呪術廻戦を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
宿儺の指は奪われ、数多の術師が死んだ。
カメラの裏側で巻き起こっていた惨劇こそが本命で、次なる悲劇への伏線。
そんな状況でも、若人は白球を追う。敵味方の垣根なく笑い合い、分かり合う。
それが一炊の夢か、人の真実か。
例え残酷な現実が松としても、今はただ、青春を…。
そんな感じの超本格ベースボールアニメ! MAPPAの野球回に甘えなしッ! な、東西対抗戦完結編である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
敵さんの裏事情が見えて色々納得がいったり、呪術師サイドの蹂躙されっぷりに頭が痛くなったり、野球が楽しかったり。
よくよく考えれば滅茶苦茶沢山人死んでるのだが、不思議と爽やかだったり。
なんか凄く呪術廻戦らしいまとめ方で、大変良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
人間 VS 人間の”競技”を描いたことで、激しくぶつかっても良い所に落ち着ける余裕の大事さとか、それを失ってしまった呪霊と呪詛師の取り返しのつかなさとか、作品の背骨が見えた感じもするな。
競いつつも、その過程でお互いをわかり会える。
虎杖悠仁殺害指令貰って始まった対抗戦も、朗らかに野球で青春謳歌して終われる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
そういう希望を描けばこそ、顔つき合わせれば殺し合い、種としての在り方が相容れない呪霊との闘いの血生臭い崖っぷちもよく判る。
どっちが世界の本当なのかは、まだ分からない。
それを探して、虎杖くんも往くのだ。
というわけで、敵サイドの事情開示から今回はスタート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
出てくるだけで終わったほんわかサイコパスが、やっぱ怪物だと分かる”眼”のギラツキが非常に怖い。
このヌロっと底光りする凶気は、『ああ、殺してくるんだな…』って説得力があった。
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呪霊と呪詛師の連合は、アフロ着てビーチにくつろいでいてもお仲間ではありえず、容易に命を奪おうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
しかし兇猛な殺意と肥大化したエゴで癒着はしていて、より沢山殺せる状況を作れるなら手も結ぶ。
それこそ、あの凶人が持つお手々繋ぎブレードのように、奇っ怪で禍々しく。
主役たちを取り込んだ帳はその内側すべてが囮の茶番で、本命はその外側。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
舞台全てをひっくり返す五条悟の目を学生のピンチに集めつつ、裏では真人が殺して奪ってやりたい放題だ。
内情に詳しい夏油、内通者の情報があるとはいえ、高専側はやられ過ぎである。つーか大手飛車取りだろコレ…。
夏油はかなり冷徹な策略家で、規格外の異能を持った五条先生を殺すことは出来ず、封印がせいぜいと理解している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
それも簡単ではないので、一手ずつ状況を詰めて、渋谷でのフィナーレに繋げようとコマを動かしている感じ。
このレイヤーに、五条先生…つうか呪術界が乗れてない。
相手は欲望と殺意で一塊に繋がって、的確に状況を作ってきている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
対面や優しさ…それが反転した害意に縛られていないので、かなり自由に切り込んでくる。
守る側の人類は、お家の事情だの古くからの掟だの、人間であるが故の枷に縛られて、後手に回り続けている。
この枷を完全に外してしまうと、呪霊と同じアナーキーにしかならんわけで、秩序と自由をバランス良く運用して、人間らしく社会を構築していく必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
だが、それがあまりにも難しい。
家も掟も、呪いに満ちた世界で人間らしく生きるために生まれたはずなのに、気付けば新たな呪いになっている。
このカルマを、能力は覚者級でも一人間でしかない五条先生は当然超えられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
彼の高邁な理想に人間全部が付き従って、ハイハイ従ってくれるわけではない。力をテコにそれをやったら、独裁という呪いに墜ちる。
それが嫌だから、生徒を育て呪霊を殺し、人間であり続けているのだろう。
一歩一歩の歩み寄り、進めたと思えば引き戻される厄介なすごろくから、五条悟は降りようとしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
『それなら傲岸不遜を引っ込めて、他人を立てる生き様も身につけなよ…』とも思うが、まぁしょうがねぇ若いし。五条悟だし。
膝曲げても、腐った旧弊に同化されるだけって感じもするしな、呪術界…。
夏油と呪霊の同盟に、そういう縛りはない。ただただ最短距離を、使える手段を全て振り回して突き進んでくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
”縛り”が力を与えるこの作品のルールを思えば、まどろっこしい後手後手、その裏にある他者の尊重も、全てを蹂躙する以上の力を生む…かもしれないが、まぁかなり盤面厳しいよね。
という状況を、教師陣が頭突き合わせて確認しつつ、
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
夏油は自分の存在が気取られないように、密使を立てコマに情報を与えすぎず立ち回ってんのね…黒幕仕事が板についとるわ。
内通者という楔も打ち込んでるし、情報格差を活かして広げる術に長けてる。
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盗まれた呪物使って何するかは解かんねぇが、この世界の九相図とかマジロクでもないだろうし、大変なことにはなりそう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
というか本丸に指かけられてる時点で、相当終わってんだけどな。
指に仕込んだトレーサーと同じように、どんな爆弾仕掛けられてるかわかりゃしない。
しかしそれが、若人から青春を奪う権利にはならないと五條悟は言う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
自分たちは世界の守護者、秩序の管理者であると同時に、あるいはそれ以上に”教師”である。
ならば、うら若い戦士たちを人間として扱い、人格の基盤を作る責務がある。
こういう所は、ちゃんと先生だね。
そんな生徒たちは、ようやく落ち着いてピザ食ってた。この三人が仲良くしてると、やっぱホッコリする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
花御との激戦で、虎杖くんが見せた成長。伏黒くんは自分との力量差に、凹むことなく決意を固めていく。
