Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
明王の怒りは、悪を焼き尽くす焔。
不条理な支配に涙流すだけならば、何も救えはしない。
煤けた態度の奥に、熱い正義の心を燃やすヒーロー。
怒れ、怒れ、正しく怒れッ!
今夜、お前の後悔俺が抱くッ!!
そんな感じの炎のヒロイズム、Fairy蘭丸第二話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
記憶喪失な蘭丸のキャラもあって、ノリと勢いに押し流されるように進んだ第一話に対し、エピソードヒロインとも心の奥底で触れ合い、焔くんのキャラも良く見える話で、解りやすい手応えがあったと思う。
相変わらず細部はぶっ飛んでいるが、話としては『悲しみの涙、怒りの焔をどう扱うか』という、シンプルかつシリアスな芯があったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
外から押し付けられた十訓にただ従うのではなく、己の内から湧き上がる正しさを自分らしく、行いに変えていくこと。
そういう事が大事な話なんかな、と思った。
開幕人死が出て『やっぱトンチキなふりして相当暗いな…』って感じもあるけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
女王様の『殺し合えばいい』の表情見ても、火焔族の扱い見ても、天界も差別と闘争なき楽園というわけでは、けしてなさそうだ。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第2話より引用) pic.twitter.com/GG7q5e9tWu
二話というタイミングでこんだけ悪逆な表情見せてると、女王様サイドにももうちょい事情がありそうではあるが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
正しさを貫いた焔くんの父は、ヒーローらしからぬ責苦の果てに死んだ。
その怒りを表面的な正しさに抑圧された結果、彼は燻る不良少年になった…て感じかな?
父が教え果たせなかったヒロイズムを、彼も体現したいと願っているが、しかしそれは上手く行かなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
その失敗体験が、『人助けなんて下らねぇ…』とうそぶく、蓮っ葉な姿勢を生み出している。
今回はそのくすぶりが怒りの焔でぶっ飛んで、魂の奥底にある正義が輝くエピソードである。
あ、本題入る前に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
バックンが画面に映るたびあざとく可愛い小動物過ぎて、最高に良かったです。今後も可愛くお願いします。
でも寶さんのジュニアが伸び縮みする暗喩に、笛を曲げ伸ばしする役はやめたげて…。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第2話より引用) pic.twitter.com/BHCYgvZwBn
バックンベッドの寝相でキャラ見せるの好きな演出だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
ここで示されているように、焔くんは自分にかけている純粋さを、白紙の蘭丸から受け取っていく。
為すべきこと…本当は自分がしたいことを『下らねぇ』と見過ごそうとした時、機械のように十訓を繰り返す蘭丸がいることで、彼は道を間違えない。
俺は擦り切れた正義漢が、目の前の悪に我慢ならず『やめなよ…』って身を乗り出してくるシーンが大好きなので、焔くんの事件への入り方は完璧だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
彼は自分を焼く焔をどう使って良いのか、ずっと迷っている。それは怒りのままに暴れて、誰かを傷つけるのが嫌だ、ということでもある。優しいのだ。
くすぶった吸い殻(正しい焔の使い方が出来ていないアイテム)を突きつけられ、悲しみの涙に溺れる女。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
彼女との触れ合いの中で、焔くんは自分が認識していないヒロイズムの形をスケッチされ、思いの使い方を学んでいく。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第2話より引用) pic.twitter.com/rOXwZbCrzq
悪しき形で広がってしまった”炎を消す”ことが、救命のヒロイズムに繋がっているのはとても興味深い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
彼の力は”炎を操る”ことなのだが、それは必ずしも敵を砕き、悪を倒す事を意味しない。
重要なのは特質を適切に使うことであって、世間一般に警戒されてる危うさを乗りこなすことだ。
『火焔族は火種を呼ぶ』というステレオタイプな差別を、彼は(蘭丸に背中を押されて)飛び込んだ場所で乗り越えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
正しく怒り、涙を拭う。怒れぬ誰かの代わりに、炎を使いこなす。
そういう思いに目覚めた時、彼はずっとなりたかったヒーローへと自分を脱皮させていく。
それは(記憶喪失な蘭丸とは正反対に)過去と強く繋がった、自発的な行動だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
十訓に禁じられている、怒る自分らしさ。
その発露は、しかし誰かを確かに護る。
他人から押し付けられる倫理規定よりも、それを燃やしてでも動き出す正しい思いのほうが、天使のあるべき姿を強く引き寄せるのだ。
女の涙もまた水であり、炎である焔くんを傷つけ、かき消すもののはずだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
だがその涙をしっかり拭うことで、彼は戦う力を手に入れ、悪と向き合う。
そして救われる女もまた、鍵穴からただ覗き込むだけではなく、怒りの焔を貸し与える。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第2話より引用) pic.twitter.com/Hb810imB7E
ここで救済される側はただただ功徳を受け取るのではなく、抑え込まれていた正しい思いを言葉にし、悪鬼折伏もう一人の当事者として、闘争に参加することになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
これが過去に紐付いた”自分”がない、自動的な蘭丸の闘争と違うところだ。
それは、天の規律からすると”ツメが甘い” 。
記憶のカケラは少し残り、女が掴んだヒーロー像は原稿用紙に焼き付く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
超常的な力で消え去るはずの思い出を彼女が超越できたのは、果たして悪いことなのか?
