BEASTARS 第二期を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
リズとの決着を付けるべく、レゴシは蟲を喰う。
喉を滑り落ちていく生命、みなぎる力、触れ合う魂。
それでもまだ足りないモノを求め、ルイに己の想いを告げる。
解き放たれた熱は闇に燃え、因縁を焦がす。
出口のないトンネルに、閃いたのは光か、死か!?
そんな感じの最終決戦前夜! 色んな人が生きたり死んだりの青春獣道である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
レゴシが蚕食ってスピリチュアル空間パワーアップしたり、女装してルイに告白したり、ピナくんが危ない橋を渡って奈落に落ちたり、イブキとルイの密室感情がデカかったり。
まぁ、色々ある回だった。
物語の最初を飾った謎が、食殺犯との対決で終わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
そういう構図を持ってるこのお話、そこに向かってウロウロ迷ったり、力強く決意したり、何かを学んだりしてきた。
ついに全てが決着し…それはゴウヒンさんが継げていたように、何かの始まりでもある。
どん詰まりの人生を爆破する、運命というダイナマイト。その導火線に同時多発的にボーボー日がついて、炸裂の瞬間を待っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
…あるいは、既に炸裂している。
そんなエピソードであったと思う。どこもかしこも大火事で、その炎がひどく暴力的で、切なく熱い。
この作品らしい終盤だ。
ゴウヒンさんが持ちかけた、パワーアップの秘策。それは昆虫を食べ、生命を取り込んで強くなる道だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
儀式めいた荘厳さで、自分の手を土に汚し、丸ごと飲み込む。狼の長い指と、あまりに小さな蚕の対比。
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個人的な話になるが、僕は小学生時代蚕の幼虫を農業試験場から貰ってきて、飼育していたことがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
アイツら桑の葉しか食わないし、マジでモリモリ食うので毎日毎日葉っぱを狩って、ワサワサ夜中も葉っぱを食う音がして…白く柔らかく、可愛い連中であった。
レゴシが強くなるため、勝手に貪る生命の小ささ、モゾモゾと蠢くその懸命さを見ていると、そんな記憶が蘇る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
すごく個人的な実感を込めて、レゴシがこれから『生命を食う』のだということが伝わる。
誰かを食って殺した誰かを、絶対許さない。
その力を手に入れるために、誰かを食って殺す。
正義と食事のジレンマに変態オス狼は思い悩むが、ゴウヒンさんはそんなレゴシの全てを肯定し、背中を押す。道を指し示し、共に隣り合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
レゴシがリズにならなかったのは彼自身の資質もあるが、善き大人、善き師が常にそばにいたのは大きいだろう。
孤独と絶望への特効薬は、強面パンダ師匠…という話
ゴウヒンさんの肯定に勇気をもらい、レゴシは蚕を喉に落としていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
そこで見たのが、極限の緊張が生み出した妄想なのか、魂が触れ合うスピリチュアルな真実なのか、確かめるすべはない。
ただ、レゴシはここで作中初めて、全ての鎧を脱いで泣く。
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リズの思い出の中のテムと、レゴシが見た蚕の許しと導きは同じ幻かもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
しかしそこに投影されているのは、自分でぶっ壊してしまった理想をツギハギにした怪物ではなく、普段表に出せない弱さと、素直な共感である。
リズが幻にすがって自分を守るのに対し、レゴシは幻に対峙し自分を暴く。
生命に勝手に値段を付けて、それを貪る立場に自分を置くエゴイストであること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
その事に、心の底から悔恨を抱いていること。
それでも、リズが押し付ける妄念を跳ね除け、戦うことを諦められないこと。
そのために、蚕の未来を叩き潰したこと。
こういうモヤモヤを、素直には言えないのがレゴシだ。
普段ムッツリと死んだ魚の眼をしてるのに、生き死にが炸裂する瞬間には、純粋すぎて凶暴な自分を出せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
思えばハルちゃんに襲いかかった時も、シシ組を襲撃した時も、リズとのシャワー室でも、レゴシの地金が見えるときには、常に暴力の匂いが漂っていた。
そういう宿命を背負いつつ、彼は優しい。
幻像との対話は、非常に拗れたビースト・コンプレックスの”たが”を外すのが、蚕の生命だった、ということかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
タブーとして食殺を遠ざけてきたレゴシは、師匠に背中を押され蚕を口に入れることで、ある意味リズと近い存在になっていく。
