のんのんびより のんすとっぷ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
年明けて姉帰り、雪が降り空晴れる。
浅ましくお年玉をねだったり、猛吹雪の中シュールなコントをしながら転がっていく日々。
たった三日の奇跡を受け止めて、れんげは何を手渡し、何と別れるのか。
雲ひとつなく晴れた空を、雪景が青く跳ね返していた。
そんな感じのバカ・バカ・感動の三拍子、新年ののんのんびよりのんすとっぷである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
一期第四話で『このアニメ…”強い”な…』と理解らせてくれたほのかちんが雪の村を再訪し、まーた作品の強さをよく理解らせてくれる回であった。
同じ場所で足踏みしているように見えて、確かに時は積み重なる。
あの時泣いたれんちょんはしっかりお別れを言い、駄菓子屋から受け取った真心をまるごと差し出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
ほのかは大事な髪留めを半分お返しして、二人は”いつか”を見つめながら別れていく。
三期のれんちょんはかなりお姉さん力強いが、ほのか再訪を通じてまた、幼子の小さな変化が輝いた。
第1・第2エピソードで浅ましさとシュールさにゲラゲラ笑わせておいて、第3エピでどっしり心を揺さぶってくる緩急も良いし、雪の様々な顔を活かし、エピソードごとに風景に表情を付けていたのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
どっしり沈黙を生かして、れんちょんの複雑な内面におずおずと入れてもらう演出も良い。
宮内れんげさんは天才的発想で常人と違う世界を生きている変人…とも見えるけど、非常に感性が豊かで優しい子であると、ずっと思っていて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
変な言い方だけど、そういう”普通のこども”としての宮内れんげさんに注目しながら、このアニメ見てた甲斐があったな、と思うエピソードだった。
不思議な子供が持っている、普遍的な人間の顔。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
それは普通の子供が持っている不思議な表情と同じく、非常に大事なものなのだと思う。
吹きすさぶ嵐から美しい景色へと、色を変える雪のように、宮内れんげさんの世界もまた、様々な顔がある。その全部が、嘘なく意味のあるものだ。
というわけで、物語はまーた帰省したひか姉の浅ましい銭ゲババトルから始まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
アップテンポなコメディの前。約束した手紙の届かぬ寂しさに膝曲げるれんちょんを、さり気なく切り取っているのが、なかなかの計画的犯行である。
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亡者のごとくポチ袋を求めるひか姉の浅ましさに、相変わらずれんちょん好きすぎな駄菓子屋の”情”がほのかに灯って、なかなか良い色彩。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
ほんっっっとこの人、宮内れんげさん好きすぎない? 判るけどねマジ…。
ここで見せたれんげLOVEが、角度を変えて第3エピで光るのも良い。
また姉の銭ゲバっぷりを諌めるれんちょんの成熟をここで描いたことが、そこからはみ出す等身大の寂しさを強調することともなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
第3エピの切ない湿り気が、人生の本当…というわけでもなく、笑いも浅ましさもまた、人間の営みであると一話にパッケージしてあるのは、奥行きがあって好き。
ひか姉のマネーバグっぷりは留まる所を知らず、ついに禁忌の領域に手を出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
あかねちん相手に”いい先輩”してたから忘れてたけど、こいつも相当の性悪だった…。
千円払うことで、二千円払わせる。悪魔の計算で、見事なオチを付ける。
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このオチ、第3エピでれんちょんがほのかちんに差し出す”贈与”としてしっかり関連が生まれていて、ゆるやかにエピソードを流しつつ不思議なリンクで楽しませる、のんすとっぷらしい話だなと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
一個一個バラバラの笑い、あるいは感動なんだけど、奇妙に繋がるポイントを埋め込んであんのよね。
それが、色んな事が起こる人生の面白さ、それが入る豊かな”箱”としての田舎を際立たせてて、三期特有の面白さだなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
これは時間軸方向にも伸びていて、『楓ちゃんもお年玉あげるんだ~』と、感慨深げに言ってるこのみちゃんとか分かりやすい。
子供もいつか大人となり、大人もかつては子供だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
