BLUE REFLECTION RAY/澪を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
度重なる敗北に詩を見限った仁菜は、”お姉さま”を新たなバディに選ぶ。
暴かれる傷だらけの過去と、閉じ込められた希望。
共鳴りが街を揺らす時、百の心に甦る記憶。
少女たちは何処から来て、何処へ行くのか。
道は茨に彩られ、未来へ続く。
そんな感じの秘めたる昇竜、ブルリフR第6話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
マジで尻上がりにアクセル踏み込んできてるこの作品、仁菜ちゃんの過去を描く今回も非常に力強かった。
抑圧と希望、愛憎と祈りが錯綜する過去は、”仄暗い”という定型句では語りきれない重さがある。
ネグレクト、精神障害、劣悪環境、希望とトラウマ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
少女が背負える荷物全てを過積載したような状況で、仁菜ちゃんは自分のような傷追い人を減らすために、かなり必死で生き延びている。
『トンチキに見えようが、当人は真面目』つうこのお話の長所が、一番活きてるキャラかもしれん。
開幕ド迫力のバイロン揮毫と、怒りの田中リフトで思わず爆笑してしまったが、『テメーは在り来たりのファッションマゾなんだよッ!』という怒りにも納得の過去であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
いや、詩のマゾヒズムは入り口こそ凡庸かもしれんが、その表れはかなり”本物”だと思うよ…。
詩は捨てられたショックも込みで『全部ウソ』と二人の関係から距離を置こうとしてるが、自分のもとに戻ってきて本気の拳(自分が欲しい生の実感)を与えてくれるよう望み続けるのは、仁菜が仁菜だからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
他でもないたった一人の誰かを、詩は既に求めている。
それこそが彼女の空虚を埋める鍵なんだと思うが、しかし身にまとったシニカルな露悪が、真実に踏み込む邪魔をする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
素直になれたら全ては解決するのに、それが一番難しい。
こういうシンプルな人生のジレンマを、ちゃんとやってくのがブルリフRである。
陽桜莉の回想に出てくる宝石箱もそうだが、この作品”箱に閉ざされたもの”の描写が多い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
母の愛と暴力で閉ざされていた、アパートの部屋。幸せに鍵をかけたスーツケース。
『そこ聴く?』でお互い止まり合う、望との過去の探り合いもそうかも知れない。
閉鎖された部屋の中で、仁菜ちゃんが世界と繋がれる唯一の窓はTVだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
そこから入ってくる叡智が、お母さんが自分を殴る地獄に合理的な正解を教え、苦しすぎる日常から出ていく道を示す。
しかしそれはあくまで、誰かが語る誰かの答えでしか無い。すげー助けにはなってんだけどね…。
おそらく双極性障害とおぼわしき、愛と暴力の源泉。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
幼い仁菜ちゃんは自分も母も恨まず、正しく病根に目を向ける。
その言葉が、明滅する母の意思になんらか、救いとなったのか。
死んでしまった今となっては、確認のしようがない。それもまた、箱の中なのだろう。
苦しさから逃れた一瞬で、母の命は奪われてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
愛しつつ憎み、愛されつつ憎まれていた関係を箱から出して、正しく名付けるチャンスは奪われてしまった。
それはKEEP OUTの線の向こう側に閉ざされて、仁菜ちゃんは孤独に街を彷徨う。
母の愛は『頑張ってくるから、冷蔵庫からなんか食べてね!』と威勢だけはいい言葉をかけつつ、箱の中にはなんにも無いような、地に足のつかないものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
ふらりと夜を彷徨って拾われた望との暮らしで、仁菜ちゃんは初めて鍋を一緒に食べる。自分という空疎な檻を、温もりで満たす。
たった一つの文庫本と出会い、そこに封じられていた言葉たちを解き放つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
故国に居場所なき流浪の詩人が詠ったロマンを、『これこそが私なのだ』という実感を込めて受け取り、糧にしていく。
バイロン詩集をキーアイテムに、仁菜ちゃんの人格が深く彫り込まれていくのは、優れた語り口だ。
厭世と絶望を歌いつつ、バイロンはその先にある輝きを常に歌い上げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
ここではない何処かに、我々の求める全てがあるのだと夢見て、遠い国の独立戦争に身を投げて客死した。
仁菜ちゃんも深い絶望を刻みつつ、自分のような存在を減らすために、誰かの痛みを摘み取り続けている。
そこには母と望、二人の希望が目の前からこぼれた苦しみで終わらず、その先を目指そうとする意思がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
こんなに辛い世界なのに、まだ自分に出来ることがあるはずだと信じる心の強さがある。
詩が喪失している、痛みを込めた生の実感。
それは仁菜の抱えた箱から溢れ、しかしそれで終わらない。
それ以外にも、自分と、自分を取り囲む世界を満たすより善いものが多分あって、それを私達は掴めるという信念で、仁菜ちゃんは駆動している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
そう思わせたのは、彼女の”望”が理不尽に奪われた時握ったナイフを、美弦が奪い取ったからだ。
殺意の空の奥にある、バイロンの詩を読み上げられたからだ。
都の時もそうだが、主人公に敵対する”悪役”に見えて仁菜ちゃんは、一貫して救命のために動いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