正反対の宿敵なのに、何処かで生きる切なさを共有する
そんな鏡合わせの二人がぶつかり合う、大晦日の決戦。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
蚕から託された言葉を、そこで溢れ出た涙をレゴシは覚えていないが、その肉体は力強く変貌し、肉食の毛皮を取り戻していく。
そしてまーた毛刈りである。ホントゴウヒン師匠はレゴシを剃毛するのが好きだな!(誤解を招く表現)
毛髪は生命のエネルギーの象徴であり、それを適切に刈り込むのは混沌の制御、無意識への道標でもあろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
ゴウヒンさん自身もストレスで毛が抜けつつ、それでも肉食獣の、街の本音を身体一つで受け止め、牙の正しい使い方を探し、示している。
そういう生き方が、レゴシの獣性を適切な形に刈り込む。
一方その宿敵は、己を抑え込み社会的動物にしてくれる薬を燃やし、生命の予感に歓喜する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
赤。
血の色であり、炎の色でもあるその色彩が、リズにはいつでもつきまとう。
危険、止まれ。
そういうカラーリングでもあろう。
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本当の自分でいられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
流行歌の歌詞めいたペラッペラの理想に踊って、リズはテムを食べた。
社会が押し付けてくる、世界にとって都合のいい”僕”ではなく、凶暴で極悪で力強い”自分”を取り戻す。
檻に入れられた獣ではなく、ありのままの姿を取り戻す。
大晦日に待つレゴシとの決戦は、そういう開放の意味合いを持つ。だから生きる喜びは取り戻され、リズの味覚障害は回復していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
それは獲物の血肉を味わうためであり、彼を崩壊から守ってきた妄想の檻が、ペキペキとひび割れてきている予兆にも思える。
リズは味覚と同時に、現実的な感覚を取り戻していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
羆本来の膂力を存分に振り回し、闘争の本能を開放できる瞬間。
それははちみつ色の妄想に踏み込む宿敵を倒すためであり、テムで失敗した命がけのコミュニケーションにもう一度、踏み込む儀式でもある。
レゴシは口に入れた命の重さを、あまりに過剰に受け取り、その余波が毛皮を取り戻させた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
リズに戻った味覚は、甘いはちみつ味の妄想から彼を引っ張り出し、友情を食い殺した苦い味、殺人犯である自分をも回復させるのか。
それとも、殺しの味を覚えた羆として、街に解き放たれるのか。
大晦日の決戦は許せぬ悪を叩き潰す宿命の闘いであり、同時に同じ演劇部員、同じ裏方だったレゴシとリズが対話する、最後のチャンスでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
殴り、噛みつき、引きちぎる。
そんなコミュニケーションしか許されていない、闘争の獣達の宴。
それをしなければ、もうお互い何処にもいけない土壇場。
レゴシの闘いは身勝手なエゴのためであり、同時に凄く大きく広いもの、個人的で大切なもののためでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
ハルちゃんとの未来、ルイ先輩への思い。
そして何処か、極悪羆を級友として、同じ肉食として憐れむ気持ち。
それが、闘争に複雑な陰影をつける。
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というわけで、どピンクのセクシーが男達の渋い夜に乱入いたします! レゴ子可愛いッッ!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
お互いの弱みもさらけ出し、犯罪家族(ファミリー)として一蓮托生。
『死ね』と命じ命じられつつ、満足げな笑顔を浮かべる闇の到達点に、レゴシは女装で殴りかかる。ゴウヒンさんさぁ…。
あからさまにデカすぎるレゴシの異相は、ルイが安住してしまいそうな、父なる暗黒にピンクの異議申し立てを突き立てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
カッコつけて腰落ち着けてっけども、アンタは『こっち』だから。まだまだ、人生笑えるから。
そんなメッセージが濃すぎるチークとシャドウに宿って、なかなか好きな装いだ。
激シブ犯罪時空を一瞬でバーレスクに占拠され、緩んだ空気に決意が滑り込む。イブキの真顔のボケが、非常に面白い。大典さん、いい演技するなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
ボス…その女実際ブサいですよ! なんでやレゴ子可愛いやろがい!(モンペの贔屓目)
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悪徳といい雰囲気が同居する、裏市のバー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
暴力と諦観に隣接しつつも、結局アルコールは飲めない子供たちは時に笑い、時に真っ直ぐ思いを伝えあって、まるで青春映画みたいな時間を過ごす。