繰り返す一年間を定点的に観測しつつも、その外側にある時の流れに結構目配せをしているこの作品。
ここら辺の視線は、前回の第3エピでこまちゃんが見せた、ちいさな成長にも宿ってると思う。
明日の時の長さは、いつでも永遠と一日なのだ。
というわけで、猛吹雪舞い散る薄暗いステージで、元気にシュールコントをするのもまた、人生である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
いつ終わるともしれない、ツッコミ担当過労死寸前の雪中漫才。三者三様の話芸が唸り、声優という職業の可能性を感じられる。
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ここは笑いのフレームがかなり複雑で、素直に笑うにはあまりにも難しい夏海とれんげのネタに翻弄されつつ、音響は非常にリアルに激しい吹雪を切り取っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
その寒さに最初は足場を置いていたひかげも、生来のツッコミ気質をクスグラれ、笑いの空間に飲み込まれていってしまう。
ガラスの向こう側は独特の風が吹く場所であり、ツッコミが的確かどうかも解らないシュールなコントは、暴風を置き去りにして延々続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
それをモニタの向こう見ているこっちのツッコミは、最後にかず姉が映ってオチを言うまで保留され、タメられる。
家の中と外、画面の内側と外側が多重構造を形成してて、そこでズレた笑いが生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
生むために、吹雪の音は視聴者が無視できないシリアスさで吹き荒れ、作中の人物はこれを無視してコントをやる。
元々この作品、結構難しい笑いの作り方してると思うが、この第2エピがその集大成かと思う。
シュールで、メタ構造を活用した”手渡す笑い”の極北に続いては、感動路線の集大成が来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
まさかここで再登場するとは思っていなかったが、原作が完結した今、ここで出るしかない少女でもある。
石川ほのか。れんちょんと俺らを泣かせた女である。
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晴天を反射して青い雪景色が最高に良いが、これも第2エピで曇天の灰色をずーっと描いていたからこそ、映える景色ともいえる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
移ろう四季を大事に大事に切り取ってきた物語も、そろそろお終い。
秋は終わり、冬景色は空気を清廉な白に染めていく。
光を反射する素材としての雪を、非常に丁寧に書いているのが第3エピソードのキモだと思っていて、夕映えにはオレンジが混ざってやや紫に、抜けるような青空の下では透き通る色合いに、それぞれ表情を変えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
こういう情景の分解能が異常に高く、適切に風景を使っているのは、この作品の強み。
駄菓子屋に足を向ける時、思わず繋いでしまった手。小さなお洒落を、思わず褒めてしまう素直さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
二人の友情に眦が無限に下がるが、しかしそれはあくまで有限。すでに、れんちょんは夏の別れを経験している。
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そんなれんちょんの心境を、ポストにたまった雪が崩れる描写で静かに刻みつつ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
やはり加賀山楓は、大事な女の子が心に秘めているものを見落とさず、しっかりと見据えている。
たった三日の貴重な時間を、二人で駆け抜けていく背中を心配そうに見守りつつ、その手助けを考えている。
ここでズカズカ身を乗り出して、れんちょんの寂しさを抱っこするのではなく、むっつりと黙り込むプライドを大事にしながら、再開と別れが悲しいものにならないよう、さり気なく手を差し伸べようとしているのが、駄菓子屋の人徳であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
宮内れんげさんが凄く好きで、大事にしたいんだな、って感じ。
幼子が駆け抜けていく村は、あまりに美しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
ここまで10話、見慣れた景色が降り積もった雪で大きく表情を変え、別の面白さを差し出してくるのもまた、特別な面白さである。
永遠に続いて欲しい真昼は、あくまで青く白く。
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それを挟み込むように、必ずやってくる別れの色合いはオレンジで、少し切なく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
色彩の対比、時間の移り変わりが情景にしっかり宿り、強い背景を強く使う横綱相撲の演出である。
”10話”だからこそだなー、と思う。