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ダチが思い話し切り出した瞬間、チャラけていた態度が野薔薇からすっと引いて、腰落として聞く姿勢、言う姿勢作るのホント好き。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
オラついたワガママ女に見えて、他人との向き合い方がよく解ってるんだよなぁ…こういう所に重心あるの、記号で終わらないキャラの魅力出してて好き。
まぁ虎杖くんの無双も、花御に課せられた”縛り”の結果ではあるんだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
『特級名乗るくせに弱くね!!!?』と正直思ってたんだが、そういう事情ならしょうがない。マジ苛ついてたな…。
この後出し補足は、納得感あって大変良かった。枷なしのリベンジマッチに期待したい。
俺たちは弱くて、間違っていて、だからこそ強くなりたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
青春が真っ直ぐに未来へ舳先を向ける中、突如乱入する知らない葵。両手広げてハグ待ちの態勢、マージでキモい(好き)。
対抗戦で一番好きになったの、葵ちゃんだなー。知性派マッチョ変人 is 好物。
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葵ちゃんの筋道たった青春志願で、本分を謳歌することになった学生たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
戦場の張り詰めた空気が抜けて、楽巌寺学長もコミカルなシーンに顔を出すようになった。
存在してはいけないタブーとして睨みつけてたときより、虎杖くんとの距離が近い。
それを生み出したのも、対抗戦の成果か。
死や呪詛や謀略、辛いことに満ちた世界でそれでも人として生きていくためには、全力で楽しんで人間の畑を育てる必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
CARPE DIEM。その日の花を摘め。
待ち受ける試練を前に、それでも心から笑える日々を過ごしたことが、惨劇を叩き壊す力に多分なる。
というわけで野球の時間である!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
ボコボコ殴り合うのではなく、呪力すらも笑いのタネにしながら、必死に白球を追いかける子供たちの笑顔。
選手紹介テロップが面白すぎんだよな。三輪ちゃんのマンゴー食ったのお前かよ…。仲いいな。
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加茂先輩の悲しい過去、虎杖悠仁に共感する人間らしい足場と交流もかかれ、しかしストライクはストライクである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
1アウトより大事なものを、バッターボックスで交換する判断が、加茂先輩は出来る。
家名の重さに潰されず、母に託された願いを真白き祈りのまま抱えている。
まだ”試合”の形式を保っていた時、伏黒くんと対峙しながら見せてた人間性が、静かに輝く打席であった。まぁ棒立ちの3ストライクなんだけどさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
フィジカル最強な真希-虎杖がバッテリー組んでたり、バントの作画だったり、妙に野球描写の分解能が高いのがウケる
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迫力と勢いで押し切るのではなく、凄く繊細な野球の動きを積み重ね、クオリティで殴って笑い作ってくるのはMAPPAっぽいなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
スムーズな疾走、捕球、総スカン。
特級呪霊と殴り合える葵ちゃんにダメージ入れた真希が凄いのか、葵ちゃんもデッドボール含めこの”闘い”を楽しんでいるのか。
本気で打って、本気で走る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
だから生まれる本気の笑顔と絆を、信じて見守ってやる義務。
楽厳寺学長が身を置く日傘の陰りと、夜蛾が身を置く光。
例えその身に悪魔を飼うとしても、数多の命が潰える危険があるとしても。
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あくまで人間として教師として、若い魂を信じる心意気。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
それが京都の長に届くいたのかどうかは、語られる物語ではない。大人は、無邪気に野球も出来ないから面倒くさいね。
蟻の群れのように地べたを這いずる、不自由な人間たちの上を、五条悟は無神経に突き進む。
両学長は群れ全体と個人、重きを置く場所は違えど同じ視線、同じ問題を共有している。だから同じ場所に腰掛けて、同じものを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
五条悟は、そういう只人の視線を共有しない。ズカズカと進み、無神経に踏む。
だが、その異能は脆い蟻たちを潰さない。
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配慮する必要すらなく、覚者の異能は数多の命を守る。その無自覚が、彼の強さであり弱さでもあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
この野点のやり取りは、大人サイドが何を見ているのか、そこから五条悟がどんだけ浮いてるかがよく見え、とても良かった。
能力が人類の規格を超えると、世界観の共有も難しくなるね…。
超越者たる彼にとって人間集団は蟻の群れであり、足下に這いずる意識外だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
だが彼はそれをこそ守りたいし、彼の異能は傷つける呪いではなく、守る祈りのまま行使されている。
彼自身はバランスが取れているが、それが人間集団にすぐさま波及するわけではない。
神様の視点は、蟻には残酷で難しい。
この群れに積極的に近寄ってきて、ロードローラーで叩き潰して楽しもうってのが、呪いの軍団であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
五条悟が無自覚に守っているものを、積極的に手放して外道に落ちる。
踏み潰したあとのことなど知ったことか、俺たちはそういう生き物だ。
そういうニヒリズムが、次は何処で発火するか。
悪霊に先手を取られ続けている不穏さと、そこに一筋差し込む光が見える、対抗戦編最終回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
殺し合いを世界の本質とするなら、嘘であり余儀でしかない沢山の笑顔。
同じものを見て思いを変えていける、そんな可能性。
野球したり、話し合ったりして、『結構良いやつだな…』と敵を見れる視線。
それが人間にはあって、それこそが救い…かもしれないこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月5日
そんな当たり前の輝きから、ちょっと遠い場所に五条先生がいることがよく判るエピソードでした。とても面白かった。野球作画は凄かった。
かくして縁を深め、青春と呪いは続く。次回も楽しみですね。