまいて欲しくはないのか…
というわけで、開幕奇妙な依頼人から物語はスタートする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
空魚の青く変質した眼は、瀬戸さんが足場を置く場所から見ると"カラコン"になるのだな。
そういう一般性を装うのを、空魚はもう止めたのだろうか?
結構表記がブレるからなこのアニメ…唐突に生えるM4とか。
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しかし考えてみれば、血縁とも地縁とも切り離された状態で大学に入り、友達一人もいないまま裏世界に消えてきそうだった空魚は、鳥子と奇妙な青春を送ることで、オカルト専門家として奇妙な…しかし確かな社会的地位を大学に確保した、とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
ノータイムで銃を抜くようなイカれた性格と、苦笑いでごまかす秘密を抱えながら、共有できない世界に片足を突っ込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
しかし空魚の半分は、後輩に事件解決を依頼されるような現実にまだ足を置いている。
そことの縁は、むしろ裏世界(と鳥子)に繋がることで深まっても見える。
例えば肋戸や米軍のように、裏世界の引力に喰われ脱出できない連中に対して、空魚は半分半分の半端なバランスで、軽やかに境界をまたいでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
そのアンカーになっているのは間違いなく鳥子であり、しかし鳥子は強く、異界に消えていった女に惹かれ続けている。
その視線が、より強く空魚を裏世界(と鳥子)に惹きつけ引き寄せるし、変質もさせていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
画面が猫まみれになる今回の事件は、そんな潮汐力の現状を測定するお話でもある。
海に住んでも空に住んでも、鳥も魚も、月の影響からは逃れられないのだ。二人共”女”だし。
後の邂逅を予言するように、猫に取り囲まれつつ進む物語。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
ヤバ案件の気配がしたら、ノータイムで銃構える辺、空魚もすっかりカルマが溜まってきたな…。
冒険を繰り返すほど人格破綻してくこの感じ、マジ”サタスペ"だと思う。魚蹴先生見てるーッ!!?
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小桜さんって結構常識…というか科学の人だと思うのだけど、恐怖に対する防衛策として思い込みを迷わず使う人でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
認識の自発的書き換え、名付けによる恐怖の書き換え。
可愛いおまじないには古典的な魔術が絡み、そういう知識を必要とするのは、彼女が”普通”だからでもある。
話が始まる前からかなりぶっ壊れてた空魚は、そういう足場をあまり必要としない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
欲しいのは自分の手を掴んだ、美しい異物だけ。
縋るべき常識、守るべき認識がもともと希薄なので、自己を侵食する鳥子イズムにも、違和感なく同化していく。
鉛の弾も出ないお守りで、何が出来るというのか。
そういうリアリズムは、可愛い猫を『人間より強いから、油断できない』と断言する鳥子から継承…あるいは伝染したものだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
可愛いペットと危険な猛獣で、”猫”への認識が割れてる所が、ライフパスの違いを表してて面白かった。どんな猛獣と闘ってきたんだ、仁科鳥子…。
そういうぶっ壊れ人間たちは、ノリで農業用車両を買うし、他人の家に送りつける。ほんっと無茶苦茶やなキミら…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
あの面白ヴィークルにまたがり、二人が裏世界を踏破していく物語も、そのうち来よう。
どんどんガジェット増えていくのは、ワクワク感あって良い。
猫殺しの罪にノンキに怯える空魚だが、周囲を取り巻く猫の瞳は、扉を開けつつあるアウターゾーンの存在を示す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
夢の番人、異界の住人。
オカルトの中の”猫”も、自在に境界をまたぐ存在である。今回はネットロア越しに、そういう文化表象も見てる印象。
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鳥子を瀬戸さんに紹介する時、関係性に名前をつけれない…つけたくない仕草は非常に興味深かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
小桜さんは無形の恐怖を乗りこなすべく、”たぬき(実はアライグマ)”という名を付け、可愛いぬいぐるみに矮小化しようと試みた。
空魚は逆に、無形の関係を名付けられない。
それは友情であり、恋情であり、憧憬であり、いかな鋳型にも押し込められない、顔がないからこそ芳醇な混沌である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
そういう形のないもの、名付け得ないものをまるごと飲み込み、楽しむ気質みたいのが、空魚にはあるのだろう。つくづく、巫(かむなぎ)に向いてる人である。
そんな空魚の気持ちを知ってか知らずか、鳥子は『共犯者です♡』と、可愛く自己紹介をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
それは非常に適切な名付けであり、混沌の魔力を殺しきらないまま、二人の距離感を名付け、制御できる魔法の言葉だ。
瞳ではなく掌に力を宿す鳥子は、答えを考え込まず直感する。
そんなあやふやで鮮明な関係性を横に置いて、カラテカ VS ネコニンジャ時空は全てを飲み込み、裏世界は霧に塗れつつ三人を侵食していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
急に”シャイニング”パロディやりだすから、ちょっとビックリしちゃった。霧に包まれたネコ世界は”ミスト”か?
