ゆるキャン△ SEASON2を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
ソロキャンが終わると、グルキャンが始まる。
冬の終わりの伊豆キャンプに向け、野クルは準備を始める。
働き、学び、家族との日々を積み重ねる。
その歩み自体が、穏やかな幸せに満ちる。
寒風に春の息吹を感じながら、リンは旅立つ。
一人だけど、独りじゃない
というわけでおそらく最終エピソード、ソロキャングルキャン行ったり来たりなゆるキャン二期第9話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
キャンプが始まるまでの日々を書く筆が、大変充実しているのがこのアニメの良いところ。
京極監督手ずからのコンテが、靭やかな詩情を画面に満たしながら伊豆への準備を活写していた。
ハプニングで思うように進まなかった年越しキャンプ、遭難しかかった大間々岬。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
過去エピソードが”伊豆”に集約するよう、うまーく要素を配置した構成の巧さが見える回でもあった。
一回一回のまとまりの良さと、シリーズ全体を通した大きな流れを、緩く見える展開にしっかり両立させてるのは凄い。
ソロキャン体験を経て、みんなでキャンプをしたくなったなでしこのように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
ワクワクと待ったいつかの未来は現在に手繰り寄せられ、過去になっていく。
しかし置き去りにされることはなく、積み上げられた経験の先にこそ、新しく見えるもの、思い出されるものがある。
そんな積み重ねを、それぞれの準備と家庭を横幅広く描きつつ、祖父と孫の早朝ツーリングで詩情豊かにまとめ上げる構成も、また良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
志摩家三代が一堂に会する事で、確かに共有される寡黙ながら知的な優しさが、画面を満たすのが妙に落ち着いた。良い声し過ぎなんだよな、あの家族…。
思い出を携帯のメモリーにしまって、ソロキャンを終えたなでしこは野クルに戻ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
一人だからこそ出会えたものは、みんなでいる楽しさを輝かせてくれた。
リンちゃんの静謐な孤独とはまた違うが、なでしこは良いお土産をソロキャンから持って帰った。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/V0GIF7xFRV
色々良いところのある作品だが、一人でいることの意味も、みんなでいることの価値も、呼応しつつ個別の良さがあると書き続けているのは、とてもいいと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
野クルに混ざるようになって、リンちゃんは相当自分を変えたが、しかしソロキャンも続けている。そんな姿を見て、なでしこも新たな挑戦を志す
そんな呼応は出会えたから、笑い合えたからこそで、彼女たちは一人でいても繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
これは二期急に生えた世界律ではなく、一期第5話で鮮明に描かれた価値観が継続しているものだ。
そして、繋がりだけが世界の全てとも描いていない。一人で進むことにも、尊厳と発見と喜びが確かにある。
このバランスの良い、しかし教条的にはならない描写が、作品の大きな魅力だな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
色んな場所に色んな繋がりと面白さ…そして謎がある。
カウンター越し、斉藤とリンちゃんが共有する空気感。秘密の見守り行動を、何故彼女は知っていたのか?
Cパートで可愛く暴く筆も良い。
今回コミカルでチャーミングな描写も元気なんだが、そこにスッと挟み込まれる情景の鋭さ、靭やかさが凄いことになってて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
こういう”絵”を切り取ってくるセンス、魅せるセンスは、やっぱ京極監督凄いな、と思う。
雰囲気と説得力のあるポートレートを、選んで置く能力が図抜けてる印象。
伊豆キャンへの道のりは様々な人を巻き込みながら、楽しく進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
デフォルメした表情をアクセントに、テンポよく話を転がしていくのが良い。みんな可愛いし…。
つーか小犬子来んの? 可愛いの満漢全席じゃん…過剰兵力だから規制したほうが良いよ。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/LUsyp4sCm3
楽しく弾んでいく未来予想図に、リンちゃんが見せた握りこぶし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
正月の心残りは、冬の間に返す。
そんな決意を見つめるなでしこの視線が、スッと思いを反映して冴えている。
こういう強い”絵”が、緩く見える準備回の随所に潜んでるのが、いつ死ぬか解らねぇジャングル感あるな…詩情の獣ッ!
働き、学び、明日を楽しみに日々を進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
それは特別な日の準備であり、その日自体がありふれた特別に満ちてもいる。
やっぱよく出来たモンタージュ演出でスパッと時間が進むの好きだなぁ…時間と意味が、ギュッと濃縮される感じが良いのかしら?
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/AgKJXaVybe
同じテーブルは囲まなくても、リンちゃんはカウンターの向こうで微笑みながら同じ勉強をして、同じ時間を過ごしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
カピバラ温泉に超ワクワクな小犬この、まんまる笑顔も可愛い。
伊豆の本番では、この子が常時画面に写り続けんの?
