ましろのおと を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
三味線同好会は、津軽三味線の故郷、青森津軽へと合宿に来ていた。
スランプに陥った朱利に、上の空で対応する雪。海はそんな、才能を空費する態度に激怒する。
心震わす音の生まれた場所は、悩める青年たちに答えを与えるのかッ!?
という感じの、部活モノ名物強化合宿回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
転入といい大会といい、やっぱ梅子の作るフレームがよく機能して、この話回ってんなー、という感じ。
ムチャクチャ金持ちで人格ムチャクチャな元気人間が、色々用意してくれるから燃える展開も、ピッタリ収まんだよなー。
梅子は偉い。無茶苦茶だけど。
お話の声はあまりにいい声すぎる指導役、大橋ヒロシに導かれて、みんなが津軽でぶつかり合ったり解り合ったりする展開。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
ド素人時代はわりと手早く終わって、弾ける(けど、十分には弾けない)からこその悩み、部活社会の人間関係に足場がシフトしていくのは、停滞がなくて良い。
このお話、もはや馴染みの薄い津軽三味線という楽器がどんな音を鳴らし、どんな文化があるのか説明する、異文化ナビゲーターとしての顔もあると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
ストーリーを感じなければ体温ある演奏ができない…けど、人付き合いが下手すぎる雪を主役にすることで、この物語は三味線が情念の楽器だと教える。
今回は三味線という文化の背景となる歴史を、ヒロシの口から語らせること(それがわだかまりを突破する起爆剤になること)で、青年たちが挑む音楽に何が積み重なり、何を付け加えて弾いていくのかが、より鮮明になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
こういう視座があるのは、テーマへの敬意としても、作品の奥行きとしても良い。
盲人が生きる術として握った太棹に、滲んだ汗と生きる息吹。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
一芸術として確立した後も、その情念は楽譜に宿り演奏に木霊している。
それを受け取った人が音を継いできたからこそ、今若い俺達が弾いている。
繋ぎ、与え、受け取らなければだめなんだ。
三味線モンスターである雪は、”出来ない”朱利の悩みに歩み寄れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
分からないから踏み込まない、軽々に”判る”とは言わないのは、彼らしい誠実さだ。
しかしその対応は、あまりにも情がない。
”出来ない”惨めさ、”出来るようになりたい”という思いを土足で踏みすぎている。
海が雪にキレる時に、ただ惚れた女が邪険にされたというだけではなく、涙を浮かべて自分ごとと怒っているのが、熱くてよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
サッカーの道を絶たれ、親の敷いたレールにハメられかけていた彼にとって、朱利の苦しみは他人事ではない。
好きだからこそ、出来るようになりたいという思いは同じだ。
ストイックに高みを目指す雪は、足下の素人を気にしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
そうやって強くなっていく道もあるのだろうが、運命のうねり(あと梅子のねじれた愛情)に巻き込まれ”部活”に入った雪にとって、孤高はあまりいい答えではない。
正しくないし、そうして他人を遠ざけると、彼の音はまた空疎になる。
結局他人に手を差し伸べ、それぞれの思いと歴史を受け止めて寄り添っていくことでしか、彼の音は磨かれていかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
ここら辺、神木清流が的確に見抜いたポイントであり、ヒロシ師匠と同じく彼も、優れた教育者(の資質がある)だと思う。
相変わらず調整役として優れた資質を見せる雷先輩の助け舟で、バチバチぶつかりあった男子はお湯にわだかまりを溶かし、お互いをわかり合っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
その暖かい空気がいかにも”部活”で、なかなかチャーミングであった。
青年男子のキャフフ(の呼び水としてのバチバチ)もやれる。横幅広い作品である。
どうすれば不器用な自分が、人に近づけるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
雪はずっとそれに悩んでいて、答えはいつでもそこにある。
見えにくくなったり、間違えたりする歩みの中で、津軽三味線の歴史やじっちゃとの思い出、故郷の仲間との語らいを通じて、自分を取り戻すことで、新しい自分を掴む。
そういう青春のスタンダードを、丁寧に丁寧に雪が歩いているところが、この作品の安定感にも繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
三味線という題材を触媒にした、王道青春群像劇としての強さ、人間ドラマの確かさ。
その確かな手応えが、やっぱり楽しくありがたい。お話として、メチャクチャカッチリしてるんよな。
朱利ちゃんは雪の演奏に心揺さぶられ、フラフラ彷徨いながらも自分の人生を変えていく、”最初の聴衆”としての役割がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
朱利ちゃんが”ましろのおと”を通じ、何かを学んだり感じたりして、決断や発見を為し遂げていく度に、それを後押しした雪の楽才、演奏の凄さも浮き彫りにされていく。
人生を変えてしまうほど真剣に聞いてくれることが、他人の体温を感じにくい雪にとってはまた特別で、その触れ合いが不器用な少年を変えても行く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
やっぱなー…朱利ちゃんの特別性、素直に応援したくなる可愛げは、このお話にとって凄い武器だと思う。マジヒロイン力高い。
別に声が宮本侑芽だとか、ふえぇってなる顔が幼女みあって可愛いとか、時折あざといとか、記号だけの話ではなくて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
主役の生き様が太く突き刺さって、自分のあり方を大きく変えていって、それが主役にも強く反射するという照応関係が、凄く唯一性あるんよな。
ここに他の子が切り込んでいけるのか、楽しみでもあるんだけども…結ちゃんが『負けらんねー!』って燃えてたの、神木さん所の娘さんだよね? 雪にビンタした子。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
大会に踏み出していざ対面となった時、相当感情炸裂させそうでなぁ…デカい爆弾を頼みます。地味に幼馴染だし。
澤村くんの音になら、怯えず追いかけずに乗っかれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
その特別さが朱利ちゃんを突き動かし、彼女の世界を変えていく。
『海くん…絶対勝ち目ないよ…』としか言いようのない強い絆が、片思いではなく雪からも静かに燃えてるのが、僕は凄く好き。
この二人の関係、本当に可愛いし気高いよね。
かくして音楽の原郷にて様々に学んだ若人たちは、大会に向けて着実に進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月9日
梅子の繰り出す次の一手は、果たしてどんな波紋をもたらすのか。神木さん周辺の事情もなんかグネグネしてそうで、そっちも楽しみだなー。
より大きなうねりを生みながら、物語は続く。
次回も楽しみ。