殺したいと、死にたいと思うほどに辛い世界に取り残された少女に自分の面影を見て、フラグメントを摘むことで救おうとしている。
陽桜莉の言うように、他者の尊厳を踏みにじる勝手な行為かもしれない
しかしそこには、現世の地獄に魂を傷つけられ、それでもなお生きようとする者の正しさが、確かに宿ってもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
今回仁菜ちゃんが見せた切実さに、陽桜莉は持ち目のメサイア・コンプレックスだけでは向き合えないだろう。
もっとドロリと、重く体温のあるものを己から引き出さなければ。
主役が振り回す青い剣には、重さがなくなっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
そしてこのお話、各キャラクターが何に傷つき、何に必死なのかはかなり誠実に描いてくる。
今回描かれた仁菜ちゃんの過去を触媒に、色んなキャラの譲れぬ思いも、また掘り下げられていくだろう。それは信頼できる。
バイロンの詩を鍵にして、確かにほほえみ合い通じ合った、仁菜ちゃんの”望”
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
それが何故彼女の前から去り、今何処にいるかは解らない。
あの部屋に、置き去りにしたピンクの”家”もまた、解き放たれる日を待ちながら彼女の側には、今ない。
それを、いつか取り戻して欲しいと思う。
仁菜ちゃんが魂の血を流しながら歩いてきた闘争がよく描けていたので、その絶望を受け止めたお姉ちゃんの株もグンと上がった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
絶望を摘むことでしか、希望に踏み出せない少女たちの救世主として、確かに美弦にはある種の正しさがある。ナナチ声の新妹と、キャッキャしてるだけではないのだ。
仁菜ちゃんはお姉ちゃんの名前も素性も関係なく、全てを捧げて契約を結ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
”箱”の外側に何が書いてあるかではなく、あの時ナイフの代わりに手渡してくれた(受け取ってくれた)絶望をこそ、信じてすがる。
その信頼は、美弦の過去…”箱”の中身を受け取ってより強くなる。
仁菜ちゃんは詩の自暴自棄でテキトーな戦いっぷりにキレて、ついに縁を切る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
詩が苦しんでいる実感なき空疎と、仁菜ちゃんが抱えるあまりにリアルでシビアな痛み。
二人は対極を求め続けて、だからこそ相補的な間柄…なんだと思うが、だからこそ一度は正面衝突もするわな。
仁菜ちゃんから見ると、詩は凡庸以前に心配なんだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
詩が満たされたいと思う苦痛がどんなものか、彼女は実際に殴られ、奪われ、遠ざけられてたっぷり知っている。
わざわざ求めるものではなく、むしろ遠ざけ守りたいと思う気持ちに、けして嘘はない。
でもそれをこそ詩は求めていて、だから二人は反目する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
仁菜ちゃん、確実に詩に幸せでいて欲しいからな…でも詩が(少なくとも今)求める幸せは、仁菜ちゃんが世界で一番キライなものなのだ。
なお、仁菜ちゃんが好きなものはおにぎりと”詩集”。なるほどねー。
”邪悪な山百合会”と揶揄してた連中が、こんなに複雑な人生モザイクを仕上げてきて、膝を正して謝りたい気持ちにもなったが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
この余波が、まさか百の存在しない記憶として次回に引くとは…。
一話完結形式で足場を整えて、グラっと力強く物語を揺らしてきやがったよ、このアニメ…ッ!
となると一話冒頭は未来ではなく、自覚されない過去なんかなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
トンチキ変身少女現代伝奇だと思ってたものが、思わぬサスペンスを重厚に編み上げてきて、嬉しい不意打ちである。
赤と青の両陣営が、百を通じてこういう形で繋がるのは、予期してなかっただけにマジで面白い。
地道なソーシャルハックで情報集めたり、フラグメント・ショックが抜けた都が前回の勝利を受けて、いい塩梅に調子に乗ってきたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
主役サイドの描写も、派手ではないが凄くいい感じだ。
インテリジェンス描写が地道で説得力あるの、かなり好きなんだよな。超常現象の解明は、過去ログの走査からッ!!
仁菜ちゃんの重たい描写と、ノンキな七夕祭りが噛み合っていないようにも見えるけど、そこに込められてる祈りは皆同じだからな…ここのブリッジのかけ方も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
書きかけの短冊、開かないスーツケース、刺せないナイフ。
仁菜ちゃんは、何もかも半端に箱の中に閉じ込めて、未来に藻掻く。
その切なる祈りが七夕の日、どんな暴走を見せるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
トンチキ百合伝奇サイコバトルアニメ、独特の味と面白さに、切実な熱が宿ってまいりました。
どんだけ呼吸が独特でも、デザインがヌケてても、そこが本気なら俺はこのアニメ、好きになれる。
つうか、好きになってる。
百の記憶の蓋を開けて、展開に心地よいスクリューを入れてきたことも、お話に勢いを足してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
一話ごとに面白さを増してきてる快作で、大変いいと思います。
エンジンの掛かりが悪いのは、このタイプのお話の特徴だな…だが、遅いってことはねぇぜッ…!
次回も、大変楽しみです。
あ、仁菜ちゃんの人生を語るキーアイテムがバイロン詩集なの、正しき少女小説テイスト満載で最高に良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2021年5月15日
ワーズワースでもボードレールでもなく、あくまでバイロン。
ちょいワルでニヒルでアモラルで、ロマンティックな理想主義者。仁菜ちゃんにドンピシャよね。