結局はガラス越し、一夜の逢瀬に分かれていく宿命ながら、焔くんは自分が成し遂げた正義を忘れはしないだろう。
それが火焔族をめぐる偏見、人を殺す冷たい水を越えていく、大事な足場になりそうな話でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
ピッチリした寝相を保ち、綺麗事しか吐かねぇうるうくんが、焔くん相手だけはどす黒い感情…譜の人間らしさを表にするからなぁ。
怒りという、マイナスに思われる感情が秘める正しさ。
それは仏教が”明王”という存在に託した、人間らしさとの向き合い方でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
心を踏みつけにされ、どうしても生まれてしまう正当な怒りを仏への道へと正しく繋げるために、何が必要なのか。
涙の雨に傷つかなかった焔は、やっぱそういう古い智慧を見てる描き方だった気がする。
うるうくんは焔くんとは逆さに、規律や公平という、プラスに思われる感情の危うさを描くキャラなのかなー、という印象だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
焔くんが成し遂げた正しさを、白紙の蘭丸は笑顔で受け入れ、うるうくんは哀れむ。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第2話より引用) pic.twitter.com/WaKESbKH5p
しかしそれは慈悲という善徳の形だけを借りた、上から目線の憐憫である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
涙ごときに惑わされ、怒りを燻ぶらせる下等な存在。
焔くんをそうとしか思えないのならば、正しく己の焔を使いこなした彼よりも、うるうくんは傲慢で危うい。
ここを、次回掘ってくのかな、という感じ。
正義の拠り所、怒りの使い方に悩み、『ヒーローなんていねぇ!』と強がりつつも、目の前の涙を拭い後悔を抱きしめた、焔くんの闘い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
そこに、救われる側が自動的に受益するだけで終わらず、自分だけの怒りを預ける対等が宿って、よく燃えているエピソードでした。なんか…”手応え”があったな。
自分の過去や特性と向き合い、自分だけの答えを掴む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
これが心地よく描かれた今回を思うと、蘭丸の物語は白紙の記憶を取り戻し、自分がなぜ人を守るのか、答えを探すストーリーになりそうでもある。
ただ与えるだけの救いは、良い変化をもたらさない。だが、自分がなくては哀しみを抱けない。
純粋な夭精にも差別があり、怒りと迷いがある。人と同じく、修行しなければより善い存在にはなれないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
さて、正しさを体現すると驕る水の天聖は何に向き合い、何を見つけるのか。
次回のうるうくんエピも楽しみですね。
あとキモヲタ編集者のコラージュ空間が、あまりにも90’sの牢獄に囚われた妄執過ぎてヤバかった。石川てつや、いい仕事するなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
時代に取り残された創作家気取りが、他人の夢を踏みつつ上から殴るの、前回のSNS地獄に続き生っぽい。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第2話より引用) pic.twitter.com/6Jh6CFXv4t
トンチキな異空間に笑わされるけど、結構洒落にならないリアルな歪みが描かれていて、だからこそ奇想で包んで飲ませる、つう話なんだろうけども。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
菱田監督作品にはこういう、重くゴリッとした質感が必ずつきまとうので好きだ。
トンチキなだけじゃないのよ…いや、トンチキだけどさ。
追記 誰かに優しくすることでしか、優しい自分を受け止められない。ヒロイズムの書き方が骨太なのは、このアニメの良いところ。
追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
焔くんがヘヴンズ空間で対峙するのは、不良の装いをした自分の影であり、貫かれた己は涙を流す。それは青いの炎となり、焔くん自身を焼く。
ここのアクションは、焔くんが立ち向かうべきものをよく描いていたと思う。
(画像は"Fairy蘭丸~あなたの心お助けします~"第2話より引用) pic.twitter.com/wXABycDYaL
彼は父を理不尽に殺された哀しみと怒りに囚われ、父が託したヒロイズムを体現できずにいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
青い炎は鎖となり、彼自身を焼きながら縛っていたわけだ。
天聖になってもそれは変わらず、彼はそれに向き合わなければいけない。焔の槍は、哀しみの炎を広げるばかりで、突破の力にはならない。
ここでヒーローとしての自分を見つけてくれた”誰か”を頼むことが、彼が己の影から生まれた鎖を振り千切る助けとなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
怒りを引き受け、後悔を抱きしめる。
自分が助けた”誰か”と向き合うことが、その実自分を縛る鎖を解く唯一の手段でもあるのだ。
己の涙と怒りから発した炎を超えることで、焔くんは助けてくれた誰かの苦境をまた助け、微かな縁を原稿用紙に残していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
救済の果てに何も残らないより、そちらのほうが”救いがある”ように僕は思うが、天のルールはそうではないらしい。
ここら辺の救済のギャップも、今後掘り下げていくかな?
焔くんが怒りの焔だけでなく、哀しみの涙も超えて勝利したのを思うと、傷ついた少年である彼は誰かを護るヒーローになることで、ようやく哭けたのだ、とも言えるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年4月15日
ギザギザハートの不良少年が、憧れていた夢に近づく話として、今回かなり良かったと思う。