ましろのおと を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
”おばあちゃんの歌”を無事弾ききった雪は、新たな迷いの只中にいた。
梅子の生み出した大会に向け、動き出した三味線愛好会は素人揃い。教える経験も資質もない雪は、道を見失い苛立つ。
張り詰めた空気に乗り込んできたのは、三味線を抱えた微笑む修羅。
神木清流、何を望むか
という感じの部活編本格始動! 愛好会の空気は最悪です!! なエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
なにか掴んだと思えば新たな難問にぶち当たり、答えの見つからぬままバチを握る。
出口もまた演奏の中にあり、神木清流が差し出した音に踊らされ、引っ張られ、それが嫌な気分ではない自分に気づく。
雪の青春模様は相変わらず、三味線の音がピッタリと張り付いて、爽やかで熱い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
苛立ち濁る表情すらも、彼がちょっとずつ自分を知り、他人を知り、世界を知っていく一歩だと思えば、なんとも愛おしい。
教え方よく解かんねぇ、そもそも他人の音の聞き方解かんねぇ。
祖父との狭く満ち足りた空間で育まれた歪な個性が、ときに衝突しときに導かれる新たな経験の中で、ちょっとずつ形を変えていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
…というより、”自分”の活かし方、他人との繋げ方を手探りで見つけていく。そうして、ちょっとずつ世界が広くなっていく。
その着実な歩みが、面白くも眩しい。青春だぁ…
梅子がゴリ押した状況整理で、『大会を目標に、バチバチぶつかり合いながら未来を目指す』という部活モノの基本構造は整った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
そこに乗っかるにはド素人は実力が、雪は他人と触れ合う経験が足らない。当然場はギスギスし、雪は苛立つ。
ただし、それはあくまで自分への苛立ちだ。
どんな音を目指せばいいかわからない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
巨大すぎる”松吾郎”を尊敬しつつも、そこから離れた他でもない自分を見て欲しい。
そういう思いがありつつも、雪は余りに不器用である。
自分を表現する言葉も、それを届けるやり方も見つけられず、手前勝手にヘタクソ素人を見捨てている…ように見えてしまう。
人生の小石につまずくと、すーぐ若菜ちゃん若菜ちゃんと電話するブラコンっぷりが、また可愛いわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
危惧していたとおり、我流(というか松吾郎流)に染まりすぎていた雪は楽譜…音楽的な共通言語が読めず、つまり指導もロジカルにはやれない。
そもそも祖父と兄以外を自分の領域に入れて、相手の聞きたい音を探り、弾き、届ける経験がとにかく少ないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
でも誰かを踏みつけにして、自分の引きたい音をがなり立てるわけでもない。
誰かの物語に心動かなければ、音に命が乗らない自分もよく知っている。
自分を活かす糧が自分の外にしかないのに、そことの繋がり方がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
導きになるのは祖父との絆、そこから生まれる音しかないのに、それだけしかないとは思いたくない。
雪はなかなか難しいジレンマに縛り付けられた、悩める青年である。『繋がりたい』と思ってるだけ、全然可愛いけどね。
息子とはまた違う形で母も面倒で、育児放棄して仕事に邁進してたくせに、稀代の天才・松吾郎の末路にはデカい感情抱いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
怪獣のように巨大で凶暴な梅子の想いが、大金動かして作り上げた大会には乗っかる。
松吾郎の音を継いだ息子を、今度は栄光の舞台に立たせる。
凄まじく身勝手で歪だが、確かに梅子は”母”であり、愛情の体当たりしか出来ない不器用さは、モロに雪に引き継がれているのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
梅子はメチャクチャだけど純情で、ガツガツと欲望のエンジン燃やして状況動かしてくれて、結構好きだなぁ俺は。
実際に家族だったら、マジたまったもんじゃねぇけど。
部活の方はド素人なり必死に弾いて、なんとか上手くなろうと皆努力している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
雷先輩は雪と素人衆のちょうど中間に立って、自分たちの現状とか、演奏の意味とか言語化するいい仕事を担当してくれた。
こういうキャラが一人いると、物語の見通しが非常に良くなる。