”致死”じゃん。
描かれるそれぞれの家庭、それぞれのワクワク。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
デジタルガジェットが常に身近にあって、情報や感情を連れてきてくれる書き方は今回も元気である。
そんな風景を描くことで、彼女たちが楽しむキャンプに古臭いホコリではなく、今躍動する青春の息吹が宿る。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/XffOAmJL5o
この作品が”携帯アニメ”でもある(と、僕には感じられる)のは、そういう時代性への技術論的アプローチもあんのかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
思いの外身近で、面白くて、綺麗で、可愛らしい。
この作品の”携帯”はそういうキャンプ・ルネサンスへと、物語とデザインから接近していくためのデバイスではないか。
それぞれのキャンプ前日を描いていく筆は、奥行きも横幅もテンポも適切で、とても心地いい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
リンちゃんが荷物を開ける時、ガムテープが上手く引っかからなくて空転する指の描写が、怪物的に巧くてビビる。
こういう本筋に関係ない”仕草”が、キャラと作品の解像度、実在感を跳ね上げる。
彼女たちはそこにいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
携帯と切り離せない僕たちの日常と、隣接しつつ凄く輝いて見える、実在的なファンタジーの中に。
そういう幻想を共有させるべく、やっぱ色々考えてさり気なく、演出的凶器を沢山集合させてんなー、と思わされる瞬間だった。
この”いる”感が、やっぱ強みなんだろうな。
寡黙で優しいのは血筋とばかり、リンちゃんのツーリングの面倒を見てくれる家族達。追加パーツで戦闘力上がっていくの、最終決戦感バリバリでアガるね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
甲府まで足を運び、新品の風防をプレゼント。
表に出にくい優しさは、夜闇になでしこを見守った孫とそっくりだ。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/ilDPPEMdnH
そんな実父の思いを、リンママが解っているのも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
それぞれの家庭をスケッチしていく横幅が、志摩家の温もりに深く分け入っていく筆を、凄く豊かにしてる感じもある。
色んな家族があって、それはそれぞれに素晴らしい。各家々の美術が、ちゃんと書き分けられてるんもグッド。
そしてグビ姉改め土岐先生も、携帯電話越し妹と繋がり、泥酔から距離を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
生徒との約束を守るため、今は我慢の炭酸水。
心が酒浸りになってる泥酔加減が印象的だからこそ、断酒姿に決意が滲む。
いやマジ衝撃だったからね…『AA入ったの?』って感じだった。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/sJMYUBVN0W
まぁ伊豆で訪れるの酒蔵だし、もう毛穴からアルコール染み出すくらい飲むんだろうけどさ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
生徒の懐事情、学生としての本文をしっかり見据えたスケジューリングといい、二期の土岐先生はただグダグダでは終わらんカッコいい所をたくさん見れて、なかなか良い。
NEWシマリン号もしっかり仕上がり、暖かな食卓に笑いが滲む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
今回色々と『伏せておいて後で出す』が多いんだけど、ママンの昔の勇姿もエンドカードで回収されてた。
このちっちゃな”タメ”が、ただ緩く進まないトルク生み出してんのかなー…巧いわ。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/888F22lxsw
旅立つ孫に、思わぬサプライズプレゼント。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
祖父とのツーリングに向かうカットの、バイクをナメた構図が最高に良い。
シマリン号の可愛らしい相棒感とはまた違う、シャープな存在感がグッと際立ってる。
こういう道具固有の顔を彫り込むの、本当にこのアニメ巧い。ガジェットに息吹がある。
午前三時の深い闇から、寒風にぬくもりを感じる伴走を駆け抜けて、次第に夜が白んでくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
明暗を描くのが…そして使うのがとにかく巧いアニメだが、じっくり時間を使って追いかけられるふたりの旅路は、本当に肌理が細かい。確かに”ある”って感じがする。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/FPOMqJddfk
小気味よく笑いを畳み掛けるところと、こうしてどっしり腰を落として描く場所。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
このメリハリが一話の中で…そして連続していく物語の中でしっかり効いている所が、やっぱ強いな、と思う。
こういうカウントを整える話数で、監督がコンテ登板してくんのも面白いよなぁ…やっぱ別格に良いもん。
ダンディーな祖父の笑顔に見守られ、頬切る風に春の気配を感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
あの時は来られなかった場所。あの時は乗れなかったバイク。
時は穏やかに、しかし確かに積み重なりながら、新しい景色と穏やかな温もりを運んでくる。
家族の肖像を影絵で描く、このセンス。
©あfろ・芳文社/野外活動委員会 pic.twitter.com/2cdmHsUqWN
少し明るくなった夜を越えて、伊豆で待つもの。その途中で、リンちゃんが感じるもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
こんなに綺麗な光に見送られているのだから、それはとても良いものになるのだろうと、次回への期待が膨らむエピソードでした。
やっぱ準備段階をどっしり丁寧に彫り込むことが、作品を下支えしてんな…。
結果が出ることに焦らず、過程そのものを楽しむ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
一つの終わりから何かを受け取ってを、次の始まりに繋げる。
作品が大事にする連続性が、祖父から孫へと繋がる時間とその変化、象徴たる二人のツーリングにしっかりと集約しつつ、変わりゆく季節に鮮やかに滲む。
ラストカットを『イイハナシ』として胸に落とすべく、そのことでお話が何を書いてるかを実感持って届けるべく、精妙に計算された話数だったと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
この微細な視線を、極力隠し頭を下げてスルッとやってるところが、一番凄いと思う。
スゲー自然なんだよね…詩情の使い方に力みがない。
『これがワシのエモーションや!』とばかりに、ど真ん中ストレートでぶっ飛ばされるアニメも僕大好きだけど、今回みたいに気付けば殺されてる、暗殺拳みたいな演出も好きだなー、と思わされました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
このコツコツ感が作品全体のムードとマッチし、また雰囲気を作ってもいるのだろう。
最高の滑走路を整えて、リンちゃんの夢、みんなの笑顔は伊豆に飛ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月4日
モニターの外側の季節とちょうどシンクロしながら描かれる、最後のキャンプ。
それがとても良い物語になることは、このスタートが見事に保証しました。強すぎるなマジ…。
この終わりが、また新しい始まりに繋がる。
次回も楽しみ。