憂国のモリアーティを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
英国を新歓させた切り裂きジャック事件は、”モリアーティ”が仮想敵を用意することで軟着陸した。
しかしメンツにこだわるヤードは犯人を捏造し、冤罪による決着を押し通す。
ボンドは不正の証拠を掴むべくヤードに潜入し、ホームズもまた導かれるように、牙城へと赴く。
そんな感じの超暴力! 前近代的司法 VS モリアーティが編み上げた謀略!! というエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
レストレイドの正義感と現場主義を利して、内通者であるパターソンがちゃっかり主任警部の位置に座ったことで、ヤードも”モリアーティ”に取り込まれる形か。
MI6に引き続き警察権力まで握り込んで、犯罪帝国はバリバリ大きくなっているが、こんだけ肥大化すると計画を終えて解体するときが大変そうだなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
”犯罪卿”という虚像を出来るだけデカくして、それが吹っ飛ぶ衝撃でぶっ壊す形…なのかなぁ?
ウィリアムは肉体、精神、社会、人間の全領域で自分を殺すことでの幕引きを計算に入れてるんだろうが、悪たる機械に徹するには情がありすぎる仲間たち(に近いだろう、彼が好きな読者達)が、そのドライな結末を赦してくれるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
個人的な収まりとしては、キッチリ殺してくれると助かるが…。
とまれ、切り裂きジャック事件の始末たる今回は、ウィリアムの書いた絵の上でボンドとパターソンが忠実に踊り、ホームズとレストレイドが踊らされる構造である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
原典においてはホームズを殺すための都合の良い装置だったモリアーティに、名探偵が良いように使われる。
この転倒と悶絶が、なかなか面白い回でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
英国の裏にいる犯罪卿の真実に、部外者として唯一気付きつつも、その絵の中から出る実力はない半端者、諮問探偵シャーロック・ホームズ。
この構図を飲ませるために、荒っぽく人情家で未熟なキャラクターを、”ホームズ”に背負わせた感じもある。
かつて愛した女とすれ違ったことすら、気づけない道化。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
悪なる善を、文句なしの善として表社会に還元するためのフィルター。
立場としては、手柄をパターソンに”譲った”と思わされているレストレイドと大差はない。
遠大な計画に組み込まれた、便利な道具である。
意志と尊厳ある他者を、目的のための道具に使う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
この傲慢にウィリアムがどんだけ自覚的で、恥じ悔いてなお故国救済計画を実行しているのか、否かが自分的には大事なんだが、これが判るのは物語の最終段階でしかないだろう。
無敵の犯罪機械を辞め、人間になれば”モリアーティ”は死ねる。
他人を思えばこそ傲慢な悪を振り回し、沢山騙して沢山殺した罪人を辞められる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
逆に言えば、『犯罪による権力一極化社会の是正』という目的を達成するまでは、彼は他人を踏みにじり、傲慢に君臨し続けなければいけない。
国家が正義を保証し、公を司る機関に毒を仕込んで、特権を私しなければならない
それは見方によっては、断罪する悪徳貴族やクソ警官より遥かに醜悪な自己矛盾だが、ここに作品がどういう答えを出すのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
自動的に動いていく計画に、唯一爪を立てる特権を貸与されているホームズが、偽悪であり真実悪でもある計画を、その中心にいるウィリアムをどう扱うか。
そこら辺が、やっぱり気にかかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
踊らされてる自分を知りつつ、蜘蛛の巣から抜け出せない限界に悶えるホームズを見てると、ウィリアム唯一の理解者として、早めに覚醒してほしくもなる。
が、モリアーティの華麗な計画が続く間は、まだまだ青い煩悶に苦しむのだろう。頑張れ…。
今回はボンド大活躍の潜入エピソードであったが、アイリーンの名と女の姿を捨てて、男になることでしか”モリアーティ”になれないヤダ味とヤバさを、強く感じるエピソードでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
ジャンルに求められる雰囲気を醸成するべく最適化した結果、多分予期してない所に頭を突っ込んでる感じあるな…。
完全にウィリアムの姫サー、女人禁制のボーイクラブな空気が漂ってて、それが扇動されやすい(されやすすぎる)衆愚を少数で操り『世の中良くしてあげてる』権力勾配が発生しちゃってる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
女性権力者であるエリザベスがどんだけ強く”モリアーティ”殴るかで、バランス取るしかない部分なんだろうな…。
家族単位で国家を憂い、その行く末を私的決断の延長でガンガン決めてってる血統主義を殴りつけれるのも、盤面の外にいるホームズだけの特権なわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
”モリアーティ”側から見れば崇高な計画に必要なピースを、狙い通り掴み取った今回の事件はしかし、名探偵に忸怩たる思いを残す。
これは僕の希望が強く反射した、歪な見方だと思うが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
ウィリアム自身は、家族の私的な支えと関係に体重を預けつつ、それが全てになってしまう粘着性の危うさから距離を取ろうと考えてんじゃねーかな、と思ったりする。
家族がどう思おうと、死んでケリつけようと思ってんじゃねーかなー。
身内が何考えようと、ライヘンバッハでキッチリ殺してくれるフェールセーフとして、”ホームズ”を巻き込んでるんじゃねぇかなと、すっげー彼に死んで欲しいファンとしては考えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
この発言が色々ヤバいのは知ってるが、まぁ正直な思いを言葉にするとこうなる。
マジ死んでくれ。(愛を込めて)
『緊急措置だから暴力もOK! 俺は無敵のヤード様!』というアータートンの醜悪は、公権をハックして私物化し続ける”モリアーティ”の歪んだ鏡でもあり、いつか誰かに裁かれる必要がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
それも今回のように、表向きのストーリーを用意し、ホームズを主役にワトスンが語る形で、世に流布するのかな。
そもそも、”モリアーティ”計画の決着…犯罪卿の死による幕引きまで、アニメが追いかけれるのかって話でもあるんだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月10日
次回は時計を巻き戻して、幼きモリアーティを描くエピソードのようです。
そろそろ2クールの終りが見えてきて、話数の使い方、話の〆方が気になってきました。次回も楽しみですね。