死地に赴くなら、あなたに見て欲しい。
長すぎるまつ毛に思わず笑うが、レゴシの想いは凶暴で純粋だ。
そしてルイも、その真摯さをどうしても無碍に出来ない、生真面目な子供である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
『俺様超エリートだから!』みたいな顔して学園に君臨してた時も、たった一人テムに花を備え続けた男。
父に銃口を突きつけながらも、湧き上がる情愛に体を震わせていた少年。
あまりにも気高く、だからこそ傷ついた少年。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
裏市の餌食、虚構の王子、獅子たちを統べるもの。
様々に立場を変えながら、しかしルイの瑞々しい感性、目の前の思いと生命にどうしても本気で向かいってしまう心意気は、けして汚されることはなかった。
そのあり方に、レゴシもイブキも惚れた。
だから伝えたかった。そばにいたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
日常に戻るか、闇に沈んでいくか。
今回レゴシとイブキがルイを取り合う構図になるが、そこに込められている想いは立場を超え、共通している。
あまりに強く純粋で、周りを顧みれないほどの本気。そういうモノを、否応なく引き寄せるスタァ。
ルイはそんな資質に結構無自覚で、だからこそやけっぱちにもなるのだが、レゴシがなりふり構わずブッ込んできた思いに当てられ、酔えない梅酒で懊悩を流し込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
俺がいるべき場所は、何処なのか。諦めたはずの問が、熾火のようにくすぶる。
このメラメラ加減が、やっぱ好きだ。
一方ピナくんもリズと接触し、そこに通い合うものはない。少なくとも、現状そう思えるように描かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
ブタ箱に打ち込まれる前に、同級生の思いを聞いておきたかった。
それが証拠確保をごまかす煙幕なのか、本気混じりなのか。
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錯綜する明暗の中で、事件の本質はノイズに混ざって見えなくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
二度、友達を食らう怪物にリズは落ちたのか。
え、ピナくん死んだん?
そういうサスペンスを保留したまま、獣は闇から這い出し、闇に帰っていく。
そこにあるのは未帰還の血の沼か、微かな救いか。
お軽い色男が決戦前に、命を賭して意思を貫いたこと…その対価を支払わされたことは、そんな謎の輪郭をより鮮明にしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
ピナくん、二期をいい角度から引っ張る牽引役であり、作品に新たな色彩を与えるトリックスターであり、シリアスな一個人でもある、いいキャラよね…。
ゴウヒンさんは、決着を見ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
生きるにしても死ぬにしても、命がけでぶつからなければ突破できない決戦に挑む若人に強い視線を預け、手を握る。
顔相の変化は運命の変化。必ず何かが起きる、年と年との境目。
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固く握った掌越しに、確かな思いをしっかり受け取り、迷える狼はしかし、車窓に迷いを照らす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
事ここに及んで色々考える所が、僕らのレゴシらしいところだ。
大事なものを思い出すけど、死地に進む足は止めない。身勝手で、どうやっても暴力と死に隣接してしまう、肉食獣らしからぬ肉食獣。
そんな彼が届けた思いがルイを動かし、闇から引きずり出す。だが置き去りにされる家族達は、彼らのビースターに賭けた想いは、それを許さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
俺は、シシ組を抜ける。
そう告げるレオの顔は、少年じみて脆い。だからこそ、嘘がない。
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訂正
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
×レオ ○ルイ
誰やねん”レオ”て……
レゴシが酒場で伝え、学園で育んできた本気の思い。肉食の強さと弱さに惹かれる自分を、最初に教えてくれた親友。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
その重さに報いるために、ルイは覚悟を差し出す。
離れると告げたイブキにも、同じ思いを抱いているから。本気でなければ向き合えないと、思い詰める真摯さを譲れないから。
その気持に報いるには、並々ならぬ覚悟がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
イブキもそれを知っていたから、フリーに銃弾を預けた。
自分がただの獣に戻ってしまうのなら、命をかけてそれを止める。
そんな理性が、生命を奪う凶器に結実してしまうのが、イブキという男の生き方である。
