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プレイレポート 21/09/14 終末紀行『豹とギターと少年と』

昨日はSONEさんのオリジナルシステム、終末紀行を遊ばせてもらいました。

シナリオ:豹とギターと少年と(ランダムシナリオ) システム:終末紀行 GM:SONEさん

よねちょくん:サーベル:ロボット チーター型と人型を自在にトランスフォームする、戦闘のために作られたロボット。その背に少年とギターを乗せ、喪われた何かを取り戻すために荒野を駆ける、世界最後の敗残兵。時々、炎の記憶がフラッシュバックする。
コバヤシ:ヨータ:人間 荒れ果てた世界に一人目覚めた、か弱い少年。どうやらどっかのロコドルだったらしく、脳裏に刻まれた約束の地”BUDO-KAN”を目指し、豹とともに荒野世界を進んでいく。アイドル時代の記憶がフラッシュバックすると、爆薬設置だろうが電子工作だろうがお手の物な眠れるジーニアス。

こんな二人が、終わってしまった世界を共に歩いていくRPGを遊びました。とても面白かったです。
世界観的にはいわゆるポストアポカリプスモノでして、危険に満ちた世界を人間とロボが力を合わせながら、困窮していくリソースをなんとかやりくりしつつ、未来に向かって進んでいく様子を楽しみます。
数字関係が非常にスマートにシェイプされていて、判定は軽いのにダイスを振るのがハラハラと面白く、デッドリーな背景世界としっかり噛み合っていました。
データの取扱がドラマの舞台としっかり連動しているので、手酌で雰囲気を盛るのではなく自然と空気が出来上がっていく面白さがあり、判定するごとにリソースが削れていく怖さも、『まぁ終末紀行だしな……』というマインドセットで、しっかり飲める。
ライトな判定を重ねながら荒野を超えていくわけですが、しっかりリソースが減少し死が身近に感じられるため、ダイスロールが作業にならず、毎回命がけのヒリヒリ感があります。これが連発するとストレスなのですが、判定回数がシステム内部でしっかりと規定されており、『いつ終わるのか』が明瞭に示されているため、心地よい圧迫感でした。

ミニマルに削った判定やパラメーターで、しっかり世界観に噛み合ったムードを作れているバランスが大変良く、キャラ作成含めて一時間のプレイながら、次のゲームを遊びたくなる豊かな広がりを感じることが出来ました。
判定や物語の進め方といったデジタルなゲーム要素も小気味よく進められるし、色んな名作が既にあって、イメージの広がりが豊かなテーマ選択、それをしっかり補助し再現してくれるゲーム構造と、ドラマ方面でも広がりがあります。
1ページTRPG的なサイズ感なんだけども、出落ちで終わらない足腰の強さがあり、終わった後『俺ならこんな風に遊びたいな』という欲望がしっかり頭をもたげてくる、良いシステムでした。個人的に、初見のゲームの良し悪しはここがいちばん大事なので。

基本デッドリーな背景世界、シナリオ進行になるんですが、ゲームの”あがり”が希望ある形で示されてもいて、理不尽な終末に勝ち残り未来を掴む結末が微かに光っている所が、最初からニヒリズムを構えてゲームに入らなくていい足場になってくれていました。
これを受けて、なんかエモくて生き残り目的を果たしてほしい感じのキャラを投げたら、よねちょくんのキャラもいい感じにエモいロボで、ふたり旅は淡々とサバイバルしつつも情感がある、このシステム独自の空気に包まれて進んでいきました。”星の王子さま”みがあって、個人的に凄く好きだな。
世界を旅するゲームなので移動手段がパラメーター化されているのですが、これをサーベル本人にすることで『チーターの背中に載って、未来に進んでいく子供』つうファンシーな絵面が爆誕して、童話テイストが画面を満たしていたのも好みで良かったですね。
無論PLの好みによってもっと殺伐にも出来るし、色んな舞台を色んなペアで走っていく物語を、色んな角度から楽しめると思います。シンプルな入り口から、無限の拡張性を期待できるのはスゲーいい。
あと音楽要素を入れたことで、バトルマシーンであることに悩むロボットと、戦うことが出来ない人間がお互いを補い、厳しい世界で希望と人間性を守るドラマが紡げたのが、二人で……GM兼システムデザイナーの見守り込なんで三人でゲームやってる感じあって、よかったです。

今回はランダムシナリオで遊ばせてもらったのですが、迫りくる危機となんてことのない荒野の日常にイメージ喚起力が高く、ゆったりとした雰囲気に困難克服のドラマがしっかりやどり、いいバランスだと感じました。
ステージセットを変えることで別のゲームになるので、鬱蒼とした密林とか、嵐吹きすさぶ海とか、色んな所を冒険し、リソースを削りながら先に進んでいく冒険モノの面白さを、ハンディに楽しめるシステムだと思います。
何かが欠乏していって、終わりが迫る所を必死の努力、二人の絆で超えていくという、物語のプリミティブな面白さが作品の根っこにあるのが、シンプルながら力強い拡張性、物語的な奥行きと余韻に繋がってるかな、という感じです。
テストプレイということもありシンプルな展開になりましたが、ガッツリとイベントを盛り込んで物語を分厚くしても、十分以上に応えてくれるポテンシャルをしっかり感じました。つーか、そういう事をしたくなる背景世界とシステムで、非常にグッド。
あと判定が基本的に協力判定になるので、今目の前にいる”そいつ”と手を携えて苦難を乗り越えている感じがしっかり出て、このゲームをやっている意味合いが常時身近にある判定システムなのは、とても良かったと思います。
その上で、SONEさんのやりたいこと、”楽しい”のヴィジョンがしっかりシステム化されていて、デフォルトそんなにベタつかない距離感が明確に示されているのが、作品がやってほしいことを迷わず受け取れる指針ともなっていてグッドでした。
今の時代に相応しいプレイフィールが、Discordとココフォリアだけで完結して駆動する軽快なアセットにまとまっているのも、新しい感覚で凄く新鮮だった。『そうだよなー、今のゲームはこの組み方で、存分戦えんだよなー』と思わされた。こういうワクワク感はマジ大事。

総じてどういうゲームを作り、どういう面白さを味わってもらうかしっかり見据えた上で、過不足無くシステムを編み上げ、魅力的な世界観と雰囲気をしっかり伝えてくる、ハンディながら力強いシステム、楽しいセッションでありました。
遊ばせてもらってよかったです。俺もGMしてーなー…。
というわけで、大変良いセッションとなりました。同卓していただいた方、ありがとうございました。