村の景色に馴染みが出来て、あるいはその手触りを思い出した頃合いだからこそ。
楽しい時間にも終わりが来て、また別れていかなければいけない苦しさにれんちょんが戸惑い、それを親友に気づかれないよう背中を向ける沈黙にも、ずっしりと奥行きが出てくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
思わず逃げ去ってしまう、弱々しい背中。
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眠れず思い悩む、夜の深さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
普段の大人びて、賢く、図太くすらあるれんちょんを知っていればこそ、この”震え”が僕らに人間らしく映る…が、別れを前にむき出しになった弱さだけが、当然宮内れんげの全てではない。
いつもヘンテコな事いう変な子供と、ここにいる小さな女の子。
前半の笑いや浅ましさが嘘ではないように、ここまでのれんちょんも、彼女を取り巻き見守ってきた世界も、継続性をもってそこにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
珍しくボサボサの頭でお寝坊して、答えの出ないれんちょんに差し出された、駄菓子屋からのプレゼント。
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三期第一話が彼女の”身支度”から始まったことを思えば、このボサボサがどんだけ心乱れているか、よく教えてくれると思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
二度目の別れを前に、千々に乱れる心をしっかり見つめていた駄菓子屋は、日常の風景を装ってほのかに会いに行く切っ掛けを作り、静かにれんげの背中を押していく。
れんちょんはひと欠片もお菓子を口に入れることなく、袋ごと手渡し、ほのかもまた、自分の大事な髪留めを片方手渡す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
鏡写しの真心を、お互いの瞳に映しながら、あの時は言えなかったバイバイを直接手渡し、冬の空は泣けるほどに高く、青い。
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このお別れは、夏より沢山楽しい所をほのかに教えられた変化と裏腹の、時と人の宿命であろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
ここまで見守らせてもらった、鄙びた村を元気に走り回り、沢山遊んだ日々。
春から夏、秋へと遷り変わる時の中、小さな宮内れんげさんが手に入れたもの。
成長と喜びを連れてくる流れは、必ず別れも呼ぶ。
しかしそれは、寂しいだけではないことをれんちょんは知っていて、非常にじっくりと彼女の思いに寄り添ったこのエピソードは、僕らにもそれを伝えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
雲ひとつない空を、反射して青い雪景色。
そこに、別れをすら寿ぐれんちょんの視線が延びる。
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手紙という約束の形があっても、なくても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
直接の別れを伝えられても、出来なくても。
地上の塵を軒並み吸い込んだ雪は、宿命を知ってなお無垢な魂を優しく包んで、また巡りくる春を静かに待っている。
そんな色彩に見守られながら、れんちょんは大きくなっていく。とても、泣けるほどに美しい。
そんなエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
第3エピソードに満ちた情感と詩境が凄まじく、思わずそこに目がいきますが、その前に銭を求める人間の浅ましさ、わけの分からない笑いがちゃんとあるのが、大変この作品らしいバランスであり、世界認識だな、と感じました。
下らなさも輝きも、笑いも別れも、全部飲み込むように大きなものが世界には広がっていて、その只中に子供たちと、かつて子供であった者たちがいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
そういう風景を、巡る四季をゆったり切り取りながらずっと見てきたアニメだったなと、教えてくれるエピソードでした。素晴らしかったです。
『BLOOMのチノちゃんといい、お前は本当に仮想の児童相手にするとキモいな!』って感じですけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
まぁ、しょうがない。
僕は宮内れんげさんが好きなんです。
あの子が不思議に大人びていたり、世界の残酷さに触れて立ち止まったり、それでもなお青い場所に駆け出していったりするのを、見るのが好き
そういうモノを沢山見せてくれた物語も、そろそろ一つ幕を閉じようとしています。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月15日
次回冬に何が描かれ、その次の春で何処にたどり着くのか。
”中3”であるお兄ちゃんを、かなりクローズアップで書いてきた三期がどういう終わりを用意しているのか。
少し寂しくて、とても楽しみです。いいアニメだ。