同時に便利な解説役で終わりかねないポジションでもあるので、糸目の奥からいつか、バチバチに燃えたぎる情念ビームをぶっ放して欲しいもんだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
俺はクールガイが熱く燃えたぎり、その炎が仮面を剥がす瞬間がホント好きなので、雷先輩にもそういうの期待しちゃうネ。
あと朱利ちゃんのヒロイン力が凄いことになってて、『つ、強え…』って呻いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
まず雪が『誰も俺の音聞かねーし…背中に宿ったじいちゃんばっか見るし…』って弱音を預ける時点で、無自覚なんだろうが相当朱利ちゃんのこと好きだな…って感じだった。
まー導きをくれた人だからね、そら好きにもなる
雪が恋愛とかする青年なのか、現状だとさーっぱり解んないけど。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
激しくぶつかり合うことしか出来なくとも、自分の演奏の燃料として、そこから離れた一人間として、他人に敬意を持てる人なのはよく判る。
凄く純粋で綺麗なものが、彼の中には強く息づいている。
でもそれをどう伝えたら良いか、ずっとわからない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
自分だけの”春暁”を弾き、それをおばあちゃんに伝えられた経験…そこに反射して、自分の音と魂がどんな形なのか教えてもらった経験は、雪にとってはとても特別だと思う。
朱利ちゃんはそこへの縁を繋げてくれ、また雪が見えない自分を教えてくれる
おばあちゃんの歌を蘇らせ、ドラマに関わる目的が達成されてしまった時、そのゴールをこそスタートにした朱利ちゃんが、僕は凄く好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
なにかに感動する体験に、すごく素直に向き合える子なんだと思う。それを誰かに預けることも、怯えず的確にやりきれる。
この素直さと目の良さは、雪にはない。
雪の音にはどんな強さがあり、何を生み出せるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
”春暁”を通じて新しい物語に挑むことにした朱利ちゃんは、雪の鏡となって曇りを払ってくれる。
澤村雪がどういう人間か、言葉で伝え魂で教えてくれる。これは本当に立派で、大事なことだ。雪がやりたいことでもある。
自分にはなくて、だからこそ欲しいと願うモノを持つ誰か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
憧れであり、友情であれ、恋慕であり、強く燃え盛るものは人間を動かしていく。
雪は朱利ちゃんに自分を照らし、支えてもらいながら、己を探し求める旅を続けていくのだ。
ヒロイン力高ぇ…強え…。
そしてそんなデカい感情を燃やす、もう一人の登場人物。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
今回も神木清流は底に見えないドス黒さと、熱く脈打つ熱量を同居させて、雪を試し導く独特の立ち位置で暴れ狂っていた。
ホント神木先生、雪に必要なことしかしないから好き。最高のメンターだ。
教えるということ、導くということがどれだけ心地よくて、相手に合わせて弾くことにも喜びがあると、雪に伝わる言葉…圧倒的な技量に裏打ちされた演奏で伝えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
雪は三味線以外持てない子供だから、部員のレベルではそこまで追いつけないのだ。共通言語を、お互い持っていない。
…んだけど、小籔先生が気づけない演奏の違い、合奏から生まれる化学反応を聞き分ける耳、感動する心は、全員が持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
音のない漫画で演奏の何が凄いか、読者に伝えるためにはリアクションが大事になる。
そういうレトリック上の必要も、もちろんあるけども。
誰かの音に込められたものをしっかり聞き分け、受け取る素直さがあることは、彼らが上達していく理由付けとして、凄く大事だとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
演奏の何が凄いのか、何処に感動したのか。
それを自覚し、生まれる思いに己を乗っける。そういう事が出来るなら、当然どんどん上手くなる。
神木清流の”指導”はそういう意味合いもあるシーンになっていて、大変良かったと思う。みんな、三味線が好きで真面目よね…そこが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
雪は自分も世界もなかなか良く見えない子で、何をしたいのかは自分でも分かっていない。
だから誰かが教えなければいけないが、普通の言葉は届かない。