この暴力への隣接性はレゴシとよく似ていて、そういう男だからこそルイに惹かれ…ルイの特別な男になったのかな、と思ったりもするが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
詩情に満ちた暴力、暴力にしか宿らない詩境を大事にするのは、この作品の魅力の一つだ。ちっと北野映画っぽいよね。
ヤクザのボスになったルイは、イブキの運転する自動車…行き先を自分で決められるからこそ、出口がない乗り物で闇に進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
まだ学生のレゴシは、光を掲げ進む公共交通に身を預け、運命の決する終着点に進む。
この対比は、結構好き。
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どっちの道にも漂うのは、濃厚な感情と死の薫りだ。闘争にはゴングが必要と、塗りつけた血。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
リズもむき出しの自分になれる瞬間を求めて、レゴシをキレさせるためにトリガーを引いた。
むき出しの獣でいたい。
友達を思いやる、人間などではいたくない。
そんな、赤いサイン。
それは裏腹に、テムと友達でいたかった思い、社会に適切な居場所を見つけられる人間で居続けたかった願いを、切なく反射しているように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
もう言葉は届かない。法も彼を止められない。
なら、暴力を仲立ちにして語り合うしかない所まで、獣達は進んでいく。
それが獣の定め、人の宿命である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
少なくともこの夜に牙をむき出しにする男達は、そういうふうに生きることしかできなかった。
その決着は、嘘も逃げ場所もないあまりにシリアスなもの…命のやり取りで付けるしかない。
血みどろでロマンティックな、男達の年越し。
闇の中、月光に照らされて光る月。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
表舞台の嘘に傷つけられ、裏市の闇に落ちてきた太陽に、イブキも照らされてきた。
そうして見える輪郭は、強くなければいけない獣の定めを溶かして、内側にある”本当の自分”を引き出してくれた。
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それが、甘やかな酩酊だったのか。一瞬の夢だったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
イブキの問いかけは、行き着く所までいくしかない。
真っ黒なトンネルに身を投げて、アンタが死ぬか俺が死ぬか。そんな終わり方しか、やっぱり出来ない。
愛したからこそ、夢見たからこそ、己では手放せない。
そんな軛はリズにもルイにもイブキにも、散々迷路を進んできたレゴシにも同じで、だからこそこの夜に、男達は生命を燃やす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
その炎の…燃え尽きた灰の中から、何が蘇るかは、まだ闇の中だ。
あるいは虚無に食われ、何も残らないかもしれない。
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それでも確かに、水面に反射する月光のように、闇に光るマズルフラッシュのように、眩しく咲いたものがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
牙しか持たない自分が、輝くものを傷つけず育む出来ると、大それた夢を見た瞬間があった。
それは悪魔の薬のように、闇の獣たちを魅了する。
愛と希望と自由こそが、人を縛る呪いなのだ。
それが呪いになり得ぬと、若き狼と牡鹿は証明できるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
道は血塗られ、闇は深い。
思いはあまりに激しく吹き荒れ、闘争は常に犠牲を要求する。
人生の待ったなしが待ち構える、あまりにも薄暗い夜。
そこに光るのは、獣達の星(BEAST STARS)、人生という星座(BEASTARS)。
次回も楽しみです。
追記 喰うものの傷、食われるものの痛み。
BEASTARS追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
イブキが肉食獣の定め、構えた武器の生きづらさを語る所は、(学園ではビルをキャンバスに描かれていた)マチズモと強く絡み合う。
肉食は男のメタファーで、草食は女の暗喩。
そうシンプルに二分対応出来ない、させない構造が、この作品の面白さでもあろう。
草食/肉食と男/女は複雑に絡み合いながら作品世界を彩り、レゴシ(肉男)、ルイ(草男)、ハル(草女)、ジュノ(肉女)の四人がお互いを照らし合いながら進んできた学園生活。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
その相は暴力的対話のクライマックスに近づき、男の臭気が強い。
しかしリズの筋力抑制剤にまつわる屈辱と苦痛には、月経のモチーフが濃く香ったりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年3月18日
性別の要素を細やかに取り込みつつも、獣人という作品独自の仮想、それが生み出しうる諸相を丁寧に編み上げて生まれる、豊かな織物。
その極限を味わうクライマックスが、大変面白い。