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覆面とネコ面、二重に表情が読めないネコニンジャは、可愛いんだか可愛くないだか、怖いんだか怖くないんだか微妙な存在で、しかし構えたアフリカ式投げナイフはリアルである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
意図もわからず、交流も出来ず、手も届かない不可思議な存在。これまで出た怪異で、掴みどころの無さがトップクラスだ。
その解らなさも”猫”だなぁ、と思ったりするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
今回三人が対峙する猫は、今までそうであったように安全圏から裏世界猫歩きと消費できるものではなく、理解不能な異物のままこちらを食いつぶしに来る。
双方向的な存在でありながら、同質化も出来ない。
世の中、そういうもので満ちてて、だから面白い
…のだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
妙に腰の入ったカラテ作画と、妙に腑抜けた射撃が入り混じりつつ、空魚は鳥子が何気なく切り出した”三人目の共犯者”を拒絶する。め、面倒くせぇ…(大好物)
それはあなたの隣りにいる、私だけの特別な傷号(キズナ)。
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鳥子が視界の隅で常に追い続ける、遠くに輝く無貌の月。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
今ここにいない閏間冴月が共犯出来ないものを、重ねて差し出している自分が特別なのだと、思える特別なラベル。
それに空魚は固執する。
私の、私達の名前が奪われることに比べれば、猫のニンジャがなんぼのもんじゃい。
コミュニケーション不能な猫たちが何を求め、フンガムンガを構えるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
空魚は異界を見る瞳によって、加害者ではなく被害者の方を見抜いて、状況を解決していく。
問題はネコではなく、カラテカの方にあった。
いつの間にか内側に入り込み、見えなくなっていた呪具。
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猫たちはそれを探し求めて、境界をまたいで瀬戸さんの世界に侵入してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
お守り引っこ抜く所がヘンテコにエロティックで、奇妙にドラマティックで、このアニメらしい味わいであり結構好きだ。
真実を自分の目で見つけてしまうと、それがどんなに奇妙だろうと飲み込み、解決してしまう空魚の気質。
それが、ペローンとお腹めくって、当惑する鳥子の手を引っ掴んで心霊手術させる強引さに見える気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
こういう押せ押せパワーは鳥子領域…と思わせておいて、彼女に侵食され、もともと持っていた資質が開花した空魚の領域でもあるんだよな。
まぁ、似た者同士惹かれ合った、つうことか。
投げナイフを鳥子がカバーするところとか、お守りぶん投げるまでの逡巡とか、ここら辺の呼吸が昭和のへっぽこアニメ(”チャージマン研”とか)の香りがして、奇妙に気持ちがいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
もっとこー、血圧上げてアクションすれば良い場面なんだが、妙に緩い。そこが良い。
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絶対ロクでもないことになる猫のお守りも、『これ、札束になんねぇかな…』と考えて足を止める辺、空魚にとって裏世界事例は日常の延長、あんま楽しくはないが特別なピクニックになってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
それが特別たりうるのは、裏世界よりも隣りにいる女…仁科鳥子の存在故なのだと思う。
鳥子と隣り合っていると、特別な自分でいられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
鳥子に触れ合うことで、自分は自分を保てる。
そんな依存性は(少なくとも空魚視点では)一方通行で、鳥子が人格を自分に預けてくれているのか、特別である証明にしてくれているかは、空魚からは見えない。
あらゆる他者は、そういう認識の壁を持つ。
命がけのピクニックは、はたしてそんな壁を越えて二人を溶かし…あるいは壁を壁のまま触れ合わせていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
今回はとりあえず、なんとか帰還。儲けなしの草臥れ儲けだが、共犯者…っていうと空魚が怒る、”犠牲者”一名追加。
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なんかいい感じのイチャイチャ感出てたと思ったら、事件の裏に冴月アリと解って、鳥子の表情が曇るの曇らねぇの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
連鎖反応で『(またあの女のことを考えている…ッ!)』となる空魚の、メラつく独占欲がたまらない。
生きるか死ぬかは、わりとどーでも良い。仁科鳥子が欲しい。
裏世界の怪異達よりも、そんな行動原則の方がよっぽど、狂って異質で綺麗なんじゃないかな、と思わされるヒキであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
マージで紙越空魚、人生を鳥子と出会って捻じり狂わされて、その兇変をむしろ甘やかに受け止め求め続けることに半無自覚なのが良い。狂人は自分が狂ってると自覚せんのだ。
きさらぎ駅から沖縄女女ビーチへ、濃厚な体験を共有して相互侵犯も深まったかと思いきや、やっぱりデカい無貌の月。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
現れては消え、隠れては見えるその影が、二人の”共犯”に長い影を伸ばす。
閏間冴月…不在故に君臨する、無形の月。追えども逃げる、恋の残影。
つーか名字が判明したけど”閏間”かよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
暦と実際の季節を調整するために仮想される”閏”を姓に持つものが、異界に消え、未だ心のなかに強く残り続けるのはなかなか良く出来ている。
縮めると”閏月”で、四年に一度だけふと訪れる、特別で異質な月(あるいは日)ともなる。
まぁ、そういう性なのだろう。
特別な”共犯”の絆にしがみつき、喜ぶ空魚の上を、異質なまま飛び越えていく鳥子の思い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年2月23日
それが向かう月は、異界の奥にもまだ見えない。
見えないからこそ、二人の名付けられない共犯は衛星のように、お互いを回り続ける。
ロマンスと怪異譚の幸福な共犯も、まだまだ続く。次回も楽しみですね。