よく整った音に暴れ狂う奔放を乗っけて、共に真っ直ぐ駆け上がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
身勝手に手を引かれているようで、その実いたずらにこちらを誘い、楽しませてくる。
神木清流との合奏は、雪が知らなかったもの…忘れていたものに目を開かせる。
誰かの音を聞き、導くことは悪くない。
そう思ったから、はたから見ればプライドをへし折られた体験に雪はスキップをする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
求めていたけど見えていなかったものを手渡されるいたずらを、結構素直に喜べる子なのだ。こういうところが可愛い。
んで、一回目に比べて野放図に育てられた今の自分を出して、”どうだ!”と問いかけたのも偉い。
あの空虚な演奏は雪にとってもショックで、色々悩んで抜け出したくて、未熟と知りつつ”おばあちゃんの曲”に挑んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
その結果なにか掴めたものを足場に、飾らない自分を神木清流に問いかけることにした。
そうするに足りる相手だと、結構信頼してんのよね。甘えてるとも言える。
その野放図を受け止めて、”部”でやっていく最低限のフレームを受け入れても、楽しい演奏は出来るよと、神木清流はバチで語っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
自分なりのアレンジを入れず、”楽譜通り”に仕上げてもこれだけ語り合える。高めあえる。
そんな経験が、指導者としての心持ちを雪の中に作っていく。
これが教育者として、大人としての義務感からではなく、自分にも名状しがたいエゴの激発から生まれてるのが、神木清流の面白いところだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
彼自身も言葉にならないものを抱え、バチを握っている。
雪の演奏に触発されて、何かが生まれる予感に期待し、あるいは恐れ震えてもいる。
優男の仮面に奥に、そういうドロッとした表現者のエゴ、物分りの良い大人になりきれない熱量があるのが、神木清流の面白さと言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
思わず、不器用な青年に人生を教えてしまったお節介が、一体何を生み出すか。自分は何を求めているのか。
彼もまた、それを分かってはいないのだ。
だからこそ弾き、響かせて知りたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
三味線に魂を奪われ、それでしか語り合うことが出来ない資質は、実は雪も清流も同じなのだ。
こういう業が、ライバルとも師匠ともつかない面白い男と主役の間に共鳴しているのが、僕にはとても面白い。
雪の対極として、存在感があって話を安定させてくれるよね。
神木清流は雪が超えるべき壁として、彼の道を導き操る”大人”として、今後も存在感を増していくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
そんな彼自身もまた、演奏と人生に迷う一人の人間なのだと、情念を込めてしっかり描いたのも、今回の良いところである。物語内部の役割だけでなく、人間としての表情と体温がある。
三味線に惹かれた修羅二人、刃のように交える音。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
そこに希望と手本を貰って、部員たちが発奮し上手くなっていく流れも良い。
ここでも雷先輩が、神木清流が演奏に込めたアドバイスを的確に読み解き、伝える仕事をしている。相当に頭いいなあの人…。
神木清流の”指導”を受けるまでは、一人勝手に自分のレベルで弾くことしか出来なかった雪は、バチを握らず仲間の音を聞けるようになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
聞かせられるレベルまで、頑張って仲間がたどり着いた、という話でもある。
崩壊寸前のところから、そこまで至れたのはやはり神木清流の人間力、演奏力の賜物だ。
裏で色々企む怪しい男として、神木先生をもっと疑うべきなのかもしれないが、現状尊敬できることしかしてねーのでどんどん好きになってしまった…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
自分を高めてくれる強敵を育成するためだとしても、雪に必要な音と対話を手渡ししてくれる彼は、スゲー立派なんだよな…好きだ。
かくして一つの壁を越え、スタートラインに立った三味線同好会。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月3日
ここからどんな歩みが待つのか。青春のでこぼこ道で、魂が擦れ会う準備は万端だッ!
いや、絶対みんな面倒くさいでしょ…青臭い純情を他人に叩きつけ、叫び、すれ違っては繋がっていくしか無いでしょこの子たち。
次回、マジ楽しみです